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文献名1霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻
文献名2第2篇 杢迂拙婦よみ(新仮名遣い)もくうせっぷ
文献名3第9章 欠恋坊〔1818〕よみ(新仮名遣い)かくれんぼう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2018-12-20 00:48:12
あらすじアリスは二人の子供が帰ってきたのに狂喜し、逆に病は重くなってしまう。ダリヤはそれを憂いて、スガ山の山王神社に夜、ひそかに参詣して父親の平癒を祈る。そこへ玄真坊が神素盞嗚大神の化身と偽ってやってきて、たぶらかして連れ去ったのであった。そして二人はタニグク山の岩窟へやってくる(このお話は、第六十七巻の第十四章へと続きます)。一方、長者の宅では、兄のイルクが妹の行方不明に心を痛め、ヨリコ姫に善後策を相談していた。すると、それまですやすやと眠っていた花香姫が目を覚まし、夢を報告する。夢の中で、ダリヤはオーラ山の玄真坊にかどわかされたが、汚されることなく、二ヵ月後に立派な人に送られて戻ってくる、と知らされたのであった。
主な人物 舞台 口述日1926(大正15)年06月30日(旧05月21日) 口述場所天之橋立なかや別館 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1929(昭和4)年4月3日 愛善世界社版106頁 八幡書店版第12輯 643頁 修補版 校定版110頁 普及版42頁 初版 ページ備考
OBC rm7209
本文の文字数4496
本文のヒット件数全 1 件/山王の森=1
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本文  吾子の行衛は如何にぞと  待ち焦れたる父親の
 アリスの親爺は両人が  三五教の梅公別
 神の司に送られて  二人ニコニコ帰りしゆ
 狂喜のあまり逆上し  愈病は重りつつ
 頭痛むと云ひ乍ら  財産全部を投げ出して
 奥の間深く隠れけり  ダリヤの姫は驚いて
 恋しき父の病をば  癒さむ為にスガ山の
 山王神社に夜密か  忍び忍びに参ゐ詣で
 真心籠めて祈り居る  時しもあれや薄暗を
 ぼかしてヌツと現はれし  白髪異様の物影は
 祠の前に悠々と  近より来り厳かに
 声を静めて告ぐるやう
『吾は尊き三五の  瑞の柱と聞えたる
 神素盞嗚の尊ぞや  汝の家は昔より
 スガの港に隠れなき  百万長者と聞えたる
 万の民の怨府ぞや  その罪今に報い来て
 汝の母は逸早く  この世の中ゆ身を隠し
 或る山里へ救はれて  細き煙を立て乍ら
 尼僧生活営みつ  汝が家の冥福を
 祈り居るこそ憐れなる  しかのみならず汝が父の
 アリスは今や重病に  罹りて生命危篤なり
 此の難関を恙なく  切り抜けなむと思ふなら
 吾の教に従ひて  大谷山の谷間に
 神代の昔ゆ降り在す  栄えの神の御前に
 一日も早く詣で見よ  吾は汝の案内して
 人目を忍び夜の道  助け行かなむダリヤ姫
 答如何』と厳かに  宣ればダリヤは首傾げ
 怪しみ乍ら言葉なく  思案にくれて居たりしが
 パツと輝く火の光  ハツと驚き眺むれば
 又もや火影はパツと消ゆ  此の不思議なる出来事に
 ダリヤの心は動きつつ  心定めて答へらく
『神素盞嗚大神か  山王神社の御化身か
 妾にや少しも分らねど  人間離れのしたお方
 仮令鬼神であらうとも  斯かる妙術ある上は
 如何なる願もスクスクに  叶はせ玉ふ事ならむ
 御身の後に従ひて  何処々々迄も参りませう
 導き玉へ』と手を合す  神素盞嗚の大神に
 化けたる妖僧はオーラ山  岩窟の中に立籠り
 善男善女を歎きて  謀反を企みし玄真坊
 偽天帝の化身なる  偽の救主の成れの果
 山子坊主と知られたり  玄真坊は胸の裡
