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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第23巻 如意宝珠 戌の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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またしても高姫物語かと読者が飽きるものと知りながら、ひとつの経路として述べておかなければ神霊界の経緯がわかりませんので、口述者もいやいやながら口にしました。
しかし親子の愛情や堪忍の報いの尊いことは、本巻で徹底的に明らかになることと確信しております。
本文
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一身上に関する大峠を一週間後に控えた旧五月十八日、火天大有の卦(運が盛んで進んで物事を起こすべきとき)を得た瑞月王仁は、天佑の下ようやく二十三巻を口述し終えた。
雷天大壮(勢いはあるが空回りしやすいため、一歩引いて内実を充実させるべきとき)の神業に奉仕しようと心身を清めて息のまにまに口ずさむ。
那智の滝で罪の穢れを洗い清められ、駒彦、秋彦らの泥棒が心の底から悔悟して、神の恵みの糸筋に親子対面となる。
執着心の深い高姫が、小豆ケ島にそびえたつ国城山の岩窟で、蜈蚣姫と対面する珍物語である。
本文
01 00 - 本文
01 01 〔713〕
国依別と玉治別は、熊野の滝にこもる若彦の宣伝使に会おうと、大台ケ原の峰(青山峠)を旅していた。すると後から三五教の宣伝歌を歌いながら追ってくる二人がある。
それは魔我彦と竹彦であった。魔我彦と竹彦は、国依別と玉治別に谷底をのぞかせると、後ろから谷底に突き落としてしまった。
魔我彦と竹彦は、変性男子の系統である高姫を差し置いて、若彦の妻・玉能姫にたいへんなご神業をさせたのは、国依別と玉治別らの企みだとして、天下国家の害毒を除いたのだ、と嘯く。
魔我彦は、自分の策謀で最終的に言依別命を狙っていることを明かし、そのために若彦のところに行って活動するのだ、と言う。竹彦はしかし、魔我彦の陰謀を知って、それをゆすりの種にしようという素振りを示す。
魔我彦は青い顔になって大台ケ原の峰を行く。夜が更けてくると、竹彦は霊懸りになって国依別・玉治別の怨念を語りだした。魔我彦と竹彦は恐ろしさにその場に人事不省となり倒れてしまった。
夜が明けると魔我彦と竹彦は目を覚まし、国依別と玉治別が昨晩幽霊になって竹彦の体に懸ってきたくらいだから、両人はすでに死んだと安心し、杖をつきながら岩道を下っていった。
一方、突き落とされた国依別・玉治別は鋭い崖石にもぶつからず、谷底の青淵に落ち込み、ちょうどそこで水行をしていた杢助に助けられていた。
国依別と玉治別は杢助の問いかけに対して魔我彦と竹彦を怨んではいない、と答え、三人揃って熊野の滝を指して進んで行った。
本文
01 02 〔714〕
熊野の那智の滝で罪穢れを洗い清めた若彦の館に、魔我彦と竹彦が訪ねて来た。魔我彦、竹彦は玉照彦・玉照姫の使者として来たのだ、と傲然と構えている。
魔我彦と竹彦は、聖地で杢助と初稚姫が幅を利かせているために高姫が非常に心配をしている、と報告し、言依別命が玉能姫と不倫をしているなどど嘘の報告をなし、若彦を取り崩そうとする。
しかし若彦は、それが本当だとしても小さなことだ、と取り合わない。魔我彦は必死で若彦の心を崩そうとするが、竹彦が茶々を入れて邪魔をする。竹彦は神懸りになって、魔我彦・竹彦が国依別と玉治別を谷底へ突き落としたことを仄めかすようなことを言い、逆に魔我彦が焦り出す。
そこへ、若彦に三人の男の来客があった。若彦は魔我彦・竹彦が逃げないように見張りをつけて、接客に出た。
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01 03 〔715〕
