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文献名1霊界物語 第62巻 山河草木 丑の巻
文献名2第6篇 聖地の花よみ(新仮名遣い)せいちのはな
文献名3第27章 神習〔1602〕よみ(新仮名遣い)しんしゅう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年05月15日(旧03月30日) 口述場所教主殿 筆録者明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年10月16日 愛善世界社版323頁 八幡書店版第11輯 238頁 修補版 校定版352頁 普及版61頁 初版 ページ備考
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本文
  第五一二

    一

 醜草の生茂りたる野路行けば
  山犬の声におどろかされぬる。

    二

 皇神と倶にありせば獅子熊の
  吠猛るさへ恵とぞ聞く。

    三

 道のため荒野を別けて進む身に
  醜の曲霊の如何でさやらむ。

    四

 たそがれて山路に迷ふ旅人を
  照して昇る夜半の月影。

    五

 わざはひの繁き世なれば惟神
  御旨にまつろふ外なかりけり。

  第五一三

    一

 嬉しくも浮世の雲をわけ上る
  今日故郷の月を見しかな。

    二

 天伝ふ月の恵も深草や
  露野ケ原にも宿りたまひぬ。

    三

 春の日の花の別れを惜むより
  神の御前のわかれ惜めよ。

    四

 秋深みやがて凩吹き荒む
  冬来るらむ備へせよかし。

    五

 備へとは身体包む衣ならず
  いや暖かき心培へ。

  第五一四

    一

 四尾の山の諸鳥声冴えて
  峰に残れる有明の月。

    二

 大庭に燃えたつ珍の紅葉の
  赤きは神の心なるかも。

    三

 秋山の紅葉の色のいろいろに
  照りかがやくも神のまにまに。

    四

 同じ山に照る紅葉もいろいろに
  艶を争ふ浮世なりけり。

    五

 皇神の領有ぎたまふうまし世は
  梢の露も御栄えとぞなる。

  第五一五

    一

 神園の松の木蔭に佇めば
  思ひがけなき梅が香ぞする。

    二

 大空に聳えて高き常磐木は
  百度千度風に揉まれつ。

    三

 玉の井の底に宿れる月影の
  深き心を汲む人ぞなき。

    四

 空寒き冬の夕に三日月の
  慄ふを見れば淋しかりけり。

    五

 大空に慄ふと見ゆる月影は
  おのが眼の迷ひなりけり。

  第五一六

    一

 大空に引き廻したる闇の幕を
  もれて輝く星の数々。

    二

 立ち迷ふ八重棚雲の綻びゆ
  覗き初めたりオリオンの星。

    三

 選まれし民は照日の下にあり
  ただ待ち暮す望月の影。

    四

 日出づる国の空より輝きの
  雲にのりつつ臨む月影。

    五

 ヨルダンの水底深く照る月の
  影は浪間に砕けつつ澄む。

  第五一七

    一

 吹く風に峰の桜は散り果てて
  御空に独り月は霞める。

    二

 花誘ふ嵐いたむか大空に
  月は霞みて影朧なり。

    三

 蜩の声は漸く細りけり
  凩荒ぶ冬悲しみて。

    四

 山の端に恵の月は輝けど
  麓の里は光さへ見ず。

    五

 村雲を蹴散らすごとく進み往く
  御空の月の勇ましきかな。

  第五一八

    一

 夜半の暗照してなほも翌昼の
  御空に月は輝きわたる。

    二

 時雨ては晴れゆく後の大空に
  冬の夜の月清く慄へる。

    三

 打ち慄ふ月の姿を眺むれば
  常闇のよを歎つべらなり。

    四

 黒雲の天津日影も隠す世は
  曇らざらめや玉の井の月。

    五

 玉の井の底に宿れる月影も
  魂は御空に永久に照る。

  第五一九

    一

 秋の野の木々の梢におく霜を
  照して生かす天津日の影。

    二

 秋の夜に月の光のなかりせば
  野山の草木根より枯れなむ。

    三

 天津日を眺めて遊ぶ人はなし
  花見雪見と共に月見る。

    四

 天地に恵の露を垂れたまふ
  月弄ぶ人ぞ礼なき。

    五

 空冴えて凍るかと見る月影も
  降らしたまひぬ恵の露を。

  第五二〇

    一

 桶伏の山に皇神有明の
  月こそ人の生命なりけり。

    二

 百千鳥声さわがしくなりにけり
  あかつき近き兆なるらむ。

    三

 雲霧を払ふ高天の山風に
  吹かれて散らむ醜の木の葉は。

    四

 円山の袖に月影小夜更けて
  小雲の川は包まれにけり。

    五

 真盛りの短き野辺の桜花
  春の心を惜むなるらむ。

  第五二一

    一

 散りて往く花の心は知らねども
  羨むならむ空の月見て。

    二

 月毎に輝く月に比ぶれば
  花の盛りも物の数かは。

    三

 野も山も真白に染めし白雪も
  朝日の影に果敢なく消えゆく。

    四

 花紅葉春と秋との錦さへ
  月の眺めのながきにしかず。

    五

 神垣の柳の梢芽含みけり
  常世の春の魁として。
(大正一二・五・一五 旧三・三〇 於教主殿 明子録)
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