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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第18巻 如意宝珠 巳の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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梅は散り、山桜薫る七日の空に、遅桜は散って葉桜をまとう。また古木の大銀杏がデリケートな若葉の衣をまとった姿もまた悪くない。
万寿山の新緑が時々刻々に芽を吹き出す惟神的な天地の活動、心の空もどんよりと曇りがちな瑞月が、瑞祥閣の奥の間で述べる霊界物語。
黒姫が千思万慮しながらも、玉照姫と母のお玉を引き抜かれてしまい、魔窟ケ原を引き払う。また高姫が悄然として北山村の本城に帰り行くまでの物語である。
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現在よりほとんど三十五万年の昔、神素盞嗚大神が、天の真名井に誓約して瑞の御魂と生れ給ひ、千座の置き戸を負わせられて世界をさすらうことになった。
四方の八岐大蛇を言向け和して、再び日の出の御代となして皇大神に奉り、大海原の主宰である天職を完全に全うしようと、自らの水火より生まれたる八乙女を遣わした。
その中でも英子姫は、お供の悦子姫とともに自転倒島に漂着して、荒ぶる神や、鬼や大蛇を言向け和して、神の御国に礎を永遠に建て給ふ、尊き神代の物語。
ここに天運循環して言の葉の車の流れるままに、松村氏、北村氏、東尾氏、加藤氏らが、名さえめでたい万寿苑に筆を揃えて、言葉の玉を拾い集めると、四月三日に記し置く。
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01 01 〔629〕
紅包む弥生の空に朧に月がかかる。和知の里の小路をとぼとぼと、悦子姫、音彦、加米彦、夏彦らの宣伝使一行が歩いてくる。
向こうから二人連れがやってきて、宣伝使たちの方を見ながらひそひそとささやきつつ眺めていた。これは英子姫と亀彦であった。
一行は邂逅し、芝生の上に座って、これまで宣伝の旅の経緯を語り合った。
英子姫は、弥仙山に父神・神素盞嗚大神の神務を帯びて登ったというが、その内容については明かさなかった。悦子姫一行は、英子姫に勧められて弥仙山に登ることとし、英子姫と亀彦に別れを告げた。
険しい弥仙山を登っていく折りしも、加米彦と夏彦は軽口をたたいている。
途中で、一人の爺に声をかけられ、家によって神様の話をするように懇願される。聞けば、以前にここを通った英子姫一行が、後から来る宣伝使に神の道を聞け、と諭したのだという。
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01 02 〔630〕
爺の豊彦は、一行を自分のあばら家に案内した。豊彦の息子は真名井参りの途中でバラモン教にさらわれて、今は生死もわからないという。
また娘は理由のわからない業病にかかり、十八ケ月も伏せっているという。先だってここを訪れた英子姫によると、これは病気ではなく妊娠だと言われたが、まったく心当たりがない。
悦子姫が見立てて、確かに妊娠であることを確認した。十八ケ月前、夢で白髪の老人が五つの玉を与え、それをお玉に飲ませる夢を親子ともども見た後から、腹が膨れてきたのだという。
悦子姫は、立派な神様の霊魂が宿っているのを見抜いた。そして、厳の御魂の大神がお生まれになる、と診断した。
そのとたん娘のお玉は起き上がり、白髪の神様からも、「七人の女の随一、厳の御霊の誕生」を告げられた、と明かす。そして陣痛を訴え始めた。
悦子姫が取り上げて、無事に女の子が生まれた。悦子姫は女児に、玉照姫と名前をつけた。
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01 03 〔631〕
豊彦・豊姫らの家を出て、山を半分ほど登ったところで日が暮れて暗闇となってきた。一行は枯れ草の混じった禿げた芝生の上に横になって寝についた。
猿の声、大蛇の這うような音、虎狼が唸るような怪声が聞こえてくる。大木が折れるような岩石が崩壊するような凄まじい物音で加米彦は目を覚ました。
