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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第80巻 天祥地瑞 未の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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本巻は、霊界物語八十巻であり、天祥地瑞では第八巻にあたる。
昭和九年七月三十一日に口述を終わる。今後まだ四十巻を口述するため、前途は遼遠である。
本巻は、御樋代神の熱誠によって、葭原の国土に生息して悪事をなす猛獣や邪鬼を払い、新しい国土を樹立する物語である。
付録
君が代の国歌は、母音が左右相対に対照しており、その韻律が美しいことは、皇国日本の厳正中立の精神を如実に表しているものであることを知るべきである(本文中に韻律を左右対称に示した図がある)。
本文
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皇道に明らかにされている神の意義については、四種の大きな区別がある。幽の幽、幽の顕、顕の幽、顕の顕である。
幽の幽神は、天之峰火夫の神以下、皇典に載っている天之御中主神から別天神までの称号である。
幽の顕である神は、天照大神、神素盞嗚尊等の神位にまします神霊を称して言う。天照大神、神素盞嗚尊等は、幽の幽神の御水火(みいき)から出生された体神であり、尊貴きわまる神格である。
顕の幽である神は、大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命等の称号である。いったん地上の現界に姿を顕現して、顕実界を主宰したが、定命がつきて、神界に復活し、幽体となったという意義である。管公(菅原道真)、楠公(楠正成)、豊公(豊臣秀吉)、その他の現人没後の神霊の称号である。
顕の顕なる神は、万世一系の皇統を垂れさせ給い、世界に君臨し給う現人神である天津日嗣天皇の御玉体である。
すべて宇宙も神も万物も、その太源は天之峰火夫の神、すなわち大宇宙の大極限の言霊が幸はいまして成り出でたものなのであるから、最も貴く尊いものは、この言霊以外にないのである。
著者は、天祥地瑞未の巻を口述するにあたり、皇道言霊学上から見た声音の一部を略解しようとするものである。
ワ声の言霊活用:世に生きて活用する。
ヲ声の言霊活用:男、陰茎(を)、居る、己、上命(お)、下諾(お)、唯、尾、緒等の言霊活用がある。
ウ声の言霊活用:心の結、植え立つ、薄き、倦む、結び立つ、憂き、醜き等の活用がある。
ヱ声の言霊活用:笑む、腹中之真(なかわたにまことある)、中腹に成就(なりつく)、必ず出る、などの言霊妙用がある。
ヰ声の言霊活用:三世の瀬戸、寿(いのち)、呼吸之内(いのち)、今、現在電光の機関、など言霊妙用がある。すべて猪は一直線に走ってわき見をしない性である。
ヤ声の言霊活用:矢、焼く、透明体なる天中固有の紋理(あや)、蒼洞、先天の真気(あめのそこたち)、親、左旋、などの言霊妙用がある。
ヨ声の言霊活用:半、呼び出す形、寄り合う、億兆の現在所、漂う形、天地水火纏まる形、能く指令する、等の妙用がある。
ユ声の言霊活用:天の結ぶ姿、蒸せ騰がる、行き届く、努力(ゆめえた)、忌々(ゆゆ)、往来為す、総べ震る(ゆるる)、夢、弓、などの妙用がある。
エ声の言霊活用:猶普き(なほあまねき)、既に移転、編む(えむ)、えらむ、飢る(ううる)、悦び合う、恋れつく、等の活用がある。
イ声の言霊活用:天井、射中る(イあつる)、心の形、興り伸び立ち止まる、父の孫、母の子、親の心をうけ持つ、等の妙用がある。
本文
01 00 - 本文
01 01 〔2005〕
水上山に国土の司の長男であった艶男(あでやか)は、竜の島根に行くことになり、竜女たちの恋の嵐に取り巻かれた。
