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文献名1霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻
文献名2第4篇 千山万水よみ(新仮名遣い)せんざんばんすい
文献名3第23章 魔の森林〔1917〕よみ(新仮名遣い)まのしんりん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-11 16:56:16
あらすじスウヤトゴル(=聖なる山)に身を変えて、西方の国土の天地を我が物としようとしていた大曲津見は、顕津男の神を騙って朝香比女の神を騙し、御子生みをなそうと企んでいた。しかし、本物の顕津男の神が西方の国に間近にやってきたのに驚き恐れ、途中で一行を全滅させようと、部下の邪神を集めて何度も評議をした。その結果、嘘つきに長けた醜狐を柏木の森に遣わして、妨害計画を与えて実行させたのである。この醜狐は、醜女の神、といった。醜女の神は柏木の森の手前に姿を隠し、顕津男の神の一行の駒の足許ちかく、かすかな声で、『右に行けば必ず勝つ、中の道を行けば必ず負ける、左に行けば必ず滅びる、主の神の教えであるぞ』と歌っていた。顕津男の神はこの歌を聞いて微笑みつつ、醜神の罠と見破り、左の道へ進むことを歌う。従者神たちはそれを聞いて不安に思うが、美波志比古は、スウヤトゴルの手下の曲津神の姦計であろう、と歌って不安を鎮める。こうして一行は、曲津神が滅びると言った左の道を選んだ。おのおの曲津神に対する決意を歌って勇気をつけつつ、柏木の森を難なく突破し、スウヤトゴル山脈さして悠然と進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年11月30日(旧10月13日) 口述場所水明閣 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年2月3日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 407頁 修補版 校定版439頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7523
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本文  スウヤトゴルに姿を変じて、西方の国土の天地を吾物とし、邪気に包み居たる大曲津見は、高地秀の宮より降らせ給ふ朝香比女の神を、自ら顕津男の神と称し迎へ奉りて、御子生みを為し、西方の国土を完全に占領せむものと、計画をさをさ怠らざりし処へ、真正の太元顕津男の神の間近に来り給ひしに驚き、途中にて瑞の御霊一行を全滅せしめむと、部下の邪神等を集めて種々評議の結果、最も狡猾にして性質悪く、嘘つき上手で、自己の利益のみを巧妙に計らふ醜狐を柏木の森に遣はし、種々の謀計を与へて之に当らしめて居る。此狐を醜女の神といふ。醜女の神は柏木の森の手前に姿を隠しながら、顕津男の神の一行の駒の脚許近く、微なる声にて、
『右行かば必ず勝たむ
 中行かば必ず負けむ
 左行かば必ず亡びむ
 主の神の教ぞ』
と姿を隠して歌つて居る。
 顕津男の神は耳敏くも、醜女の神の歌を聞きて微笑みつつ御歌詠ませ給ふ。