若彦の館を訪れた三人の客とは、案の定杢助、国依別、玉治別であった。若彦が、先ほど館に魔我彦・竹彦がやってきたことを告げると、三人は青山峠で魔我彦たちが、国依別と玉治別を殺害しようとしたことを明かした。
若彦は驚いたが、杢助は一計を案じて若彦に授けた。若彦はそ知らぬふりをして、魔我彦・竹彦が待つ客室に戻ってきた。そして、信者で病気になっている者があるから後で鎮魂を施してほしい、と魔我彦に頼み、それまで館で休んでいるように伝えた。
魔我彦は若彦の様子や、三人の来客ということから、杢助たちがやってきて事が露見したのではないかと気を揉む。そこで様子を探ろうと竹彦に神懸りをやらせた。
竹彦の神懸りは八岐大蛇の眷属だと名乗り、杢助・国依別・玉治別がやってきて復讐を企んでいるから、あきらめて自害しろと魔我彦に告げた。魔我彦が何とかして助けてくれ、と頼むと、八岐大蛇の眷属は庭の松の木の上に登れ、と命じた。
松の木の下には杢助らがやってきた。杢助は二人を雷のような声で怒鳴りつけた。魔我彦が八岐大蛇の眷属に助けを求めると、八岐大蛇の眷属は松の木の上から紫の雲に乗せて救ってやるから飛び降りろ、と命じた。
魔我彦と竹彦は、松の木の上から飛び降りて真っ逆さまに落下し、人事不省となった。国依別と玉治別は二人を介抱し、息を吹き返した。
魔我彦と竹彦を怨んでいるか、という杢助の問いかけに、国依別・玉治別は揃って毛筋ほども怨みの心はない、と宣言した。
また杢助は高姫一派の姦計を白状するようにと魔我彦・竹彦に迫るが、魔我彦は高姫との約束を破るわけにはいかない、と拒否した。杢助は約束を守ろうという良心がまだ魔我彦に残っているとして、追及をやめた。
杢助はこれまでの経緯を宣伝歌に歌うと、若彦・国依別・玉治別には三国ケ岳の探検を命じ、自分は魔我彦と竹彦を連れて聖地に帰ることとなった。
本文
01 04 〔716〕
杢助は魔我彦と竹彦をひそかに聖地に連れ帰った後、表戸を閉ざして聖地の様子を窺っていた。また玉治別、若彦、国依別の三人も密かに聖地に戻って高姫一派の陰謀を探っていた。
高姫はそうとは知らず、聖地の役員信者たちに、緊急事態が突発したと触れ回って、錦の宮の八尋殿に集めた。
高姫は、集まった信者一同を前にいかめしく祭典を執り行うと、得意げに壇上に登り、教主言依別命がお節(玉能姫)や杢助を重用することに対して非難を始めた。
座中から加米彦が立って高姫に異議を唱え、秋山彦の館で沓島の鍵を盗んで如意宝珠の玉を呑み込んだ件をたしなめた。
高姫が加米彦に反論すると、加米彦は高姫に異議のある者は起立するように、と呼びかけた。すると満場の者が起立した。
高姫は、自分こそ変性男子の系統で日の出神の生き宮であるから、教祖の資格がある者だとますますいきり立つ。佐田彦と波留彦は立ち上がり、日の出神なら玉の隠し場所を透視せよ、と高姫に挑戦する。
高姫は壇上で、神に理屈を言う者は改心ができていない、魔我彦、竹彦の両宣伝使こそ改心ができた立派な宣伝しだ、とわめきたてる。そこへ杢助が魔我彦と竹彦を連れて現れる。
杢助は、魔我彦と竹彦の説には感服した、と高姫に告げる。高姫はてっきり杢助が自分の見方に付いたと思って居丈高になる。
しかし魔我彦と竹彦は、高姫の案に相違して、高姫の悪事の企みを壇上でしゃべってしまう。杢助に自分の企みを一同の前でさらされて、高姫は壇上から駆け下り、一目散に館に走り帰ってしまった。
そこに言依別命が現れて、一同に会釈すると神前に天津祝詞を唱え、皆は解散することになった。
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02 05 〔717〕
秋彦と駒彦の宣伝使は、日高山の山奥に滝があると聞き、荒行をなそうとやってきた。滝の側には竜神の祠があり、社の周りには、立派な実をつけた柿の木が生えている。これは竜神の柿といわれていた。
二人は社の前で鎮魂をしていたが、うまそうな匂いに、鎮魂が終わると柿をむしって食った。すると社が鳴動して怒鳴りつけられ、二人は驚いて元来た道を逃げて行った。
