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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第45巻 舎身活躍 申の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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現代の読書会は堕落して、卑猥の稗史小説のみがさかんに流行し、健全な読み物は見る影もないありさまです。
紆余曲折の波乱多き現幽神の三界の活歴史の側面は、この霊界物語によって眼前に彷彿となるものであり、平易な読み物としてはこの上なくすぐれているというも、決して王仁の過言ではないと信じるのみです。
幾多の教訓、規箴、明示、暗示を含み、春花、秋月、暖衣、飽食、艱苦がどのようなものかを知らない人を興奮発揚せしめて世道と人心を導き、かつ大本における信仰浅い信者にその向かうべきところを知らしめるに足ると、信じてやまない次第です。
本文
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神霊界には、正神界と邪神界の二大区別がある。正神界は至善至美なる神人の安住する聖域であり、邪神界は至悪至醜なる鬼畜の住居する暗黒界である。
邪神界は常に正神界の隆盛を羨み、これを破壊しかく乱しようとあらゆる力をつくすものであり、かつまた正神界を呪い、自らの境遇を忘却して邪神界にいながら自ら正神界の神業を立派に奉仕しているものの如く確信しているのである。
自ら邪神界に墜落しているということが悟り得られれば、必ず改心する端緒が開けてくるものである。しかし邪神はその霊性が暗愚にして他を顧みる余裕なく、世人みな濁れり、我ひとりのみ澄めり、一日も早くこの暗黒な世界を善の光明に照らし、もって至善至美なる天国を招来しようと焦慮しつつあるのである。
どれほど海底を不二山頂たらしめようと焦慮しても到底不可能である。それよりもその海底を一日も早く浮かび出て自ら歩行の労を積み、徐に山頂に登る以外にないのである。
邪神界にあるものは到底真の天国を解するの明なく、また神の福音を聞くことはできない。小北山のウラナイ教の神域に集まっている諸霊や人間の霊身はすでにその身を根底の国に籍を置き、邪神の団体に加入しているから、なにほど言葉を尽くして説示しても駄目である。
諭せば諭すほど反対に取り、どこまでも自分が実見した天の八衢や地獄のほかには霊の世界はないものと考えているのである。
本巻の物語を読んで、大本信者のある部分の人々は少しく反省されることがあれば、瑞月にとっては望外の喜びである。
本文
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01 01 〔1191〕
松彦一行は小北山の神館に暇乞いをなし、急坂をくだって一本橋のたもとまで帰ってくると、後ろの方からお寅婆さんが走ってきて呼び止めた。
蠑螈別の教主自ら、松彦にお神酒を献上してウラナイ教の教理を一通り聞いてもらいたいからといって、追いかけてきたのだという。
松彦は自分は下戸であり、またウラナイ教の教理もほぼ見当がついているからと断った。お寅は、蠑螈別が言うには松彦は因縁のある身霊・ユラリ彦、またの名を末代日の王天の大神であり、取り逃がしては神政成就が遅くなるのだという。
お寅はバラモン軍から逃げてきたと言ったが、実際には蠑螈別の腹心となって一本橋で母娘ともども通る人をウラナイ教に勧誘する役目を担っているのだという。
万公は、神名を与えて人を取り込もうとするウラナイ教のやり方を茶化すが、お寅に昔のことを蒸し返されて口論になってしまう。お寅は五三公にも神名を与えて取り込もうとし、しきりに逗留を勧めた。