竜女のひとり、燕子花(かきつばた)との恋に落ち、一緒に竜の島根を抜け出して、水上山に帰り、燕子花を妻とした。
しかし燕子花は出産後に竜神の体に戻っていたところを艶男に目撃され、恥ずかしさのあまり大井川の淵に身を沈めてしまった。
竜の島根から艶男を追ってきた三柱の竜女神の霊と燕子花の霊は恋を争った。その激しさに艶男はついに淵に身を投じたが、暴風、大雨、地震が起こり、水上山は修羅の巷と化した。
阿鼻叫喚の地獄となってしまったが、御樋代神である朝霧比女の神が四柱の侍神を従えて水上山に降臨し、言霊によって天変地異の惨状をしづめた。
朝霧比女の神は、国司夫婦を引退させ、艶男と燕子花の子・竜彦が成人するまで、重臣の巌ケ根に水上山の国政を託した。竜彦は侍神の子心比女の神が預かることとなり、御樋代神一行は高光山に宮居を定めて国土に君臨することとなった。
その後、巌ケ根は、予讃の国の国務を余念なく務めることとなった。水上山から高光山までは、三百里の遠距離であったが、その間の開拓を成し遂げようと、巌ケ根は日夜心を砕いていた。
巌ケ根には、四人の息子、春男、夏男、秋男、冬男がいた。
葭原の国土は、地上一面葭草に覆われ、その間に水奔草(すいほんそう)というものが発生していた。水奔草は見た目は美しいが、毒をもち、これに触るものはたちまち命を落とした。
それがために国津神も禽獣虫魚も原野に住むのを恐れていた。原野に住んでいたのは、甲羅のある鰐に似た怪獣と、蛇とムカデを混同したようなイチジという爬虫族のみであった。
巌ケ根はこの原野を開拓しようと、まず四男の冬男を高光山まで派遣した。冬男はまず国土を視察しようと、水奔草の茂る原野を勇んでまい進していた。
すると、一つの低い丘山に行き当たった。ここには多くの国津神があちこちに穴を掘って住居し、やや広い村を形作っていた。しかしこれは実は生きた人間ではなく、水奔草の毒にあたって生命を失った水奔鬼という幽霊の集団であった。
そのようなことは露知らない冬男は、この丘のとある小さな家に一夜の宿を乞うた。
すると屋内より、年老いた白髪異様の婆が現れ、「笑い婆」と名乗った。婆は笑いながら歌を歌い、娘ともども冬男を歓迎しようと述べた。
冬男は婆の勧めに屋内に進み入ると、容色端麗な乙女が三人、笑みをたたえて愛想よく迎え出た。そして、冬男を誘惑する歌を歌った。
冬男は困惑を歌に現すが、終日の旅行に身体縄のごとく疲れ、ぐったりとその場に倒れ伏してしまった。
本文
01 02 〔2006〕
臥所を起き出た冬男に、三人の乙女らはお茶を勧めた。のどが乾いていた冬男は何も考える間もなくぐっと飲み干したが、その味わいは香ばしいが臭みがあった。もしや水奔草の茶ではないかと驚いたが、何食わぬ体で天地を拝し、天之数歌を歌った。
するとたちまち家も笑い婆も三人の乙女も消えうせ、あたりは白樺と雑草の茂る丘の上となってしまった。
冬男は驚いて草原を進んでいったが、だんだんに頭は痛み足はだるみ、気分が悪くなってきた。小さな丘にたどりついたが、体は腫れ上がり身動きもできなくなってしまった。
すると闇の中から笑い婆の声が聞こえてきた。そして、冬男を計略にかけ、毒茶を飲ませたことを誇らしげに歌った。三人の乙女は娘などではなく、やはり水奔草の毒茶で命を落とした水奔鬼であった。
冬男は息も切れ切れになりながら笑い婆に抵抗するが、笑い婆は冬男をあざ笑う。冬男は無念の歯を食いしばりながら笑い婆の思い通りにはならないと意気を歌うが、ついにその場に打ち伏して命を落としてしまった。
本文
01 03 〔2007〕
笑い婆は、息の絶えた冬男の霊魂と身体を茨の鞭で打ちたたいていたが、闇の中から二人の大男が現れて、婆の首を引っつかむと、どっと大地に投げつけた。
これは、前にやはり笑い婆の計略にかかって命を落とした、かつての冬男の家臣・熊公と虎公の精霊であった。熊公と虎公は婆の両手をつかんで左右から力限りに引っ張れば、婆は顔をしかめ、火団となって忍ケ丘へ逃げ去った。
