場面は変わって、気味の悪い黄昏時の情景。一面の枯草に血生臭い風。烏は鳴き、不気味な虫が草原一面に人の血を吸おうと潜んでいる。
そこへ高姫がやってくる。高姫は、三年間、中有界にとめおかれて、修行を命ぜられていたのであった。高姫は一人の亡者を弟子に連れ、自分は現界に立ち働いているつもりで、道行く人をウラナイ教にひっぱりこもうと待ち構えていたのであった。
弟子のトンボはあまりの閑古鳥と高姫の人使いの荒さに文句を言い、逃げようとしたところをつかまれて、ばったり倒れてしまった。
そこへやってきたのは、八衢に彷徨っているキューバーであった。高姫はこれ幸いとキューバーに宣伝をはじめ、自分のあばら家に引っ張り込もうとする。
キューバーは宿を探していたところへ、渡りに舟と、高姫についていく。トンボは、二人がどんな相談を始めるやら窺いに、高姫の破れ屋に足音を忍ばせてつけていく。