加米彦は恐ろしさに夏彦を起こそうとするが、夏彦はこんなことは山の中ではよくあることだと、取り合わない。夏彦はまたいびきをかいて寝てしまったので、加米彦は三人の間に寝て、夜が明けるのを待っていた。
春の夜は早く明けて、一行は朝の禊と拝を行った。そして朝食の後に山を登ると、ほどなくして頂上に達した。
加米彦は絶景を嘆賞していたが、悦子姫は山頂のご神前に暗祈黙祷していた。しばらくして、悦子姫は神勅が下ったので先に行く、と言い残してさっさと山を下ってしまった。
加米彦は慌てて後を追っていく。音彦と夏彦はゆうゆうとご神前に祝詞を上げてからくだり、山の五合目ほどで加米彦に追いついた。
一行は綾の聖地を指して宣伝歌を歌いながら進んで行く。
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02 04 〔632〕
自転倒島の真秀良場、青垣山をめぐらせる下津岩根の貴の苑、この世を治める丸山の、神の稜威は世継王山。桶伏の丸き神の丘、黄金の玉が隠された貴の聖地の永久に動かぬ御代の神柱。
国武彦が常永に鎮まりまして、天翔り国翔ける神力を潜め居る弥仙山。木の花姫の生御魂である埴安彦や埴安姫が築いた神の都は、いつしか栄えて開ける梅の花。
悦子姫一行は、英子姫から弥仙山に神業があると聞いて山に上り、玉照姫の出産に立ち会った。
悦子姫は神の大命を被って、音彦、加米彦、夏彦に命じて世継王山の麓にささやかな家を造らせた。ここに国治立命、豊国姫命を鎮祭した。
ある日、悦子姫を尋ねてくる四人の男女があった。それは、紫姫、青彦、馬、鹿の四人連れであった。
悦子姫は、紫姫のみを部屋に入れて人払いをした。その他の一同は、仕方なく外で待っている。その間、夏彦と加米彦は軽口を叩き合っている。
加米彦が悦子姫に人払いの解除を催促に行くと、一同は呼び戻された。そして神命により悦子姫は近江の竹生島に音彦を伴って行く事になった、と告げた。竹生島には、神素盞嗚大神がお隠れになっている。
加米彦と夏彦は、残って世継王山麓の館を守ることになった。年長者の夏彦を主と決めた。
紫姫一行は、神命によって行く先を授けられた。青彦は、日の出神より若彦と名を賜った。
翌朝、悦子姫と音彦は竹生島へと発ち、紫姫は供の三人に行く先も告げないまま、由良川の河辺伝いに西北指して進んでいった。
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02 05 〔633〕
紫姫一行は、大江山方面へと向かっていた。鹿公は行き先を尋ねるが、紫姫は御神命で固く秘密を守るように言われている、と答える。
すると道中、暗夜に女性の悲鳴が聞こえてきた。紫姫は、若彦、馬公、鹿公に助けに行くようにと命を出す。三人は暗がりの中を悲鳴のした方へ向かっていく。
それはウラナイ教の手下が、黒姫の命でお節をさらってきていた所であった。鹿公はとっさに黒姫の作り声を出して、手下たちを誘導する。馬公が幽霊の真似をすると、ウラナイ教の手下たちは驚いて逃げていってしまった。
鹿公と馬公は、お節を助けて紫姫のところまで連れて行った。お節は、爺婆が亡くなったため、青彦(若彦)を追って聖地に行く途中、ウラナイ教の男二人にかどわかされたのだ、という。
若彦は、お節に名乗りをして二人は再会を果たした。お節は嬉しさに若彦にすがりつく。
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02 06 〔634〕
一行が真夜中に着いたところは、剣尖山ふもとの聖地であった。紫姫は、ここで神勅を得なければならない、という。その間、お供の一同は産釜、産盥で禊をし、神言を奏上して待つように命じた。
若彦、お節、馬公、鹿公の四人が、紫姫指定の場所で禊をしようとすると、そこにはウラナイ教の宣伝歌を一生懸命となえる婆が、二人の従者を従えて水垢離を取っている。
馬公が咎めると、婆は自分は世界の為に結構な神業をしているのだ、と馬公を非難する。鹿公は、悪魔が悪魔の仲間を集めているのだから、邪魔をするな、と茶々を入れる。
婆はしきりにウラナイ教の功徳を並べ立てて、入信を促している。真名井山には、変性女子の瑞の御霊の悪神が居る、と悪口を言う。
お節は黒姫とわかって、声をかける。黒姫は、青彦(若彦)、お節だと気づくと、またもやウラナイ教への改心を迫る。