 雀躍りし乍ら言霊も  いと荘重に宣らすらく
 善哉々々ダリヤ姫  汝の母は三年前
 この世を已に去りし如  思ひ居れども左にあらず
 吾眷族を遣はして  墓場の土を掘り出し
 甦生らせて山奥に  庵を結び隠しあり
 先づ第一に汝が母に  面会させた其上に
 汝が父の重病を  救はむ為の吾仕組
 従ひ来れと云ひ乍ら  暗の山道スタスタと
 ダリヤの姫の手を引いて  人跡稀なる大野原
 怪しき声を絞りつつ  般若心経波羅蜜経
 普門品迄唱へつつ  タラハン城下をさして行く。
 ダリヤ姫は稀代の売僧、オーラ山の悪党玄真坊とは夢にも知らず、吾家にヨリコ姫、花香の逗留し居る事も忘れて了ひ、死んだと思うた母上は、或山奥に生きて居ますと聞きしより虚実を調ぶる余裕もなく、此妖僧を神素盞嗚の神の化身と深く信じて、夜陰にまぎれタラハン城下を指して出て来たのである。玄真坊は口から出任せの事を云つて噂に高い薬屋の娘此美人を、うまく、ちよろまかして自分に靡かせ女房に為し置かば、百万長者の財産は二人の兄はあつても、そこは何とか、彼とか文句をつけ、自分が一人のものにせむと色と欲との二道かけ、此処迄つり出して来るは来たものの、さて何処へ連れて行かうか……と心の裡に悩んでゐた。
 タラハン川の岸に沿ひたる常磐木の、かなり広い森林がある。此森林は一方は川辺の事とて、千畳敷の岩が並んで居た。二人は此岩の上に座を占め、川の流れを眺め乍ら休息した。
ダリヤ『モシ、大神の化身様、母の居りまする山はどの方面で御座いますか、一寸お知らせ下さいませ』
玄真『ウンウンヨシヨシ、エー……コーツト……、あの峰がエー高満山、それから、その向ふが、エー岸山、川並山、エー、その向ふがタニグク山、ウンあのタニグク山の一寸後に、コバルト色に霞んで居る峰が見えるだらう。あれが大谷山と云つて、あの麓に、何でエー、汝のお母さまが居られるのだ。そして、其処に栄えの神様の祠がある。その神様が願事を何でも聞いて下さるのだ。今其処へ案内しようが、何分道が悪いから、お前も難渋すると思つて、休み休み行く事にしたのだ』
ダリ『何とマア高い山で御座いますこと、まだ彼処迄は大分道程が御座いませうね』
玄『さうだ、一寸三十里許りあるだらう、女の足弱を連れて行くのだから先づ三日はかかる事と思はねばならぬ』
ダリ『アヽ左様で御座いますか、仮令三日が十日位かかつてもお母さまに会へたり、お父さまの病気が癒えましたら一寸も厭ひませぬ。どうかお願申します』
玄『これ、ダリヤさま、お前は俺を本当の神の化身と思つてゐるか、それとも売僧坊主だと思つて居るか、本当の事を聞かして貰ひ度いものだな』
ダリ『ハイ、大神様の御化身にしてはチツト許り……斯う申すとすみませぬが、お軽いやうでもあり、俗人にしては凡ての点に秀でて御座るなり、山子坊主では到底出来ない妙術を持つて御座るなり、とても妾の如き凡眼では竜の片鱗でも掴む事が出来ませぬ。仮令山子坊主にした処で、暗夜に体から光を出したり、四辺を輝かしたりなさる御神徳を持つたお方故、お言葉に従つて置けばキツト望みを叶へて下さるだらうと信じまして、御案内を願つたので御座います』
玄『ハハア、成程其方は余程の才媛だ。拙者を神の化身と信じて跟いて来たのならば、一向面白くないが、仮令山子坊主にもせよ、不思議の術を有つて居る其点に憧憬して、跟いて来たとあれや益々頼もしい。それぢや一つ何も彼も打明けて云ふが、拙僧こそは天帝の化身、天来の救世主、天下一の名僧知識と自称する智謀絶倫の英僧だ、否マハトマの聖雄だ、どうぢやダリヤ姫殿、驚いたであらうなア』
ダリ『ホツホヽヽ、まるつきり、オーラ山の玄真坊見たいなお方ですな』
玄『オーサ、さうぢや、拙僧こそはオーラの山に年古く住む大天狗の化身、玄真坊で御座るぞや』
