文献名1霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
文献名2第1篇 春風駘蕩よみ(新仮名遣い)しゅんぷうたいとう
文献名3第3章 行進歌〔1920〕よみ(新仮名遣い)こうしんか
著者出口王仁三郎
概要
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あらすじ一行は、曲津神の妨げを見破り追い払い、行進歌を歌いながら進んでいく。一応は鋭敏鳴出の神のウの言霊を賛美する行進歌を歌っていく。
各々神々は歌を歌いながら進んでいき、狭別比女は、言霊歌によって黒雲を跡形もなく吹き散らした。
主な人物
舞台
口述日1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日)
口述場所水明閣
筆録者林弥生
校正日
校正場所
初版発行日1934(昭和9)年3月23日
愛善世界社版
八幡書店版第13輯 506頁
修補版
校定版192頁
普及版
初版
ページ備考
OBC rm7603
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本文
八十曲津見の神は、高野比女の神一行が行手を妨げむとして、底ひも知れぬ深溪川と身を変じさやり居たりけるが、高野比女の神の烱眼に看破され、鋭敏鳴出の神の生言霊に打たれて、忽ち煙散霧消の体たらくとなり、風のまにまに東の空高く逃げ去りければ、一行十柱の神は駿馬に鞭うち、大野ケ原を御歌うたひつつ東をさして進ませ給ふ。
高野比女の神の御歌。
『高天原に舞ひ上り
天津高宮に詣でつつ
主の大神の大神言
かかぶりまつりて一同は
心の駒を立て直し
今迄なやみし村肝の
わが魂線は晴れにつつ
鋭敏鳴出の神を先頭に
天津女雄の神伴ひて
東の宮居に帰りゆく
紫微天界の大野原
清くさやけく澄みきらひ
林に囀る百鳥の
声も清しく響きつつ
百草千草は咲き匂ひ
根本にすだく虫の音は
天界の春をうたふなり
吹き来る風も爽かに
吾等が面を撫ででゆく
ああ惟神々々
今日の旅路の楽しけれ
これに引き替へ瑞御霊
わが背の神は曲津見の
伊猛りくるふ荒野原
夜を日についで進みつつ
百の悩みを浴びながら
主の大神の御依さしの
神業に仕へ給ふべく
進ませ給ふ雄々しさよ
吾等は女神の身なりせば
四季の花咲く高地秀の
安き聖所に仕へつつ
月日を仇におくらむや
再び天津高宮の
主の大神のみことのり
承はりて村肝の
心の空は晴れ渡り
いよいよ聖地を守らむと
万里の駒に跨がりて
帰らむ路をあら不思議
八十曲津見は千丈の
深溪川と身を変じ
吾等が行手をさへぎりつ
横はれるぞいまはしき
ここにウ声の言霊ゆ
なり出で給ひし鋭敏鳴出の
神の言霊勇ましく
打ち出で給へば曲神は
怪しき雲と身を変じ
西吹く風にまくられて
東の空にはかなくも
消え失せたるぞ面白き
ああ惟神々々
東の宮居の聖所に
心を清め身を清め
朝な夕なを禊して
岐美の御幸を祈りつつ
仕へまつらむ楽しさよ』
鋭敏鳴出の神は御歌うたひ給ふ。
『主の大神の神言もて
天津高宮大前を
謹み敬ひ畏みて
御樋代神を守りつつ
万里の荒野を打ちわたり
いよいよ此処に来て見れば
邪気かたまりて曲津見と
なり出で雲霧わかしつつ
深溪川と身を変じ
吾等が行手をさへぎりぬ
高野の比女はすばしくも
曲津の正体看破らし
生言霊を宣りませば
実にもとわれは驚きて
ウの言霊のある限り
金剛力を発揮して
貴の言霊宣りつれば
流石の曲津見怖ぢ恐れ
雲を霞と逃げ去りぬ
そのたまゆらに溪川は
跡かたもなく消え失せて
草莽々と生えにつつ
百花千花咲き満ちて
虫のなく音もさやさやに
天界の春となりにけり
ああ惟神々々
生言霊の幸ひに
わが行く道は平けく
いと安らけく開かれて
跨る駒も勇ましく
蹄を揃へて嘶きつ
果てなき野辺を進むなり
行手に如何なる曲津見の
さやりて災なすとても
主の大神の賜ひてし
生言霊の幸ひに
汝が神等をやすやすと
東の宮居におくるべし
ああ惟神々々
神の守りの強ければ
御樋代神等心安く
思召しませ鋭敏鳴出の
神は真心照らしつつ
ここに所信を宣べまつる
ああ惟神々々
