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文献名1霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
文献名2第1篇 紫微天界よみ(新仮名遣い)しびてんかい
文献名3第10章 婚ぎの御歌〔1841〕よみ(新仮名遣い)とつぎのみうた
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ天の数歌 データ凡例 データ最終更新日2022-02-01 04:08:47
あらすじ
太元顕津男の神は高野比女の神を正妃と定め、祝詞を奏し、主の大神の神業の達成を誓った。その祝詞中には、世界最初のいろは歌が歌われていた。

次に、高野比女は婚ぎの神祝言を歌った。その中には天之数歌が含まれていた。

婚ぎの祝に集まった神は、遠津御幸の神、片照の神、魂之男の神、日之本(すのもと)の神以下、十六柱であった。そのうち、遠津御幸の神が祝の歌を歌った。

註として、太元顕津男の神の最初のいろは歌の言霊解が示されている。いろは歌の元は、紫微宮の昔に由来し、空海はそれをもとに平仮名文字を作り出した。いろは歌の各言霊は婚ぎのさまざまな局面をあらわしてはいるが、それのみではなく、宇宙万有一切の発生の真理を歌ったものである。

また、高野比女が歌った天之数歌も注解されている。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年10月10日(旧08月21日) 口述場所水明閣 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1933(昭和8)年11月22日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 47頁 修補版 校定版58頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7310
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本文  太元顕津男の神は主の大神の大神言を畏み、非時の香具の木の実に生りませる高野比女の神を正妃と定めて、茲に依さしの神業を大神の御前に執行はせ給ひ、八百万の祭司神を率ゐて厳かなる祝詞を奏し給ひ、天之御柱、国之御柱を見立て給ひて、男神は左より、女神は右より御柱を廻り、再び神前に太祝詞白し給はく、
『掛巻も綾に尊き久方の貴の宮居に鎮まり給ふ主の大神の御前に慎み敬ひ願白さく。久方の高天原は澄みきらひ、此の紫微天界の国々は清く清しく、五穀は豊かに実り木の実は枝もたわわに熟しつつ、神の依さしの神国は今目のあたり𪫧怜に委曲に生れましぬ。嗚呼惟神々々神の尊き御恵に、今日の良き日の良き辰を婚ぎの綱と定めつつ、高野比女の神を妻となし世を治めよと神の宣らすこそ実にも尊き限りなれ。吾は之より主の神の大神言葉を身に受けて、天の壁立極み国の退立限り、清き正しき天津誠の心以てあらゆる神を撫で慈しみ、荒振神を言向和し大神言に仕へ奉らむとす。仰ぎ願はくは主の大神の御稜威を蒙ぶりて、御依さしの神業を生り遂げさせ給へ、いろはにほへとちりぬるを、わかよたれそつねならむ、うゐのおくやまけふこえて、あさきゆめみしゑひもせす、けふの良き日を微日の間も、忘るる事なく何時迄も、誠の心を経となし、愛と善との真心を緯に織なし、御機の糸の縺れなく、乱れもあらに神の世の大御経綸に仕へ奉らむ。上は主の大御神より下百神の端までも、吾真心を誓ひ奉り仕へ奉る事の由を、主の大神を初めとし、八百万の神平けく安けく聞召さへと宣る』
 ここに高野比女の神は、婚ぎの神祝言を声朗らかに宇宙に響けと謡ひ給ふ。その御歌、
『久方の空に雲なくスの水火は
 澄み切り澄みきらひて神国を照す
 大太陽は宇宙のあらむ限りまで
 稜威を伊照し給ひて日々に栄行く
 神国の此の瑞祥ぞ畏けれ
 一二三四五六七八九十
 百千万の神達に
 わが神業を守られて
 主の大神の大御心に
 報い奉らむ高野比女の真心を
 諾ひませよ吾はしも女神の身にしあれど
 主の大神の稜威と御光を頸に受けて
 吾夫の神と諸共に
 心を合せ力を一に結び合せ
 浜の真砂の数の如
 貴の御子をば生み生みて
 普く世界に分り配り
 大経綸の神業に
 仕へ奉るぞ嬉しけれ
 嗚呼惟神々々
 顕津男の神比古神は
 妾の弱き魂を
 貴の力にみなぎらせ
 神の依さしの神業を
 𪫧怜に委曲に仕へませ
 一二三四五六七八九十百千万と
 祝ひ納むる今日の良き日ぞ畏けれ』
 今日の婚ぎの神祝に伊寄り集ひし神々は、遠津御幸の神、片照の神、魂之男の神、日之本の神以下十六柱におはせり。
 遠津御幸の神は千万里の遠きを厭はず、天の浮橋を打渡りつつ真先に此の宴席に集ひ玉ひけり。遠津御幸の神は祝し給ふ。其の御歌、
『天なるや主の大神の大宮に
 非時実る香具の木の実と生れまして
 高野比女の神は西南の天より此所に降ります
 太元顕津男の神の女と定まりて
 厳かに天の御柱廻り合ひ
 国の御柱固めつつ
 高天原の花となり
 諸神の上に望ませ給ふぞ尊けれ
 吾は主の大御神の神言畏み
 西東南や北とかけ廻り
 近き遠きの差別なく
 神国を教へ道布きつ
 神業に仕へる神柱
 今日の寿ぎ見るにつけ
 神の経綸の果てしなく
 清く尊き神業を
 愈深く覚りけり
 西の宮居は天の道立の神
 東の宮には太元顕津男の神
 各も各もに領有ぎ給ふ
 此の神国はいろはの水火も澄みきらひ
 濁らひも無く曇りなし
 大太陽は中天に
 輝き給ひ七色の
 光彩を放たせ給ひつ
 紫微天界は弥益も
 光り輝き渡らひつ
 百の神々勇み立ち
 今日の御式に馳せ寄りて
 例も知らぬ喜びに
 逢ふぞ嬉しき此の神前
 千代に八千代に寿ぎ奉る
 嗚呼惟神神霊幸ひ坐ませよ』