どうしたことか、若彦は黒姫に元のとおりウラナイ教で使ってください、と申し出る。また、紫姫をウラナイ教に連れてくることも承諾する。
そこへ、紫姫がやってきて、黒姫に挨拶すると、紫姫は黒姫の神格を褒め称えて、自分からウラナイ教の教え乞う。
黒姫は得意げになって一行を引き連れて、魔窟ケ原に引き上げてくる。
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03 07 〔635〕
七八人のウラナイ教の手下たちが、普甲峠の麓で雑談にふけっている。ウラナイ教は三五教に教勢を奪われ、最近は高姫、黒姫の機嫌がすこぶる悪いという。
手下たちはそこで、一計を案じて策略で信者をこしらえることにした。
丑公、寅公、辰公、鷹公、鳶公の五人がバラモン教の兇徒に扮して、三五教の夫婦の参詣者を襲った。そこへ、梅公、浅公、幾公の三人がウラナイ教の宣伝使として登場し、言霊の神力で兇徒を蹴散らす芝居を行った。
夫婦は、綾彦とお民と言った。すっかりウラナイ教の神力と慈悲を信じてしまった。ウラナイ教の男たちは、宿も提供すると言って、二人を魔窟ケ原へと連れて来た。
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03 08 〔636〕
綾彦とは、行方不明になっていた豊彦・豊姫の長男であった。豊彦は夢のお告げで、腹が膨れるお玉の祈願のために彦・お民夫婦を真名井の豊国姫命へ参拝させよ、と神命を受けた。さっそく二人を真名井に参詣させたところ、黒姫の部下たちに捕まってしまったのだった。
魔窟ケ原に帰ってきた浅公は、黒姫に報告をし、さも自分たちが神力でバラモン教徒から綾彦・お民を助け出したかのように語った。
黒姫は、綾彦に自分の身の回りで御用をするように申し付け、お民はウラナイ教の支所・高城山で、松姫の用を足すようにと命じた。
浅公以下は、黒姫から、綾彦夫婦を連れて来た手柄の褒美として、酒を飲むことを許可され、宴会を開いている。一同は酔いに乗じて、今日の策略を大声で話していた。
綾彦とお民は、廊下からふと酒酔いの笑い声を耳にして、聞き耳を立てると、浅公らの企みをすべて聞いてしまった。二人は顔を見合わせ、ひそひそと何事かを囁きながら一睡もせずに夜を明かした。
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03 09 〔637〕
綾彦とお民は、朝起きるとさっそく黒姫に暇乞いをする。黒姫は理由を問う。綾彦とお民は、昨晩浅公らが酔いに任せて、自分たちを計略にかけてここに連れて来たことを自慢しあっていたのを聞いてしまった、と話す。
黒姫は、浅公らを呼んで問い詰め、ウラナイ教を追放する、と言い渡す。梅公は、悪神がウラナイ教を混乱させようと憑依して、あんなことを言わせたのだ、と言い訳する。
黒姫と高山彦は、悪霊退散のために浅公らに谷川で禊をしてくるように、と言う。そして綾彦・お民が聞いた話は、悪霊が浅公らに言わせた嘘だったのだ、と言い聞かせて納得させた。
梅公は禊をしに行く道すがら、自分の策略を自慢する歌を歌い、禊終わって帰ってくる。
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03 10 〔638〕
帰ってきた梅公は、黒姫に、自分は因縁の身魂だから、とつっかかる。黒姫は梅公をたしなめて、綾彦・お民に初の宣伝を聞かせるのだから、お前たちも聞くように、と言って宣伝歌を歌う。
黒姫はこのあと、百日百夜宮川の滝に禊をなし、高山彦と一緒にいったんフサの国に戻って高姫に報告をした。高姫は自転倒島に戻り、衣懸松の下に庵を結んで三五教覆滅を企んでいた。また由良の港の秋山彦の館に入って鍵を盗み、如意宝珠を呑み込んで逃げ出した。
黒姫はそれと行き違いに自転倒島の魔窟ケ原に戻ってきたが、夏彦、常彦らがウラナイ教を見限って出て行ってしまった。それというのも、黒姫と高山彦はもともと夫婦であったが、黒姫が独身主義を標榜して宣伝をしていた手前、夫があるとは信者たちに言えなかった。そこで、神界の都合と称して高山彦を婿入りさせたために、信望を失ったのである。
綾彦は魔窟ケ原で黒姫の身辺を世話し、お民は高城山の松姫の侍女となった。しかしウラナイ教では綾彦・お民の素性を知らず、普通の信者として遇していた。