夜が明けると、谷川で衣を洗う白髪異様の婆がいた。見ると、婆の頭からべっこうのような角が二本生えている。二人は谷を通らなければならないので、用心しながら近づいて婆に声をかけた。
婆は驚いて二人を見ると、いきなり二人を泥棒呼ばわりし始めた。秋彦が憤慨すると、婆は先日、バラモン教の宣伝使だという二人連れが泊り込んだが、夜中に強盗を働き、一人娘を殺して金品を奪っていったのだ、と答えた。
そしていきなり娘の敵、と二人に飛びかかろうとする。駒彦は、自分たちは三五教の宣伝使だ、と言い返し、鬼婆の報いとして自分の子を取られたのだろう、と諭した。
駒彦が、自分は元の名を馬という紀の国生まれの者だ、と言うと、婆は何か心当たりがあるものらしく、態度を変えて自分の家へ来てくれと二人に頼んだ。婆の角は、泥棒を脅して寄せ付けないように被っていただけであった。
秋彦は合点がゆかず、婆の家に入らず表で警護をしている。家の中では爺がいて、前のようなことがあるから旅人は泊めないと言うが、婆は紀の国出身で息子と同じ名前だというから連れて来た、と答えた。
爺が駒彦に生まれのことを尋ねると、駒彦は小さい頃に天狗にさらわれたが、自分が持っていた守り袋に常、久という字があり、自分の名前は馬楠と書いてあったのだ、と明かした。
その話で、駒彦は爺・常楠と婆・お久の息子であることがわかった。三人は涙にむせぶ。家の外で話を聞いていた秋彦も、入ってきて駒彦が両親に対面できたことを喜び、感謝の祝詞を唱えた。
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02 06 〔718〕
駒彦と秋彦は、常楠の家に三日間逗留していた。三日目の朝に、村人が、宣伝使が泊まっていないかと訪ねて来た。
聞くと、二人の宣伝使が竜神の柿を食ったため、竜神から酋長に二人を捕らえて人見御供にするように、との命令が下ったとのことだった。
竜神に不調法があると村を荒らされるとのことで、常楠は自分が身代わりとなろう、と言う。それを聞いた駒彦は、柿を取ったくらいで村を荒らすのはてっきり邪神だろうから自分たちが退治しようと言い、秋彦も賛成する。
常楠は、竜神は八岐大蛇の一の子分だというからとうてい敵わないだろう、と嘆き悲しむ。駒彦と秋彦は、酋長の捕り手が来るのを待っていた。
酋長の木山彦が捕り手を連れて現れた。木山彦は竜神の二人の運命に遺憾の意を表する。駒彦と秋彦は酋長の心中を察して、進んで人身御供を申し出た。
常楠は木山彦に、駒彦は長い間探し求めていた自分の息子であることを明かした。木山彦はそれを聞いて同情の意を表し、そして自分にも鹿という子があったが幼い頃に神隠しに遭ってそれ以来行方不明なのだ、とふと漏らした。秋彦はそれを聞いてはっと思い当たる。
駒彦と秋彦は用意された白装束に着替えると唐びつに自ら入り、竜神の宮に運ばれていった。常楠夫婦は嘆き悲しみつつそれを見送り、自分の家に帰ると、押入れの中から駒彦と秋彦が現れた。
驚いている常楠夫婦に、駒彦は、大神様への祈願を凝らしたところ、白狐明神が現れ、身代わりとなって邪神退治に行ってくれたのだ、と明かした。四人はここを立ち去って隠れることとし、常楠は家に火をかけた。一行は日高川沿いに向かっていった。
一方、二人を竜神の人身御供に供した木山彦は、家に帰ると妻の木山姫に今日のことを話し出した。木山彦も、逃げた村人の償いとして二人の娘を竜神の人身御供に取られ、男子は幼い頃に神隠しに遭っていた。
木山彦は、竜神の人身御供に差し出した秋彦が、自分の息子の鹿であることを見抜いており、そのことを木山姫に明かした。そして夫婦は自分たちの運命に泣き崩れていた。
そこへ小頭の助公が急ぎ走ってきて、二人の宣伝使が竜神を打ち負かして谷川へ投げ込んで退治したことを報告した。宣伝使の二人は、助公にこのことを酋長に報告し、今後は人身御供の必要がないことを告げるように、と言い残してたちまちどこかへ姿を隠してしまったという。
酋長はこれを聞いて喜んだ。助公は、宣伝使が落としたものとして古い守り袋を差し出した。それを改めた木山姫は、確かに自分たちの息子の鹿のものだと認めた。木山彦は木山姫と共に、熊野にお礼参り出発した。