御霊幸はへましませよ』
朝香比女の神は馬上豊に歌はせ給ふ。
『われ等は神に選まれて
御樋代神となりながら
心は曇り魂ねぢけ
生言霊の濁らへば
御子産む神業にふさはずと
百神達の嘲りを
怨みし事の恥かしき
太元顕津男の神は
弱き心は持たさねど
百神等の嘲りを
五月蠅く思し召しまして
しばしためらひ給ひつつ
御樋代神の魂線の
ひたに曇れる有様を
窺ひ知りていち早く
東の宮居を出で立たし
彼方此方に間配れる
八十比女神に見合ひして
国魂神を生まさむと
心の駒に鞭うちて
出で立ち給ひし畏さよ
吾等御樋代神等は
岐美の無情を怨みつつ
ただ徒に月と日を
疎みかこちて過ぎにけり
ああ惟神々々
神の心も白雲の
空にさまよふ如くなり
主の大神の御光に
照らされ今日よりわが魂は
月日の如く輝きて
心にひそむ曲神の
在処を隈なく悟りたり
そも天界の要なる
神業といふは言霊の
水火を清めて澄みきらし
朝な夕なに禊して
愛と信との道守り
真心こめて大神に
仕ふるよりは外になし
かくも悟りし上からは
主の大神も怨むまじ
岐美の無情もかこつまじ
心平に安らかに
八咫の鏡と澄みきりて
この天界に永久に
仕へまつらむ真心を
いよいよ今日は固めたり
ああ惟神々々
神の守りの深くあれ
恩頼の幸くあれ』
天津女雄の神は、馬上豊に御歌詠ませ給ふ。
『筑紫の宮居を立ち出でて
紫微天界の旅枕
御樋代神の御尾前を
守り仕へて今此処に
いそいそ進み来て見れば
言霊穢れ固まりて
八十の曲津見生れ出で
深溪川と身を変じ
吾等が旅ゆく道の辺を
さへぎりゐたるゆゆしさに
ウ声に生れし神柱
鋭敏鳴出の神は奮ひ起ち
力限りに言霊を
天地も破れよと宣り給ふ
強き御稜威に辟易し
八十の曲津は忽ちに
雲と変じて空高く
風のまにまに散り失せぬ
ああ惟神言霊の
水火の力の尊さよ
吾等は未だ村肝の
心の曇り晴れざれば
如何に言霊宣るとても
草木の梢ゆるぐより
外に功は無かりける
結びの水火の清まりし
鋭敏鳴出の神のけなげにも
宣り上げ給ふ言霊は
わが魂線の底までも
沁みわたりつつ天地に
ひそめる曲のかげもなく
雲を霞と逃げ去りぬ
ああ惟神々々
今日より心を改めて
生言霊を研ぎすませ
東の宮居に朝夕を
仕へまつりて天界の
神業に仕へ百神の
日々の幸をば祈るべし
駒は勇みて鬣を
前後左右に振りながら
花咲く野辺をしやんしやんと
進み行くこそ楽しけれ
わが行く先は遥なり
行手に如何なる曲神の
さやらむ例ありとても
言霊清き鋭敏鳴出の
神の先頭に立ちまさば
吾等は何の怖れなく
従ひゆくこそ畏けれ
ああ惟神々々
天界の旅に幸あれよ
天界の旅に幸あれよ』
ここに香具比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『見渡せば大野の奥に雲たちて
御空の月はかくろひにけり
昼月のかげを包みし黒雲は
曲津見の水火の凝れるなるらむ
吾駒は勇み進めど大空の
月日の光はうすらぎにつつ
曲神は行手にさやり居るならむ
天地にはかに曇らひにけり
高野比女の御後に従ひわれは今
大野の旅を続けけるかも
曲津見は深溪川と変じつつ
わが行く道にさやりけるかな
鋭敏鳴出の神の言霊幸はひて
雲となりつつ曲津は失せけり
主の神の神言を受けて帰りゆく
道にさやりし曲津ぞ忌々しき』
梅咲比女の神は御歌うたひ給ふ。
『十柱の神の乗らせる白駒の
蹄の音のいさましきかも
地稚き荒野ケ原を渉りゆく
駒の蹄はふかく残れり
駒並めて東の宮居に帰りゆく
わが旅立ちの幸かれと祈る
わが行かむ道をさへぎり曲津見は
深溪川となりて居しはや
鋭敏鳴出の生言霊にやらはれて
あはれ曲津は消え失せにけり
山も野も一度に暗くなりにけり
月日を包みし醜の黒雲に
この辺り曲神等は黒雲の
網を張りつつ悩むるなるらむ
とにもあれかくにもあれや言霊の
水火を続けて聖所に帰らむ』
寿々子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『雲の幕十重に二十重に包むとも
何か怖れむ神に在る身は
主の神とともにある身の今日の旅
さやらむものは亡びゆくべし
十柱の神の出で立ちさやらむと
待ち佗ぶるならむ曲津見の神は
惟神神の神言を畏みて
