すばらしい光景を眺めつつ山に分け入ったが、日は暮れてつきが辺りを照らし出した。一行はトリデ山の山頂へとたどり着いた。
太子はすばらしい景色をたたえる歌を詠み、宮中へ帰りたくない意思を表す。
夜半にもかかわらず、太子はさらにあてどもなく歩を進め、アリナはそれを追っていく。やがて二人は疲れて寝てしまう。
次の日、目が覚めるともう午後であった。太子もようやく帰途を思うが、もはや道を見つけることができない。
太子はたとえこのまま山の中に迷おうとも、人間らしい生活をしたい、と言い出し、アリナと無銭旅行を願う。
アリナはあくまで帰城を促す。
結局、アリナが杖を倒し、倒れた方向へ進んでいくこととなる。
また日が暮れ始め、猛獣の声が響く。アリナはおびえるが、太子は平気である。
ところへ、太子は火の光がまたたいているのを見つける。人家があるものと、二人はそちらを指して進んでゆく。