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02 07 〔719〕
駒彦と秋彦の二人は、常楠夫婦を連れて、栗栖川のほとりの栗栖の森に着いた。老人の常楠は疲れを覚えて、にわかに胸腹部の激痛を感じて発熱してしまった。一行は栗栖の宮に立ち寄って、介抱に尽くすことになった。
二人の宣伝使は栗栖川の上流に良薬があると聞いて、薬草を求めて山深く入って行った。お久は一人宮に残って、常楠の看病をしている。
すると夜更けに宮の縁側に覆面をした男が二人現れ、ひそびそ話を始めた。それは数日前に常楠のところに押し入ったバラモン教の虻公と蜂公だった。
お久はてっきり、駒彦と秋彦が戻ったのかと思って二人を中へ入れようとしたが、虻公と蜂公の顔を見て悟り、懐剣を抜くと逆手に構え、娘の敵を討つと凄んだ。
しかし長刀を抜き放った二人に詰め寄られてしまう。そこへ駒彦と秋彦が戻って来て、虻公と蜂公に霊縛をかけた。二人が持ち帰った薬草で、常楠はみるみるうちに恢復した。
常楠は霊縛された二人を見て、娘の敵とは言いながら憐れを催し、改心を促した。駒彦と秋彦も改心を促して、霊縛を説いた。虻公と蜂公は床に頭をつけてすすり泣いて懺悔をなす。
常楠は、自分が娘の敵といって二人を成敗したら、二人の両親が嘆くだろうと言って、親に免じて改心をするようにと諭した。そして、二人の生まれ育ちを聞きただす。
虻公は印南の里の森に捨てられていて、情け深い里人に拾われて育てられたが、大恩ある育ての親も六歳の頃に病気で亡くなってしまい、それからは放浪して悪事に染まってしまったと身の上を明かした。
虻公は捨てられていた自分に添えられていた守り刀に、常という字が印してあったのが唯一の手がかりだ、と明かした。
常楠はその守り刀を見せてもらうと、紛れも無く自分の家紋が記してあった。常楠は、若い頃に下女に産ませた子を、守り刀と共に捨てたことを懺悔した。虻公は、駒彦の母違いの兄弟であることが明らかになった。
常楠はお久に詫びをするが、お久も懺悔して、嫁ぐ前に親の許さぬ仲の男との間に子をもうけ、熊野の森へ捨て子したことを明かした。
それを聞いた蜂公は、自分は熊野の森に捨て子されていたのを、山賊の親分に拾われて育ち、今に至るのだと身の上を語った。そして、今は取り落としてしまったが捨て子の自分と一緒に添えられていた守り刀に、蜂という印があり、それで蜂公と呼ばれるようになったのだ、と明かした。
お久はそれを聞いて、蜂公が自分が捨てた子であるとわかった。一同は秋彦の導師で感謝祈願を奏上した。
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02 08 〔720〕
一方、熊野に向かった木山彦夫婦は、熊野の滝にて息子の鹿に会わせてくれるようにと願をかけて行を行っていた。
二十一日の水行を終えた夜中に、馬のひずめの音と共に中空を駆けて、七八人の神人が現れた。そして夫婦に向かい、熱誠に免じて息子に会わせてやるが、夫婦共に前非を悔いて天則違反の罪を自白せよ、と告げた。
木山彦は、壮年のころにひとりの女と夫婦の約束をし子供をもうけたが、振り捨てて今の女房をもったことを懺悔した。そのため秋彦は継母が来たので六歳の頃に家を飛び出してしまったことを明かした。
一方木山姫は、嫁ぐ前に親の許さぬ仲の男の子を産んだが、子を男に預けてそのまま身を隠したことを懺悔した。
神人は、親子の対面を許すほどに信仰に励むように、と二人に言い渡して姿を消した。そこへ常楠夫婦、駒彦、秋彦、虻公、蜂公がやってきて、滝で禊を始めた。夜陰のことで、木山彦夫婦はただ、熱心な信仰者がやってきたものと思って夜を明かした。
夜が明けると、木山彦は常楠夫婦と駒彦、秋彦の姿を見つけて声をかけた。そして、秋彦が自分の子供であることを明かして親子の対面を果たした。常楠は涙を流して祝意を表した。一同は無言のまま滝に手を合わせて熊野大神に感謝の祈願を祈っている。
このとき麗しい雲が起こり、一柱の女神が現れた。女神は、駒彦は常楠とお久の子であり、秋彦は木山彦とお久の子であり、虻公は常楠と木山姫の子であり、蜂公は木山彦とお久の子であることを告げた。