吾等は聖所に帰りゆくなり
さまざまの奸計の罠を張るとても
破りて進まむ言霊の水火に
天界は愛と信との神国なれば
虚偽は許さじ悪はゆるさじ
曲神は偽を誠とかまへつつ
真言の神にさやらむとすも
浅ましき心なるかも曲津見の
奸計のわざは忽ち破れぬ』
宇都子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『鋭敏鳴出の神に守られゆく道に
さやらむ曲津見はなしと思へり
曲津見の災如何に強くとも
ウの言霊にひらき進まむ
われも亦ウ声になりし女神なれば
曲津の奸計を如何で怖れむ
大空の月日をのみし黒雲は
八十曲津見の姿なりける
大空を封じて八十の曲津見は
月日の光をさへぎりてをり
待てしばし貴の言霊宣り上げて
醜の黒雲四方に散らさむ
わが伊行く道の傍へに百千花
咲きにほひつつ春栄えけり
春の野に駒を並べて進みゆく
わが旅立ちを勇ましく思ふ
鳥うたひ胡蝶は舞へる春の野を
駒を並べて伊行くたのしさ
曲津見の奸計たくみし深溪川も
生言霊に消え失せにけり
わが伊行く道にさやらむ曲津あらば
駒の蹄に蹶散らし進まむ』
狭別比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『はろばろと遠野の旅を続けつつ
日々に聖所に近づく楽しさ
吹く風もいと軟かに百鳥の
声はさやけく澄みわたる春
大空をつつみし醜の黒雲も
おちつかぬがにたち迷ひつつ
科戸辺の神の御水火の幸はひて
吹き散らすらむ黒雲の幕を
山となり溪川となり雲となり
曲津見は行手にさやらむとすも
恐るべきもの一つなき天界に
生きてはたらく身は楽しけれ
万世の末の末まで語り伝へ
御稜威照らさむ言霊の旅を
瑞御霊万里の旅に立たせども
月をし見れば淋しからずも
わが岐美の御霊こもりし月光を
つつみし雲の憎らしきかも
狭別比女神の神言の言霊に
御空の雲霧さわけ散らさむ』
斯くうたひ給へば、科戸の神も諾ひ給ひけむ、科戸辺の風俄に吹き出でて、四方八方に雲霧を吹き散らし、さしもの黒雲は跡かたもなく消え失せにける。
この状を眺めて花子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『狭別比女神の神言の言霊に
御空の雲は散り失せしはや
久方の空の黒雲散りにつつ
月日の神はかがやき給へり
地の上に咲き足らひたる百花も
笑まひ顔なり月日をがみて
百鳥の声もさやかに聞ゆなり
御空の雲の吹き散りしより
天界の旅をつづくる白駒の
蹄の音も冴えわたりつつ
野辺を吹く風さへ薫る春の日を
駒を並べて進む楽しさ』
小夜子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『科戸辺の風に散りにし黒雲は
巌となりて道にさやらむ
散りはてし雲は彼方の大空に
伊寄り集ひて峰となりつつ
もうもうと湧き立ち湧き立ち雲の峰と
なりて行手にさやる曲津見
曲津見の猛びは如何に強くとも
駒の蹄にかけて進まむ
美しき清き天界の中にして
由々しきかもよ曲津見の猛びは
鋭敏鳴出の神の功に村肝の
心はつよく太らひにけり
わが心ふくれひろごり天地に
充ち足らひつつ勇みけるはや
この上は如何なる曲津のさやるとも
何かおそれむ神にあるわれは』
天津女雄の神は御歌詠ませ給ふ。
『高野比女神の神言に従ひて
ゆく天界の旅は楽しも
曲神の隙をねらへるこの旅も
生言霊に安く進まむ
鋭敏鳴出の神の功に曲神は
雲を霞と逃げ失せにけり
梅咲比女神の神言の幸はひに
吹き来る風も香ばしきかな
香具比女の御魂幸はひ非時に
香具の木の実の香りこそすれ
寿々子比女神の神言の言霊に
澄み清まりぬこの天地は
朝香比女神は面勝神にして
またも射向ふ神にましける
宇都子比女神の神言は言霊も
いと美しく冴え渡りけり
狭別比女神の言霊幸はひて
御空の雲は吹き散りにける
花子比女生言霊の幸はひに
百の木草は花満ちにけり
小夜子比女宣らせる稜威の言霊に
真昼の月はあらはれにける』
斯くの如く、神々は各自に御歌うたはせ給ひつつ、馬上ゆたかに揺られながら春風渡る大野ケ原を、夜を日についで進ませ給ふ。
(昭和八・一二・五 旧一〇・一八 於水明閣 林弥生謹録)