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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第52巻 真善美愛 卯の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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霊界物語口述開始以来、種々雑多の学者やパリサイ人の妨害を突破し、ようやく累計五十二巻の完結を告げた。
瑞月に来れる精霊は、特別の記憶力に富んでいると見えて、肉体が一度見聞し読み上げた書物の文意をそのまま記憶し、肉体の記憶を離れている文章でも知らずに口述筆記することがある。
そのため、肉体人の瑞月が著した文章の中にも、古今の学者が著した文章をそのまま書くことがある。また精霊自身も、自己の作物と信じている。これは霊界の消息に達した者にはよく知られたことである。
これまで三十年の間に二三回もこのようなことがあり、他人の文章を盗んだように非難されて大いに迷惑を感じた。その後はなるべく他人の著書を読まないことにして注意しているが、この長い物語の中には、あるいはさまざまな人の作文が混入しているかもしれないため、断りを申し上げておく。
しかし今日の学者の物した書物もまた、古今聖哲の涎を集めたものであることは、読者も熟知されるところと考える。すべての明文は意志や想念のうちに吸収され、それが自発的に現れ来るものであることを考えていただきたい。
本文
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桃園天皇の御代に、伏見竹田の里北の入り口に、薬師院と銘打った修験者が現れた。祈祷のために訪れた人の身の上を一々的中させるので、それが有難いと信じ込まれて噂が広まり、繁盛したという。
近江の国の百姓直兵衛という者が、年来の眼病で暗室に閉じこもって療養を尽くしたが効験なく、伏見薬師院のことを人づてに聞いて、訪ねることにし、夫婦で旅立った。
伏見の薬師院は群衆が集い、直兵衛夫婦は夕暮れてようやく院主に面会することができた。薬師院は、直兵衛の訴えを聞くと、今夜はここに籠るように勧め、その間に自分が直兵衛の星を見て病を見立てようと答えた。
その夜の八つ時ごろ、院主は白衣で水垢離し、直兵衛夫婦を座らせて祈りだした。やがて曇りがちの空が晴れ渡り、こうこうと星の光まぶしく、北の方から火団が飛んできて地上に墜落した。
直兵衛夫婦は肝をつぶして平伏し様子を見ていると、院主は火団に何事か呪文を唱え、念珠ではっしと撲った。火団は音もなく散乱して消え、中から一羽の白鳩が飛び去った。
院主は威儀を正して直兵衛に向かい、あの火団は汝の属星であり、自分の法力によって降して病の根源を調べた。怪しい光があったので、それを祓い取ったのだ、と告げた。そして薬師夢想の霊薬と称するものを渡し、これを塗れば七日の間に回復するであろうと言い渡した。
直兵衛は喜んで押し頂き、翌朝慇懃に礼を述べて帰国した。しかし眼病は依然として治らなかった。病気は治らなくても、院主の不可思議な法術呼び物となって薬師院は繁盛していたのである。いずれもバラモン教を守護する魔神の所為であることは言うまでもない。
この院主は腕白小僧であったがバラモンの魔神に憑依され、巧みに妖術をもてあそんで一角の祈祷師となり、薬師院快実と名乗って伏見に本拠を構えた。表面には慈悲をまとい、内心は豺狼のごとき野心を蔵し、世の善男善女を欺いたばかりか、禁裏にまで侵入して天下の大事を引き起こそうとしたのである。しかし関白九条直実公のために看破されてついにその身を滅ぼしたという。
邪神は常住不断に妖術または種々の方法手段を講じて天下を乱し、世を暗黒界に落とそうと企みつつあるものである。読者はこの霊界物語を十分に心を潜めて熟読されれば、邪神の悪計姦策がいかなるものか、了知されることであろう。一例を挙げて読者の参考に資することにした次第である。
本文
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01 01 〔1337〕
人間の内底に潜在する霊魂を、本守護神または正副守護神という。本守護神は、神の神格の内流を直接に受けた精霊のことである。正守護神とは、内底神の善に向かい、真に対し、外部は自愛および世間愛に対し、これらの間をよく按配調和して広く人類愛におよぶ精霊のことである。
副守護神とは、その内底神に背き、ただ物質的・肉体に関する欲望のみに向かって蠢動する精霊である。優勝劣敗、弱肉強食、生存競争をもって最大の真理となす。
しかし人間の霊魂は、神典によれば荒魂、和魂、奇魂、幸魂の四性に区分されている。それぞれ勇・親・愛・智に対応し、この勇親愛智を完全に活躍させるものは、神の真愛と真智である。
幸魂の愛は人類愛であり、自愛や世間愛の中にも普遍的な愛として住している。神の愛は万物発生の根源力であって、また人生における最大の活気力となるものである。この神愛は大神と天人とを和合せしめ、また天人各自の間をも親和せしむる神力である。
このような最高なる神愛は、あらゆる人間の真の生命をなす実在である。この神愛があるゆえに、天人も人間も、その生命を保持することができるのである。
大神より出で来る御神格そのものを、神真(まこと)という。この神真は大神の信愛によって高天原に流れ入る神機である。神の愛と、これより来る神真とは、現実世界における太陽の熱と、その熱より出る光にたとえられるべきものである。神愛は太陽の熱、神真は太陽の光に相似している。火は神愛そのものを表し、光は神愛より来る神真を表している。
愛には二種類の区別があり、一つは神に対する愛であり、もう一つは隣人に対する愛である。第一天国には大神に対する愛があり、第二天国には隣人に対する愛がある。隣人愛とは仁である。愛と仁は、いずれも大神の神格より出てきて天国の全体を成就する。
大神より来る善そのものを愛することが、大神を愛し奉るということの意味である。また善を愛するということは、その善を志すことであり、また善を行うにあたっては愛によって為す、という意味である。
いかなる善行も、愛を離れていれば、それは地獄の善でありいわゆる悪である。天国の善は地獄の悪であり、地獄の善は天国の悪である。ゆえに天国の福音を人類に伝達しても、地獄界に籍を置く人間からは敵視され迫害を被る。
大神の愛に依る神人は、いかなる地獄界の迫害を受けてあるいは身肉を亡ぼされることがあろうとも、死後の生涯にてその人格は依然として聖きもの尊きものとして、天国において尊敬され愛されるものである。
次に、隣人を愛する仁は、たんに朋友知己を人格より見て愛する、ということではない。大神の聖言すなわち神諭から来るところの神真を愛することである。神真を愛するということは、その真を志し、真を行うことをいうのである。
