巻 | 篇 | 篇題 | 章 | 章題 | 〔通し章〕 | あらすじ | 本文 |
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- | - | - | 海洋万里 午の巻 | - | 本文 | ||
- | - | - | 序歌 | - | 湯ケ島温泉の湯元館に来たれと信者がこまごまと送ってくれた書状に感じ、松村真澄・佐賀伊佐男の二人の幹部に、一部の信者らを引き連れて、避暑旅行に出立した。
綾部から丹波、京都、近江を越えて、関が原から岐阜・名古屋へと抜けていく。浜松、静岡の各駅を通過し、沼津から伊豆に入っていく。
ようやく湯元館の安藤宅に着き、もてなしを受けた。瑞月は安全椅子によりかかって霊界物語を口述し、松村氏は筆録の筆をすべらせる。『海洋万里』午の巻をいよいよここに述べ写す。
『海洋万里』卯の巻は四日間、辰の巻は三日間、巳の巻は三日間、前後あわせて十日間であった。休養日を幸い、筆のすさびに記しておく。 |
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- | - | - | 総説 | - | 本巻は秘露の国アラシカ山麓のウラル教の宣伝使の娘エリナの家に、国依別の宣伝使が四五日間滞在したこと、楓別命のヒルの神館に進む途上大地震に出会い紅井姫の危難を救ったこと、ウラル教のブール一派を帰順させてエスを救い出したこと。
紅井姫とエリナをエスに一任して安彦・宗彦の二人を伴ってブラジル峠の谷間を越え、シーズン川において秋山別・モリスの二人の命を救ったこと、屏風山脈の最高峰・帽子ケ岳で言依別に邂逅したこと。
両者は協力してアマゾン河および時雨ノ森の邪神を言向け和し、鷹依姫一行と高姫一行を救う策源地と定めたことまでを口述した、珍しい古代の物語である。 |
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01 | 00 | 千状万態 | - | 本文 | |||
01 | 01 | 主一無適 | 〔867〕 | 本文 | |||
01 | 02 | 大地震 | 〔868〕 | 本文 | |||
01 | 03 | 救世神 | 〔869〕 | 本文 | |||
01 | 04 | 不知恋 | 〔870〕 | 本文 | |||
01 | 05 | 秋鹿の叫 | 〔871〕 | 本文 | |||
01 | 06 | 女弟子 | 〔872〕 | 本文 | |||
02 | 00 | 紅裙隊 | - | 本文 | |||
02 | 07 | 妻の選挙 | 〔873〕 | 本文 | |||
02 | 08 | 人獣 | 〔874〕 | 本文 | |||
02 | 09 | 誤神託 | 〔875〕 | 本文 | |||
02 | 10 | 噂の影 | 〔876〕 | 本文 | |||
02 | 11 | 売言買辞 | 〔877〕 | 本文 | |||
02 | 12 | 冷い親切 | 〔878〕 | ユーズは国依別がやってきたことに恐れをなし、ブールの居間にかけこんで、国依別が来たことを注進し、エスを牢から出してその場を取り繕うようにと進言した。
ブールはユーズの案に賛同した。ユーズは早速エスの水牢に行き、エスに呼びかけた。しかしエスは、結構な修行をさせてもらっていると意固地になって牢から出ようとしない。エスは国依別が娘のエリナを連れて洞窟までやってきたことを知っており、ユーズの呼び掛けにはまったく耳を貸さなかった。
そうこうするうちに、国依別一行は、助け出したキジとマチを連れて、ブールの居間にやってきていた。ブールは態度を変えて、にこやかに一行を迎え入れる。
ブールは、キジとマチにこれまでの仕打ちを責められて震えていた。そこへ、やはり青い顔をしたユーズが帰ってきた。 |
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02 | 13 | 姉妹教 | 〔879〕 | ブールは、ユーズがエスを連れてくるものと思っていたが、ユーズはエスが牢から出ようとしないことを報告した。エリナに責められたユーズは、ブールの命によってエスを牢に入れて虐待していたのだ、と言い訳を始めた。
一行はブールとユーズの案内で、水牢のエスに会いに行った。国依別は牢内のエスに、三五教の味方をしてくれたことのお礼を述べた。
エスは国依別に挨拶とお礼を述べ、自分を教主に讒言して牢に入れ虐待していた張本人は、ユーズであることを明かした。エリナはエスの苦労話を聞いてわっと泣き伏した。ユーズはエリナに駆け寄って介抱しようとしたが、エリナに突き飛ばされて、水牢の中に落ちてしまった。
エスはその隙に水牢を出ると、外から鍵をかけてしまった。一行はユーズを牢に置いたまま、ブールの居間に戻ってきて歓談した。ブールは祭服を着けて一行を祭壇に導き、改心の意を表した。