ダリ『ホツホヽヽ、何とマア、えらい馬力ですこと、大変なメートルが上つてゐますよ。さうすると玄真さま、お前は美人と見れば岩窟へ引張り込んで、否応無しに獣欲を遂げる淫乱上人でせう。母上に会はしてやらうなんて、うまく妾を騙かし、何処の岩窟へ連れ込む算段でせうがなア。もうこれから御免を蒙ります。仮令烏にこつかせても売僧坊主さまにやこつかせませぬワ。エー、マー、マア人を馬鹿にして下さつた。今時の女に、そんな偽りを喰ふ馬鹿は御座いませぬよ。口惜しいと思召すなら、目なつと噛んで死になさい、左様なら』
と捨台詞を残し逃げ出さむとした。玄真坊は、ヒユーヒユーと口笛を三四回吹くや否や、七八人の覆面した荒男、森の茂みより現はれ来り、手とり足とり否応言はさず、玄真坊と共に野中の道をトントンと、タニグク山の方面目蒐けて担ぎ行く。
 スガの港のアリスの宅では、ダリヤ姫が山王の森に夜中参拝した限り、夜明けになつても帰つて来ないので、門番のアル、エスに命じスガの山の木の間を隈なく捜索せしめたが、何程探しても、影も形も見えぬのに力を落し、その日の日の暮頃、青い顔して帰つて来た。兄のイルクはこんな事を重病の父に聞かしては益々病が重る計りと召使共によく云ひ聞かせ、病父のアリスにはダリヤ姫の事は少しも話さない事に口止めをして了つた。イルクはヨリコ姫、花香姫の居間を訪ね、
『モシ、ヨリコ姫様、最早お寝みで御座いますか、夜分遅く御邪魔致しますが』
と伺へば中より、優しきヨリコ姫の声、
『ハイ、未だ寝んで居りませぬ。さう云ふ声はイルクさまで御座いますか、まづまづお這入り下さいませ。妹は宣伝の草臥で已に寝んで居りますが、お構ひなくお這入り下さいませ』
イルク『ハイ、有難う、然らば御免を蒙ります。エー突然ながら、一寸お智慧を貸して貰ひに参りました。と云ふのは外でも御座いませぬ、妹のダリヤ姫が昨夜半頃、父の重病を苦にして、スガ山の山王の祠に参拝致しました限り、今朝になつても帰り来ず、私も非常に心配を致しまして門番のアル、エスを遣はし、山中隈なく捜索をさせましたが、呼べど叫べど何の音沙汰もなしの礫、日の暮頃力なげに帰つて参りました。若しや悪者にでも拐されたのぢや御座いますまいかなア』
ヨ『ヤ、初めて承り実に驚きました、さぞさぞ御心配で御座いませう。妾は未だ霊眼が開けて居りませぬので、何うの、斯うのと云ふお指図も出来ませぬが、コレヤ、キツト悪い奴に誑され、何処の山奥へ連れて行かれたのでせう。然し乍ら、必ず御心配なさいますな、神様のお守護ある以上は滅多の事はありませぬからなア』
イ『左様で御座いませうかね、折角梅公別の宣伝使様に助けられたと思へば、又悪者に攫れるとは、よくよく運の悪い妹で御座います』
と男泣きに泣く。今迄スヤスヤ眠つて居た花香はフツと目を醒まし、
『アヽ姉さまですか、いやイルク様、ようお出でなさいませ。貴方のお出ましとも知らずウツカリと寝て了ひまして、エライ失礼致しました。ダリヤ姫さまの行衛に就て、御相談して居られますやうですが、必ず御心配なさいますな。ダリヤ様は屹度二ケ月の後にはお帰りになります。妾は今夢を見ましたが、あのオーラ山に立籠つて居つた玄真坊に拐され、何処かの山奥へ連れ行かれ、玄真坊は自分の女房にしようとして、いろいろと骨を折つて居りますが、ダリヤ姫様は決して彼に汚され給ふやうな事なく、立派な人に送られてお帰りになつた夢を見ました』
イル『ヤア、そのお夢はキツト正夢で御座いませう、六十日と云へば長いやうですが、直ぐに経ちます。どうか其時迄父が生きて居つてくれれば宜しいがな』
ヨリ『一切を神様に任したお父上、仮令御病気でもお命に別条は御座いませぬ。お宮の普請が立派に出来上がつた上に、ダリヤ姫さまはお帰り、お父上は御本復と云ふ事になるでせう。お宮の出来上りとダリヤさまのお帰りとお父上の御全快と「目出度目出度が三つ重なつて鶴が御門に巣をかける」と云ふ瑞祥がやがて参りませう。何事も神様にお任せして時節をお待ち下さいませ』
 イルクは、
『ハイ、有難う、夜分にお邪魔致しました、何分宜しうお願申します』
と吾居室さして帰り行く。
(大正一五・六・三〇 旧五・二一 於天之橋立なかや旅館 北村隆光録)
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