この物語の主人公である初稚姫は、二種の愛、善と真の完全に具足した天人にして、いわば大神の化身でもあり分身でもあり、あるときは代表者としてその神格を肉体を通して発揮し給うがゆえに、よく善に処し真に居り、いかなる妖魅に対しても汚されることなく、己が天職を自由自在に発揮し得られるるのである。
これに反して高姫は、口には愛善と信真を言うけれども、その内底は神に向かって閉塞され、地獄に向かって開放されているゆえに、称える善はすべて偽善となるのである。あるときはほとんど善に近い行いをなし、真に相似せることを言うことはある。しかし内底が地獄に向かっているため、一定の善と信に居ることができない。
すべての人間には、各自の生命に属する霊的円相なるものがあり、この円相は人間各自の身体を囲んでいる。各人の情動的生涯(愛的生涯)、思索的生涯(信仰的生涯)の中から溢れ出るものである。
初稚姫は霊的円相ますます円満具足して、全身の周囲から五色の霊光が常住不断に発射されている。これに反して高姫は、虚偽と世間愛的悪に居るをもって、霊的円相はほとんど絶滅し、灰色の雲のような三角形の霊衣がわずかに肉身を囲んでいるに過ぎない。
高姫は自愛の心すなわち愛の悪が強いゆえにその面を神に背け、暗黒の中に呻吟しながら、かくの如き暗黒無明の世界を救うために雑多に身を変じてヘグレ武者となり、万民を助けなければならないと、兇霊の言に誤られて蠢動しているのである。
開闢の始めより、天界の光明は赫灼として輝き給ひ、数多の天人は各団体に住してその光輝ある生涯を送っているというのに。
神諭の言は、この現界を天国浄土の楽土となし、一人も地獄界に落とさないための大神の仁慈の大御心より出でた聖言であって、高姫のように、三界がすべて暗闇となってしまっている、という意味ではない。
現界において智慧証覚の劣った者、愛善の徳薄く、信真の光暗い者が、天人やエンゼルと相伍してついに聖き信仰に入り、高天原の景福を得るに至らしめるように、神は予言者にその精霊を充たして福音を述べさせ給うたのである。愛善・信真を一生涯深く心に植え付け、実践躬行することによって、罪悪に満ちた人間も天国に救われることができる聖場を、開かせ給うたのである。これを神界にては地の高天原と称えるのである。
初稚姫の御再誕なる大本開祖は、神命を奉じて地の高天原に降り、万民を救わんと焦慮し給う。それに引き替え、その肉身から生まれた者に正反対のものがあるのは、実に不可説の深遠微妙なる御神策のおわしますことである。
大本神諭に、吾が児につまらぬ御用がさして善悪の鏡が見せてあるぞよ云々とある。信者たるものは、この善悪両方面の実地を観察して、その信仰を誤らないようにしなくてはならないのである。
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01 02 〔1338〕
人間は天の高天原であろうと地の高天原であろうと、霊域に昇りその内に入るにしたがい、智慧と証覚はいよいよ増して来て、かつて難解と思っていた問題もおいおいと感得することができるようになる。いずれも、大神より来る愛の力によるものである。
大神の御神格をその内分に受けることが多い人間を、天的人間、また内的天人、高処天人ともいうのである。天国にある天人がいるところの愛を天愛といい、霊国にある天人がいるところの愛を霊愛という。天国には大神は太陽と現れ給ひ、霊国には月と現れ給う。
初稚姫は天国天人の部類に属し、現の御魂にして太陽の熱すなわち愛を全部となし給う。言依別命は霊国にある天人にして、信の真におり、月の光をもってその全部となし給う。
ゆえに初稚姫はよく神を祭り、祝詞を奏上し、宣伝使や信者の模範となりたまう。言依別命は智的方面に住し、宇宙の真理を説き諭し、現幽神三界の真相を明らかにし、すべての原動力とならせ給う霊的天人である。
天国は大神の祭司的国土にして大神の御住所である。霊国は大神の王土にしてこれを王座または瑞の法座ともいう。天国と霊国の交通の機関は、大神の思し召しによって置かせられた媒介的天人団体の手によって行われている。
初稚姫はこの媒介的天人の手によってある時は天国と交通し、ある時は霊国と交通し、また天国霊国一度に交通し給うこともあった。初稚姫のような地上の天人であっても、肉体人の境遇に居る間は、どうしても媒介者を通じる必要があったのである。
初稚姫は、祠の森を立ち出でていよいよ遠征の途に就こうとした。珍彦夫婦をはじめとする幹部役員、信徒たちは親のごとく神のごとく慕っていた初稚姫と別れることを非常に嘆き悲しみ、今しばしの逗留を望んだが、神業のため初稚姫がさらに祠の森に留まる余地はなかった。
初稚姫は愛別離苦の情もあり、また自分が去った後に再び強烈な曲津神のために祠の森が惑わされることがあるまいかと案じていた。しかし斎苑の館からほど遠くないこの地点なら、まさかのときには宣伝使たちが応援に来てくれるだろうと思い直し自らの心を励まして、出立を決意した。
初稚姫は神殿の前にて、珍彦以下の神の僕たちが悪魔に狂惑されることがないようにと祈りの歌を歌い、また神業の使命を全うせんことを懇願して、送別の宴に臨んだ。珍彦は別れを惜しむ歌を歌い、以下祠の森の神司たちは、初稚姫と別れの歌を交わした。
別れを交換し哀別の涙を流しながら、初稚姫はスマートを従えて宣伝歌を歌いながら降って行った。至マートも祠の森の人々に別れを惜しむごとく、二声三声悲しげな声を残して、尾を振りながら初稚姫に従いゆく。
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01 03 〔1339〕
イクとサールの両人は裏口から森の中に道を取り、谷底を通って本街道に出た。そして山口の森に駆けつけ、いかにもして初稚姫に随行を許してもらおうと歌を歌いながら急坂を下って行く。
サールは館を出るときに人に見つからないよう炭俵をかぶってきたので、顔が真っ黒になっていた。そこでイクはおしろいを顔につけて白くなり、二人で白い尉と黒い尉の劇をやって、初稚姫の心を動かそうということになった。
二人は顔を塗って準備をすると、木の枝を折って鈴とみなし、片手に扇を持ち、初稚姫の姿が見えたら三番叟の舞を始めようと工夫をこらしている。
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01 04 〔1340〕
半時ばかりすると、初稚姫がスマートを伴い、宣伝歌を歌いながら降ってくる姿が木の間から見えだした。二人は互いに注意しながら身ぶり足ぶりなどして三番叟の下稽古をやっている。
初稚姫は、イクとサールが道連れを望んで待ち構えていることを見抜いており、自分の神業には供は許されないと宣伝歌に歌いこんで二人に言い聞かせた。
二人はこの歌を聞いて失望落胆の色を表したが、サールは気を取り直して口拍子をとって歌いだした。イクも引き出されて歌いながら踊りだした。両人は谷道をふさぎ、御供を従えて行くも神の恵みだと歌って踊り狂った。
スマートは顔を塗った二人を不審を抱いたが、イクとサールだとわかると、尾を振りながら二人の間に分け入って吠えたてた。イクとサールはそれを合図に三番叟を舞い終えた。
