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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第26巻 海洋万里 丑の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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教主館の奥の間で、写真の準備ができるのを待っている。敷島煙草を二本灰にしたが、まだフラッシュが照らない。霊界物語の口絵を造ろうとしているのだ。神の守りがある限り、この写真が写らないなどということはない。
このことを『海洋万里』丑の巻の序歌の代わりに述べておく。はっきり写らぬときは、諸人よ、神の仕組の宣り直しである、よく見直せよ。
松村真澄をはじめ三人の筆録者と向かい合いつつ、晴れよ晴れよと気をいらつ五月の十九日に、宵の灯りを待つのももどかしく、口車を止めておくことにする。
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(一)
ひの神国の中心地に夫婦の神が現れて、みろくの御代を開こうと四つ尾山の裾に斎の神の口を借りて、神代の有様を説き明かし、大和魂の養成に身も心も尽くして言の葉を百の神たちや諸人たちに宣旨したまう。
神が表に現れて昔の神代に建て直し、奈落の底に落ちた餓鬼畜生の身魂まで助けようと三五の誠心を振り起して、血潮を吐きつつ雲霧を払う有り難さ。
隔てなき世である神の国を待ち、五六七のうまし世を世界に照らすことこそ、実に尊さの極みである。
(二)
神が表に現れて、唐の身魂も諸共に治めて救う。百八十国の果てまでも照らす霊界物語。東西南北は天津日嗣の御陵厳に楽土と変わる。四方の国を晴らして助ける皇神は、蓮華台上に鎮まって天地と世を清め、梅の花が開くようにたちまち現れ出る。
国常立大御神は、永遠に五六七の世を治め給う。
高天原に隈なく照り輝く御光に我が身の雲を晴らしつつ、心の鏡を瑠璃光如来に磨かれて、いよいよ神の道をのどかに進むこととなる。
世の中は紫陽花の花の色のように変化する。鬼も悪魔もたちまち、月の光に照らされて、国常立・豊雲野両神の神魂に見習って至仁至愛の身魂となるのである。これが神の教えにかない、睦び親しむ五六七の世である。日の大神は天の岩戸が開けて出でます。世界は光り輝く神の国となった。
秀妻の国も仏教の教えを誤解したがために汚れてしまったのだが、経緯の二柱が波に漂うように迷っていた民草を救い上げた。
富んだ人も貧しい人ものどかな園に睦びあい、良い・悪いという固い垣根を取り払って暮らすのが神の御代である。命を長く保ち、神人の光は高く天地にさえ渡るのである。
錦の機の御仕組みで瑞御魂と厳御魂が並んで現世の亡びを助けようと大御声をせきこみ給う。しかしそれを聞く人もなく、木々がもまれる有様は並々ならない風情である。
世界にとどろく葦原の瑞穂の国の民草よ、野にも山にも神の徳があり、秋の稲の稔りは著しい。それほどに神が守り給える尊さを思え。そして血潮に染まる紅葉や、清く咲く蓮華の花、隆々と登る旭光に倣って、神の道・秀妻の国の精神を世界の果てまで輝かせ、五六七の御代を楽しもう。
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01 01 〔766〕
世界の五大洲である豊葦原の瑞穂国の中でも、メソポタミヤの楽園と並んで清い自転倒島は、七五三の波清く風穏やかな神守の島や、蓮華台上の霊山に、この世を清める三つ御霊が現れた。
国治立大神は厳の御霊を分け給い国武彦と現れて、五六七の神世が来るまで無限の力を隠しつつ、松の世の礎を固く築き固める。
玉照彦命、玉照姫命になぞらえて、金剛不壊の如意宝珠、黄金の玉、紫の玉などの宝玉を集めて、豊国主命の分霊である言霊別命の末裔である言依別命を教主として、錦の宮に伊都能売の神策を仕組み給うた。