『いろはにほへとちりぬるを』と顕津男の神の詠みし言霊を解し奉れば、
いは水と火の並びたる象徴也、右は水、左は火。
ろは水と火の固まりて水火となり、宇宙に開く言霊を、はといふ。
言霊宇宙に開きて前後左右に活用く象は、に也。
此の活動によりて一つのヽ現はる、即ち、ほの言霊也。
ほは次第に高く昇り膨れ拡がる態を、へといふ。
との言霊は水火の完成したる言霊也。
水火完成して宇宙に滋味を生ず、之をちといふ。ちは子を育つる母乳の意也。又万物発生の経綸場たる大地の意也。
りの言霊は女男二神水火を合せて並び立たせる言霊也。
ぬの言霊は互に和らぎ寝み温かき心を以て神業に尽す水火の象也。
るは夫婦の道又は天界の総ての定まりし言霊也。
をは心也。
わは和らぎ睦み御子を生み給ふ態を言ふ也。
かは抱へ合ひ、輝き合ふ意にして、俗言に嬶といふも此の言霊の意也。
よは夫婦二神世帯を持てる象也。
たは円満具足の意也。
れは夫唱婦随の意也。
そは上下四方揃ふ意也。左右の指の五本と五本と合せて拍手せし態也。
つは永久に続く意にして世人のいふ玉椿の八千代までといふも同じ。
ねは懇にして夫婦同衾の意也。
なは二人並ばし寝給ふ象也。
らは左旋右旋の意にして婚ぎの時の態をいふ。
むは蒸し蒸して生し蒸生し息子娘を生むの意也。
うは潤ひの意、又天消地滅的場合に発す言霊也。
ゐは快感の極度に達したる時の意也。
のは一物より迸る水気の意也。
おは穏かに修まりし心。
くは夫婦組合ひたる象。
やは弥益々の意。
まは誠の心を以ちて幾万年も夫婦の道を守らむとの意也。
けは身の汚れの意也。
ふは吹払ふ言霊にして男女の汚れを吹き払ふの意也。
こは子にして、
えは胞衣也。
ては照り輝く意にして、暗夜の神業も終局の時火を照す意味也。
あは暗室に点じたる火によりて一切のもの現れる意也。
さは避くる意にして男神は女神の面を見る事を避け、又女神は男神の面を見る事を恥らひ避くる事の意也。
きは気の高ぶりて心いそいそする意也。
ゆは豊かの意にして仲の好くなりし言霊。
めは木の芽を吹き出す如く御子の種宿り始めたる意。
みは弥々胎児となりし言霊也。
しはしつくりの意にして、茲に愈夫婦らしく初めて落ち着けるの言霊也。
ゑは歓ぎ喜ぶ意にして、御子の生れたるを見て互に笑み栄えるの言霊也。
ひは日子日女の意也。
もは催合ふ意にして、一家和合の言霊也。
せは川の瀬の意にして、夫婦の仲に一点の邪曲もなく清らかなる態の言霊也。
すはいよいよ澄みきりて親子睦じく世に住む言霊也。
あなかしこ。
 世には此のいろは歌を以て僧空海の作りたるものと信ずるものあれども誤りなり。いろは歌は天極紫微宮の昔、太元顕津男の神の言霊より鳴り出でし神歌にして、空海は只平易簡単に文字に現さむとして平仮名文字を作り出したるものなり。故にいろは歌は空海の詠みしものにあらざることを知るべし。すべていろは歌は婚ぎの意味のみに非ず、宇宙万有一切発生の真理を謡へるものなり。
 高野比女の神の祝歌の註。
 高野比女の神が婚ぎの御宴に際し言挙げ給ひたる一二三四の歌、
 一は霊也、火也、日也。
 二は力也、吹く呼吸也。
 三は体也、元素也。
 四は世界の世也。
 五は出る也。
 六は燃る也。
 七は地成る也。
 八は弥々益々の意也。
 九は凝り固るの意也。
 十は完成の意也。
 百は諸々の意也。
 千は光也、血汐の血也。
 万は夜出るの意也。
 之を大括して略解すれば、霊力体によつて世が発生し、水火の呼吸燃え上り、初めて地成り、弥々益々水火の気凝り固りて完全無欠の宇宙天界は完成され、諸々の地の光は暗夜に出現して総てのものの目に入るといふ言霊にして、造化三神の神徳を称へ奉り、其の徳にあやかりて紫微天界を修理固成し、諸神安住の清所に照さむとの意を謳ひ給ひしものと知るべし。
(昭和八・一〇・一〇 旧八・二一 於水明閣 森良仁謹録)
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