冬男の精霊は、家の家臣・熊公と虎公の霊に助け出されたのを喜んだが、また以前に原野に派遣された二人が、笑い婆の毒茶によって命を落としていたことを知った。
三人は、こうなったら主従力を合わせて笑い婆の命を取って、後の災いを取り除こうと協議一決した。そして、婆の住処である忍ケ丘まで、進軍歌を歌いながら進んでいった。
三人は真夜中ごろ、忍ケ丘の笑い婆の家の表に着いた。そっと破れ戸の外から中の様子をうかがうと、婆は熊公・虎公に両腕を引き伸ばされた痛みに苦しみもだえていた。
三人の乙女は婆を介抱するどころか、命を奪われた上に日ごろ使われていた恨みを晴らそうと、枕辺に立って婆を見下ろしていた。
本文
01 04 〔2008〕
冬男、熊公、虎公は家の中に進み入った。婆は驚きの色を見せながらもかすかに笑い声をもらし、目を怒らせて三男三女を見上げていた。
冬男は婆を戒め改心を迫るが、婆は逆に、現世の苦しみを助けようと命を奪ったのだから、感謝するべきであり、この忍ケ丘の幽霊たちは、自分が救ってあげた者たちばかりだ、と嘯いた。
冬男、熊公、虎公と三人の娘・山、川、海は怒って婆をののしり、今こそ婆を滅ぼそうと歌を歌うが、婆は苦しみ冷や汗をかきながらも、しぶとく一同をののりし返している。
一同は心を合わせて、今こそ婆を征伐して滅ぼそうとする折しも、表戸を静かに開いて入ってきたごま塩頭の中婆があった。中婆は一同に目礼し、自分は「譏り(そしり)」であると名乗った。そして、里人の代表として、怪我をした笑い婆を見舞いに来たのだ、と述べた。
譏り婆は笑い婆に近寄って抱き起こすと、すっくと背に負ってまっしぐらに表を指して駆け出した。そして沖天の雲に乗り、遠い南の空に向かって、雲を霞と逃げ去ってしまった。この婆は笑い婆の妹で、間断なく人を譏っている悪魔であった。
残された六人は後を追うすべもなく、互いに顔を見合わせてしばらく呆然としていた。
本文
01 05 〔2009〕
忍ケ丘から笑い婆が火の玉となって出て行ったのを見て、幽霊の里人たちは、頭の茄子という精霊を先頭に、婆の館に様子を見に来た。山、川、海の三人は、笑い婆が三人の客人のおかげで逃げ去ったことを報告した。
幽霊の里人たちは婆が逃げ去ったことを喜び、歓呼の声を上げて踊り祝った。茄子は、婆が帰ってくる前に根城を固めておこうと、冬男と山、熊公と川、虎公と海を見合わせ、幽界の結婚式を挙げさせた。
幽冥界は意思想念の世界であれば、くどくどしい式もいらず、挙式は極めて簡単に終わった。それぞれの夫婦はお互いに誓いの歌を歌いあった。
鬼婆が逃げ去り、村人の心は清新の空気が注がれた。また三組の結婚式が行われ、この丘の里は、霊界ながら平和な花園となり、安らかに治まったのである。
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01 06 〔2010〕 本文
02 00 - 本文
02 07 〔2011〕 本文
02 08 〔2012〕 本文
02 09 〔2013〕 本文
02 10 〔2014〕 本文
02 11 〔2015〕 本文
02 12 〔2016〕
四辺は暗く雲が立ち込め、風一つない蒸し暑い空気がみなぎる中、苦しみの中で葭草と水奔草が生い茂る荒野が原を進み行く一人の男があった。
笑い婆、謗り婆の計略によって穴に落とされ、命を奪われた秋男は、幽冥の中をさまよいながら、これまでの事件を述懐していた。
すると、血のような色をした濁水が流れる大川に行き当たった。秋男はどうやってこの川を渡ろうかと思案に暮れていた。
すると、傍らのよし草をそよがせて、痩せこけた老婆が杖をつきながら秋男の前に現れた。
婆は、自分は秋男の命を奪った笑い婆・謗り婆の姉妹、瘧婆であると名乗り、秋男の霊の生命を奪おうと襲い掛かってきた。