言依別命、玉能姫、初稚姫の三つの御霊は、ひそかに神の宣勅を受けて、玉のありかを隠して、遠い未来の三つの御玉の出現を待ち給う。神素盞嗚大神の深遠微妙な御経綸である。
梅子姫を竜宮の宝島に遣わして、黄竜姫を盾として、玉治別、久助、お民、友彦、テールス姫らの身魂を磨き、諏訪の湖から五つの玉を玉依姫から授かった。
言依別命は、竜宮島から宝玉を持ち帰った十人の宣伝使を迎えるために、杢助や遠近に派遣していた神司を集めて、事の詳細を包み隠さず示した。そして数多の人々を引き連れて、由良の港へと十人を迎えに出立した。
八咫烏は梅子姫、初稚姫、玉能姫、玉治別、黄竜姫、蜈蚣姫、友彦、テールス姫、久助、お民を乗せて由良の港の秋山彦の館に降ってきた。一行は歓呼の声に迎えられ、五個の宝玉は、用意されていた柳箱に納められた。
言依別命と秋山彦夫婦は、別館において慰労の宴に列し、歓声は四辺に聞こえてきた。
素盞嗚尊は辺りに人が無いことを見ると、国武彦命と何事かを示し合わせ、五十子姫を招くと、言依別、秋山彦、紅葉姫と共に玉の入った柳箱を次の間に運ばせ、同じ形の箱を元の神前に飾り入れ替えてしまった。
この御経綸は、国武彦命、梅子姫、五十子姫、言依別命、秋山彦・紅葉姫夫婦のほかには絶対に知る者はなかった。
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01 02 〔767〕
竜宮の麻邇の玉が秋山彦の館に安着し、いよいよ五個の神宝は、聖地指して由良川をさかのぼっていくことになった。一同は由良川の河口で禊祓いを行い、金銀色の帆に風をはらませて川をさかのぼることになった。
出発に際して一同は、玉の安着を祝して歌をうたい舞うことになった。まず秋山彦が宣伝使服を身にまとい、歌い舞い始めた。
秋山彦の歌:九月八日のよき日に、神素盞嗚大神と国武彦命の仕組みによって、竜宮の麻邇の玉が自分の館に入ったことを祝した。そして玉が無事に聖地に着くことを祈願した。
次に紅葉姫は立ち上がり、かつて高姫が如意宝珠の玉を盗んで行ったことを思い出に、麻邇の宝珠も心を配って聖地に運んで行くように、と老婆心に注意をする歌を歌った。
初稚姫は、神代に稚桜姫命が八十曲津のために道を誤って地獄の釜の焦げ起こしの試練を受け、いよいよ心を建て直し、今ここに時置師の神の化身である杢助の娘・初稚姫として再生したと歌に明かした。そして、そんな自分が国治立大神の神業に仕えることになったことの感慨を歌った。また竜宮島に至った冒険の経緯とその成功の喜びに、高姫や黒姫ともこの喜びを分かち合いたいとの真心を歌に示した。
続いて梅子姫は、バラモン教に占領されてしまったメソポタミヤの顕恩郷に、父大神の命を受けて潜入して取り戻した故事を歌い、その後バラモン教徒の復讐により小舟に乗せられて大洋に流されたことから、竜宮島の冒険にかかわることになったことを歌った。そして竜宮島での神業をつぶさに歌に歌いこんで表した。
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01 03 〔768〕
続いて玉治別は銀扇を広げて立ち、歌った。自分が三五教に導かれた経緯から初めて、鷹依姫退治の後に宝玉に紛失して玉探しが始まった経緯を歌った。玉の執着にとらわれた高姫を見守って竜宮島に至り、ネルソン山を越えて諏訪の湖に達して麻邇の宝玉の神業に携わった経緯を歌った。そして神素盞嗚大神と国武彦命に、生きとし生けるすべてのものに平安と栄光と歓喜を祈願して歌を終えた。
黄竜姫は立ち上がり歌い始めた。自分のこれまでの経緯を明かし、友彦と共に父母の許から逐電したが、錫欄の島で友彦と別れて五十子姫に救われ、オーストラリヤの新女王となった経緯、その後の麻邇の宝玉の神業に携わった経緯を歌った。しかしその中で、密かに玉治別に恋心を抱いていた心のたけを歌に歌いこんで明かした。
玉治別は当惑しながら、言葉静かに返歌を歌った。自分にはすでにお勝という妻があり、黄竜姫の思いには応えられないと、神の前に表白した。