ここに国依別の裁定によってエスをこの地の三五教の教主となした。そしてヒルの神館と提携してヒルの国・カルの国双方に三五教を広めることとなった。
アナンとユーズは牢内で修行の末助け出されて赦され、改心して神の道に仕え、一生を安く暮らすことができた。国依別は四五日逗留したのち、キジとマチを連れて日暮シ山に別れを告げ、ブラジル峠を指して宣伝歌を歌いながら進んで行く。 |
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03 | 00 | 千里万行 | - | 本文 | |||
03 | 14 | 樹下の宿 | 〔880〕 | 国依別はキジに安彦という名を与え、マチには宗介という名を与えた。道々二人に教えを伝えながら、ブラジル峠を越えて大平原に出た。国依別と安彦は旅の疲れに寝てしまったが、宗介は何となく寝つけず、聞こえてくる猛獣の声に震えていた。
明け方、猛獣の声が聞こえなくなったが、大木の切り株に二人の男が腰を掛けてひそびそ話にふけっているのが耳に入ってきた。宗介が耳を澄ませて聞き入ると、それは秋山別とモリスだった。
秋山別とモリスは国依別が紅井姫とエリナを連れていると思って、執念深く追ってきていたのであった。二人はこの先の丸木橋に仕掛けをして、国依別を落として亡き者にしようと企んでいた。
宗介はこれを聞いて、国依別に先に知らせるよりも、丸木橋のところで自分が天眼通で彼らの企みを見破ったように見せかければ、国依別も自分を見直すだろう、と我知らず独り言が大きくなった。
安彦は宗介の独り言を聞いてしまい、宗介をからかう。しかし国依別は最初からすべて聞いていた。国依別は、宗介の頼みを聞いて、名を宗彦と改めた。
国依別は、秋山別とモリスの企みを逆手に取って、女の声色を使ってまんまと丸木橋をわたって出し抜いてやろうという。一行は再び眠りについて、夜が明けてから進んで行くことになった。 |
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03 | 15 | 丸木橋 | 〔881〕 | 国依別は丸木橋に近づくと、安彦と宗彦に気合を入れ、自ら鶯のような女性の声色で宣伝歌を歌いだした。
その歌は、紅井姫もエリナも国依別に振られたように見せかけ、それぞれ秋山別、モリスに惚れて追ってきたかのように歌っていた。秋山別とモリスは、紅井姫とエリナが自分たちに惚れていたのだと思い込んでしまった。
三人は丸木橋を渡りきると、念入りにも森の木の皮に、紅井姫とエリナから秋山別とモリスに宛てたかのような恋文を書き込んだ。
秋山別とモリスは、国依別たちの偽の歌を聞いて、待ち構えていた橋の下の谷から上がってきた。そして紅井姫とエリナを追いかけ、国依別たちの偽の恋文を見つけ、有頂天になって追いかけ始めた。
国依別たちは、秋山別とモリスが追いかけてくるだろうと踏んで道を急ぎ、大木の上に上って休息した。
秋山別とモリスは、男の足で急いで来たのに女たちに追いつかないことを不審に思い、追い越してしまったのだろうと考えた。そして国依別らが休んでいる木の下にやってきて、そこで休息してしまった。 |
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03 | 16 | 天狂坊 | 〔882〕 | 木の下で休息していた秋山別とモリスが木に登って来ようとしたので、国依別はにわかに天狗の声を出して驚かした。
国依別は二人に、紅井姫とエリナは日暮シ山の岩窟に居ると真実を告げるが、以前にやはり天狗の声色でだまされた二人は容易に信用しなかった。
そこへ、紅井姫とエリナがやってきて、秋山別とモリスの手を取ると、恋人気取りで行ってしまった。
安彦と宗彦は、日暮シ山に居るはずの紅井姫とエリナが突然ここにやってきたことを不審がるが、国依別は、あれは白狐の旭明神・月日明神が自分たちを助けてくれたのだ、と教えた。 |
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03 | 17 | 新しき女 | 〔883〕 | 恋のとりことなった秋山別とモリスは、紅井姫とエリナ姫(実は旭明神と月日明神)に伴われて酷熱の太陽の下、大山脈のふもとを東南さして進んで行き、アマゾン河の支流である、シーズン河という大河の河堤にやってきた。
秋山別が紅井姫だと思っていた女は、河のほとりまで来ると、急に言動を変え、理詰めで秋山別を男として先見の明が無い古い人間だと非難を始めた。秋山別が何を言っても秋山別のこれまでの行動を非難し、秋山別が怒り出すと、河に飛び込んで消えてしまった。
秋山別は呆然としながらも、紅井姫の舌鋒や行動に辟易し、エリナを女房にしようとすればよかったなどと不謹慎なことを考えている。