イクとサールは改めて初稚姫にお供を申し出たが、初稚姫は自分は一人旅を命じられており、またイクとサールは珍彦の配下とて勝手に連れて行くわけにはいかないと説き諭した。
イクとサールは目配せすると、懐に用意していた腰帯を樫の木の梢にかけて、あごを吊ってしまった。スマートはこれをみて驚き、二人を助けるように初稚姫を促す。初稚姫は手早く二人の体を抱えて持ち上げ、救い下ろした。
初稚姫は二人の熱烈なる願いを聞くわけにゆかず、しばし涙に暮れて考えていた。両人がやや正気になったのを幸い、初稚姫はたちまち神に祈ってその身を大熊と変じた。スマートは唐獅子となって二人に向かって目を怒らし、唸って見せた。
二人は驚いて両手を合わせ、一言も発せずその場にうつむいて震えている。初稚姫は元の姿に戻り、スマートは巨大な獅子と化し、姫を背に乗せて荒野ケ原を一目散に進んで行く。
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01 05 〔1341〕
イクとサールは、初稚姫が変装の術を使って熊となり、獅子と変じたスマートに乗って立ち去った後ろ姿を眺めて、しきりに両手を合わせ、舌を巻いて感じ入ってしまった。
二人はますます初稚姫のお供をしたい気持ちが高まり、体を清めて顔の塗りを落とすと、宣伝歌を歌いながら初稚姫を追いかけて荒野ケ原を渡って行く。
二人が山口の森を目指して進んで行くと、森の一部が火のごとく明るくなった。火光を目指して進んで行くと、山の神の祠跡の台石の上に鬼が二匹いた。これは、妖幻坊の眷属である古狸・幻相坊、幻魔坊が鬼に化けてイクとサールを悩まそうと待ち構えていたのであった。
しかし二人は、初稚姫とスマートが変装術で自分たちを驚かそうとしていると思い込み、恐がりもせずにツカツカと鬼に近寄って声をかけ、変装を批評し始めた。幻相坊と幻魔坊は、自分たちの術が見破られたと思ってふるえだし、青い火柱となって消えてしまった。
イクとサールは、鬼が初稚姫たちの変装ではなく曲津が化けて脅そうとしていたことを悟り、お互いに注意し合った。イクは暗がりをいいことに、サールに手を伸ばして化け物のふりをして驚かそうとしたが、サールに殴られてしまう。
二人が茶番劇に笑い興じていると、今度は大きな火の玉が現れてその中から顔が出てきておかしそうに笑い出した。この火の玉の光に照らされて足許を見れば、二匹の古狸が大きなムカデを山ほど積んで、二人を刺し殺そうと企んでいた。
狸とムカデどもは火の玉の光に照らされて森の中に逃げ隠れてしまった。光の玉は小さくなって二人の傍らに転がってきた。二人はこれは自分たちを助けてくれた神の化身だろうと考え、両手を合わせて感謝した。
二人はいつのまにか眠ってしまった。暁のカラスの声で驚いて目を覚ますと、傍らに直径一寸ばかりの水晶玉が転がっていた。これは日の出神が、二人の危難を救うために神宝を授けたのであった。これより両人は玉を懐中に入れ、初稚姫の後を慕って駆けて行く。
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01 06 〔1342〕
二人が進んで行くと、道の傍らの木の下に一人の美人が黒犬を連れて首をうなだれ、何か思案に沈んでいる。二人が女の挙動を伺っていると、女はたちまち木に細帯を投げかけ、首を吊った。
二人は木の下にかけつけて助け下ろした。女は気が付いて、自分は死ぬのが目的だったのになぜ助けた、と二人に喰ってかかった。女はひとしきり二人を罵倒すると、突然イクの横面を張り飛ばした。
イクがよろめいて田んぼの中に倒れると、女の連れていた黒犬が懐の水晶玉をくわえて駆け出した。女はその様子を見て手を打って笑い、自分たちは昨夜、山口の森で二人を脅そうとした怪物であり、水晶玉を奪うために計略をしかけたのだ、と言うと、大狸の正体を表し、逃げて行った。
サールはイクを助け起こし、ともかくも小北山の聖場に参拝しようと、トボトボと力なく進んで行く。傍らの枝には梟がとまり、神宝をあっさり取られた二人に鳴き立てている。
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02 07 〔1343〕
小北山の受付には、文助爺さまが初、徳の両人に頭をかち割られ、それから発熱して床についてしまっていた。魔我彦やお寅も不在のため、にわかに人手不足となった。お菊は受付兼神殿係を兼務し、参詣してくる病人の祈願もなし、説教を聞かせるなど多忙を極めていた。
お菊はあまりの忙しさに思わず独り言に愚痴をいいながら、受付で眠り込んでしまった。そこへ六十ばかりの爺が十二三の娘を背中に背負い、トボトボとやってきた。爺の呼びかけでお菊は目を覚ました。爺は、孫がのどをつまらせたので、至急鎮魂をしてほしいと言う。
お菊は紫の袴を着け、祭壇の前に娘を置いて天津祝詞を奏上し、祈願をこらした。お菊は汗を流して一生懸命祈願したが、効果は現れず、娘はますます苦しむばかりである。
お千代は用の間に階段を降ってきてみると、怪しい爺が庭の隅に青い顔をしてしゃがんでいる。神殿を見ると、お菊が一生懸命に祈願をこらしている。お千代は、受付が空いているのでしばらく代理を務めていた。
そこへ、坂道を登って息をはずませながら、イクとサールがやってきた。二人は、お千代との問答から初稚姫がここに来ていることを知った。お千代にあしらわれた二人は、ともかくお宮を巡拝することにした。
庭の隅に座っている爺は、二人を見るとビリビリふるえだした。爺は、孫に鎮魂させるためにやってきただけだと言い訳した。
お菊は祈願すればするほど娘は苦しみ悶えだす。娘は息が詰まった風になったので、受付にいたお千代は驚いて側に寄ってみれば、娘の尻に大きな狸の尾が見えた。お千代はこれは化け物に違いないと、外へ飛び出すと、イクとサールを手招きした。二人は巡拝を一度打ち切って、戻ってきた。
受付の横にいた怪しい爺はいつのまにか姿を消し、妙齢の美人が座っている。イクとサールはどこかで見た女だと思いながら、お千代について神殿に進み、祝詞を奏上した。
お千代は娘の背中を天の数歌を歌ってポンポンと二つ叩いた。くわっと音がして飛び出したのは、直径一寸ばかりの水晶玉だった。娘と受付にいた女はたちまち古狸となり、逃げて行った。
お千代とお菊は、イクとサールから水晶玉の由来を聞き、狸の祈祷をさせられたのだと知って笑い転げた。四人は真心をこめて一生懸命に感謝祈願の祝詞を奏上した。
イクとサールは水晶玉を一度狸に取られた話でお菊とお千代からからかわれた。受付にて湯にのどを潤すと、二人は各神社を参拝し始めた。
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02 08 〔1344〕
イクとサールは大広前の神殿を拝礼し終わり、蠑螈別、魔我彦、お寅などの旧跡を巡っては歌を四で回った。そして木花姫神、金勝要神、玉依姫を祀った祠を廻り、それぞれ述懐の歌を歌った。