黄竜姫はこの返歌に恋の雲も晴れて、いよいよ熱心に神業に奉仕することとなった。
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01 04 〔769〕
続いて玉能姫は立ち上がり、玉の無事安着したことを祝って、これまでの経緯を歌った。そして、蜈蚣姫がバラモン教の副棟梁の妻でありながら、心を清めて改め、三五教に使えてこの度の神業に功績をあらわしたことを称えた。
蜈蚣姫は立ち上がり、バラモン教ではさまざまに三五教の妨害をなした経緯を歌った。そして娘の小糸姫を探して高姫と共に竜宮島にたどり着き、女王となっていた娘と再会し、その後さまざまな試練を経て心を清められて神業に参加した経緯を歌った。
久助の歌:久助は、妻のお民と共にバラモン教の教えを奉じていたが、竜宮島に渡って三五教に改心し、試練にあって麻邇の宝玉の神業に参加した経緯を、諏訪の湖の玉依姫命の神殿の荘厳な様子を描写しつつ歌った。
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01 05 〔770〕
続いて友彦は踊り狂いながら歌った。これまでの自分の罪を歌で洗いざらい漂白して懺悔し、竜宮島の西方に分け入ってジャンナの里で改心し、麻邇の宝玉の神業に参加した経緯を歌った。そして仁慈無限の大神が罪深い自分を見捨てずに宝玉を授け、神政成就の神業に加えてくださった神恩に感謝の意を表した。
続いてお民は、皇大神のご神徳をたたえる祝歌を歌った。
続いてテールス姫が祝歌を歌う。友彦と出会って三五教に改心した様を歌い、三五教の大神と一同に感謝の意を表した。
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02 06 〔771〕
神素盞嗚尊は厳然として立ち上がり、荘重な口調で歌った。
豊葦原の国中に邪神が現れてすさび、天下の民草を苦しめ悩ます惨状を見かねて、瑞御魂は神素盞嗚と現れて、八十猛の神司と八人乙女を四方に遣わし、三五の神の教えを宣べ伝えた。
ウブスナ山の斎苑館を後に残して出立し、自転倒島の中心地である綾の高天原の聖域に、国治立大神の化身である国武彦と一緒に世を忍んで隠れていた。
この世を救う厳御霊、瑞御霊と相並んで、天地の神に三五の教えを開き、天下の四方の木草に至るまで安息と生命を永遠に賜るために、朝夕心を配らせながら、三つの御玉の宝玉が鎮まり、また麻邇の玉が五の御玉として現れた。
埴安彦・埴安姫の神の御霊も、玉照彦・玉照姫と現れることとなった。
瑞の御霊と現れた三五教の神司・言依別命は、皇神の錦の機の経綸を心の底に秘め置いて、浮きつ沈みつ、世を忍んで深遠微妙の神策を永遠に建てよ。
神素盞嗚の我が身魂は、世界中にわだかまる八岐大蛇を言向け和して、高天原を納める天照大神の御許に復命をするまでは、井守蚯蚓と身を潜めて、木の葉の下をかいくぐって、松の世の尊い仕組みを成し遂げよう。
国武彦大神よ、汝もしばし深山の奥の時鳥のように姿を隠して、長年の憂き目を忍び、やがて来る松の神世の神政を心静かに待つことだ。
竜宮城から現れた五つの麻邇の玉は、綾の聖地に永久に鎮まりまして、桶伏山の蓮華台に天火水地が結んだ薫り高い梅の花であり、木花姫神の生御魂である。三十三相に身を表して、世人を救おうと流す涙は和知の川である。それが流れて由良の海となり、救いの船に帆を上げる。
秋山彦の真心や、言依別の犠牲の清き心を永久に五六七の神世の礎として、神の定めた厳御魂となる、実に尊さの限りの神宝である。
国治立大神の厳の御霊は、今しばし四尾山の奥深くに国武彦と現れて草の片葉に身を隠して、玉照彦・玉照姫を表に立て、言依別命を司とし、深遠微妙の神界の仕組みの業に仕えよ。
厳と瑞とのこの仕組みは、何が起ころうとも永久に変わらない。このことは初発の時から定まっている、万古不易の真理である。天地の神人を救うための我がなやみ、国治立神のお心も思いは同じと深く察し奉る。