松彦は何を思ったかユラリ彦となってお世話になろうと言い出した。お寅は、大広木正宗の肉宮である蠑螈別と、義理天上の肉宮である魔我彦が待っていると喜んだ。
松彦は、自分の神格の方が大広木正宗と義理天上よりも上ではないかとお寅に確認した。そして、神格が上の自分をなぜ大広木正宗と義理天上が迎えに来ないのかと疑問を呈し、礼儀知らずの神だから行くのはやめようと言い出した。
お寅はあわてて、時世時節だからと松彦を引き留めた。自分が教主になるのか、と問うた松彦に対し、お寅はそれは大広木正宗との相談の結果だと濁し、自分には権能がないからなおさら引きずっていって大広木正宗に引き合わせなければならないと食いついた。
松彦は大変な迷惑だが仕方がないと行くことにし、万公はその様子を笑い飛ばした。
本文
01 02 〔1192〕
お寅は松彦に向かって河鹿川の川岸の老松を指し、八百万の大神様がお休みする世界一の生き松であり、松彦の本守護神だという。万公がそれを茶化して、またお寅婆さんと言い合いになりながら進んで行く。
お寅は松の木の根に肝心のお仕組場があり、その因縁がわからなければ小北山の因縁がわからないと言って一同を引っ張っていく。松彦はいやいやながら付いていくと、大きな岩に玉垣をめぐらし、切り口の石を畳んで高いところに祀ってある。
そこには蠑螈別の筆跡で「さかえの神政松の御神木」と記してある。五三公がこれは何かと尋ねると、お寅は実のところは素盞嗚尊の生魂をここへ封じ込み、永遠に出てこれないようにしているのだという。
ウラナイ教総出で二十日間も寝ずに大岩を引っ張ってきて、素盞嗚尊の悪神をここに封じ込めたから、三五教は八方ふさがりになった。それで三五教の信者を小北山に引っ張り込もうという蠑螈別の御神策なのだと得意気に説明した。
万公と五三公は怒ってお寅をつかんで引き倒そうとするが、ビクともしない。二人はなぜか大岩を引っ張っており、お寅に馬鹿にされてしまう。
お寅が大門神社へ案内する急坂の途中で、松彦たちは腰を下ろして休息する。お寅は後を振り返って、万公がへたばっているのをなじる歌を歌い、万公はお寅をののしりかえす。一同は一通り歌でやり取りをした後、お寅についていく。
万公と五三公は婆の乙姫だとお寅をそしって一同の笑いを買う。
本文
01 03 〔1193〕
お寅に引っ張られてウラナイ教にやってきた松彦の前に、魔我彦が現れて、教主蠑螈別の代理だと言って挨拶をなした。
松彦は、お寅が言うように自分の身魂がそれほどウラナイ教にとって尊い神格ならば、教主自身が挨拶に来てもよさそうなものなのに、誠のある扱いをされているようには見えないと言って、去ろうとする。
お寅と魔我彦は松彦を引き留め、蠑螈別に松彦の申し分をよく伝えるからと一同をその場に待たせて奥の間に姿を隠した。
万公は長く待たされて不満を抱き、松彦を尊い神様だと崇めておきながら、入信したら謀反を起こすつもりだろうと、松彦に出立を促した。
五三公は、高姫・黒姫が悪神にうつられて開いたウラナイ教だが、教祖の高姫・黒姫自身が今や立派な三五教の宣伝使となり、自ら愛想をつかした教えに真実がありそうはない、と松彦に意見する。
アク、タク、テクも万公と五三公に同調するが、松彦はいましばし自分のなすがままに任せて見ておいてくれという。
万公たちがウラナイ教を責めるのを聞いていた文助は、万公と言い争いになる。万公は文助をからかい、それにうんざりした文助は、奥へ行って教祖に催促をしてくると姿を隠した。
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01 04 〔1194〕
蠑螈別は数多の神が自分の体に出入りするので、神様にお神酒を祀るのだと言って、朝から晩まで酒盛りをしていた。