そこへ、モリスとエリナが仲よさそうにやってきた。秋山別が、紅井姫が突然ハイカラな理屈を振りかざし出して、ついには河に身を投げてしまったと説明した。
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03 | 18 | シーズンの流 | 〔884〕 | エリナも突然口調を変えて、秋山別とモリスをからかいだした。そしてモリスを置いてどこかに行こうとする。二人の男は未練たらたらでエリナを留めようとするが、逆にエリナに心底を見透かされて恥をかかされてしまう。
秋山別とモリスは馬鹿にされて怒り、エリナに打ち掛かるが、逆に首筋を掴まれてシーズン河に投げ込まれてしまった。 |
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03 | 19 | 怪原野 | 〔885〕 | 秋山別とモリスは、いつの間にか死に装束で猛獣の鳴き声が響くさびしい原野をとぼとぼと歩いていた。
二人の行く道は、鏡の岩で阻まれた。鏡の岩はたちまち猛火となって燃え上がり、二人は火に追われて逃げ出し、とある川辺にたどり着いた。 |
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03 | 20 | 脱皮婆 | 〔886〕 | 秋山別とモリスは、炎を避けて川辺にやってきたが、川幅が広く急流で渡ることができない。炎に追われて地団太を踏んでいると、おぞましいガリガリ亡者がやってきた。
秋山別はぞっとしたが、わけのわからないところへ来てしまって気を弱くしてはつけこまれると思い直し、強い口調で亡者にお前は誰かと問いかけた。
亡者たちは、現世では色と金にはまってこのような姿となり、河にはまった秋山別とモリスの命を奪ったのも自分たちだと答えた。秋山別とモリスは亡者たちと押し問答していたが、亡者たちは、二人が冥途へ来てまで二枚舌を使うと言って、やにわにくぎ抜きを持って二人に襲いかかってきた。
秋山別とモリスは命からがら河に飛び込んで急流を渡り、なんとか亡者たちの襲撃を免れた。二人はかやぶきの粗末な小屋を見つけ、中の婆に声をかけた。婆は、ここは焦熱地獄で自分は二人が来るのを閻魔大王の命で待っていたのだ、と告げた。
焼け野が原の脱皮婆と名乗る婆は、焦熱地獄はよほど罪の重い者がやってくる場所だと言い、鬼が火の車で二人を迎えに来ると告げた。そんな大罪を犯した覚えはないと訴える二人に対して、婆はあきらめるようにと諭す。
そこへガラガラと大きな音を立てて赤鬼と青鬼が二台の火の車を引き連れてやってきた。秋山別とモリスはあっと驚いてその場に倒れ伏した。 |
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03 | 21 | 白毫の光 | 〔887〕 | 赤鬼と青鬼は二人を睨み付け、火の車に乗るようにと怒鳴りたてた。秋山別はやけくそになり、逆に鬼を怒鳴りつけて車に乗らないと言い出した。モリスはおどおどして秋山別をなだめ、鬼たちに詫びる。
秋山別は鬼を買収して地獄から抜け出そうと、鬼たちに金を渡した。二人は車に乗り込んだが、鬼たちは二人を焦熱地獄に連れてきてしまう。秋山別は約束が違うと非難するが、鬼たちは、自分たちは規則通りのことをするだけだと取り合わない。
焦熱地獄に投げ込まれそうになった二人は、惟神霊幸倍坐世を一生懸命に唱えた。すると一団の火光が大音響とともに落下し、鬼も火の車も消えてしまった。そして眉間の白毫からダイヤモンドのような光を発する神人が現れた。
神人は二人に水を与えて背を撫でさすり、まだ二人には現界で働かなければならない寿命が残っていると言って、背中を打った。
秋山別とモリスが気が付くと、二人はシーズン河の川辺で国依別、安彦、宗彦に介抱されていた。二人は国依別たちに礼を述べ、河原に端座して祝詞を奏上し、神恩を感謝した。
これより二人は国依別に帰依して心から改心し、一行はアマゾン河の大森林の魔神を征服するべく進んで行った。 |
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04 | 00 | 言霊将軍 | - | 本文 | |||
04 | 22 | 神の試 | 〔888〕 | 国依別一行は、シーズン川を渡りアマゾン川上流を目指した。一行の行く手には、数百里にわたる山脈が横たわっていた。屏風ケ岳というその山は海抜二万五千尺にのぼり、アマゾン川を一望できる景勝地であった。
国依別はこの山を越えるにあたり、秋山別とモリスを南のルートから登らせ、自分たちは北のルートを取った。この山脈の中央の峰・帽子山山頂で合流することを約して、一行はそれぞれ四五日を要する山道を登って行った。