女神は、いずれも天則違反から生まれたため、神界の罪により今日まで親子の対面を果たすことができなかったが、信仰の力によって罪が許されたのだ、と明かした。そして自分は天教山の木花姫命であると明かすと、姿を消した。
一同は神恩に感謝しながら、若彦の館を指して進んで行く。
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03 09 〔721〕
若彦の館の門を潜って一人の女が入ってきた。門番がとがめると、女は門番をたしなめて足早に奥に入って行った。女は玄関番の久助と言い争い、そこへ若彦が現れて女を見ると、はっとして奥へ通した。
女は若彦の妻・玉能姫であった。玉能姫は、高姫が若彦に対して陰謀を企んでいる危急を知らせに来たのであった。玉能姫は、高姫またはその使いが食べ物を持って来たなら、決して口にしてはならない、と告げた。
若彦は承知して、玉能姫に礼を言う。そこへ玄関に騒々しい争いの声が聞こえてきた。高姫がやってきて、玉能姫がここへ来ただろうと怒鳴っている。
高姫は奥へ勝手に入ってきて、若彦と玉能姫が会談している部屋に現れた。そして憎まれ口を叩いている。高姫は二人を脅したりすかしたりして、玉の隠し場所を白状させようとする。
若彦は怒り、玉能姫は去ろうとするが、高姫は食ってかかって怒鳴りたてる。そこへ常楠夫婦、木山彦夫婦、秋彦、駒彦、虻公、蜂公がやってきて、奥の争い声を聞いてやってきた。
一行は若彦の前に平伏する。高姫は皆が陰謀を企てにやってきたのだろう、と非難を始めるが、駒彦、秋彦は何のことやらわからずに途方に暮れている。久助が一行を大広間に案内しようとすると、高姫はまたもや言いがかりをつけて一行の行く手を阻む。
秋彦と駒彦は、自分たちは教主・言依別命に絶対服従しており、若彦を玉能姫を崇敬していると言って高姫を無視して通ろうとした。
高姫は怒って秋彦と駒彦のえりを掴んで引き倒した。それを見た常楠は怒って、大力に任せて高姫の襟首を掴み、館の外へと放り出した。
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03 10 〔722〕
高姫は熊野の若彦館で、人々に無理難題を言って放り出され、すごすごと帰ってきた。今度は部下を四人(貫州・武公・鶴公・清公)引き連れて、生田の森の館にやってきた。元の杢助館で、今は玉能姫が守っている。
高姫は、生田の森の館の錠をねじ切って中に勝手に入ろうとしていた。そこへ玉能姫が、虻公と蜂公を従えて戻って来て、高姫を見咎めた。
高姫と玉能姫は、入れろ・入れぬで言い争いになる。高姫は憎まれ口を叩きながら生田の森の館を去ると、浜辺にやってきた。そこで玉能姫が所有の舟を見つけた。
高姫が舟に乗ろうとしていると、舟の監督を任されている船頭たちがやってきた。船頭たちによると、玉能姫は月に一回、この舟に乗ってどこかに出かけるのだという。
高姫は、玉能姫の船出の日数から、どの島に出かけているかを聞き出す。船頭たちは家島だろうと答え、高姫はてっきり玉は家島に隠してあると思い込む。
高姫は船頭たちに、この舟を出してくれるように頼むが、船頭たちは杢助や玉能姫から厳しく言われているからと断る。高姫はあきらめた振りをして森の方に去ったが、船頭たちが行ってしまったのを見届けると、勝手に舟を出してしまった。
玉能姫は、船頭たちの報告を聞いて来て見ると、舟が無くなっている。玉能姫は虻公と蜂公に留守を言いつけると、自分は高姫を追って家島に行くのだ、と言い残して舟を出した。
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03 11 〔723〕
高姫は舟に乗り、もう玉を手に入れたも同然と得意になっているが、四人の部下は舟をこぐのに疲れて文句を言い始める。
たちまち雲と風が起こり、高姫の舟は暗礁に乗り上げて木っ端微塵になってしまった。玉能姫は淡路島の磯端に着いてその夜は風をやり過ごした。