『醜神の醜の言葉を聞きにけり
  左に行くも我は亡びず

 三ツ栗の中津道をば我行かむ
  亡びを知らぬ面勝の神は

 右行かば勝たむといひし醜の声は
  我を謀る偽り言なり

 この森は奥深くしてほの暗し
  駒の蹄に踏み破りなむ

 右行かば必ず曲津の深き罠に
  かかりて百神亡ぶなるべし

 いざさらば亡ぶといひし左の道を
  駒の蹄にかけて進まむ』

 この御歌に七柱の供神は稍不安の面持しながら、各自に御歌詠ませ給ふ。
 美波志比古の神の御歌。

『スウヤトゴル醜の曲津の先走り
  醜女の神の謀計なるらむ

 美波志比古吾は進まむ瑞御霊の
  御許しを得て左の道を

 わが岐美の光を恐れてスウヤトゴルは
  此処に謀計の罠を造れるか

 スウヤトゴル輩下に仕ふる醜狐
  この森林に仇すると聞く

 この森を拓き渡りてスウヤトゴルの
  曲津のすみかに進まむと思ふ

 兎も角も吾は御前に仕ふべし
  瑞の御霊よ続かせ給へ』

 斯く歌ひて、左へ行けば亡ぶべしとの曲神の言葉踏みにじりつつ、奥へ奥へと一行八柱は馬上豊に御歌うたひつつ進み給ふ。
 顕津男の神の御歌。

『柏木の森は小暗く繁りたれど
  我は恐れじ悪魔のすみかも

 大空を封じて小暗き柏木の
  森を照してわが行かむかな

 スウヤトゴル大曲津見の潜みたる
  峰は彼方の空に聳えつ

 四方八方ゆ怪しき声の響き来る
  われ柏木の森を拓かむ

 曲神の勢如何に強くとも
  生言霊に拓きすすまむ

 愛善の光を四方に照し行く
  我に仇する曲津は亡びむ

 醜神の亡ぶといひし森林の
  左の道を伊行くは楽しも

 大空の雲はちぎれて天津日の
  光は静にさし初めにけり

 曲神は雲を起して御空包み
  月日の光をさへぎりて居り』

 内津豊日の神の御歌。

『時じくに怪しき音の聞ゆなる
  柏木の森は曲津のすみかよ

 今とならば何を恐れむ瑞御霊
  光の岐美の現れましぬれば

 亡びなむと醜女の神の叫びたる
  道行く吾は楽しかりけり

 亡ぶべき道を明して進み行く
  光の岐美の雄々しきろかも

 斯くならば如何なる醜のさやるとも
  何か恐れむ禊せし身は

 惟神禊祓ひしわれなれば
  醜の犯さむ術なかるべし

 わが行かむ道の隈手も恙なく
  守らせ給へ皇大神

 主の神のウ声に生れし吾にして
  醜女の言葉に動くべきやは

 地稚き西方の国土は彼方此方に
  曲津見潜みて仇を為すかな

 今日よりはこの国原は天国と
  新に生れし聖所なるぞや』

 大道知男の神の御歌。

『惟神大道知男の神われは
  左の道に災なしと思ふ

 右行けば災せむと醜女神
  力かぎりに謀らみ居るも

 この森は東西十里南北は
  三十八里の曲津のすみかぞ

 スウヤトゴル輩下の神の大方は
  この森林に潜み居るとふ

 兎も角も柏木の森の醜神を
  言向和せて進みませ岐美

 行けど行けど果しも知らぬ森林の
  木蔭を渡る風は冷たき

 曲神の水火凝り凝りて風さへも
  わが身の骨を浸み透すなり

 言霊の水火を照してこの森を
  駒の蹄に踏みにじり行かむ

 曲神の醜の謀計は飽くまでも
  深くあれども底力なし

 表面のみ強く見ゆれど曲神は
  生言霊にあひて消ゆるも

 言霊の幸はふ国よ言霊の
  天照る国よ恐れなき国よ

 今日までは曲津の神に襲はれしが
  今や真言の力得にけり

 禊して清まりにけるわが魂は
  昨日に増して百倍強きも』

 宇志波岐の神の御歌。

『この辺り宇志波岐居れど柏木の
  森に足をば入れし事なし

 今日までは怪しの森と捨て置きし
  曲津のすみかを踏みて破らむ

 心強くも光の神の御供して
  曲津のこもる森行く今日は

 スウヤトゴル峰の魔神もこの森の
  亡びを聞かば忽ち消ゆべし

 果しなき小暗き穢きこの森は
  曲津のすみかに応はしきかな

 百木々は半ば枯れつつ各も各も
  邪気吐き出でて世を汚しつつ

 曲津見の邪気の集るこの森を
  生言霊にきよめひらかむ

 この森に醜の狐の棲むと聞けば
  分け入りし神今までになし

 この森に迷ひ入りたる国津神は
  生きて帰りし一柱もなし

 瑞御霊岐美に仕へて進み行く
  吾等に邪気は襲はざりけり

 わが駒は邪気の集る森中を
  いななきながら進み行くかも

 顕津男の神の御稜威に驚きて
  醜の曲津は逃げ去りにけむか

 安々と渡り行くかも魔の森の
  茂みを分けて八柱の神は』

 臼造男の神の御歌。

『岐美行かば柏木の森は明らけく
  光り初めたり曲津は何処ぞ

 仰ぎ見ればスウヤトゴルの山脈は
  いやつぎつぎに遠去りにける

 顕津男の神の光に曲津見は
  恐れ山もて逃げ去ると見ゆ

 この森は生言霊に縛りあれば
  曲津も動かす能はざるべし

 醜女神この森林に永遠に
  すまひて国土の仇をなしつつ

 曲津見の輩下の神は八百万
  この柏木の森にひそめる

 曲神の数の限りを言向けて
  神の聖所に清めむとぞ思ふ

 亡ぶべしと曲津の宣りし左の道は
  心安けかり神の光に

 月も日も御空の雲を押分けて
  柏木の森の上に輝く

 輝ける御魂々々を照しつつ
  出で行く道に曲津の姿なし

 日南河禊の神事の功績に