大神は歌い終わると一同に微笑を与えて、奥の間に姿をかくさせ給うた。
国武彦命は神素盞嗚大神の御後姿を見送り、手を合わせて感謝の意を表し、一同の前に立ってやや非調を帯びた声音を張り上げて歌い給うた。
豊葦原の国祖として、国治立の厳御霊と高天原に現れ、神人たちが守るべき道を宣り伝え、神祭を布き広めた。
しかし天足彦・胞場姫の身魂より生まれた邪神の雲に包まれて、世は汚れてしまった。その結果、罪穢れを自らの身に負って天教山の火口に身を躍らせ、地の底根底の国を隈なく巡り、心身を尽くして造り固め、再び天教山の火口に再現した。
野立彦と名を変えて国中を駆け巡った。また豊国姫神の御霊はヒマラヤ山に野立姫と現れた。
再び来る松の世の礎を固めようと、自転倒島の中心地である綾の高天原の桶伏山の隣の四尾山に身を潜めた。この世を洗う瑞御霊に仕えて五つの御霊の経綸を行うために、国武彦となって神素盞嗚大神の御共の神と現れた。
現幽神を照り透す如意宝珠や、黄金の玉や、紫の玉といった宝はいち早く自転倒島に集まった。またここに、五つの麻邇の神玉が竜宮の一つ島から現れて、宣伝使たちの働きによって帰り降って来た。尊いことだ。
国武彦は永久に隠れてこの世を守って行く。甲子の九月八日、今日はいかなる吉日であろうか。天津御空の若宮に鎮まりいます日の神の大前に慎み畏み感謝し奉る。
千座の置戸を身に負ってこの世を救う生き神の瑞の御霊と現れた神素盞嗚大神の仁慈無限の御心を喜び敬い奉る。
言依別の神司よ、この行く先の神業にまたもや千座の置戸を負って、我が身魂と共に三柱揃って三つの身魂として、現世を洗い清める神業に仕え奉らせ。
神人たちの救いのために真心を千々に砕いて忍び忍びに神業を仕えまつり、松の世の五六七の神政を指折り数えて待ち暮らす我が三柱の神心を聞こし召せ。
国武彦神は歌い終わると一同に軽く黙礼し、そのまま御姿は白煙となってその場に消えてしまった。一同は直ちに拍手して天津祝詞を奏上した。そして御神慮の尊さを思い浮かべて、感涙に咽ぶのであった。
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02 07 〔772〕
五十子姫は、笑みを湛えて祝歌を歌った。厳の大神、瑞の大神を称え、自身の神業の遍歴をの結果、苦難の末に父大神と国武彦神の前に麻邇の玉を持ち帰ることができた喜びを歌った。
続いて音彦が立って舞いながら歌った。元はウラル教の宣伝使であったのが、波斯の国で日の出神に導かれて三五教の神業に参加し、麻邇の宝珠の神業が完成した場に居合わせることができたことへの感謝を歌った。
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02 08 〔773〕
続いて杢助が立ち歌った。神伊弉諾大神の裳裾から生まれた時置師神が自分の来歴であることを明かし、その後、鉄彦の僕・時公となり、石凝姥宣伝使がコーカス山から魔神を追い払った神業に参加したことを歌った。
その後神素盞嗚大神の命を受けて自転倒島に渡り、樵の杢助となって時を待ち、妻のお杉との間に初稚姫をもうけたことを明かした。
そして娘が遥か遠くの竜宮島に赴いて、見事に麻邇の宝珠の神業を成功させたことに対して、神素盞嗚大神と国武彦神への感謝を述べ立てた。
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02 09 〔774〕
最後に言依別命が立ち上がり、金扇を開いて自ら舞い歌った。
豊国姫命の分霊たる天使・言霊別命は、根底の国に潜んだ後に少彦名神と現れて、常世の国の天地を守っていた。
言霊別命は分霊・言依別命として再びこの世に出現し、三五教の宣伝使と現れた。四尾山に隠れていた国武彦命の御言によって玉照彦・玉照姫を立てて五六七神政の礎を築いていた。
如意宝珠、黄金の玉、紫の玉を神業のまにまに隠し置いたが、ここにまた、瑞の御魂大神の秘密郷である竜宮の一つ島の諏訪の湖から、五つの麻邇の玉が現れた。三と五との三五の玉の教えは、二度目の天の岩戸を開き、常世の闇を打ち晴らす。
