速言男の神は紫微宮圏の世界のよろずの神々を指揮して修理固成をなし、永遠に天の世界の経綸に全力を尽くした。
そして、造化三神と四柱の神の宮殿を造った。造化三神とは、天之峯火夫の神、宇迦須美の神、天津日鉾の神である。四柱の神は、左守として大津瑞穂の神、天津瑞穂の神。右守として高鉾の神、神鉾の神。
宮殿の造営は、霊力体(ひと、ふた、み)の三大元によって霊の御柱を造り、この柱を四方に建て並べ、その上に霊の屋根で空を覆った。
これが、天極紫微宮である。
紫微宮が完成すると、霊力体の三元は、スの言霊の霊妙な力によって、巨大な太陽を出現させた。大虚空中に最初の宇宙が生まれ出た瞬間である。
紫微宮天界の神々は集まり来たって、大宮造営完成の祝の歌を歌った。
速言男の神が紫微台上に上って天の数歌を繰り返し謡うと、大音響が四方に起こって紫微宮天界が振動し、紫の光が四方を包んだ。
太陽の光は光彩を増して、現在の世界にある太陽より七倍ほども強い光で輝いた。
速言男の神は天の数歌を終わると、紫微台の高御倉に端座し、目を閉じて天界の完成を祈った。
速言男の神の左守神、言幸比古の神は、紫微宮を祝して七十五声を縦にのり上げた。すると天界はますます清らかに明らかに澄み切り、ウアの神霊元子(コエノコ)が大活動をはじめ、一瞬に千万里を照射した。
次に右守の言幸比女の神は、七十五声を横に謳った。八百万の神々はこれに唱和してタカタカと拍手をなし、喜んだ。
日高見の神は、これまでの世界創造を祝歌に歌った。