お寅に酌をさせながら高姫を思ったり、奥の間に居る松姫をお酌に呼ばせようとしたりして、お寅と喧嘩になってしまう。
お寅は嫉妬のあまり、松彦を受け付けに待たせていることも忘れて蠑螈別を押さえつけ、徳利や盃はめちゃめちゃに砕けた。
魔我彦がやってきてお寅をたしなめるが、お寅は蠑螈別に思われてウラナイ教に入ってやったのに、その恩も忘れてほかの女に色目を使うと怒って、ますます蠑螈別を押さえつけ殴りつける。蠑螈別は助けてくれと叫ぶ。
文助がやってきて、教祖が呼び戻した末代日の王天の神の身魂という松彦が、受け付けでしびれを切らしていると注進する。お寅は蠑螈別を離し、捨て台詞を残して受付に帰って行く。
魔我彦はこんな醜態を松彦たちに見られてはたいへんと蠑螈別を奥へ引っ張って行って寝かせてしまった。お寅は松彦一行を導き、この場の荒れた様子を猫のせいにして魔我彦に片付けさせた。
お寅は、奥にいる松姫は上義姫の身魂であり、松彦と夫婦となって活動する因縁なのだという。松彦は迷惑な話だと居住まいを正している。万公は偽の神がかりをやって、自分は耕し大神だと自称する。
奥からは蠑螈別が、お寅をからかったために大変な目にあった、高姫がなつかしいとうわごとを言っているのが聞こえてきた。お寅は病気の信者に悪霊がかかって、教祖の声色でひとをだますのだとごまかしている。
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02 05 〔1195〕
松彦たちはお寅たちの身魂の因縁話の迷信にあきれていると、一人の娘がやってきて、義理天上日の出神の生き宮である魔我彦に、上義姫が用があるからちょっと来てくれと促した。
別館に居る松姫は、元は高城山のウラナイ教団を率い高姫の片腕として活躍していたあの凄腕の松姫である。三五教に帰順し、玉照彦を奉迎して帰った三五教の殊勲者でもある。
蠑螈別がウラナイ教の残党を集めて小北山に根拠を構えて邪教を宣伝し始めたので、言依別命は松姫に命じてウラナイ教に潜入させた。松姫はたちまち小北山の実権を握り、蠑螈別やお寅たちは表面上は蠑螈別を教祖としていたが、松姫の言にしたがっていた。
魔我彦はかねてから松姫に想いを寄せてあからさまに言い寄っていたが、松姫はわざわざ魔我彦を呼んで、改めてきっぱりと断りを入れた。
魔我彦は、松姫の侍女のお千代にも馬鹿にされ、気分を害して松姫の館を去っていく。
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02 06 〔1196〕
魔我彦が松姫に呼ばれて行ったあと、お寅も文助に呼ばれて広前に行ってしまった。後に残った文助は松彦たちと話をするうち、蠑螈別が探している本当の義理天上の身魂・高姫が、今は三五教の斎苑館に仕えていることを知った。
そこへお寅が戻ってきて、松彦に上義姫の身魂・松姫にどうしても会うようにと促した。そこへ折よくお千代がやってきて、松彦を松姫館に連れて行った。
お寅は蠑螈別が高姫の話を立ち聞きしていたことを知って、また蠑螈別に手荒いことをする。一同はお寅に追い払われてしまう。後には蠑螈別とお寅は何事かぶつぶつ話をしているのみであった。
そこへ松姫に振られてしょんぼりとした魔我彦が帰ってきて一同にからかわれる。
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02 07 〔1197〕
松姫は実は、松彦の生き別れの妻であった。思わぬ夫婦の対面に驚き喜ぶ松彦は、松姫と来し方をしばし語り合った。
アーメニヤで夫婦となっていた二人は、バラモン軍によるエルサレム蹂躙によって生き別れてしまった。松彦はバラモン教に拾われてランチ将軍の秘書となっていた。そして河鹿峠で三五教の宣伝使となっていた兄と再会したのであった。
