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文献名1霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻
文献名2第1篇 水波洋妖よみ(新仮名遣い)すいはようよう
文献名3第2章 時化の湖〔1811〕よみ(新仮名遣い)しけのうみ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-05-11 01:37:24
あらすじ
妖幻坊と高姫の経緯を歌う:

初稚姫と霊犬スマートに祠の森を追い出された妖幻坊と高姫は、小北山の霊場から曲輪の玉を奪い、妖幻坊の妖術で曲輪城を作る。妖幻坊は高宮彦、高姫は高宮姫と名乗る。

そこへ初稚姫に踏み込まれ、妖幻坊は術が破れる。妖幻坊は高姫を抱え、月の国へ空を翔けて逃げ去るが、烈風によって高姫は吹き飛ばされ墜落し、息絶える。

高姫は幽界にさまよう。さまよいつつ八衢(やちまた)でウラナイ教の布教をしていたが、トルマン国の王妃・千草姫の他界と共にその肉体に宿り、現界によみがえる。

梅公別によって金毛九尾の正体をあらわしトルマン国を逃げ去った後、浜屋旅館の一室で妖幻坊の杢助に再開し、乗合船・高砂丸でスガの港をさして行く。

三五教の光を恐れた妖幻坊は、その神の道を破ろうと、三五教に捨てられた高姫に目をつけ、杢助に変装してたぶらかしたのであった。

高砂丸には、「高砂笑」といって、どんな身分の人間であれ、あらゆる人物を忌憚なく批評し、悪口をいい、嘲笑することが許される、面白い習慣が残っていた。

先客となっていたコブライ、コオロ(元玄真坊の部下)は、さっそく話の花を咲かせている。

玄真坊が千草の高姫に有り金を巻き上げられた上に殺されかけたこと、その高姫と、大雲山の妖怪の化身・妖幻坊が、万民を苦しめ三五教の聖地を横領しようと、ハルの海を渡ろうとしていること、などを語っている。

