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文献名1霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻
文献名2第3篇 神柱国礎よみ(新仮名遣い)しんちゅうこくそ
文献名3第16章 波動〔1761〕よみ(新仮名遣い)はどう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2018-11-20 15:00:36
あらすじ
国照別一行は三日三晩禊を修し、鏡の池の霊場に参拝し、宣伝歌を奏上した。その歌、

珍の国にはびこる曲がった道を根本的に改良し、

清き太祝詞を世界の為に宣り上げて、

迷った身魂を救い上げ、常世の国まで救い行く。

珍の国をまこと一つの三五の神代に立て替えて、

諸々の神人らが勇み立ち、安く楽しくいつまでも栄えしめ給へ、永遠無窮の命をよさし給えと願い奉ります。

一行の中で、まず浅公が鏡の池に言霊を発し、託宣を祈った。浅公は、子分の中の上下を問う。すると鏡の池は「実力のある者が上になるべし」と託宣し、駒治を一の子分と定めた。

浅公は不満を訴えるが、ここに駒治と浅公は角力を取り、結果、駒治が一の子分と定まった。
主な人物 舞台 口述日1924(大正13)年01月24日(旧12月19日) 口述場所伊予 山口氏邸 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1927(昭和2)年10月26日 愛善世界社版226頁 八幡書店版第12輯 356頁 修補版 校定版237頁 普及版66頁 初版 ページ備考
OBC rm6916
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本文  国照別一行は四辺の果実をむしり乍ら、飢を凌ぎ三日三夜の身禊を修し、鏡の池の由緒深き霊場に参拝し声も涼しく宣伝歌を奏上した。
国照別『アさ日は清く明らけく  イてり通らすテルの国
 ウき世の悩みを他所にして  エらまれ切つた身魂等が
 オさまりゐます懸橋御殿  カみも平らに安らかに
 キこしめすらむ真心の  クに照別の御願
 ケしきいやしき曲道を  コん本的に改良し
 サかえ尽きせぬ珍の国  シきます国魂大御神
 スずしき聖き太祝詞  セかいの為に宣り上げて
 ソぐりし身魂を救ひ上げ  タすけて生かす高砂の
 チとせ栄ゆる松の教  ツきは御空を隈もなく
 テらして暗を晴らしつつ  トこ世の国まで救ひ行く
 ナみに漂ふ高砂の  ニしと東の珍の国
 ヌしとなるべき吾魂も  ネそこの国の悩みをば
 ノぞかぬうちは是非もなし  ハやく身魂をあらためて
 ヒろく尊き御恵の  フゆを世界に現はして
 ヘい和に民を治め行く  ホまれも高き珍の国
 マこと一つの三五の  ミちの光に陰もなし
 ムかしの神代に立替へて  メぐみ洽き草の露
 モもの神人勇み立ち  ヤすく楽しく何時迄も
 イのち栄えて国の為  ユう冥界を救ふ為
 エい遠無窮の生命を  ヨさし玉へと願ぎ奉る
 ワが言霊の大前に  ヰてり通らい奉りなば
 ウき世の雲をかきわけて  ヱがほに充てる神の顔
 ヲがませ玉へ惟神  国照別が善悪の
 世のさまうつす鏡池  玉の宮居の御前に
 畏み畏み願ぎ奉る』
と歌ひ終り、拍手し、傍の巌に腰を打かけ、昔の歴史話に移りける。
国『オイ、乾児共、此鏡の池は一名言霊の池と云つて高砂島第一の神秘的な霊場だ。真心を以てこちらから言霊を発射すれば、キツト神様が言霊を以て答へて下さるさうだが、どうだ一つ滝で身を浄めて来たのを幸ひ、神様に伺つて見ようかい』
浅『如何にもソラ面白う厶いませう。此処で乾児の順序を神様に聞いて定さして貰ひませう。それが公平で互に怨恨が残らいで宜しいからなア』
国『それも結構だ。そんなら浅公、お前から一つ神様に願つて見よ』
浅『ハイ、承知しました』
と云ひ乍ら拍手再拝し、
浅公『惟神昔の神の坐しまさば
  示させ給へ吾願言を。