天地八百万の神々も、生命あるものはすべて、残さず救い上げて上下喜んで睦びあう誠の神世を立てる珍の礎が定まったのである。
神素盞嗚大神の大神勅を漏らさず聞いたこの上は、言依別命は今日から世人を救うために千座の置戸を負って、仁慈無限の大神の御心に習って仕えることを、瑞御魂・神素盞嗚大神と国武彦の御前に誓う。
言依別命は自らの固い決心を歌い終わると元の座に戻った。言依別命の犠牲的活動はこの後、如何に発展するのであろうか。
また秋山彦の館の奥に姿を隠した神素盞嗚大神の消息を知る者は一人もなかった。国武彦は四尾山の奥深くに隠れ給うて、神政成就の暁を待つこととなった。
言依別命は、梅子姫、五十子姫ら一同とともに神宝を美しい神輿に納めると、金銀をちりばめた船に乗せて金銀の帆をはらませ、由良の川口から登っていった。船中歌い舞い、音楽を奏しながら、勇ましく聖地に帰ることとなった。
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03 00 - 本文
03 10 〔775〕
由良の港の川口から、新調の船に神輿を乗せて麻邇の宝珠を守護しながら、北風に真帆をはらませて聖地を指して上っていった。
宣伝使服を来た国依別は船の先にすっくと立ち、被面布を巻き上げて、声も涼しく伏し面白く宣伝歌を歌いだした。かつてバラモン教の宗彦として悪事を為した自分の過去を懺悔し、生き別れの父・松鷹彦と兄・天の真浦と出会って改心し、アルプス教を言向け和したことを歌った。
その後高姫・黒姫が玉を探しに生田の森の館にやって来たのをからかった挙句、高姫・黒姫・高山彦は国依別のからかいの神懸りを真に受けて、竹生島に行ってしまったことを面白く歌い、三人の怒りが穏やかにおさまることを願った。
言依別命をはじめ、船上の一同は国依別の滑稽な歌いまわしに腹を抱えて笑い転げた。
空には様々な色の雲が天を包み、芳香が四方に薫じた。微妙の音楽が聞こえ、一同は天女が中空から船を祝している気分に包まれた。長途の船路もまたたく間に帰り着く如くに感じた。
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03 11 〔776〕
秋彦は聖地が近づき、元気旺盛になって副守護神の発動気分で歌い始めた。紫姫の従者の鹿として比沼真奈井に詣でる途中、バラモン教に囚われていたが、悦子姫一向に救われ、三五教徒として高城山の松姫を言向け和した過去を歌に歌った。
そして高姫一行が玉への執着から、自分と国依別の偽神懸りを信じて竹生島に行ってしまったことを宣り直すようにと祈って終わった。
歓呼に包まれて船は岸辺に安着した。言依別命を先頭に、迎えに来た信徒たちに代わる代わる神輿をかつがせて、しずしずと錦の宮に帰って行った。
腰の曲がった夏彦は、千鳥のように大道を左右に手を振り首振り、麻邇の玉が錦の宮に静まることになった経緯を、祝いの歌に歌いこんだ。
続いて常彦が夏彦の後を受けて祝歌を歌い、佐田彦がそれに続いた。佐田彦の歌には、高姫が隠された玉を求める様が歌いこまれていたが、その玉の隠し場所や経綸の詳細は伏せられていた。
佐田彦は高姫らの身の上を案じて、一刻も早く聖地に帰って来て精神を和めるようにと祈りを歌に歌った。
波留彦は続いて歌った。バラモン教の滝公として悪事をしていた自分も、常彦の情けによって改心し、玉能姫と初稚姫に従って三つの玉の神業に携わったことを歌った。そして、悪に溺れた滝公も神の光に照らされて波留彦となり、神業に携わったように、高姫・黒姫も聖地に戻って執着心の雲を晴らすようにと祈願を歌った。日ごろの述懐を歌い終わった波留彦は錦の宮の方に向かって拍手し、暗祈黙祷した。
五個の神宝を乗せた神輿は無事に錦の宮に到着し、言依別命を先頭に八尋殿に設けられた聖壇に安置された。信徒らは立錐の余地も無いほどに集まり、神威のあらたかなることに感謝の涙を流した。