秋男は身体きわまってどうすることもできなくなったが、そこに松、竹、梅、桜の従者の精霊たちが助けに現れ、婆を取り囲んだ。
4人は一度に瘧婆に殴りかかったが、一同のこぶしが傷ついただけで、婆は平然とあざ笑っていた。
そこへ突如、空をどよもして進んできた一柱の火団が轟然と川辺に落下した。と、瘧婆の影は雲霧と消えて跡形もなく、よく見ると5人一同は、まだ落とし穴の底に横たわっているのみであった。
5人はまだ自分たちが生命があることに気づき、何とかして穴から脱出しようと思案した。そして、秋男が言霊歌を歌い終わると、地底は次第にふくれあがり、辺りの景色は以前の樹蔭に戻った。
秋男は天地の神の恵みに生き返ったことを感謝し、曲津の砦に攻め込む意気を歌った。
本文
02 13 〔2017〕
よみがえった5人一行は、火炎山の麓の樹の陰に息を休ませながら、これまでの述懐を歌に歌った。
秋男は、一同の勇気を鼓舞し、松、竹を先頭に、壁の切り立ったうねうねとした坂道を一足刻みに上っていった。
秋男一行は歌いながら進んでいくが、一向に火炎の山が近づいてこないことに気づき、悪魔の仕業ではないかと秋男は天之数歌を歌い始めた。
すると、こもり樹のこずえの方から、笑い婆が秋男たちを罵り笑う声が聞こえてきた。秋男は婆に歌い返すが、今度は譏り婆の声が秋男たちを脅し、身の毛もよだつ恐ろしい声で降伏の勧告をしてきた。
一行五人はここぞと一生懸命に天之数歌を奏上していた。
本文
02 14 〔2018〕
火炎山の頂上には、虎、熊、獅子、狼、豹、大蛇などの猛獣の悪魔たちが、火口の周囲に生息して火種を奪われないように守っていた。
それというのも、もしこの火種を奪われて大原野に放たれてしまうと、猛獣の悪魔たちはたちまち焼き殺されて全滅してしまうことを恐れていたからであった。
秋男が火炎山に向かっていたのも、この火を奪って猛獣の悪魔たちを焼き滅ぼそうと計画していたからに他ならなかった。
猛獣の悪魔の王たちは、水奔鬼たちを使役して、人間がこの山に近づくのを妨害していたのであった。
猛獣の悪魔の王たちが秋男一行をどうやって防ごうかと協議している最中、秋男たちの言霊に打ち負かされた笑い婆、譏り婆が逃げてきた。そして、悪魔の王たちに助力を求めてきた。
猛獣の悪魔たちは、水奔鬼の婆たちのふがいなさを責めるが、結局一致団結して秋男一行に対する防御を敷くことに決定した。
一方、秋男たちは、言霊によって水奔鬼の婆たちを追い払うと、山頂には火炎山の噴火が見えてきた。婆の幻術を打ち破り、山頂の火を求めて行軍しようと意気を上げたその矢先、猛獣の悪魔たちは秋男たちの足止めをしようと、猛烈な雨・風・雷を起こしてきた。
闇の中に稲妻がひらめく間から、鬼婆の影が現れ、再び笑い婆のおぞましい声が響いてきた。そして、猛獣の悪魔の力を借りて、秋男一行の胆力を奪おうと再び脅しをかけてきた。
秋男は胆力を据えて天地を礼拝し、生言霊を奏上するや、雷鳴電光・激しい風雨はぴたりと止んでしまい、空は晴れ渡って元の光景に立ち返った。
本文
02 15 〔2019〕
秋男は木蔭に立って再び生言霊の祝詞を奏上し、葭原国を開くため、水上山の第三子が言霊によって悪魔を打ち負かし、言向け和すと宣り上げた。すると、心地よい風が吹き通り、山腹の女郎花をゆるがせ、めでたい鳥の声がすがすがしく、虫の声もうるわしく聞こえてきた。
一同は言霊の威力に力を得て、壁立つ山肌を山頂に向かって登り始めた。山頂も間近になったころ、一同は腰をおろして体を休め、下界を眺めながらそれぞれここまでの述懐と、最後の決戦の決意を歌っていた。
すると突然、山頂から大岩石の雨が降り落ちてきた。五人は危険の中を省みずに岩の雨をくぐって山頂に達した。すると、猛獣毒蛇の悪魔たちがいっせいに五人に襲い掛かってきた。
五人は火種を奪おうと火口に殺到したが、猛獣毒蛇の群れは必死で襲い掛かった。そして五人をくわえると、次々に火口に投げ下ろしてしまった。
五人の勇者は火口の火に焼かれ、白骨となって天高く舞い上がり、地上に落ちて果てた。