黒姫が綾彦を共にまたもや宮川で禊中、青彦一行と出会い、青彦一行は何を思ったかにわかにウラナイ教に寝返ったため、黒姫は意気揚々として魔窟ケ原に戻ってきた。
黒姫は高山彦に青彦らを紹介する。黒姫が紫姫にウラナイ教の心得を説いていると、板公と滝公が帰ってきた。板公と滝公は、黒姫の命令でお節を捕まえに行ったが失敗した旨を報告する。
黒姫は板公、滝公の無体に怒って叱り付ける。紫姫が、お節は自分たちが助け出して、青彦と共にここに来ている、と言うと、板公と滝公はあわてて逃げ出していく。黒姫は泣きまねをして紫姫の手間をごまかした。
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04 11 〔639〕
元ウラナイ教で、今は三五教の宣伝使となっていた常彦は、観音峠の頂上で旅の疲れからうとうとしていると、みすぼらしい二人の男が登ってくるのに出くわした。これは、黒姫の元から逃げてきた板公と滝公であった。
板公と滝公は、松姫のところも追い出され、困窮していた。二人は常彦を三五教の宣伝使と認め、空腹を満たすために食物の提供を求めた。常彦は握り飯を与えた。
飢えを満たした二人は常彦に礼を言う。常彦は、二人が板公と滝公であることを認め、このような境遇に陥った訳を尋ねた。二人は黒姫のところで失敗をして逃げた顛末を語った。
常彦は、青彦やお節、紫姫らの一行が黒姫のところに行ったと聞いて、三五教信心堅固な彼らがウラナイ教になったことを不審に思う。そこで魔窟ケ原に行って事の真相を確かめたい、と言う。
滝公と板公は、常彦に恩義を感じて、三五教の人間としてお供したい、と申し出て許可を得る。三人が須知山峠の頂上まで来て休んでいると、そこへ鬼鷹、荒鷹の二人が通りかかった。
鬼鷹、荒鷹は丹州に言われて、こちら方面にやってきたのだ、という。そして、弥仙山の麓の村で、玉照姫という尊い神人が生まれたこと、黒姫が玉照姫をウラナイ教に引き込んで利用しようとしていることを伝えた。
鬼鷹、荒鷹は丹州に言われたとおりの方向に旅を続けた。常彦は、弥仙山に興味を抱きつつ、最初に決めた目的地に進むことを思案した。
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04 12 〔640〕
黒姫から、玉照姫をウラナイ教に向かえるようにと命令を受けた、富彦、寅若、菊若、の三人は、豊彦の家へやってきた。三人は弥仙山の神のお告げだと偽って、豊彦を説得しようとする。
しかしのっけから、豊彦のあばら家を馬鹿にした発現をし、豊彦の不興を買う。三人は偽の神懸りをするが、豊彦に見破られて追い出されてしまう。
三人は作戦を練り、明日お玉が七十五日の忌明けのお参りに弥仙山に登る際に誘拐し、自分たちが助け出したように見せかけて、豊彦に取り入ることにした。
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04 13 〔641〕
三人は弥仙山(金峰山)山頂の神社でお玉を待ち伏せする。その間にも、寅若はお玉をウラナイ教に翻そうと、木花姫命の神勅を装った落書を神社の前に掲げた。ウラナイ教に変心した印に、日陰葛をかぶって下山するように、と書いた。
参拝後、日陰葛をかぶらずに下ってくるお玉を見て、三人はお玉に飛び掛り、猿轡をはめてしまう。そこへ、山を登ってくる笠が見えた。
男は三人に、お玉の所在を尋ねる。三人はごまかすが、男は三人に霊縛をかけると、茂みの中に隠されていたお玉を助け出した。男は丹州であった。
霊縛を解かれた三人は、逃げていく。丹州はお玉の家に迎えられ、丁重にもてなされた。
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05 00 - 本文
05 14 〔642〕
高山彦と黒姫は、玉照姫を迎えに行った富彦、寅若、菊若の消息を待っていた。そこへ三人はそっと中に入ってきた。首尾を尋ねる黒姫に、富彦は数百万の三五教徒に囲まれて奮戦したが、いったん退却してきたのだ、と大法螺を吹く。
黒姫が三人を叱りつけると、すごすごと居間に引き下がって行った。黒姫はふと思い当たることがあり、綾彦を呼んでその身元を尋ねる。綾彦はかたくなに身元を明かすことを拒んだ。
黒姫は青彦を呼んで、綾彦は、豊彦の息子ではないか、と鎌をかける。青彦はそのことを認めてしまう。黒姫は、綾彦夫婦と玉照姫を交換しようと思いつき、青彦に相談を持ちかけた。