夜が明けると、うめき声が聞こえてきた。見ると浜辺に高姫ら五人が打ち上げられて苦しんでいる。玉能姫は鎮魂をして五人の息を吹き返させた。
高姫は自分を助けたのが玉能姫だと知ると、またしても憎まれ口とともに食ってかかり、教主や杢助にも悪態をつきはじめた。
高姫の部下の四人は、命の恩人に対する高姫の悪口に愛想が尽きたと言って、玉能姫の弟子にしてくれと頼み出す。玉能姫は人の弟子を横取りすることはできないと言って断り、高姫と一緒に舟に乗って戻るようにと促す。
しかし高姫は断固として断り、あくまで家島に行くと言ってきかない。そこへ船頭がやってきて、難船したなら乗せてあげようと声を掛ける。高姫は渡りに舟と船頭の舟に乗って行ってしまう。
玉能姫は四人の男を乗せて、高姫の舟の後を追った。
本文
03 12 〔724〕
高姫を乗せた舟の船頭は東助といった。高姫は東助に、家島まで急ぐようにと言いつけた。途中、高姫は饅頭を伏せたような島が目に入って、島の様子を東助に尋ねたが、東助が神島は船頭に恐れられていて誰も足を踏み入れるものはいない、と答えると、高姫はやはり玉の隠し場所は家島に違いないと思い込んでしまった。
家島に着くと、高姫は山林の中に姿を隠してしまった。東助は煙草を吸いながら浜辺で待っている。そこへ玉能姫らが追いついてきた。
鶴公は東助に、高姫がどこへ行ったかしきりに尋ねた。東助がとぼけると、高姫はてっきり山に登って行ったに違いないと、玉能姫を山に登らせようとする。
玉能姫は急ぐことはないので休息しようと言う。玉能姫は、玉は竜神がどこかに持って行ってしまったので、本当のありかは自分は知らないのだが、高姫が心配で追って来たのだ、と明かした。そして、もっと日の当たるところで休息しようと二三町ばかり山を登ったところで腰を下ろした。
一行は雑談にふけって時を費やすが、ついに貫州が正体を表し、実は高姫を示し合わせて玉能姫をここにおびき寄せたのだ、と脅しにかかる。玉能姫は、そんなことは淡路島ですでに見抜いていた、と笑う。
貫州たちは何とかして玉能姫を山に登らせようとするが、玉能姫は男たちを突き飛ばして坂を走りくだって逃げる。後からは男たちが追いかけてくる。坂の下では、高姫が現れて手を広げ、行く手をさえぎった。
玉能姫は危機に陥り、木花姫命に祈願を凝らした。すると辺りは濃い霧に包まれ、玉能姫は逃げることができた。後を振り返ると、高姫一行の周りだけに霧がかかっている。
玉能姫が磯端に着くと、虻公と蜂公が助けに来ていた。玉能姫は自分の乗ってきた舟に乗ると、東助の舟の綱を解いて流してしまい、虻公、蜂公とともに帰って行った。
本文
03 13 〔725〕
玉能姫に逃げられた高姫一行は海岸にやってくるが、自分たちが乗ってきた舟もなくなっているのに気が付いた。
高姫は東助に当り散らし、玉能姫とぐるになって自分たちを計略にはめたのだろうと責め立てる。東助は覚えのない非難に怒るが、高姫はあくまでも東助を疑い、部下たちに東助を見張らせて自分は山の上に行ってしまった。
その間に東助は、高姫の部下たちに自分の弁解をして打ち解ける。また、東助は自分が淡路島の大金持ちということを明かして気を引く。
そうしているうちに、東助の持ち舟は波に流されて岸に戻ってきた。それを見た貫州は高姫に知らせに行くが、その間に東助と他の三人は舟に乗って島を出てしまった。
海岸から高姫と貫州が呼びかけても、東助は天罰が当たったのだと二人を助ける気はない。鶴公、清公、武公は東助の子分になってしまった。
高姫は今度は貫州に当り散らす。しかし貫州も日の出神のくせにまったく神力がないと高姫に非難の応酬をする。高姫は怒って黙って山上に上って行ってしまうが、貫州は境遇を悲観して、松の枝から首を吊ってしまった。
しかし足が枝に引っかかってうまくいかなかったのだが、物音に驚いた高姫は、貫州が首を吊って息絶えてしまったと思って嘆き、貫州に詫びを入れ始めた。
貫州は高姫の我を折ってやろうと思って、幽霊の振りをして高姫に改心の約束をさせる。しかし高姫は貫州の首が締まっていないことに気づくと、また元のように威張り出した。