生き別れになった戦乱の当時、松姫は身ごもっていた。家族散り散りに逃げる途中、親切な老侠客に助けられ、そこで女の子を生んだという。松姫は娘をその老侠客夫婦に引き取ってもらい、自分はウラナイ教でフサの国から自転倒島まで渡り、活躍していた。
小北山の蠑螈別のウラナイ教に潜入してから、かつて娘を預けた老侠客夫婦がなくなり、娘の千代が孤児になっていたことを知り、侍女として引取り教育していたのだと明かした。このことは千代も知らず、今松彦の前で初めて明かされて夫婦親子の対面となった。
三人は歌を持って心のたけを述べ合っている。突然、館の外から瓦をぶちあけたような怪しい笑い声が響いた。親子は驚いたが、この声の主は三人の話を立ち聞きしていた魔我彦であった。
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02 08 〔1198〕
お千代は館の戸を開けて面に出た。すると魔我彦が腰を曲げて差し足抜き足で逃げて行く。お千代は魔我彦の後ろから笑い出した。
魔我彦は驚いて振り返り、お千代に対して、松彦と松姫の関係を蠑螈別やお寅に注進して仲を妨害してやると脅す。お千代は反対に、ウラナイ教の教義上からも二人は夫婦の身魂であると反論し、逆に逃げ腰の魔我彦を嘲笑する。
松彦と松姫は、侠客に育てられて気が強く型にはまらないお千代の気性を心配している。松彦はお千代がいつまでも魔我彦をそしる歌を歌っているので、中に入るようにと呼びにきた。
松彦と松姫はお千代を諭すが、自分はお寅みたいな中途半端な女侠客ではなく、フサの国と月の国の大親分になるつもりだと大きく出て両親をやきもきさせたり笑わせたりする。
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02 09 〔1199〕
親子の再会を神に感謝するため八尋殿に詣でに階段を下りて行くお千代を見送りながら、松彦は娘の行く末を案じる歌を歌った。
一方お千代は階段を下りながら、自分が白浪女になりたいと言ったのは父母の本心を探るためであり、自分の心はあまねく人の世を照らす神業に参加したい、そのためには本当に苦しんでいる人や鳥獣を救うことが肝心だと考えていると歌い、その心を明かした。
松彦と松姫は、お千代の心を知って感謝の歌を歌う。また松姫は、かつの師匠である高姫が開いたウラナイ教を改良し、蠑螈別や魔我彦の心に潜む曲津神を言向けて珍の聖場を開きたいと考えており、そのために夫婦協力して当たりたいと心のたけを歌った。
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03 10 〔1200〕
魔我彦は松姫に振られ、小娘のお千代にも馬鹿にされてむしゃくしゃしていたが、松姫ばかりが女じゃないと負け惜しみに気を取り直し、広間の演壇に登って道の話を講釈しながら若い女信者を物色して悦に入っている。
続いてお寅が登壇し、蠑螈別との痴話喧嘩は棚に上げて澄ました顔で神の道を説いた。そこに、祭官のいでたちをしたお千代がやってくると臆せずに演壇に登り、神に祈願を籠めると講話をはじめ出した。
お千代は親子の縁や恩の大切さから話はじめるが、そのうちに昼間から酒におぼれる蠑螈別への苦言をあからさまに語り、教祖の行いがどうであれ主の神を敬愛するようにと伝え、檀を下りるとしずしずと松姫の館に帰って行った。
蠑螈別の醜態をお千代の口から聞いた信者たちはガヤガヤとどよめき渡り、教団の人物論に花を咲かせていた。
群衆の中から熊公と名乗る赤ら顔の四十男が立ち上がり、自分は今まで騙されていた、ウラナイ教はうその教えだなどと怒鳴り始めた。お寅はそれを聞きつけて熊公を懐柔しようとし、教団の実態を見せて誤解を解くと言って、信者たちのどよめきが収まらない広間を後にして奥へ連れてきた。