日の大神、月の大神、そして最上段の国常立尊の祠の前に参拝した。二人は拝礼を終ると、互いにからかい合いながら、枝ぶりのよい松の七八本かたまった下に、あまり広からず狭からざる瀟洒な館が立っている。それが松姫の館であった。
二人は館の前にやってくると、さすがに恥ずかしくなり、互いに先に初稚姫のところへ行けと押し合いを始めた。スマートは二人を認めると、喜んで走ってきて二人にじゃれついた。
イクとサールは軽口を叩き合いながら思い切って門口に立ち寄り、恐そうに中を眺めた。初稚姫と松姫は、何事かにこにこと話の最中である。サールはガラリと戸を開け、松姫に挨拶した。松姫は二人を仲に招いた。二人は、初稚姫にびくびくしながら中に入る。
初稚姫は二人を見ると、言葉静かに話しかけた。二人は頭をかき、もじもじとして土間にしゃがんでしまった。初稚姫に促されて、イクは思い切って、自分たちはどうしても初稚姫のお供をしたいと申し出た。
初稚姫は山口の森で起こったことを二人に問いかけ、二人が水晶玉だと思っていたのは、夜光の玉といって筑紫の島から現れたダイヤモンドだと明かした。そして、いったん妖魅の手に入ったからには、玉は汚れているから清めなければならないと忠告した。
そして、イクが玉に執着していることを看破して諭し、この玉は自分が日の出神に祈願して、二人の熱心に応じて神様から授けられたことを明かした。二人の身魂が一つになった証拠であり、一人が独占すべきないことを二人に諭した。
この宝は世界救世のための御神宝でもあり、人間が私すべきものでないこと、大切に保存して、祠の森に帰って玉を保持すべきことを説いた。しかしサールは、それなればこの神宝を返上するから、どうかお供させてくれ、と熱誠を面に表し涙を流して頼み込んだ。
初稚姫は、単独での神業遂行が自分への神命であることを歌に詠んで二人に諭した。松姫は互いの仲裁をなし、二人に初稚姫の言葉を聞くように促し、時間をおいて省みるように諭した。二人は自分たちの思いを歌に伝え、しばらく時間をおいて身の振り方を考えることにした。
イクとサールはどうしても初稚姫がお供を許してくれないので、進退窮まり涙に暮れていた。初稚姫は松姫に別れを告げ、いちはやく小北山を発って征途に上った。
イクとサールは初稚姫が先に発ったことを知らずに一夜を明かした。そして文助が危篤と聞いて、夜中ごろに館を飛び出し、河鹿川に降って水垢離を取り、その回復を祈った。
本文
02 09 〔1345〕
イクとサールは、お菊にもてなされて夜中ごろまで酒を勧め、互いに歌などを詠み交わして過ごしていた。イクとサールは、どうしても初稚姫にお供を許してもらえそうにないこと、夜が明けたらどうにかしてもう一度願い出て、それでも聞き入れられなければ自由行動でハルナの都まで行く覚悟であることなどを話し合っていた。
お菊はすでに初稚姫が小北山を発ったことを知っていたが、気の毒で二人にそのことを告げることはできなかった。お菊は、せっかくだからこの小北山に留まってはどうかと二人を慰め、歌を交わしながら夜を過ごしていた。
俄かに騒がしい人の声が聞こえ、お千代があわただしく入ってきた。お千代は文助の様子が変になったとお菊を呼びに来た。イクとサールも、お菊とお千代について文助の病室に駆けこんだ。見れば、松姫が一生懸命に魂返しの祝詞を奏上していた。
イクは夜光の玉を松姫に預けて文助の額に当てるように頼むと、自分たちは河鹿川で禊をしに出て行った。お菊も共に河に飛び込み、三人声をそろえて文助の蘇生を祈った。
河鹿川の激流に危険を冒して祈る三人の赤誠を、大神も赦し給うであろう。平素はいたずら好きで口が悪くあまり親切らしく見えないイクとサール、お転婆娘のお菊も、人の危難に際してはその赤心現れ、我が身の危険も忘れて神に祈る。これぞ全く美はしき人情の発露にして、神に従い、神を信じ、誠の道を悟りうるものでなくてはできない所為である。
三人は文助の身を気遣いながら帰ってきた。たちまちお菊は神がかり状態となって病床に駆けてきて、松姫の手から夜光の玉を受け取り、小声で称えながら何事か祈っている。イクとサールの両人は、裸のまま文助の足をもんだり息を吹いたり、あらゆる手段を尽くした。
文助はウンとひと声叫んで目を開け、あたりを見回した。文助は昏睡していた間に、初と徳と会ったり目が見えるようになって美しい光景を見たことを語った。文助がさまよったのは、第三天国の広大な原野であった。そこで初と徳の精霊と出会ったのである。
もとより初と徳は文助を尊敬していたが、一時の欲に駆られて高姫や妖幻坊に誤られ、文助に怪我を負わせる騒動が勃発したのであった。初と徳の精霊は、呼び戻すために第三天国に現れたのであった。そこへ、熱心なイク、サール、お菊、松姫らの祈祷の力によって現世の残務を果たすべく、蘇生せしめられたのであった。
文助は肉体的には目が不自由であったが、霊界に至るやたちまち外部的状態を脱出し、第二の中間状態を越えて、第三の内分的状態にまで急速度をもって進んだ。そのため、神に親しみ神に仕えたる赤心のみ残存し、心の眼が開けて天界を見ることができたのであった。
文助はまず天の八衢についていたが、なぜこのようなところへ来たかについては一行考えなかった。そして現界に残してきた人々のこともすっかり忘れていた。ただ、神に関する知識のみますます明瞭になっていた。
文助は八衢の守衛にここがどこか尋ねたが、守衛は、文助がまだ現界に寿命を残していることを知っていたので、答えることはできないときっぱり応じた。文助は何とはなしに愉快な気分に満たされ、足も軽々と進んで行った。
途中、現界にある知己友人の精霊や、すでに帰幽した人間にも出会った。されどそのときの彼の心は、帰幽した者と帰幽していない者を判別する考えはなく、いずれも自分と同じように肉身を持って働いていると思っていた。
人間は現世において神に背き、真理を無視し、社会に大害を与えない限り、死後は肉体上における欲望や観念、自愛の悪念は払しょくされ、内分に属する善のみ自由に活躍することを得る故に、死後の安逸なる生涯を楽しむことができるのである。
肉体のあるうちはどうしても善悪混交、美醜相交わる中有的生涯に甘んじなくてはならない。しかし虚偽と罪悪に満ちた地獄界に籍を置く人間は、生前においてせめて中有界なりと救われなくては、死後の生涯を安楽ならしむることは不可能である。
神は至仁至愛にましますがゆえに、いかなるものもあらゆる方法手段を尽くしてこれを天国に導き、天国の住民として霊界のために働かしめ楽しき生涯を送らしめんと念じ給うのである。
神は宇宙を一個の人格者とみなしてこれを統制し給う。ゆえに、いかなる悪人といえども、一個人の身体の一部である。神は、人間をはじめ宇宙一切を吾が身のごとく愛し給う。
本文
02 10 〔1346〕
小北山の神殿では、文助の蘇生を祝って盛大な祭典を行い、直会の宴を張った。役員信者一同は、歓喜の神酒に酔った。
文助はそろそろ歌いだした。自分が仮死の間に霊界にて見聞したことを交えて将来の自分の信仰の方針について略述し、かつ親切な介抱に預かったことを感謝した。松姫は文助の信仰の向上を讃える道歌を歌った。