九月九日の聖地の空には、金翼を並べて空中を飛ぶ八咫烏の雄姿が見られた。妙音菩薩の微妙な音楽は、三重の高殿に空高く響き渡った。
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03 12 〔777〕
天足彦と胞場姫の体主霊従の御魂より現れた邪神によって、国治立大神の神政は破れ、妻神・豊国姫命とともに地の底にいったん降ることになった。夫婦の神は野立彦命・野立姫命と再び現れ、また黄金山下に埴安彦・埴安姫と現れたのは瑞の命の御仕組だった。
エルサレムの聖地を遠く離れた自転倒島の中心地・青山を四方にめぐらせた下津岩根の霊場である桶伏山の蓮華台に、橄欖山になぞらえた四尾山に国武彦となって現れ、また瑞霊は言依別命と現れた。
青雲山の黄金の玉、国治立大神が沓島に秘め置いた如意宝珠、紫の玉、と霊力体の三つの御霊が揃って三五の教えは栄えていく。さらに諏訪の湖に深く隠されていた五個の麻邇の玉がめでたく聖地に納まった。
清く正しい信徒らに守られて神宝が八尋殿の宝座に収められた。このような例は、はるか昔に天の岩戸が開けて以来なかった瑞兆である。
錦の宮の神司である玉照彦と玉照姫は、麻邇の宝珠を奉迎し、梅子姫らの功績を賞しようと一段高い壇上に相並んだ。緯と経の錦の宮の神柱の赤き心は瑞穂の国を隈なく照らす尊さである。
二人は、送り届けられた玉の輿を開いて、宝珠を納めた柳箱を次々に取り出し、言依別命に手渡して奥殿に斎かせた。
ここに納玉の式もめでたく完了し、信徒らは直会の宴ににぎわしく悦び歌い、この瑞祥を祝った。
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04 13 〔778〕
高姫、黒姫、高山彦らは、偽神懸りに乗せられて、神素盞嗚大神の誓約から生まれた三女神を祀った竹生島に、社殿の下から玉を掘り出そうと、それぞれ一人ずつやってきた。
天の安河にて神素盞嗚大神が誓約をなし給いしとき、瑞の御魂の表徴として三女神が現れた。この竹生島に三女神の御魂が留め置かれた後、女神たちを慰めるために竜神がときどきやってきて琵琶を弾じた。そのため、島のある湖は琵琶湖と呼ばれるようになったのである。
言霊学者は、琵琶湖を天の真奈井とも唱えている。現代の竹生島は湖の北側にあるが、この物語の時代にはほぼ中央にあり、また松の島・竹の島・梅の島の三つがあって、それぞれに三女神が祀られていた。
高姫は、舟をこいでまず、竹の島にやってきた。闇夜の中、黒姫と高山彦も竹の島にこぎつけて上陸した。三人はそれと知らず、同じ社の床下に集まってくることになった。
竹生島の司・英子姫と亀彦は、社で夕拝をしていると、高姫が舟から上陸して社にやってきて、天津祝詞を唱えるのを聞いた。英子姫は見るに忍びず独り館に帰って行った。
亀彦は闇の中、声を潜めて社の中に隠れた。高姫は、亀彦が社の中に居るとも知らず、三つの宝珠を授けたまえと祈願すると、床下に潜り込んで行った。続いて黒姫と高山彦が同じようにやってきて、床下に潜った。
三人はときどき頭をぶつけて火花を出しながら、床下を探っていた。高姫は二人も同じ目的でやってきていることに気付き、もし自分以外が玉を掘り出したら、変性男子の系統を楯に取って玉を取ってやろうと考えながら、執着心を露にしつつ、すでに四五尺も穴を掘っていた。
一方黒姫も、誰か二人やってきて社の床下を掘っているのは、てっきり言依別命の差配だと思い込んでいた。そして言依別や杢助をアフンとさせてやろうと必死で玉を探して一生懸命に掘っていた。
高山彦は次第に、他の二人の人影が高姫と黒姫ではないかと疑い始めたが、天狗が嘘をつくはずがないと思い直す。そして、自分は別に玉探しも興味がないのだが、妻の黒姫が騒ぐので、執着の心の雲を晴らしてやろうとしていたのだ、と独り思いながら掘っている。
高山彦は、高姫・黒姫に懸っている神が神力が足りないやくざ神であると気付きながらも、二人の心の雲の執着が払われるように、と心の中に祈願している。