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03 11 〔1201〕
教主の間では、蠑螈別、魔我彦、お寅、熊公が酒を酌み交わしている。熊公の目的は、こうして酒にありつこうということだった。熊公は舌がもつれだしてどら声を張り上げ、歌いだした。
熊公は、これからは自分は蠑螈別のお付きとなって酒を飲み明かすのだと怒鳴りたてる。魔我彦がたしなめると、熊公は難癖をつけて脅しにかかった。その権幕に蠑螈別と魔我彦は小さくなってしまう。
熊公は若いころにお寅と夫婦関係にあったことを持ち出し、さらに蠑螈別を脅しにかかる。蠑螈別は、お寅に未練はないから連れて帰ってくれと返答し、怒ったお寅にまた押さえつけられそうになって畳にかじりついて叫んでいる。
とうとう熊公は刺青だらけの腕を振り回し、蠑螈別とお寅に手切れ金を要求し始めた。エスカレートする熊公に、蠑螈別と魔我彦は引け腰になってお金を渡して手切れしようと言い出すが、お寅は一人承知せず、逆に熊公に食って掛かる。
熊公は怒ってお寅のたぶさをつかんで引きずり回し、怒鳴りつけた。蠑螈別と魔我彦はすっかり肝をつぶし、奥の間の長持の中へ身を隠してしまう。
この騒ぎを聞きつけて、万公、五三公、アク、タク、テクの五人はどやどやと走ってきて仲裁に立った。五三公は大親分、アクはバラモン軍の片彦将軍のふりをして芝居を打ち、位の高い者の仲裁という態を取って、千両で熊公とウラナイ教の間の手切れ話をまとめ上げた。
熊公はこの仲裁に満足し、千両を懐にねじ込んでさっさと帰ってしまった。
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03 12 〔1202〕
暴れ者の熊公に一万両を脅し取られようとしたウラナイ教の幹部たちであったが、五三公たちの仲裁で千両で手を打ち、追い返すことに成功した。
蠑螈別と魔我彦は別室にかくれて震えていたが、熊公が去るとヌッとこの場に現れた。お寅は二人にひとしきり文句を言う。万公は二人の言い訳を茶化して笑う。
お菊がこの場に現れた。お菊は男が暴れていることを松彦と松姫に報告したところ、二人は神様が五三公の口を借りてうまくさばいてくれるだろうから心配するなと諭したという。お菊はお千代と皆の無事を祈っていたところ、松彦が二人を差し招き、悪人は去ったからもう大丈夫だと言ったのでここにやってきたのだと話した。
お菊は蠑螈別と魔我彦のふがいなさを嘆いたが、今日のこの事件を見直して心を改めようと一同に歌い提案した。
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03 13 〔1203〕
お寅はお菊に続いてあたりの空気が濁るような音調で歌いだした。お寅は千両の金を熊公にゆすり取られたことに文句を言い、ここに祀った神の力がないことに怒りとあきれを表す歌を歌った。
歌の最後にお寅は奥歯で舌を噛み、やっぱり神の諭しがあったのかとにわかにまた心を変えた。
五三公は高姫や黒姫が悪神に憑依されて作り、自ら愛想をつかして出て行ったウラナイ教の神々を祀ることの危険を注意し、一同に改心を促す歌を歌った。
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04 14 〔1204〕
お寅は昔自分が捨てた夫の熊公に暴れこまれて千両の金をとられ、業を煮やして信仰上のぐらつきをはじめだし、ウラナイ教の神をののしったが、最後に自ら舌を噛んだことで神に心を向けた。
五三公はこれをきっかけにお寅の迷いをさまそうと、ウラナイ教の神は高姫の罪悪によって天の八衢にさまよったときに移った古狐が造ったものだと歌った。