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05 15 〔643〕
高姫がフサの国から、天の磐船に乗って魔窟ケ原にやってきた。黒姫が出迎え、玉照姫を奪う計画の進捗を報告する。高姫は、玉照姫が手に入るやいなや、フサの国に連れて帰る心積もりであった。
紫姫は高姫に挨拶をした。直会の宴が開かれ、高姫、黒姫は上機嫌で宣伝歌を歌う。
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05 16 〔644〕
そのさなか、表にけたたましい音がした。梅公が出てみると、そこには常彦、板公、滝公が、青彦と紫姫の本心を確かめようと呼ばわっていた。常彦は、友人たちを邪教から救おうとやってきたのだ、と怒鳴りつける。
常彦は中に入り込み、酒宴の場に現れる。しかし逆に青彦、紫姫に、ウラナイ教になるように、と説得される。あくまで聞かない常彦に対し、青彦は棍棒をくらわせて追い出してしまう。
青彦らを信じきった黒姫は、青彦・紫姫一行に、綾彦とお民を預け、玉照姫と交換してくるように言いつける。
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05 17 〔645〕
常彦ら三人は、四継王山の麓にできた、悦子姫の館に逃げて帰ってきた。そして、加米彦と夏彦に、事の顛末を報告し、青彦たちがウラナイ教に寝返ったことを伝えた。
加米彦は慌てて魔窟ケ原に乗り込もうとするが、夏彦は落ち着いて加米彦を引き止める。夏彦は一日ゆっくりしていれば、青彦、紫姫らの動向がきっとわかる、と落ち着いている。
翌日、悦子姫と音彦が、五十子姫を伴って館に帰ってきた。加米彦と夏彦は慌てて大掃除をして一行を迎える。そこへ、ウラナイ教に潜入していた馬公と鹿公が、けっこうな神様を奉戴して戻ってきた、と報告に来る。
丹州を先頭に、玉照姫を抱いたお玉を連れて、青彦ら一行が館に戻ってきた。悦子姫は嬉し涙を流して玉照姫を迎えた。
青彦はこれまでの経緯を宣伝歌に込めて歌った。
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真の神であり、厳瑞である主神に認められ、愛され、信じられ、また主神を認めて深く信じ愛する所には、必ず天国が開かれる。善徳が同じでないことから、主神を礼拝する方法もひとつではなく、そのために人が往生すべき天国に差ができるのである。
天国は、このような各種の部分から成るひとつの単元である。天国の円満具足の相は、これら部分が調和しているところから来るのである。また各部分に変化があり、その性質によって、円満具足の相が保たれる。
天国の全体は、ひとつの巨人に譬えられる。第一天国は頭部から頚部、第二天国は胸部から膝まで、第三天国は脚部と肘から先を成しているようなものである。
天国は上方にも、中間にも、下方にも存在する。それぞれに天人や精霊が住んでいる。各自その善徳によって住所を異にしている。
宇宙全体では、一物として失われるものはなく、また静止しているものもない。人間の意志や情動も朽ちないものである。霊魂不滅であるから、記憶や意思をもって天国に行くのである。現界へ再生するときは、肉体が弱小であるために、思い出せないだけなのである。また過去世の記憶は人生に益なく弊害があるために、思い出す必要もないのである。しかし天国に行くと、それはますます明瞭になってくる。そのため、天国では再生ではなく、復活というのである。
科学的な交霊論者の議論は、まったく無駄ではないにせよ、謎の間で板ばさみになっている。もはや時間を数えることができない世界へ、死者の後をほんの一足つけて行くだけなのである。
宇宙の真相は、二言三言では現せないし、言い表したとしても、決して現代人の脳に入りきらない。人間の分際としては、いかなる聖人賢哲も、天国や霊界の秘密・真相を握る事は不可能である。この秘密や真相は、宇宙それ自身と同等に無限、絶対、不可測、究極するところの無いものだからである。
死者が我々と交通可能なときには、死者の方でもたいして報告すべきことがない状態にある。一方で天国に登った後は、もはや交通はできないのである。
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