一方イクは、改めて初稚姫を追ってハルナの都までも行く覚悟を歌に歌い、小北山の役員信者一同に感謝と別れの辞を述べた。松姫は言葉を尽くして出立を思い止めようとしたが、彼らのはやる心を翻すことはできなかった。
イクとサールは小北山を拝礼し、怪しの森を抜けて浮木ケ原を目指す道を進んで行く。
本文
02 11 〔1347〕
お菊とお千代は続いて、これまでの述懐と文助の改心・回復を祝う祝歌を歌った。またあまたの信者たちも祝歌を歌った。
文助は生来の下戸であったが、数多の人々に盃をさされ、せっかくの志といただいているうちに酩酊し、階段を踏み外して地上に転落し、またもや人事不省に陥った。
松姫一同は祝酒の酔いもたちまちさめ、河鹿川に禊をして文助の平癒を祈ることになった。数多の役員信者の熱心な祈願の声は九天に響き山岳も揺るぐばかりに思われた。
本文
03 00 - 本文
03 12 〔1348〕
灰色の暮色に包まれた野も山も静かでさびしい。文助の精霊は、山と山とにはさまれた枯草のぼうぼうと生え茂る細い谷道を、杖を力にとぼとぼと登って行った。
文助はほろ酔い機嫌で鼻歌を歌いながら、ボンヤリとした目の光をたよりに、当てもなく歩いていた。すると傍らの草むらから、盲を狙う強盗という若い男が現れて、文助を止めて持ち物を渡すように迫った。
文助は少しも恐れることなく、男の心は脅威を感じ、戦慄していると見抜いた。男は文助に、にわかに強盗がいやになったから、自分を連れて行ってくれるように頼んだ。文助が断ると、男は文助が世間の人間を誤った信仰に導いて地獄に落としていたことを責めはじめた。
男は、実は自分は地獄から文助を迎えに来た者だと答えた。文助はそんなはずはない、自分は天国に籍があることを前回の幽界旅行で確かめてあるのだ、と先に進んで行く。男は大声に笑って文助の地獄行きを叫んでいる。
文助が振り返ると、若い男は赤らが顔に耳まで裂けた大きな口を開けている。文助は惟神霊幸倍坐世を幾回も繰り返しながら、山と山の間の谷道を一目散に進んで行った。
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03 13 〔1349〕
峠の頂上には四五人の男が車座になって火を焚きながら暖を取っている。いずれも髯をもじゃもじゃとはやした面構えで、人の腕のようなものを火の中にくべては、口に当てて噛みついている。
文助の目は内分的になってよほど明らかになってきた。文助を男たちの様子を見て、これはひと悶着ありそうだと思いながらも、惟神に任せるより仕方がないと決心を固め、かすかな声で宣伝歌を歌いながら近寄って行く。
男たちの中の一人が文助を見て、呼び止めた。文助は男たちに、あからさまに泥棒の景気を尋ねた。男は不景気で自分たちの商売はこの幽冥界でもあがったりだと答え、逆に神の取り次ぎと化けこんで神に蛇や大根を書いて、人から礼を言われて金を取っていたと、文助をほめたたえた。
泥棒たちは、講習会でも開こうと相談していたところ、文助という手本が来たので、ひとつ講師になってくれないかと頼み込んだ。文助は怒って、自分は正当な報酬をいただいていたのだ、と抗弁した。
泥棒たちは文助の強情な答えに愛想をつかし、さっさと峠を通って行くように促した。文助が死後町ばかり降って行くと、そこには形ばかりの屋根の下に六地蔵が並んでいる。文助は傍らの半ば腐った鞍掛に腰を掛けた。
よくよく見れば、古ぼけた柱に墨黒々と、文助がやがてここを通過するだろうから、黒蛇の一族はここへ集まれ、と記されていた。文助は、松彦に止められるまで、いつも黒蛇の絵を書いて竜神様だと言って信者に渡したので、黒蛇たちが神のように祀ってもらったお礼に来るのだろうと独り言を言っている。
すると、黒蛇の精・黒長姫と名乗る美人がお供を連れて現れ、文助にひどい目にあわされたお礼をこれからするのだ、と言う。
善意からしたことだと抗弁する文助に対し、黒長姫は、自分たちは畜生道に堕ちたのに、霊不相応に神様の席に上げられて祀られては、かえって目がくらみ、苦しくてたまらないのだ、と答えた。
文助の目も、分を過ぎた待遇に苦しんだ黒蛇の眷属の怨みがかたまって、見えなくなったのだという。そして、世に堕ちた者を救う力は、人間の分際にはなく、それはすべて神様の御権限であり、文助は神様の神徳を横領しようとする天の賊だと非難した。
文助は、虫けらまでも助けようとする真心からやったことだと言い張るが、黒長姫はそれは文助の慢心と保身から出た行為だと断じ、これから自分たちの眷属が五体を砕いて怨みを晴らし、その後文助は黒蛇となって眷属の奴となって働くことになるのだ、と言い渡した。
黒長姫が口笛を吹くと、あたりの草木が一本角を生やした真っ黒の蛇となって文助に襲い掛かってきた。文助は杖を打ち振って、断末魔のような悲鳴を上げながら命からがら西北に逃げて行った。
黒蛇たちは強烈な山おろしに吹き上げられ、文助の走って行く先に飛散している。文助は神事を奏上しながら逃げて行く。
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03 14 〔1350〕
文助は悄然として、黒蛇に囲まれた道を神に任せてまっしぐらに進んで行ったところ、沼に行き当たった。どうしたことか、黒蛇は沼の中には襲ってこなかった。
文助は怪しい虫が這いあがってくるのを薙ぎ払い落としつつ進んで行くと、たくさんの人間の頭が水面に浮かんでいるところにやってきた。よくみれば、今まで自分が霊祭りをしてやった知己や朋友、また現世にいるはずの人々であった。
文助は、その中の一人・久助という男に声をかけ、なぜこんなところにいるのかと尋ねた。久助は、文助が神様の職権を横領して天国へ上げてやろうと慢心して霊祭りをしたから、本来天国に行くべき自分の先祖までがこんなところに落とされてしまったと非難した。
文助は、自分が霊祭りをしたとこに、久助は霊媒に懸って天国へ救われたと言ったではないか、と反論した。久助は、天国へ霊を上げるのは大神様だけだ、慢心した宣伝使の言霊を聞いて、兇党界の悪霊が集まり、自分や先祖の名を騙ったのだと答えた。
文助は、久助たちは罪を犯したからここにいるのだ、自分が救ってやる、とあくまで自説を曲げない。久助が下知すると、沼の亡者たちの頭が水面に大小無数に浮かび上がり、口から真っ黒な水を吹いて文助を襲撃する。
文助は沼の中を一生懸命に泳ぎ走り、ようやく向こう岸に着いた。文助が後を振り返ると、たくさんの亡者の首が水際まで追いかけてきて、恨めしそうな顔をしている。
久助の頭が進んでくると文助に向かい、つい今しがた、瑞の御魂が現れて自分たちを沼から救い出してくれるという御沙汰が下ったところだから、文助への怨みはきれいさっぱり忘れてやる、と告げた。
そして久助は、自分たちはもともと悪人ではなく、天国へ進むだけの資格が合ったにもかかわらず、案内者の不徳によって苦しんでいたのだと告げ、これからは自分の神力で祖先の霊や病気が助かるなどと慢心してはならない、と戒めを与えた。