教祖の高姫と黒姫は、極悪無道の神だと思っていた神素盞嗚大神の仁慈の徳に打たれて三五教に帰順し、宣伝使たちの薫陶によって迷いの雲は心から取り除かれた。
しかし蠑螈別は依然として高姫の衣鉢を継いでウラナイ教を支持していた。それは、高姫と黒姫の肉体を機関として三五教をかく乱しようと企んでいた悪魔たちが、高姫・黒姫の帰順によってその肉体から逃げ出し、蠑螈別・魔我彦・お寅に宿変えしてしまったのである。
蠑螈別は以前は軍人で教育もあるが、そういう人間ほど悪神にとっては道具として便利なのである。悪神に憑依された三人はもはや善悪正邪を判断する力を失っていた。
蠑螈別はありがたがって観物三昧経を常々唱えていたが、これは釈迦弟子どもの偽作であって、中身は釈迦のひいきの引き倒しのようなお経である。
万公、五三公、アク、タク、テクの五人がヘグレ神社をぶらぶらしていたところ、蠑螈別が熱心に経文を唱えるのが聞こえてきた。五三公は、このお経は釈迦が妻帯したことについてこじつけの説明をするあまり、釈迦の肉体について馬鹿馬鹿しい話をでっち上げた内容なのだと解説した。
万公たちは五三公の解説に感心する。五三公は先生のような口調になって冗談を言い、仲間を茶化す。
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04 15 〔1205〕
五三公は皆から先生とあだ名され、調子に乗ってしまう。タクからウラナイ教の小北山の因縁について聞かれ、解説を始めた。
常世の国から渡ってきた古狐が、野狐や古狸を引率して高姫に憑依し、国治立大神を看板にして世界を思うとおりに乱そうとしたのが始まりだと説いた。狐どもは変性女子に見抜かれるたびに憑依する肉体を替えながら、三五教を打ち壊そうと計画し狙っているのがこの小北山という場所なのだという。
松姫と松彦は、その小北山を抑えるために神様が派遣したのだという。五人がこんな話をする間に、蠑螈別はまた酒を飲み始めた。お寅は蠑螈別のお酌をお菊におしつけて行ってしまった。
蠑螈別は酔いが回ってお寅の悪口を言い、高姫を懐かしむ歌を歌いだした。外に出てきたお寅は、立ち聞きしている五人を見咎めたが、五三公はとっさに蠑螈別をほめたたえてお寅の矛先をかわした。
お寅は一同を連れて神前に行き、曲津祝詞を上げる。万公はそのでたらめさに茶々を入れるが、うまくお寅をかわし、寝に就くことになった。
本文
04 16 〔1206〕
万公は目を覚まし、もしやお菊が起きていないかと庭内をうろつきはじめた。万公は、自分が首尾よくお菊を女房にして三五教に改心させれば、お寅も三五教になびくだろうと勝手な算段をしている。
万公が庭園の石に腰かけて夢想していると、足音を忍ばせてやってくる影があった。
本文
04 17 〔1207〕
それはお菊であった。万公は夜に庭に出ていたことについて言い訳するが、お菊は何か野心があるのだろうと核心を突く。
万公はウラナイ教を信じているふりをしてお菊の歓心を買おうとするが、お菊は逆に母親のお寅は迷信家でウラナイ教の教えなど馬鹿らしいと本心を明かした。そして、万公に対してはかつての姉婿としての振る舞いをみているので愛想が尽きているときっぱり断った。
茂みの中で万公とお菊の様子を見ていたアクたちは、ここでお菊に喝采を送って万公をからかう。万公はやけになって自分の失恋を自ら茶化し、一同の笑いを取った。
本文
04 18 〔1208〕
お寅が蠑螈別のところに戻ると、蠑螈別は酔いつぶれて徳利と共に横たわっている。お寅は夜具をかけながら蠑螈別に対する不満を独り言につぶやく。
そこへ魔我彦がやってきて声をかけた。お寅は、魔我彦が金があるなどというから熊公に千両をゆすられたのだと食って掛かる。