秋山別とモリスは宣伝歌を歌いながら登って行ったが、野宿する間に猛烈な山おろしが吹き、秋山別は暗闇の中、どこかへ吹き飛ばされてしまった。岩の根にしがみついていたモリスは、夜明けとともに一人不安を感じながら、秋山別との再会を念じつつ山道を進んだ。
にわかに女の叫び声が聞こえてきた。モリスが近寄ると、そこには妙齢の女性が縛られて苦しんでいた。モリスが助け起こすと、女は荒男たちにさらわれて来て乱暴されそうになっていたが、男たちは宣伝歌が聞こえてくると逃げてしまったのだ、とモリスに語った。
モリスがよくよく女の顔をみると、それは不思議にも、日暮シ山に居るはずの紅井姫であった。屏風ケ岳に突然現れた紅井姫は、実は自分はモリスに恋心を抱いていたのだと言い、モリスに言い寄ってきた。
紅井姫はあの手この手でモリスの情を惹こうと言い寄るが、モリスは自分の改心の決心を明かして頑なに拒み、姫に宣伝使としての自分の使命の理解を求めた。
紅井姫と見えた女性は厳然として立ち上がり、自分は旭日明神であると明かし、モリスの心底確かに見届けたと告げ、国依別を助け神業に参加するようにと言い残して消えてしまった。 |
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04 | 23 | 化老爺 | 〔889〕 | 秋山別は烈風に吹き飛ばされ、モリスと別れてしまい、やむを得ずただ一人山頂に向けて歩き始めていた。満点の星光のもと、天を仰いで神徳を賛美しつつあった。
すると突如大音響がして、たちまち一天かき曇り大粒の雨がバラバラと降り出した。秋山別が老木の陰に雨を避けようとすると、突然白髪異様の怪物が現れて、秋山別に掴みかかろうとした。
秋山別はとっさに大神と諸神を念じた。怪物はアマゾン川に永住する八岐大蛇の化身であると名乗った。そしてここから引き返すようにと秋山別を脅しにかかった。秋山別が三五教の宣伝使として不退転の決意を示すと、怪物は言霊歌で三五教を威喝・罵倒した。
秋山別は臍下丹田に息を込めて天の数歌を歌った。すると怪物の顔が少しく和らいだ。怪物は誠の言霊に弱いとうっかり口をすべらせた。秋山別はそれを力に、怪物の言霊歌を受けて、返歌を歌った。
怪物は、これまでの秋山別の悪行を並べ立てたが、秋山別は動じずに怪物に応答し、さらに天の数歌を繰り返すと、怪物は次第に小さくなって、二三尺の童子の姿となってしまった。怪物は捨て台詞を吐くと、秋山別の前から消えてしまった。 |
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04 | 24 | 魔違 | 〔890〕 | 秋山別は樹下に一夜を明かした。すると下の方から宣伝歌の声が聞こえてきた。見ればモリスが登ってくる。秋山別は小躍りして喜び、モリスが来るのを待っていた。
しかしこれは、昨晩の怪物がモリスの姿に化けていたものであった。秋山別はモリスと思い込んで再会の喜びを表したが、モリスに化けた怪物は持っていた幣のようなものを打ち振った。
すると、小さな玉のようなものが幾百ともなく落下して爆発し、中から小さな紅井姫が何百も現れて秋山別に取り付き、一斉に恨み言を浴びせながら秋山別を引き倒し、乱暴した。秋山別は苦しさに昏倒してしまった。
怪物はそのさまを見てあざ笑うと、昨晩の言霊のお返しだと言ってどこかへ消えてしまった。秋山別は気がついて、あたりを見回している。そこへ宣伝歌の声が聞こえてきた。今度は本物のモリスであった。
モリスは秋山別を見つけて声をかけ、無事を祝すと、自分が試練にあったことを話し始めた。しかし秋山別は先ほどモリスに化けた怪物になぶられたので、警戒して言霊を発射し続けている。
秋山別があまりモリスを怪物ではないかと疑ってかかるので、モリスは刺激してはいけないとそのまま二人で山頂まで登ることとした。 |
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04 | 25 | 会合 | 〔891〕 | 一方、国依別と安彦・宗彦たちは帽子山山頂に着き、秋山別とモリスを待ちながら、神言を奏上していた。すると、背後から宣伝歌が聞こえてきた。高砂島への宣伝の旅の様子を語るその歌を聞いて、国依別はそれが言依別命だと悟り、百万の援軍を得た嬉しさに満たされ、襟を正して待っていた。
そこへ、秋山別とモリスがやってきた。二人は国依別一行を見つけると、嬉しさに嗚咽啼泣し、道中に受けた試練をそれぞれ報告し、神恩への感謝を表した。
やがて言依別命一行も姿を現し、合流した。言依別命と国依別はここを策源地として、アマゾンの時雨の森の魔神たちに対して言霊戦を開始することとなった。 |
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- | - | - | 余白歌 | - | 本文 |