貫州はまた首を吊ろうと思って適当な松の枝を探していてると、高姫は貫州の横面を張ってやめさせた。
二人が磯端に戻ってくると、玉能姫からの贈り物として、舟が一艘横付けになっていた。高姫は、玉能姫が竜神が玉を持っていったと言ったのは、玉が竜宮島に隠してあるに違いないと一人合点し、玉能姫や東助の後は追わず、舟に果物を積むと貫州と共に竜宮島を目指して西へと漕ぎ出した。
本文
03 14 〔726〕
東助が留守の間、洲本の東助館は妻のお百合が守っていた。お百合は東助が何日も帰って来ないことを心配していたが、そこへ門口に宣伝使が尋ねてくる。
宣伝使は、バラモン教の友彦であった。友彦は東助が何日も海へ出たきり帰ってこないことを近所で聞きつけると、それをネタにお百合に取り入って東助の財産を自分のものにしてしまおうと企んでいた。
しかしお百合は、友彦が去年浪速の姉のところで、病気に付け込んで詐欺を働こうとした男であることに気づき、友彦を怒鳴りつけて気を失わせ、縛ってしまった。
そこへ東助が帰還してくる。事の次第を聞いた東助は、友彦に改心を薦め、村人の前で改心の説法をするようにと諭す。しかし友彦は便所に行く振りをして、便壺の穴から逃げてしまった。
東助の部下となった鶴公、清公、武公は、東助に感化されて改心し、言依別命の教えを奉じることになった。
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04 00 - 本文
04 15 〔727〕
高姫は瀬戸内海を西へ航海し、小豆ケ島に着いた。この島には岩窟が多くあって怪物が住むと伝えられていた。
貫州は岩窟の様子を見に中に入って行った。一人残された高姫は、することなすこと裏目に出る自分の境遇を思い起こして、自分に憑いている日の出神に疑いの心を起こす。
そして、腹の中にいる霊を責め立て始めた。高姫が腹の中の玉のようになっている霊を捻りつぶそうとすると、霊は自分は日の出神などではなく、木常姫の霊だと白状した。
木常姫は、高姫の肉体は自分の分霊が凝ってできたのだから、他所へ移ることはできないと言う。高姫は自分の守護神が日の出神ではないと感づいていたような発言をする。
しかし、日の出神と偽って現れた以上は、どこまでも日の出神で通さねばならないのだ、と逆に霊を叱りつけ、今度は自分が霊を教育して使ってやるのだと吠えている。
そこへ東助の館の便所から逃げてきた友彦が偶然やってきた。高姫が自問自答しているのを見て、気がふれているのだと思って思わず独り言を言う。それが高姫の耳に入って、今度は高姫は友彦に八つ当たりを始めだした。
友彦はバラモン教時代の高姫を見知っており、二人は互いに名乗りをする。そこへ貫州が岩窟から出てきた。
貫州は、どうやらここは泥棒の一団の隠れ家らしいと報告する。一行は岩窟の中へ進んで行くと、現れたのはバラモン教の蜈蚣姫であった。蜈蚣姫は高姫を三五教の鷹鳥姫と見て襲おうとする。
高姫は、元は自分もバラモン教だったことを明かして、バラモン教のために三五教に潜入していたのだと蜈蚣姫を丸め込んでしまった。
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04 16 〔728〕
蜈蚣姫と高姫は、バラモン教のために三五教と闘う苦心を明かしながら、打ち解けて話しにふけっている。
そのうちに、高姫が連れている二人の男は誰かと蜈蚣姫が聞いた。高姫が、一人はバラモン教の友彦だと答えると、蜈蚣姫は驚いた。友彦は、過去に蜈蚣姫の娘と駆け落ちしていたという。
高姫に呼ばれた友彦は、ここがバラモン教の蜈蚣姫の館だと知ると、途端に青くなってしまった。友彦はおそるおそる高姫の後について蜈蚣姫の間に進む。
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04 17 〔729〕
蜈蚣姫の前に連れて来られた友彦はたちまち頭を床にすりつけて平謝りする。蜈蚣姫は自分の娘の小糸姫の行方を友彦に尋ねる。