魔我彦は魔我彦で、松彦がやってきたために自分が松姫と結婚できなくなったと文句を言う。そして信者のなかから物色したお民という女と結婚させてくれとお寅に頼み込んだ。
お寅はお民の視線が蠑螈別に注がれているのが怪しいと思っていたので、これを機会に魔我彦に片付けてやろうと魔我彦の仲介の頼みを聞き入れた。そして蠑螈別が自分の目を盗んでお民とあったりしないように番犬を言いつけた。
お菊に会ったお寅は、神界の御用があると言ってお民を説得しに出て行った。
本文
04 19 〔1209〕
お寅はお民のところにやってくると、お民は経典をひも解いている。お寅はお民に対して、蠑螈別を狙っても高嶺の花だ、魔我彦と結婚しろといきなり怒鳴りつけた。お民は驚いたが、すぐには返事はできないと冷静に返す。
お寅がしつこく迫っても、お民は頑として譲らない。お寅はしまいにお民を怒鳴りつけて帰ってしまった。
お民が独り言でいうことには、あんなケチで腰が曲がった魔我彦の女房になるくらいなら死んだ方がましだとくさした。そして自分がこんな教団に参詣するのは蠑螈別が一万両の金をもって駆け落ちしようといってくれたからだと独り言に明かした。
お民は、自分と蠑螈別との約束をお寅に見透かされたような対応を受けたので、もうこんな教団は逃げ出そうと去就を考えている。
一方お寅は夜分に松姫館を尋ねた。松姫からお民に言い聞かせてもらおうという魂胆である。お寅は、蠑螈別からお民を引き離したい一心で、お民が魔我彦の女房になることを今晩のうちに説きつけてくれと松姫に頼み込む。
そこへお菊と魔我彦がお寅を尋ねてやってきた。お寅は魔我彦に、蠑螈別の見張りをするようにと追い出すが、お寅と松姫が自分の結婚問題をどうさばくか気になり、雪がちらつく戸外で盗み聞きしている。
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04 20 〔1210〕
蠑螈別は酒に酔い潰れていびきをかいていた。そこへ裏口を開いてお民がやってきた。お民は蠑螈別をゆすりおこし、二人の間のことをお寅にかぎつかれたので、今日かぎりここを逃げ出すと暇乞いをした。
蠑螈別は酔いもいっぺんに覚め、お民に野口の森で一足先に待っていてくれ、自分は金を持って後から追いかけると言い含めた。
お民が出て行ったあと、蠑螈別は身支度をして九千両の金を身に着けて門口を飛び出そうとしたとたん、あわてて柱に額を打ち、その場に倒れてしまった。
一方お寅は松姫を説きつけて、今晩のうちに松姫からお民を説得することになった。松姫はお民の寝間を指して雪の中を行ってしまった。
お寅は蠑螈別の居間に戻ると、蠑螈別は旅装束の姿で門口に打ち倒れている。お寅が蠑螈別の背中を叩いて起こすと、蠑螈別はお寅をお民だと思って話しかけ、駆け落ちの魂胆をしゃべってしまう。
お寅は怒って蠑螈別の胸ぐらをつかんで怒鳴りだした。蠑螈別はお寅に責められてお民との駆け落ちを白状した。そして床に落ちたときの音で蠑螈別が小判を持ち出そうとしていたことに気付いたお寅は怒り心頭に達して狂気のごとくになった。
しかしその勢いで火鉢につまづいたお寅は柱に額を打ちつけてうずくまってしまう。蠑螈別はこの機を逃さず小判を腰につけ直し、修業に出ると言ってお寅を金剛杖で打つと走って出て行ってしまった。お寅は怒って蠑螈別を追いかけて行ってしまう。
松彦は残った松姫らと相談の上小北山に修祓を行い、国治立大神をはじめ三五教を守る神々を鎮祭した。そして松姫、お千代、お菊、文助らに真理を説き諭してこの聖場を祀らせた。
松彦は、万公、五三公、アク、タク、テクを引き連れて、浮木の森を指して進んで行った。
ちなみに魔我彦は、お民を追いかけてお寅の後から野口の森を目当てにかけて行ってしまった。
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