カークスとベースは不審の念を抱いて、近づいてくる宣伝歌に耳をすませた。歌の主は伊太彦であった。
伊太彦はアスマガルダ、ブラヷーダを連れて、竜王の岩窟の向こうにこれほど広い原野があることを不思議に思いながら歌を歌いながらやってきた。
カークスとベースは伊太彦に出会えたことを喜び、先ほどの怪しい婆の話をした。伊太彦は岩窟だから妖怪が出たのだろうと答え、ウバナンダ竜王に会うために先に進もうと一同を促した。
一同が進んでいくと、はげ山の麓に草ぶき屋根の小屋が一軒建っていた。小屋から出てきたのは高姫であった。高姫は一行を呼び止め、けっこうなウラナイ教の話を聞かせてやろうと引き留めた。
しかしカークスとベースは、高姫の居丈高な物言いに不快の念をあらわにし、無視して先に進もうと伊太彦にもちかけた。高姫は怒り、二人は身魂が悪いから自分の館に入ることはならないと言い渡した。
高姫は伊太彦、アスマガルダ、ブラヷーダの三人を引き入れようとするが、ブラヷーダはここまで生死を共にしてきたのだから、カークスとベースが入れない家にやっかいになるのは止めようと言い出した。
伊太彦とアスマガルダも同調したので、高姫は仕方なく五人とも招き入れようとするが、その物言いがまた居丈高なので、カークスとベースは家に入るのを拒否した。
高姫は門口でウラナイ教の説法をすることにした。