友彦は、小糸姫に愛想をつかされて、小糸姫はある夜一枚の書置きを残してどこかへ逃げてしまったことを明かした。その書置きは、見たこともない字で書かれていて、友彦には読めないという。
そのスパルタ文字で書かれた書置きを見た蜈蚣姫は、小糸姫が友彦に愛想をつかした文面を読んで笑ってしまう。そしてそこに、小糸姫がオーストラリヤに渡って一旗上げるつもりだと書いてあるのを見て、現在噂に名高いオーストラリヤの黄竜姫というのが、小糸姫だと覚った。
そうと知った蜈蚣姫は、オーストラリヤに渡ろうとする。友彦は一緒に連れて行ってくれと蜈蚣姫に頼むが、蜈蚣姫は途中までは連れて行くが、娘に合わせることは絶対にできないと言って友彦の申し出を拒絶する。
友彦は高姫と貫州にとりなしを頼むが、二人は今は刹那心で着いて行く他にないと友彦に答える。
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04 18 〔730〕
岩窟の中のバラモン教の祭典が済んで、老若男女が礼拝所から出てきた。信者の中の一人の老いた男・久助は、友彦を見るなり、六ケ月前に自宅に忍び入って強盗を働いた男だと認めて食ってかかる。
その様子を見て蜈蚣姫を始め一同はあきれてしまう。そこへ、鶴公、清公、武公が東助の使いとしてやってきて、友彦の後を追ってやって来たが、この岩窟に逃げ込んだはずだから、召捕りに来たという。蜈蚣姫は三人に対して、友彦はここにいるから縛って連れて行くようにと申し渡す。
高姫はかつての部下だった三人が、東助の家来になっていることに皮肉を言う。高姫と三人が言い合っている間に、友彦は這って逃げ出そうとしていた。しかし清・鶴・武が連れて来た犬に噛り付かれてしまう。
鶴公、清公、武公は友彦を縛って引っ立てていった。一方蜈蚣姫は、高姫、貫州、久助を連れてオーストラリヤの一つ島に渡ることになった。
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現界の人間が死という関門をくぐって神霊界に至る様は、一様ではない。極善の人間が直ちに天国に至る場合でも、素晴らしい音楽や芳香に包まれたり、空中を飛翔するもあり、広大な原野を静かに進んで行く場合もある。
そのときの気分は幸福の極点に達した感覚を受けるものであり、現界の物質的な欲望を閑却してしまう。逆に物質界の執着が起こったときは、身体が重くなって地上に再び墜落してしまう。
そのため、死者を迎えに来た天人は、音楽や芳香などで現界への追慕の念を失わせようとするのである。これはしかし、人間としての最善を尽くし、神を愛し、天下公共のために善事に励んだ人の場合である。
人間の心霊は、肉体が滅びても自己の感覚や意念は引き続き生存する。天上に復活した人の霊身は、肉体があったときと同じように霊界の生活を営む。
いったん天国に昇ると、地上との交信は難しい。また望んで地上の人間と交信することはない。ただ地上の人間の側の懇願によって、霊媒を介して交信するのみである。霊媒力が発達した人による交信の場では、霊身が現界人の目に見えるようになることもある。
しかし中有界にある霊身は、霊媒によって現界の親戚・知己・朋友と交信することを望むものである。それは自己の執着心を訴えたり霊祭を要求するためである。このような霊身は天国へ行けずに苦痛を感受する。
死後の生涯を否定することは、はなはだしい無知である。人間の死は滅亡ではなく、人間の永遠の進化の一段階に過ぎないのである。ただ人間の所在と立脚地を変えたまでであり、個性は残ってそれぞれに天国団体の生活を営むのである。
無知にして人情をわきまえなかった悪人は、地獄に落ちて苦しむことになる。生前に地獄に堕した人間は、生前に悔い改めて神を愛して利己心を去らなければ、死後安全な生活はできない。
現世においてすでに暗黒なる地獄の団体に加入している者は、現界においても常に不安無明の生活を続けて苦しんでいるものである。一時も早く神の光明によって頑迷なる心の眼を開き、天国の団体に籍替えすることに努めなければならない。
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