無数の亡者の頭はにわかに白煙となり、紫色に変じると月のような玉になり、たくさんの星のようなものがその周囲に集まった。そして次第に南の天を指して上って行った。
文助はこの態を見て初めて自分の慢心を悟った。文助は自分こそ天の賊であったと懺悔しながら、荒風が猛る萱野ケ原を進んで行く。ここには草原の中にかなり大きな平たい石があって、むくむくと動いている。文助は立ち止まって、何事かと石を眺めていた。
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03 15 〔1351〕
文助は大石が動くので神言を奏上していた。すると二十歳くらいの娘と十八歳くらいの男が岩の下から現れ、自分たちは文助の娘・年子と息子・平吉だと名乗った。
文助の子・お年と平吉は、それぞれ三つと二つのときに死んだが、霊界で成長したのだという。そしてその間、文助にだまされたという人がたくさん霊界にやってきて睨まれるので、十六年の間、姉弟で萱野ケ原に逃れて隠れて暮らしていたのだという。
文助は自分の子供たちの身の上話を聞いて涙に暮れて考え込んでいる。後ろから肩を叩く者があって驚いて振り向くと、生前の知己の竜助であった。
竜助は、生前に文助が教えてくれた話が霊界へ来てみるとすっかり間違いだらけで、方角がわからなくなって、この原野にさまよっているのだと身の上を語り、文助の二人の子がかわいそうだからときどき様子を見に来て食べる物を渡しているのだ、と語った。
文助は宣伝使としてどのように心を持ったらよいかわからず、嘆いた。竜助は、何事も神様の御神徳によって人が助かり、自分も生き、人の上に立って教えることができるのだ、と文助を諭した。たちまち竜助は大火団となって中空に舞のぼり、東の方面を指して行った。竜助と見えたのは、文助の産土の神の化身であった
産土の神がお年・平吉の身を憐み、神務の余暇にここへきて二人を助けていたことを知った文助は、産土の神の御仁慈を悟って地にひれ伏し、啼泣して感謝をささげた。
文助は二人の子供たちに、自分の慢心の罪を詫びた。文助は、今まで唱える祝詞の力によって天国へ救い導くものと思っていたが、これはたいへんな間違いであり、神様の御力によって救われるのだということを理解し、懺悔した。
この上は神様に何事も任せて、お指図を受ける外にはないことを悟った文助は、親子三人で荒野が原に端座して、一生懸命に祈願を凝らした。
ちなみに、産土の神が二人の姉弟をかくまうために石を使われたのは、石が真を現し、虚偽と罪悪と醜穢を裁断する神力が備わったものであるからである。神の真を現す石は、悪魔の襲来を防ぐ。石は鉱物であり、玉留魂である。
ゆえに石は霊国の真相を現すもので、月の大神の御神徳に相応し、石の玉をもって御神体とする。霊国の神の御舎は石を持って造られている。天国は木をもって宮が造られている。木は愛に相応し、太陽の熱に和合するからである。
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03 16 〔1352〕
文助は子供たちを連れて八衢の関所に進もうとしたが、どうしても子供たちの体は石のようになって動くことができなかった。これは、文助が一念悔悟の上は、大神から直接産土の神に命じられて各々霊の安住所へ導かれることになっていたからである。
文助はわが子の側にしばらくなりと居りたかったが、何者かに後ろから押されるようで、次第に子供たちから遠ざかって行き、親子は別れを告げた。
文助は西北に進んで行くと、水車小屋に突き当たった。何か食べ物を乞おうと門口に立つと、中で粉まみれで働いていたのは、自分の父母であった。父母は、自分たちは文助のために天国の団体から下ろされて、賠償的労働に従事しているのだと語った。
母は、文助は多くの人をウラナイ教の教理で地獄に迷わせた罪によって、自分自身も地獄の苦しみを受けなければならないところだった、それを黙って見て居られず、文助や、文助に迷わされた人たちの罪を軽くしたいと、神様にお願いしてここに水車小屋を建てて、我が身を搗き臼にひかれて穢れを落としながら、艱難苦労をしているのだと明かした。
文助は両親に向かって心の底から天津祝詞を奏上し、神に謝罪した。そして自分が水車の苦行をするから、両親やわが子を助けていただきたいと熱涙を流して祈願を凝らした。文助の両親はまた、吾が子や孫が天国に救われるように祈っている。
そこへ大火団が下り来て中から容色端麗なエンゼルが現れた。エンゼルは、文助の父母が子孫を思う真心が通じ、天国へ帰る時が来たと告げ、自分は三五教の初稚姫だと名乗った。そして文助にはまだ現界で為すべき仕事が残っているので、ここで別れて八衢の関所に行かねばならないと言い渡した。
初稚姫は文助の両親を引き連れ、三個の火団となって東南方の空に立ち去った。文助はその姿を見送りながら感謝の涙にくれた。
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03 17 〔1353〕
霊主体従とは、人間の内分が神に向かって開け、神を愛し理解し、善徳を積み、真の知恵を輝かせて信の真徳に居り、外的事物に拘泥しない状態を云うのである。このような人は地上の天人にして、生きながら天国に籍を置いている。この精霊を本守護神という。
体主霊従とは、人間はどうしても霊界と現界の中間に介在し、一方に天国を開き一方に地獄を開いている。ゆえに、どうしても善悪美醜たがいに交わって世の中の神業に奉仕しなくてはならない。そこでもし、霊を軽んじ体を重んじるなら、体五霊五となり、地獄に向かって内分が開けることになる。
一般に体主霊従は霊学の説明上「悪」とされているが、これは生きながら中有界に迷っている人間の境遇を云うのである。人間は最善を尽くして一つも悪をなさなくても、その心性情動の如何によって、あるいは善となり、あるいは悪となるものである。
何ほど善を尽くしたと思っても、その愛が神的であれば天国、自然的であれば地獄に分かれるのである。体主霊従的人間が、現世で一つでも悪事をなしたら、どうしてもこれは体五霊五より堕ちてしまい、たちまち地獄道に落ちなければならないのである。
善悪不二とは、神が中有界に迷える人間にも自愛の心をもって臨むことを表した言葉であり、人間の言動に当てはまることではない。人間は、肉体を保って現世に在る間は絶対的な善をなすことはできない。しかしその内的生涯において天国に籍を置くことができるなら、これを霊主体従の人ということができるのである。
中有界の八衢は、善悪正邪の審判所である。人間の大部分は、中有界と地獄界に籍を置いている。人間が霊界に行ったときは、外分が除却されて内分のみ存在し、霊的生涯を営むことになる。
純潔な霊は、肉体に附けるすべての悪が払しょくされ、霊相応に天国の団体に和合することができる。あまり利己心の強い精霊は、死後にいたるまでその執着を残し、容易に駆除されず、外分のみ開けてしまう。またその内底の悪が暴露され、浅ましい面貌となって地獄界に堕ちるものである。