  安く渡らむ柏木の森を

 曲神は姿を潜めて静なり
  梢を渡る風の音のみにて

 迦陵頻伽時を得顔にうたふなり
  曲津見の森にも天津日照らひて

 百花は露を帯びつつ森蔭に
  艶を競ひて咲き出でにける

 花蓆敷き並べたる如くなり
  わが行く森の木下蔭の道は

 醜神のすまへる森は忽ちに
  花匂ひつつ小鳥はうたひつ

 虫の音も小鳥の声も天国の
  春をうたふか冴え渡るなり

 斯くの如花咲き満つる柏木の
  森に曲津のすむと思へず

 岐美が行く道の隈手に曲津はなし
  花咲き匂ひ鳥うたふのみ

 真鶴の国より来るか幾千の
  鶴は御空に舞ひ初めにけり

 斯くならばこの魔の森は天国よ
  醜女の神は逃げ去りにけむ

 勇ましき岐美の旅かも山も野も
  木草の果までよみがへりつつ

 幾千の鶴の鳴く音は西方の
  国土の万世うたふなるらむ

 右左道を違へず進み来し
  今日の旅路は安けかりけり

 右行かば醜女の神の謀計に
  落ちて吾はも苦しみにけむ

 曲神の謀の裏をかきながら
  岐美は雄々しく出でまししはや

 吾も亦光の岐美の御恵に
  心安けく魔の森を行くも

 処々清水湛ふる泉ありて
  天津日の影浮べて澄むも

 この清水今日が日までも濁らひしを
  生言霊に甦りたるよ

 斯くならば手に掬ぶとも汚れまじ
  長き生命の糧ともならむか』

 内容居の神の御歌。

『月読の神の御霊に従ひて
  心安けく魔の森を行くも

 大曲津見醜のすみかのこの森の
  岐美のみゆきに清まりしはや

 曲津見は恐れをなしてスウヤトゴルの
  山もろともに遠去りにける

 醜狐数多棲むてふこの森も
  月日輝く神園となりしはや

 吹く風も清しく冴えて光るなり
  木々の梢は千代ささやきつ

 大空を包みし醜の黒雲も
  散りて跡なく月日は照らふ

 斯くならば未だ地稚き西方の
  国土は栄えむ草木は萌えむ

 天津醜女神は何処の野の果に
  逃げ去りにけむ姿だにもなし

 次々に岐美の光の輝きて
  醜の魔神の隠れ所もなし

 天翔り地を潜りて逃ぐるとも
  如何でのがれむ神の眼を

 西方の稚き国原にやうやうと
  あらはれましぬ光の岐美は

 この国土は八十比女神のいまさずば
  殊に乱れし曲津のすみかよ

 曲神は八十比女神のいまさぬを
  よき機会として雄猛び狂ふも

 主の神の依さし給ひし八十比女の
  神の御稜威は国土の鎮めよ

 この国土に八十比女の一柱ましまさば
  斯くも曲津は猛ばざりしを

 漸くに光の神の出でましを
  仰ぎて国原よみがへりつつ

 主の神の神言畏み国原を
  廻れど曲津は亡びざりける

 八十日日はあれども今日の生日こそ
  国土の始めの吉日なるかも

 濛々と黒雲立ちて昼もなほ
  小暗き国土を照し給ひぬ

 わが岐美の厳の御水火に大空を
  包みし雲も散り失せにけり

 黒雲は紫の雲と変じつつ
  この国原はあらたに生れむ

 八雲立つ黒雲立ちたつ西方の
  国土を照して光る岐美はも

 待ち待ちし光の岐美は現れましぬ
  神に祈りし功なるらむ

 今日よりは国津神等導きて
  禊の神事に世を生かすべし

 四方八方は雲と霧とに包まれて
  月光さへも見ぬ国土なりけり

 仰ぎ見れば天津日の光月の光
  御空の碧に輝き給ひぬ

 空碧く地は緑に木草生ひて
  生れし国土は神国なるかも

 高照の山は東に聳えつつ
  紫の雲わき立つが見ゆ

 今日までは高照山の頂上も
  雲に包まれ見えずありしよ』

 初産霊の神の御歌。

『駿馬の嘶き強し御空にも
  鶴の鳴く音の冴え渡る今日

 この国土に始めて見たる日月の
  光のさやけさに吾魂生くるも

 黒雲に空は閉され国津神は
  始めて拝む月日なりけり

 真鶴の空に舞ひつつ歌ひつつ
  岩戸開けし国土を祝ふも

 大空を十重に二十重に包みたる
  雲散り行きて御空高しも

 碧々と底ひも知らぬ空の海を
  静に渡らす月舟の影

 嬉しさは何に譬へむ百千花
  咲き匂ひたる新しき国土を

 山に野に百花千花咲き満ちて
  吹き来る風も芳しき国土』

 愛見男の神の御歌。

『天国と早や愛見男の神柱の
  国土はさやけく雲晴れにつつ

 瑞御霊光の岐美の出でましに
  新しき国土生れたるかも

 スウヤトゴル曲津見潜む山脈は
  今を限りに遠ざかりつつ

 曲神を言向け和せ西方の
  国土の月日を永久に拝まむ

 草も木も小鳥も虫も今日よりは
  岐美の御稜威をうたひ奉らむ

 有難き日は来りけり瑞御霊
  光の岐美の御稜威あふれて

 雲霧は四方に立ち立ち風冷えて
  木草の生育も乏しき国土なりし

 永遠の光の岐美の言霊に
  この稚国土はよみがへるべし

 西方の国土には八十比女神坐さず
  曲津見処得顔に猛びし

 待佗びし光の岐美の国土造り
  喜び迎へむ国津神等は』

 斯く神々は各自生言霊の御歌うたひつつ、曲神の棲めるてふ、柏木の森を何の艱みもなく突破し、スウヤトゴル山脈さして、駒の轡を並べ悠然として進み給ふぞ畏き極みなりけり。
(昭和八・一一・三〇 旧一〇・一三 於水明閣 森良仁謹録)
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