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04 14 〔779〕
吹き来る夜嵐に社は風にゆられてギクギクと音を立てた。物音に乗じて亀彦は社から出て床下の三人に近寄り、白衣の布をふわりと頭から被せた。そして、木花姫神の声色で託宣を始めた。
そして三人を戒めると、九月九日にすでに麻邇の宝珠は聖地に納まったので、早く聖地に帰るようにと促した。亀彦は託宣を終えると、闇に紛れて館を指して帰ってしまった。
亀彦の託宣に、名指しされた三人は始めて、お互いが同じ場所で玉を探していることに気付いた。
高姫は国依別に騙されたことに気がついて怒り、その怒りを黒姫と高山彦に向けて罵り始めた。
黒姫は高姫の八つ当たりを聞いて怒り、日の出神が偽天狗に騙されるのか、と逆に食ってかかる。
高山彦も日ごろの思いが爆発し、高姫・黒姫に懸っているという日の出神と竜宮の乙姫に対して疑いを並べたてると、慢心を改めて聖地に帰り、懺悔して改心するようにと促した。
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04 15 〔780〕
高姫と黒姫は、高山彦の諭しの歌に神の社を伏し拝むと、赤面しながら舟をつないでいる磯端にやってきた。見れば、東の空は茜色に染まり、波にひらめく美しい様を表していた。
湖水には、竜神の為せる業か、ここかしこに水茎文字が現れている。三人は舟に飛び乗って艪櫂をこぐと、湖水は二つに分かれ、黄金の鱗の大きな竜が雲を起こして大空に立ち上る凄まじい様を目の当たりにした。
辺りには涼しい風が響き、深遠微妙の音楽が聞こえてきた。四辺は芳香に包まれ、蓮の花弁が雪のように三人の舟に降り積もった。蓮の花はいつのまにか、美しい平和の女神に姿を変えていた。
三人は合掌して首を垂れた。女神は三人に神勅を伝えた。女神は木花姫神と名乗ると、三人のこれまでの執着心から出た玉探しを戒め、魂を磨いて五六七の神業に尽くせ、と諭した。
木花姫神は、三つの宝珠は神の仕組で隠されているので、今は探索をあきらめよと告げると、また偽神懸りによって三人がここに来たのは、けっして国依別や秋彦に懸った天狗のせいではなくて、三人に改心を促す皇神の尊い仕組であるから、悔改めて証を為せ、と諭した。
しかし高姫はこれを聞いて、日の出神に比べたら、木花姫など何が偉い、とそろそろ慢心をし始めた。そして、黒姫と高山彦にもいかに自分に懸かる日の出神が偉大な神であるかを説いて聞かせ、心を翻してはならない、と説教しつつ、舟は岸辺に着いた。
高山彦の従者として琵琶湖の岸辺で帰りを待っていたアールとエースは、三人が玉を首尾よく手に入れたと思い、早く玉を聖地に持ち帰ろうと嬉しがり、三人を伏し拝む。
高姫はそのいじらしさに黙然としてうつむいている。黒姫は、神の仕組はお前たちの知るところではない、何も言わずに着いて来い、と出立を促した。
竹生島の神素盞嗚大神の仮館を守る英子姫と亀彦は、弁天の社に礼拝すると、聖地に向かうために舟に乗って漕ぎ出した。天空を照らして降る火光はたちまち二人の舟に下ると、美しい神となって言霊を述べた。すると荒れた湖水の波はたちまち鎮まった。
これは真の日の出神であった。日の出神は舟が大津に着くと、たちまち姿を消してしまった。英子姫と亀彦は伏し拝むと、長い道のりを旅して越えて、綾の聖地に到着した。
本文
04 16 〔781〕
三つの御玉の御神業のあらましをここに述べておく。如意宝珠の玉は、天津御神が永遠に現幽神の三界を治めるという天の摂理を現している。
また、黄金の玉は、経済学の根本を岩より固く撞き固め、地上世界を円満に融通按配治める金銀無為の政策を実行する神の仕組である。
紫の玉は、天下万民ことごとく神の御陵威に悦服する神人和合の基礎を守る神宝なのである。
三つの神宝は、豊葦原の瑞穂の国の五つの大陸すべてにあまねく、天国浄土の政治を浸透させ、万民を安息せしめるという神業に必要な宝なのである。これらの神宝が世に現れて光を放つ神の世が実現することは、それほど遠くないであろう。