文助は八衢の関所に着き、白と赤の守衛に比較的丁寧に導かれて、門の傍らの石の上に腰をかけて息を休めていた。すると半町ばかり手前に騒がしい飴屋の囃子が聞こえてきた。
飴屋は関所の前に荷を卸、ラッパを吹きたてる。たくさんの子供が集まってきて、先を争って銭を差し出し、飴をくれと押し掛ける。子供にせがまれて囃子を歌い、しきりに金を出せを歌って子供相手の商売をやっている。
守衛たちは通行人の身元調べに忙しい中、飴屋が大勢の子供を集めて騒ぎ出したので面喰い、城の守衛が側に寄ってきて、飴屋の爺に別の場所に移動するように言い聞かせた。飴屋はここが幽界の八衢だとは信じず、騒ぎまわる。赤の守衛は大いに怒り、飴屋を手早くひっくくって門内に姿を隠した。
文助は五里霧中に彷徨した心地で、これまでのことは夢か現かとしきりに首をひねっていた。
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04 00 - 本文
04 18 〔1354〕
浮木の森の火の見やぐら前の庭園で、狸にだまされて一夜を明かしたガリヤ、ケース、初、徳の四人は、あたりを見回しながら互いに苦笑していた。そこへ美しい女が一人現れて、四人の前後左右を丸に十を書いて回り、臭い屁を放ってどこかに姿を隠した。
一同はこの場の怪異を平定しなければと気焔を上げている。四人は物見やぐらの最上階に上り、座敷に陣取った。すると押入れの隅からコトコト音がする。戸を開けると、さきほどの屁こき女が小さくなってふるえていた。
女は、自分はおならというこの界隈で有名な屁こき女であり、そのために村においてもらえずに物見やぐらに追いやられているのだ、と語った。女は四人に自分の屁がいかにすごいか、そのためにどうして嫁ぎ先を追い出されたかなど身の上を面白おかしく語って聞かせた。
徳は、おならの耳が動くのに気付いて言い立てた。ガリヤは、自分は初めからこいつはイタチの化け物だと知っていたとおならを詰問する。
おならは、間違いないと自ら正体を明かし、最後っ屁を放った。四人は息がつまり、階段を降って逃げるうちに階下に転落して唸っている。
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04 19 〔1355〕
四人はおならと名乗るイタチの妖怪の屁に吹き飛ばされて負傷し、やけになって互いに川柳を口ずさんで体の痛みを紛らわそうとした。
それぞれひとしきり屁についての川柳をひねると、苦痛を忘れて笑い興じた。それから題なしの川柳にかかり、口々に思い思いのことをしゃべりだし笑いに紛らわした。
一同が出放題の句をひねり出して笑い興じていると、大きな足音をさせて、曲輪城の城主・高宮彦がやってきた。四人は、巨大な男が睨みつけているので驚いて内心打ちふるえている。
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04 20 〔1356〕
四人は、妖幻坊の高宮彦の巨大な姿にうち驚き、心に深く神を念じて助けを祈っていた。妖幻坊の高宮彦は四人の素性を並べ立て、ひとつ風が吹けばまた悪道へ逆転するだろうと嘲笑した。
ガリヤはやっきになって、自分の信仰の堅固なことをまくしたて、高宮彦を妖怪変化と疑い、どうやって短期間にここに立派な城郭を建てたのか説明を迫った。
高宮彦は、自分は元は三五教の宣伝使・時置師の杢助だったが、思うところあって斎苑の館を脱退し、ここに君臨しているのだと明かした。そして四人に、ここに休息して実地を見学するよう勧めた。
一同は高宮彦の案に賛成したが、ガリヤは心の内ではうまくだまされたように装って帰順させるか退治しなくてはならない、と考えていた。
妖幻坊は、自分の娘・初稚姫が逗留しているから、会ってくれるように頼んだ。そして、四人の中に初稚姫の婿候補がいるかのように発言し、四人の気を引こうとした。ガリヤは相変わらず高宮彦を警戒していたが、他の三人は、自分こそ初稚姫の婿候補ではないかと騙されてしまった。
美しい城内の庭園をよこぎり、豪華な門をいくつもくぐって玄関口に着いた。七宝で飾られた椅子やテーブルが並べられ、八人の美しい美女が四人の手を一本ずつ取り、居間へ導いた。
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04 21 〔1357〕
四人は美しい奥の一間に導かれた。ガリヤは終始注意の眼であたりの不可解な光景を凝視していた。初と徳は、その場に現れた高宮姫を見て、どことなく高姫に似ていると首をひねっている。
高宮姫は、杢助が高宮彦となり、初と徳が奪い返してきた曲輪の神力によって、このような壮麗な城郭ができあがり、自分も若返ったのだと初と徳に自慢げに説明した。初は、杢助と高姫の仕打ちに文句を言うが、この曲輪城の左守と右守に任じるという高宮彦・高宮姫の言にすっかり有頂天になり、手なづけられてしまった。
高宮姫は、左守の妻は初稚姫、右守の妻は宮野姫と決められていると告げた。ケースは不服を言い、職務と結婚は別だと言い出した。そこで次の間に控えている初稚姫と宮野姫に、それぞれ言い寄って夫婦を決めることになった。
徳公は、考えてみれば、また狸にだまされているようでここは怪しいと注意をした。ガリヤは目がくらんですっかり高宮彦を信じてしまっている。そこへ四五人の美人が現れ、その中のサベル姫が徳公に言い寄ってきた。
徳公は、サベル姫の容貌に目がくらみ、目じりを下げてサベル姫の居間に導かれてしまった。そこへ四人の美人がやってきて、徳公の体に食らいつく。徳公は、体をかじられて血を吸われているのにもkがつかず、良い気分になり、しかし段々青くなってぐったりと寝てしまった。
ガリヤは心の中に神言を称えながら、警戒しつつ呆けたような顔を装って様子を考えていた。高宮姫はガリヤをうまく説きつけようと全力を尽くし、副城主の地位をもちかけた。ガリヤは副城主の地位に未練があるふりをして高宮姫を安心させた。
いつの間にか高宮彦がいなくなっていたので、後を追って高宮姫も出て行った。後にガリヤ一人が居間に残された。ガリヤが考え込んでいると、さきほどのサベル姫がやってきて、徳公は嫌になったとガリヤに色目を使う。
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04 22 〔1358〕
ガリヤはサベル姫の口に血が付いているのを見てとり、耳に喰いつこうとしたときに腕をグッと握った。するとそれは毛だらけの古狸の手であった。ガリヤは前身の力をぐっと籠めて離さず、懐から取り出した細紐で四足を固くくくって天上裏に吊り下げてしまった。
狸の泣き叫ぶ声を聞いて、高宮彦と高宮姫が部屋にやってきた。ガリヤから化け狸の一件を聞いた高宮彦は、これは自分が手料理すると言ってしばられた狸を持ち去った。これはサベル姫に化けていた部下の幻相坊を助けるためであった。