本文
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03 16 〔2020〕
秋男一行が猛獣の悪魔たちに噴火口に投げ入れられて命を落とした後、半時ほどして火炎山はたちまち大鳴動を始め、前後左右上下に振動すると大爆発を起こした。
高い山影は跡形もなくなり、代わりに大きな湖水が出現し、中央の小さな小島が残るのみであった。猛獣毒蛇、水奔鬼たちは大部分が全滅し、中央の小島には、秋男たちの精霊と、朝霧ら国津神の娘たちの水奔鬼が残り、秋男の精霊は島の主となった。
秋男たちは、未だに残る少数の猛獣毒蛇を滅ぼして、ここに精霊の安全地帯を作ろうと苦心していたが、身体を失った精霊の身では猛獣毒蛇に対抗する力がなく、天地の神に祈願して救いを待つのみであった。
高光山の朝霧比女の神一行は、火炎山が大爆発を起こしたことを知り、協議の結果、朝空男の神、国生男の神二柱が、天の鳥船を作って予讃の国に向かい、様子をうかがってくることとなった。
朝空男の神、国生男の神は述懐の歌を歌いながら鳥船を操り、予讃の国の雲をかき分けて地上に降り、かつて笑い婆の棲家であった忍ケ丘の平地に降り立った。
火炎山は大きな湖になってしまったが、その湖水が忍ケ丘の一里ほど近くまで展開していた。二柱の神々が丘の上で感謝の歌を捧げていると、かつて笑い婆に命を奪われて、精霊となって忍ケ丘を守っていた冬男たちが現れ来て、両神にこれまでの経緯と、降臨への感謝を歌った。
神々は、冬男たちが精霊の身で水奔鬼の鬼婆を追い出したと聞いて、その魂の強さに感心した。両神は、精霊たちを安堵させると、その夜は忍ケ丘の冬男の館に休息を取った。
本文
03 17 〔2021〕
火炎山の爆発によってほとんどの猛獣毒蛇たちは全滅したが、鱗の固い爬虫類は湖水の岸辺の水奔草の中にもぐりこんで、害をなしていた。
朝空男、国生男の二神が降った忍ケ丘の付近は、湖水が一里近くまで迫っていたこともあり、これら生き残った猛獣や水奔鬼が登って来ようとするために、冬男たち精霊はその防御に苦心していた。
二神は精霊たちを安堵させると、攻めてくる猛獣や水奔鬼の群れに向かって代わる代わる生言霊を宣りあげた。すると、悪魔たちは言霊に妨げられて丘に登ってこれなくなった。
二神は、生言霊によって悪魔を清めるために自分たちは御樋代神によって使わされたのだ、と歌った。冬男たちは感謝の歌を捧げた。
国生男の神は、忍ケ丘に館を作って住み、国土を治めようと歌った。朝空男の神は、しばらく国生男の神と一緒にここに止まって国を治めようと歌った。そして、火の湖が平穏に復する日を待つこととなった。
本文
03 18 〔2022〕
水上山の執政・巌ケ根は、高光山以西を視察するために派遣した四男の冬男、三男の秋男一行がいつまで待っても戻ってこないため、さらに自分の子を派遣して調査させようかと事を図っていた。
すると、東南の方に火炎山は轟然として爆発し、水上山まで振動が伝わってくるほどであった。
そのため、巌ケ根は意を決して長男・春男、次男・夏男に命じ、執政の水音、瀬音を補佐に数多の従者を引き連れさせて、調査に向かうこととした。
巌ケ根は出発に際して斎主となり、調査の旅の無事を祈念する祝詞を宣り上げた。
一同はそれぞれ出発の述懐歌を歌うと、木枯らしが吹きすさぶ野路を東南に向かって進んだ。それぞれ行軍歌を歌いながら進発し、茂みの森影で一夜を明かすことになった。
そのあたりは火炎山が陥落したために、猛獣や毒蛇が集まってきている場所であったため、辺りには怪しい鳴き声が響き、不快な空気が漂っていた。
本文
03 19 〔2023〕
一同は森を出て原野を進んでいった。火炎山が爆発して変わり果てたあたりの様子を歌いながら、行進して行った。
一行は月見ケ丘に着いた。そのときには黄昏時であり、闇が深くなってきていた。月見ケ丘は、秋男一行が譏り婆と言霊戦を行った場所であった。