また竜宮の一つ島の諏訪の湖に、玉依姫が守っていた五つの麻邇の神宝、青赤白黄紫の功績について語る。紫は、世界統治の基礎を永遠に固めて天下を安国と治める王者の身魂である。
赤は、王者に仕えて民を治める大臣の陵威の活動そのものである。白は、国魂神と現れて、上に仕え民を治める小さき臣の活動の功績である。土に因んだ黄は、神を敬い大君を尊び祀り、耕し、工業に携わり、物流に仕える民の天地自然の功績である。
しかし今や心の赤い玉、白い玉、黄色の玉は曇り果ててしまっている。天火水地を按配してこの神玉の活用を円満晴朗・自由自在に照らして守るのは、紫の玉である。
紫の麻邇の玉は今、微光を放ちつつある。綾の聖地にその片光を現して、常世の暗を隈なく照らす。その光彩は、厳の御霊と瑞の御霊の経と緯との御玉でもって、世界十字に踏みならし、百千万の神人の救いのために、千万の悩みを忍び出で給う。
すると、少しの学識を鼻にかけた鼻高が、『変性女子の瑞御霊の副守がまたもや発動して、訳のわからぬ気焔を吐いている。皆々一同、注意して審神をしなくてはならない。近くに侍る盲信者のように迎合盲従はならないぞ。』などと小理屈を並べて神の経綸を乱そうと企む。
副守の悪霊に駆使されて、空前絶後の神業から外れてしまう人もたまにある。信徒たちは互いに気をつけ助け合い、慢心の果てに行き詰まって醜態をさらさないようにと瑞月が気をつける次第である。
誠を知らない知恵学者はこの物語を見て軽侮の念を起こす者あり、冷笑悪罵はもとより承知の上、瑞月が神の御言をかしこみて、三五教の真相を、学と知識の評釈で取り違えた過ちを宣り直させて誠の道を知らそうと、口の車の転ぶままに長々と記しおく。
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04 17 〔782〕
高姫一行は、すごすごと聖地に帰る途中、亀山の月照殿を守る梅照彦に説教し、自分たちの道案内をさせようと、梅照彦の館の門を叩いた。
門番は、主人は留守だとすげなく答える。高姫は、自分たちのような偉い神人が来訪したのに留守とは道理をわきまえない主人だ、と梅照彦を罵る。門番は、梅照彦はそんな人ではない、宝珠が聖地に納まるお祝いのために、言依別教主から呼ばれて聖地に行っているのだ、と答える。
また門番は梅照彦の言葉として、これにて神宝の行方にけりがつき、ありもしない玉を竹生島まで取りに行った高姫、黒姫、高山彦がアフンとする、お前様方は誰だか知らないが、道中もし高姫に会ったら、分かりもしない玉探しをあきらめて聖地に帰るように、と言付けて奥に行ってしまった。
高姫は門番の言付けを聞いて、心ににわかに荒波が立ち騒いだが、さあらぬ態にて微笑を浮かべ、黒姫に向かって、梅子姫らに麻邇の宝珠を授けた竜宮の玉依姫の御魂は自分だと、今こそうまく言うべきだ、と焚きつけた。
そして自分も頓知で今までの失敗を取り繕い、日の出神のお働きにすりかえて、他人の手柄を横取りして勝てば善なりを地で行く、筆先に日の出神の生き宮が何事も指図せいと出ているからには、そうならなければならない道理だ、と逆理屈を捏ねて勇み出した。
聖地に近い小雲川のほとりにやってきた三人は、松影に釣りをしている男を目に留めた。高姫は早速声を掛けて、三五教の信徒なら殺生はやめるようにと男の笠を取った。男は国依別であった。
高姫は、お前には言いたいことがたくさんある、と国依別を聖地に促す。国依別は微笑して、三人がそろそろ帰るころだと天眼通に悟って、ご馳走の用意をしようと釣りをしていたのだ、と答える。
そして、お前様から見ればこの国依別は悪の身魂と見えるだろうが、心の奥底に誠の血潮が流れている、それを買ってくれ、と答えた。国依別は、頑迷不霊の高姫の改心を神に祈るのだった。
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