高宮姫は、サベル姫が狸であったことを知らず、ガリヤの話に驚いていた。それからガリヤは、ケースと初公を助けようと密談の間の外にやってきて、壁に耳を当てて様子を探った。室内にいる初稚姫、宮野姫、ケース、初公は、たがいに取り合いに火花を散らしているようであった。
ケースと初公は、狸に化かされてすっかり現を抜かしている。ガリヤはたまらずドアをこじあけて部屋に押し入った。ケースと初は、狸に耳たぶをむしり取られて血みどろになって倒れている。ガリヤは二匹の狸を追いまわし、一匹を抑えたとたんに腕にかぶりつかれた。ガリヤが放したすきに二匹の狸は姿を隠してしまった。
しばらくすると、宣伝歌の声が涼しく聞こえてきた。猛犬の声もする。あたりを見れば、ガリヤは草ぼうぼうの萱野の真ん中に立っていた。ケース、初は血みどろになって呻いている。
宣伝歌の主は初稚姫であった。妖幻坊、幻魔坊、幻相坊らはスマートの勢いにたまらず、曲輪の術で高宮姫を雲に乗せて、東南の天を指して逃げ帰って行った。
竹藪のなかでは、ランチと片彦が蜘蛛の巣だらけになり青い顔をしてふるえていた。徳公は耳たぶをむしられて野原にのびていた。
ガリヤは初稚姫に助けてもらった感謝の意を述べた。ランチと片彦は、徳公を助けてやってきて、初稚姫に危難を救ってもらったことを涙と共に感謝した。
初稚姫は六人によくよく真理を説き諭した。六人は心を取り直し、祠の森を指して進んで行くことになった。初稚姫は六人を別れ、スマートを従え、宣伝歌を歌いながら西南指して進んで行った。
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05 00 - 本文
05 23 〔1359〕
文助は、秋の時雨の季節を現した八衢の関所で、路傍の石に腰かけて門を通る数多の精霊の審判を聞いていた。
高姫は妖幻坊にさらわれて空中をかけり、途中で取り離されて空中から転落し、デカタン高原のある地点の砂原に気絶していた。その間に精霊が八衢にやってきた。高姫はあたりかまわず日の出神の生き宮を振り回し、自分は時置師神・杢助の妻だと威張り散らしている。
八衢の守衛は杢助は斎苑の館でずっと総務を取っていると高姫をたしなめるが、高姫はまったく聞かず、守衛たちを嘲弄する。文助は高姫に声をかけ、幽冥界の役人に乱暴な言葉を使わないように注意するが、高姫の態度は変わらない。
そこへ、伊吹戸主神様に御用がある本物の杢助が天の一方からやってきた。高姫は杢助に一緒に帰ろうと声をかけるが、本物の杢助は、高姫が妖幻坊という妖怪にだまされていること、自分は高姫と祠の森で会っていないし曲輪城も知らない、と事実を説いて聞かせた。
高姫は杢助の話を信じず、門内に入ろうとする杢助にすがって泣き喚いた。杢助は高姫をポンとけって街道に転げさせ、文助を招いて門内に入って行った。
高姫は八衢の街道に転がりながら、自分は常世姫の再来、高宮姫だと大音声に呼ばわっている。この声をききつけて、八衢に来る精霊が集まってきた。
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05 24 〔1360〕
集まってきた十五六人の精霊たちを前に、高姫は道端の石に腰かけて脱線だらけの宣伝を始めかけた。
群衆の中から文助の娘・お年が高姫の前に進み出て、生前父が世話になったとお礼を述べた。高姫は文助にそんなに大きな娘があるはずがないといぶかるが、お年はここは冥途の八衢で、自分は冥途で成長したのだ、と説明する。高姫はあたりの様子が現界と違うことに気づき、思案する。
八衢の門には、生前に地位と権力を利用して悪事を働いた悪人がやってきた。自分たちは金や武器で地獄でも幅をきかせるのだと言い張るが、三人とも八衢の守衛に武器も金も取り上げられて、門内へ投げ込まれてしまった。
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05 25 〔1361〕
高姫は三人の悪人たちが絞られたのを見て痛快となり、ますます調子に乗って石の上に立ち上がり、大道演説を始め出した。
八衢の赤の守衛は、仕事の邪魔になると、高姫の演説をやめさせようと叱りつけた。高姫は自分は日の出神の生き宮だと赤の守衛を叱りかえした。
赤の守衛はとうとう高姫を縛って木に吊るしてしまった。しかし高姫は伊吹戸主を呼んで来いと怒鳴りたてる始末であった。口の減らない高姫に辟易した守衛たちは、門内に入れておとなしくさせることにした。高姫は得意げに大手を振って門の中に入って行った。
その後は、不倫心中をした男女がやってきて、赤と白の守衛の取り調べに対して、当世風の恋愛論を振りかざして、門内に入って行った。赤と白の守衛は現界の乱れを嘆いた。
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05 26 〔1362〕
次に文助の娘・お年とその弟が呼び出された。守衛たちは、二人は本来天国に行くところを親の罪によってこれまで中有界で修業をしていただけだ、と告げた。そして審判の必要はないと言い渡すと、門内から天男天女を呼び出した。姉弟は、霊光に包まれると、天人たちと共に光となって立ち去った。
次にひどい悋気の姑婆・お照がやってきた。お照は息子の嫁にずいぶんひどい仕打ちをしたが、それはすべて自分が正しかったと守衛たちの前で弁解した。守衛たちは、お照は地獄行きだと叱りつけて門をくぐらせたが、お照は、嫁の悪事をうったえるのだと息巻いている。
次に腕に入墨をした荒くれ男が引き出された。鳶の弁造と名乗る侠客は、守衛に促されて善悪の秤の上に乗せられた。秤は天国も地獄も指さずに水平になった。守衛は、口は悪いが比較的善人だと弁造を評した。
守衛は、弁造は今の状態では天国へも地獄へもいけないから、中有界でしばらく修業するように言いつけた。弁造は、侠客渡世の自分は地獄行きのはずだが、と冴えない顔をして中有界の荒野へ進んで行った。
それからも、たくさんの精霊が一々姓名を尋ねられ、記憶を繰られ、天国・地獄・中有界とそれぞれ主とするところの愛によって裁かれて行った。
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05 27 〔1363〕
時置師神杢助は、八衢の審判神伊吹戸主と館の一間で対談していた。杢助は、高姫が多くの人間を惑わすので、神素盞嗚大神の命により、しばらく現界に帰さないようにしてほしいと依頼した。
しかし高姫の寿命はまだ二十八年残っており、あまり長く霊界にとどめ置くと、肉体に戻れなくなってしまう。杢助は、二三年後に霊界にやってくる女の肉体に、代わりに高姫の精霊を戻すようにしてほしいと依頼した。
伊吹戸主神は、三年後に霊界にやってくる女があるから、それまで高姫をここに留め置いて、三年後にその女の肉体に高姫の精霊を宿し、二十八年間現界で生かすよう取り計らうことになった。
杢助は神素盞嗚大神に高姫の処遇を復命するため、獅子にまたがって斎苑の館に戻って行った。
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