 言霊の池と名に負ふ斎場なれば
  答へ給はむ吾言の葉に』

 忽ち鏡の池はブクブクブクと異様な泡を吹き出した。
 国照別外一同は早速の感応に襟を正し、片唾を呑んで畏まつて居る。浅公も小気味が悪くなつたが、後へ退く訳にも行かず、額から冷汗を流し乍ら、
『アヽ有難や辱なや、鏡の池の生神様、侠客の浅公が朝間も早うから、阿呆が足らいで、あられもない事を御願申しますが、どうぞ、あら立てずに、あらましで宜しいから、御神徳をあらはして下さいませ』
 鏡の池から、
『アツハヽヽヽ、浅公の浅智慧の阿呆奴、開いた口が塞がらぬワイ』
浅『イヽヽいけ好かない、イヽヽの一番から人を罵倒する神が何処にありますか、ウヽヽうるさいと思はずに、どうぞ真面目に私の願を聞いて下さい、国さまの乾児の中に於て誰が上になるか下になるかと云ふ事を聞かして貰へばそれで良いのです』
 池の中から、
『エヽヽえらい奴が、上になるのだ、オヽヽ劣つた奴が下になるのだ。そんな事をカヽヽ神に聞かずとも、キヽヽ気がつき相なものぢやないか。クヽヽ国照別の国公の乾児になつた以上は、汝も侠客だ。一つケヽヽ喧嘩でもして力比べを致し、コヽヽこつかれた奴が乾児になるのだ。サヽヽ騒ぐには及ばぬ、今の世は言論よりも実力だ。シヽヽ主義も糸瓜もあつたものぢやないぞ。スヽヽ速に実行する奴が数多の人気を、セヽヽ制するのだ。今に珍の国にはソヽヽ騒動が起るから、タヽヽ互に霊を練つて、生死のチヽヽ巷にかけまはり、体も魂も人に秀れて、ツヽヽ強くなつておかねば、テヽヽ天下は取れぬぞよ。トヽヽ遠い国へ駆落致し、ナヽヽ何かの事を研究し、天晴立派な男伊達となつて、故郷へ、ニヽヽ錦を飾り、親に反いて国許を、ヌヽヽぬけて出た贖ひを致し、ネヽヽ根の国底の国の国民の苦を救ひ、ノヽヽ長閑な、神代に立直さねばならぬぞよ。ハヽヽ早く霊を研き、ヒヽヽ一人でも霊の研けた者を集め、勢力をフヽヽふやして、ヘヽヽ平和と人道の為に社会に貢献する、ホヽヽ方策を定めたが良からう。マヽヽ誠一つが世の宝だ。ミヽヽ身を粉に致し、ムヽヽ昔の神の教を遵奉し、メヽヽ名利に耽らず、モヽヽ諸々の欲に離れ、ヤヽヽ大和魂を研き上げ、イヽヽ厳の御霊の教に従ふて、ユヽヽ勇敢に大胆に、エヽヽ遠慮会釈もなく、ヨヽヽヨウ言はぬワ、世の為に活動するのだぞ。ラヽヽ乱世の今日、リヽヽ倫常は地に落ち、ルヽヽ累卵の危き各階級の状態、レヽヽ連年の不景気に人心は悪化し、ロヽヽ老骨は上に立つて国政を料理し、最早珍の国の人心は収拾す可らざるに立至つて居る。ワヽヽ吾身の出世許り考へて他人の事は、ヰヽヽ指一本そへてやらんと云ふ悪党な世の中だ。ウヽヽ有為転変の世の中は、何時変るか知れないぞ。ヱヽヽ遠国へ行つて、魂を研き、天晴れ、ヲヽヽ男となつて、ここ三年の内には帰つて来よ。浅公許りでない、親分の国州、其他一同の者に気をつけておく。さうして駒治は国州の一の乾児と神が定めるぞよ、ブルブルブルブル ウーツ』
と唸つたきり、後はコトツとも言葉は無くなつて了つた。
駒治『鏡の池の神様、どうも有難う厶ります。貴神の仰有ることは良く合ひました。私の思ふ通り云つて下さいました。惟神霊幸倍坐世』
浅『オイ駒州、此神はチツト審神の必要があるぞ。大方汝の副守か何かが飛出しやがつて、あんなこと吐いたのだらう。エー、ケツタクソの悪い、誰が何と云つても俺が一の枝だからのう』
駒治『一の枝だから駄目だと云ふのだよ。松の木でも見よ、一の枝が枯れて二の枝、二の枝が枯れて三の枝が出来、後から後から立派な枝がより以上大きく出るぢやないか。マア兎も角神様の仰有る通りに任しておくのだなア』
国『ハヽヽヽ先づ此処で、それ程神様の神勅を疑ふのなら、力比べをやつて見よ。喧嘩さすと互に疵がついて可かぬから、神様の前で角力でもとつて、勝つ奴を一の乾児にすることにせう。浅公お前も得心だらうなア。お前も先夜の事を思へば余り威張れぬぢやないか』
 ここに二人は一番勝負の角力を取り、いよいよ駒治が国州の一の枝と定まり、意気揚々として山を降り蛸取村の海岸に出た。
 国照別一行は蛸取村の海岸に息を休め乍ら渺茫たる海原の景色を眺め、愉快げに歌つて居る。
国州『雲か山かはた波か  渺茫千里の塩の波
 浅ましき人間の眼を以て  大西の洋に臨む
 十里二十里三十里  僅かに視線は働けども
 いかにせむ海の彼方に  漂へる国の姿の
 目に入らぬ悲しさ  行交ふ白帆は
 花弁の如く  波のまにまに
 清く輝く  吾は今
 磯辺に立ちて  広大無辺の
 天地に跼蹐し  人間の身の
 いと腋甲斐なきを  深く深く歎く
 あゝ吾今  住みなれし故国を捨てて
 始めて此広き海洋の波に接す  珍の国は広しと雖
 此海原に及ばむや  大空の雲と
 海原の波と  相接する所
 定めて麗しき宝国あらむ  あゝ思へば思へば
 微弱なる人間の身よ  いとも雄大なる
 天地の現象  宇宙の摂理
 今更乍ら  吾胸は轟き始めぬ
 吾志すヒルの都は  果して何処ぞ
 かの遠き紅の雲の  真下ならむか
 はた又それよりもズツと秀れて  遠き遠き低き雲の
 真下に在るか  思へば
 わが前途は  極めて遼遠なり
 四人の供人を引つれて  際限もなき
 原野を行く  吾心の波の高さよ
 否胸の騒ぎよ  沈静せしめ給へ
 天地の司宰とあれまする  国治立大神
 荒金の地を領有給ふ  神素盞嗚大神よ
 帆は白し波は高し  空は広く雲は低し
 吾等五人の前途を守らせ給へ』
と詠じ終り、国照別は先頭に立ちて、伝来の古き宣伝歌を高唱し乍らテル国街道を北へ北へと進み行く。
(大正一三・一・二四 旧一二・一二・一九 伊予 於山口氏邸、松村真澄録)
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