水火自然の働きとは
火は水の力によってこそ、高く燃え立ち上がり、熱と光を出すことがきる。
また、水は火の力によって、横に流れ、低いほうへ移動する。
火の力がなくなれば、水も高く上って直立不動となってしまい、力がなくなってしまうのだ。
だから、霧、雲、雨となって国土を潤す水の霊能も、火の力があってこそ可能なのである。
天之道立の神=火を本性として現われた厳の御霊、紫微の宮に永遠に鎮まり、経の教えを述べ伝う。
太元顕津男の神=水気の徳が、あらゆるものに染み渡り、万有を潤す。そうやって徳を顕す、という御神名。ゆえに、高地秀の宮に鎮まって、四方の神々・国土を潤す職掌にあたる。
いずれも、水火の働きに則ってそれぞれに、その役割がある。
したがって、太元顕津男の神に八柱の比女神を仕えさせ、国生みの神業を与えたのも、天地経綸の基礎なのである。
諸神の無理解に、太元顕津男の神は天之道立の神に相談に行くが、かえって紫微宮の神々は、太元顕津男の神の行動を裁く。
太元顕津男の神は高地秀の宮に帰り、ひとり月夜を歩いて、白梅の花が香る栄城(さかき)の山に横たわった。
顕津男の神は、栄城山の山頂に上って、日月両神を拝し、天津祝詞を奏上して、神業の完成を祈った。
その言霊はたちまち天地に感動し、紫微天界の諸神はたちまち集い、つつしみかしこみ、顕津男の神の祝詞に聞き入った。
天の峯火夫の神が主の言霊の神水火(みいき)をうけて現われ、紫微天界をはじめとして、四層の天界を造った。
天之道立の神に霊界をゆだね、顕津男の神を東の高地秀山に下らせ、宮を建てて仕えさせた。
そこへ、主の大神より、あらゆる国を治める国魂神を生むようにと、八十柱の比女神を下した。
諸々の神たちよ、どうか、主の神の神言を受けた私の言葉を聞き流さず、私の神業を助けてください。
天津真言の言魂をもって、心の丈を告げる次第です。
諸神たちはただただひれ伏して、合掌するのみであった。主の神の言霊が四方に響き渡り、微妙の音楽鳴り渡り、迦陵頻伽(かりょうびんが=人頭・鳥身の極楽の鳥)は白梅の枝に集まり来て美しい声を放ち、鳳凰は上空をゆうゆうと翔けまわった。
大御母の神は、多数の神々と共に数百頭の麒麟を率いて現われ、顕津男の神の門出を祝した。
顕津男の神は、麒麟にまたがって山路を下り、他の神々たちはあるいは麒麟、あるいは鳳凰に乗って従った。
大太陽の光はますます強くなり、大太陰は慈しみの光を放って清涼の気を送り、炎熱調和して、