顕津男の神の仁慈のこもった歌に、生代比女の恨みの炎は消えてしまった。静かで美しい玉野湖の情景は、天国浄土の様を取り戻した。
この光景に遠見男の神は瑞御霊の大愛をたたえる歌を歌った。
圓屋比古の神は、愛善・愛悪が行き交って国が固まる様を悟り、天地を丸く治めることに尽力することを誓った。また、顕津男の神の活動をたたえた。
多々久美の神は、恋の恐ろしい側面を目の当たりにした感慨を歌った。
宇礼志穂の神は、瑞御霊の神業の辛苦に思いを馳せる歌を歌った。
美波志比古の神は、瑞御霊の仁慈の徳と言霊の力をたたえる歌を歌った。
産玉の神は、生代比女の一途な思いを憐れみ慈しむ歌を歌った。
魂機張の神は、神業と生代比女の思いの間で苦しんだ顕津男の神の心に、涙の歌を歌った。
結比合の神は、再び澄み渡った景色に、目的地・玉野森へ心が急ぐ思いを歌った。
美味素の神は、湖面を照らす月と、ゆきかう日の徳をたたえる歌を歌った。
真言厳の神は、月の恵みをたたえ、先頭に立って玉野湖を馬に乗って泳ぎ渡った。
顕津男の神たち一行は、真言厳の神に続いた。