一同はあたりの怪しい様子に警戒をしていた。するとリズムの合わないとんちんかんな音楽が響き渡り、そのあたりだけが昼間のように明るくなった。
闇の中から四人の美人が現れ、媚を呈しながら一行に向かって、自分たちは葭井の里の国津神の娘であり、火炎山が陥没したために家が湖の底に沈んでしまったために、月見ケ丘に難を避けていたのだ、と語った。
春男は女たちの様子が怪しいので疑っていた。執政のひとり水音は、女に尻尾があることを見て取り、女が譏り婆の化身であることを見破った。
するとにわかに辺りは闇に戻り、いやらしい声がしきりに聞こえてきた。譏り婆は自分が秋男を火炎山で殺めたことを誇らしげに語ると、他の三人の女は笑い婆、瘧り婆、泣き婆が変装したものであると正体を明かした。
譏り婆は、自分の幻術で一同の目をくりぬいたなどと脅して、一同を混乱させようとした。春男、夏男、水音、瀬音はあまたの従者と共に、天の数歌を大音声に宣り上げた。鬼婆たちは言霊に辟易し、怪しい悲鳴をあげながらいずこともなく逃げ去った。
すると月見ケ丘の闇は晴れ、大空の月が晧晧と輝きわたった。東南方には、火炎山の陥没によって生まれた火の湖が、寂然と波静かに月星の影を浮かべていた。
本文
03 20 〔2024〕
火の湖の中央に浮かんでいる小島を、秋男島といった。水奔鬼の鬼婆たちは、この島を住処にしようと企んでいたが、秋男たちの精霊がこの島の司となっており、悪魔たちを防ごうと言霊戦を行っていた。
笑い婆は悪魔を引き連れて、濁った言霊で秋男たちを攻め立てていた。譏り婆はさらに水奔鬼たちを使っていっせいに耳を聾するばかりの怪音で島を包んで攻撃してきた。
そこへ天の鳥船が空に現れ、秋男島の砂地に悠々と舞い降りた。そして、朝空男の神、国生男の神を始めとし、精霊となった冬男一行が現れた。また、水上山から弟たちの消息を尋ねてきた春男、夏男、執政の水音、瀬音とその従者たちも、鳥船から降りて来た。
秋男はこの様を見て歓喜し、天津神の前に出て感謝の路を述べ、また弟の精霊や兄たちに面会できたうれしさに、踊り歌った。
朝空男の神、国生男の神は、秋男たち秋男島を守ってきた精霊たちを安堵させる歌を歌った。冬男は兄の精霊との再会を喜び、水音、瀬音は若君たちの精霊に会うことができた喜びを歌った。春男、夏男も、弟たちが命を落としたことを知って悲しんだが、精霊として存在していることに心を慰めた。
秋男は一同に感謝の歌を述べた。
二柱の天津神は秋男島の頂上に登り、天の数歌を奏上すると、水奔鬼の鬼婆たちは満身に傷を負って湖上を逃げ去り、終に力尽きて熱湯の湖水に陥って全滅した。
春男・夏男の一行は一人も命を落とすことなく無事に水上山に復命した。そして、二人の弟の身の成り行きなどをつぶさに神前に報告した。巌ケ根は三男、四男が命を落としたことを知って落胆したが、神恩の深いことを感謝し、朝夕神前に祝詞を上げる日を送ることになった。
秋男たち精霊一行は、秋男島に鎮まり、湖中の神として往来の船や漁夫たちを永遠に守ることとなった。また冬男は忍ケ丘に熊公、虎公、山、川、海の精霊たちと共に永遠に鎮まり、霊界から葭原国の栄を守り、悪魔を滅ぼす神として、国人から尊敬を集めることとなった。
本文
03 21 〔2025〕
葭原国を東西に画する中央山脈の最高峰が、高光山であった。常に紫の瑞雲がたなびく霊地であった。この地点を青木が原といい、八百万の神が集まって政に仕えていた。
御樋代神の朝霧比女の神は、神苑を逍遥しながら国土を統べる神業に心を悩ませていた。朝霧比女の神は、子心比女の神が竜彦をあやしながら養育している様を見て、肌身離さず育んで良く育て、国の司となるように、と言葉を掛けた。
子心比女の神は朝霧比女の神の気遣いに感謝し、また火炎山の視察に出た朝空男、国生男の神がどうなったかを尋ねた。すると、ちょうど空に天の鳥船の影が見えてきた。
朝空男の神、国生男の神の無事帰着に、高光山の神々は喜びの声を上げた。朝霧比女の神が二神の労をねぎらう歌を歌った。