妖幻坊と高姫は、その話を聞き腹を立てつつ、水に弱いがために、悔し涙を流しながら黙って素知らぬ顔をしていた。

突然暴風雨が吹き出し、高砂丸はたちまち転覆してしまう。乗客一同は湖に投げ出されてしまうが、そこへ新造船が勢いよくやってくる。
主な人物 舞台 口述日1926(大正15)年06月29日(旧05月20日) 口述場所天之橋立なかや別館 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1929(昭和4)年4月3日 愛善世界社版17頁 八幡書店版第12輯 612頁 修補版 校定版18頁 普及版5頁 初版 ページ備考
OBC rm7202
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本文  妖幻坊の杢助や  金毛九尾の高姫は
 初稚姫の神徳と  猛犬スマートの威に怖れ
 祠の森を逸早く  雲を霞と逃出し
 薄の茂る大野原  彼方此方とかけ廻り
 迂路つき魔誤つき歯噛みつき  意茶つき喧嘩も病つきで
 施す術も月の空  遥にかがやく小北山
 其霊場に蠑螈別  魔我彦司の居ると聞き
 斎苑の館の総務職  笠にきながら妖幻坊
 ウラナイ教の大教祖  高姫司と名乗りつつ
 二人は手に手を把りながら  一本橋を撓づかせ
 河鹿の流を打渡り  魔風恋風吹き荒ぶ
 蠑螈館に来て見れば  目界の見えぬ文助が
 白き衣を着けながら  受付席に控へ居る
 高姫見るより驚いて
『これこれお前は文助か  此聖場は高姫の
 教を伝ふる蠑螈別  神の司の館ぞや
 蠑螈の別の教の祖  高姫司をさしおいて
 教を布くとは虫がよい  些つと心得なさりませ
 此御方は産土の  山の台に千木高く
 大宮柱太知りて  鎮まり居ます素盞嗚の
 神の教に仕へます  三羽烏の御一人
 杢助総務で御座るぞや  早く挨拶した上で
 いと丁寧におもてなし  神の如くに敬へ』と
 大法螺吹き立て尻を振り  松姫館に駆け込んで
 お千代やお菊に揶揄はれ  腹は立てども虫耐へ
 木端役員初、徳を  旨く抱き込み小北山
 神の館を奪はむと  あらゆる手段を尽す折
 頂上の宮の鳴動に  荒胆つぶし逃げ出し
 二百の階段驀地  下る折しも文助に
 思はず知らず衝突し  曲輪の玉を遺失して
 高姫、初、徳諸共に  雲を霞みと逃げ出し
 怪しの森の近く迄  逃げ来る折しも妖幻坊
 吾懐に隠したる  曲輪の玉の影なきに
 顔青ざめて思案顔  芝生の上にどつと坐し
 萎れかかりし其風情  見るより高姫怪しみて
 様子を問へば妖幻坊  如意の宝珠に勝りたる
 曲輪の玉をはしなくも  小北の山に落したり
 初、徳両人吾命を  奉じて小北の山に行き
 曲輪の玉を奪り返し  帰り来れと命ずれば
 尻を痛めた両人は  チガチガ坂をよぢ登り
 文助司を気絶させ  漸く曲輪の玉を奪り
 再び怪しの森影に  走り帰れば妖幻坊
 高姫二人は喜びて  やにわに玉を引奪り
 其懐に捻ぢ込みぬ  折柄下る闇の幕
 是幸ひと両人は  闇に潜める初、徳の
 頭の辺を目がけつつ  闇に打ち出す石礫
 夜目の見える妖幻坊  金毛九尾の二人連れ
 雲を霞と逃げ出し  浮木の森の狸穴に
 暫く身をば潜めつつ  曲輪の玉を応用し
 一夜に造る城廓は  天を摩しつつ聳立つ
 金毛九尾の高姫は  実の城と思ひ詰め
 杢助司の妙術を  口を極めて称讃し
 高宮彦は妖幻坊  己は高宮姫となり
 高子宮子の侍女を  狸と知らず侍らせて
 恋に狂へる折もあれ  三五教の宣伝使
 初稚姫に踏み込まれ  妖術ここに暴露して
 妖幻坊は座に堪へず  高姫司を引つ抱へ
 もはや運命月の国  デカタン国の高原の
 空翔けり行く折もあれ  俄に吹き来る烈風に
 耐りかねてか高姫を  かかへし腕くつろげば
 空中滑走の曲芸を  演じて地上に墜落し
 高姫息は絶えにけり  さは然りながら高姫は
 吾肉体の失せしをば  夢にも知らず幽界の
 八衢街道をとぼとぼと  彼方此方に彷徨ひつ
 杢助司の所在をば  探し求めて三年振
 月日も照らぬ岩山の  麓に荒屋構へつつ
 往来の精霊引つ捕へ  底つ岩根の大ミロク
 日の出の神の生宮を  悟れよ知れよ救世主
 此処に居ますと法螺を吹き  騒ぎ廻るぞ可笑しけれ
 三年を過ぎし暁に  トルマン国の王妃なる
 千草の姫の身死りし  其肉体を宿となし
 再び現世に蘇生り  千草の高姫となりすまし
 国王迄も尻に敷き  あらむ限りの狂態を
 日夜演ずる折もあれ  言霊別の化身なる
 梅公司に謀られて  包むに由なく忽ちに
 金毛九尾と還元し  トルマン城を後にして
 雲を霞と逃げ出し  妖僧キユーバーの行衛をば
 探る折しも入江港  浜屋旅館の一室で
 思はず知らず杢助に  化けおほせたる妖幻坊に
 出会し茲に両人は  手に手を把つて夜の道
 浜辺に出でて乗合の  高砂丸に身を任せ
 スガの港をさして行く  波瀾重畳限りなき
 いと面白き物語  完全に委曲に述べてゆく
 あゝ惟神々々  恩頼をたまへかし
    ○
 曲津の運命月の国  大雲山に蟠まる
 八岐大蛇の片腕と  世に聞えたる妖幻坊
 三五教の皇神の  清き明るき大道の
 光を怖れ戦きて  数多の魔神を呼集へ
 神の大路を破らむと  心を砕き身を焦し
 三五教に捨てられて  心ひがめる高姫の
 腸探り杢助と  身をやつしたる恐ろしさ
 身を粉にしても砕けても  潰さにやおかぬ三五の
 道こそ強き梓弓  ハルの海原船出して
 再び会ひし高姫と  教のとも船高砂の
 名に負ふ船に身を任せ  油を流せし如くなる
 浪も静な海原を  鼻歌謡ひ勇みつつ
 スガの港をさして行く。
 妖幻坊、高姫の乗り込んだ高砂丸は余程の老朽船であつた。此船には建造以来、高砂笑と云つて一種の妙な習慣が残つて居た。高砂丸に乗り込んだ者は、大は政治の善悪より下は小役人の行動をはじめ、主人や下僕、朋友知己、其外所有人物を捉へて忌憚なく批評し、悪罵し、嘲笑することが不文律として許されて居た。遅々として進まぬ船の脚、退屈まぎれに種々の面白き話の花が咲いて来た。
 船客の一人、
甲『オイ、コブライ、玄真坊と云ふ売僧坊主は本当に仕方のない餓鬼坊主ぢやないか。天帝の化身だの、天来の救世主だのと大法螺を吹きやがつて、オーラ山に立て籠り、三五教の梅公別様に内兜を見透され、岩窟退治をせられてお払ひ箱となり、三百人の小泥棒を従へて再びオーラ山の二の舞をやらうと企み、スガの港のダリヤ姫に懸想して旨く肱鉄砲を乱射され、終の果てにやタラハン城の左守の司に腹迄切らせ、しこたま黄金を強奪り俺達に揚壺を喰はし、入江港の浜屋旅館に泊り込み、千草の高姫とか云ふ妖女に涎を垂らかし、眉毛をよまれ睾丸を締られ、所持金をすつかり奪られて、殺されよつたと云ふ事だが、本当によい気味ぢやないか。俺達が越後獅子に化けて、彼奴の面を曝してやつた時の狼狽やうつたら無かつたぢやないか、本当に思うても溜飲が下るやうぢやのう、エヘヽヽヽ』
コブライ『玄真坊なんか悪いと云つたつて知れたものだよ、彼奴は女さへ当がつておけば如何でもなる代物だ。些つと山気はあるが、根が愚物だから、あんな奴は驚くに足らないが、この頃三五教の宣伝使の話に聞けば、大雲山の妖幻坊とか云ふ獅子と虎との混血児なる大妖魅が天下を横行し万民を苦しめ、三五教の聖地迄も横領せむとして、第一霊国の天人の御化身初稚姫様とやら云ふエンゼル様に太く誡められ、高姫とか云ふ淫乱婆と手に手を把つてハルの湖を渡ると云ふぢやないか。三五教の照国別とか云ふ生神様のお話だと云うて今朝も埠頭に沢山の人が居てこそこそ話して居たよ。俺達は玄真坊さへもあの通りこつぴどくやつつけて肝玉を転倒してやつたのだから、万一妖幻坊に出会したら最後素首を捻切つて引千断つて、小供が人形を潰した様な目に会してやり、天下万民の憂を除き救世主にでもなつてやらうと思ひ、もしや此高砂丸に怪しい奴が乗つて居やしないかと目をぎよろつかせて居るのだが、ねつから悪魔らしい奴も見えず、いささか見当違ひで面喰つて居るのだ。もしひよつと船底にでも潜伏して居やうものなら、俺が口笛を吹くから、お前も加勢を頼むよ。名誉は山別けだからのう、オホン』
コオロ『ヘン偉さうに法螺を吹くなよ、内弁慶の外すぼり奴が、貴様の面で妖魅退治も糞もあつたものか、天に口あり壁にも耳だ。妖幻坊と云ふ奴は魔神の大将だから、俺達の囁き話を千里外からでも聞いて居ると云ふ事だ。口は禍の門と云ふから、先づ沈黙したら宜からうぞ』
コブ『馬鹿を云ふな、妖幻坊が怖くて此世の中に居れるかい。何程強いと云つても女の顔を見れや菎蒻のやうになる代物だから、知れたものだよ。見ると聞くとは大違ひと云ふ諺もあるから、実物に遇うたら案外しやつちも無い者かも知れないよ、アハヽヽヽ』
 妖幻坊、千草の高姫は船の底に青くなつて縮こまり、二人の話を聞いて腹は立つて堪らねど、何と云うても湖の上、水には弱い両人の事とて悔し涙を呑み乍ら、素知らぬ顔して控へて居た。頃しも晴れ渡りたる東北の空に一塊の黒雲現はれると見る間に、忽ち東西南北に拡大し、満天墨を流したる如く、昼尚ほ暗く、暴風吹き来り、雨沛然として降り注ぎ、波浪は山岳の如く猛り狂ひ、半ば荒廃に帰したる高砂丸は、めきめきと怪しき音を立て、忽ち転覆の厄に遇ひ、乗客一同は浮きつ沈みつ声を限りに助けを呼んだ。折から激浪怒濤を犯して八挺櫓を漕ぎながら勢よく進み来る新造船があつた。嗚呼船客一同の運命は如何なるであらうか。
(大正一五・六・二九 旧五・二〇 於天之橋立なかや旅館 加藤明子録)
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