朝空男の神は火炎山の爆発を報告し、国生男の神は、水上山の国津神たちの国土開拓の進捗を報告した。二神は、火炎山の曲津神を焼き滅ぼす力を持った火種が失われてしまったことを懸念し、今後の方策を朝霧比女の神に諮った。
朝霧比女の神も今後は御火をどうやって得たらよいかを心配したが、まずは大御照の神が、百日の禊を終えて帰ってくるのを待つようにと歌った。
折りしも禊を終えて帰ってきた大御照の神が、青木ケ原の聖場に来着した。そして、万里の海を越えてやってくる朝香比女の神が、御火をもたらすであろう、と言葉を賜ったことを明かし、松浦の港に朝香比女の神を出迎えに行くよう進言した。
朝霧比女の神は斎戒沐浴し、青木ケ原の神前に自ら斎主となり、天の鳥船での出迎えに当たって空中安全の祈願をなした。祭典の無事終了をもって、朝空男の神、国生男の神、大御照の神の三柱神たちは、鳥船に乗り込んで松浦の港へ、朝香比女の神一行を出迎えに出発した。
本文
03 22 〔2026〕
朝香比女の神一行は、歎かひの島の国津神たちに燧石を授けて歓ぎの島と名づけた後、葭原の国に向かって進み、国土の東海岸にある松浦の港に、真昼頃にようやく到着した。
一行は老松生い茂る磯辺に上陸し、美しい景色をめでながら、述懐の歌を歌った。すると、天の鳥船が空気をどよもしながら、松浦の港に向かってやってくるのが見えた。
鳥船が空を翔けてくる有様を歌っているうちに、鳥船は静かに松浦の港の砂浜の上に着地した。初めて鳥船を見た朝香比女の神の従者神たちは、口々に驚きの歌を歌った。
鳥船からは朝空男、国生男、大御照の三柱の神が降り来たり、朝香比女一行に最敬礼をなすと、御樋代神・朝霧比女の神の命により、一行を迎えに来たことを伝えた。
朝香比女の神は朝霧比女の神の心遣いに謝意を表した。一同は挨拶を交わすと、天の鳥船に乗り込んで松浦港を出発し、高光山へと飛び立った。
朝香比女の神は下界を見下ろして、水奔草が生い茂る原野に気づき、これを焼き払うために燧石を朝霧比女の神に授けようと歌った。
一行は空中の旅を歌に歌ううちに、その日の夕方ごろに青木ケ原の聖場に降り立った。高光山の神々たちは両手を高く差し上げて、ときの声を上げて歓迎の意を表した。
本文
03 23 〔2027〕
高光山の聖場は、朝香比女の神の降臨によって輝きがみなぎり、瑞雲たなびき新生の気があたりにただよった。
朝霧比女の神は、八尋殿に朝香比女の神一行を招き、心限りの歓待をした。朝霧比女の神は、朝香比女の神の来着を喜ぶ歌を歌い、朝香比女の神は感謝の辞を歌った。そして、各従者神たちも互いに歓迎と感謝の辞を述べ終わると、朝香比女の神は、葭原の国の原野を焼き清めるために、燧石を国土の宝として進呈しようと提案した。
朝霧比女の神はいたく喜び、朝香比女の神に感謝の歌を歌うとさっそく、大御照の神以下の神々に命じて地上に降らしめ、真火の燧石で葭原に火を放たせた。すると、折からの旋風にたちまち原野は火の海となり、水奔草や猛獣毒蛇は火に包まれた。
この様を見て、朝香比女の神、朝霧比女の神以下高光山の神々は歓び、歓声を上げた。大御照の神は高光山に復命し、焼き清めの様子を詳細に報告した。朝霧比女の神は改めて、真火の神徳に感謝の歌を歌った。
ここに山上の宴会は終了した。朝霧比女の神以下高光山の神々は、朝香比女の神一行に感謝の辞を述べ、松浦の港まで、朝空男の神、国生男の神が鳥船で一行を送っていった。
半日をかけて松浦の港に着くと、朝空男の神は、国生男の神を残して去っていった。これは、朝霧比女の神が朝香比女の神の好意に報いようと、天の鳥船の製造技術を持つ国生男の神を、朝香比女の神の供として仕えるように遣わしたのであった。
朝香比女の神一行は、国生男の神を新しい供に加えて、西方の国土を指して出航していった。
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