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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第29巻 海洋万里 辰の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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本巻は前巻とともに、伊豆湯ケ島の湯本館において筆記者松村真澄氏一人を相手に、丸二日と三日目に少しかかって編み上げられました。口述者の息が続けばほとんど二日にて同氏の筆に写すことができる、という体験をいたしました。
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鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの四人がアリナの滝で策を用いていろいろの玉を収集し、アルゼンチンの大原野にて神の訓戒を受け、アマゾン河をさかのぼって玉の森に迷い込みます。
高姫は言依別の後を追って、常彦、春彦とともにアルゼンチンの大原野にて神の訓戒を受け、悔悟の花を心に咲かせて、玉の森に迷う鷹依姫たちを救おうと天祥山を越えて行く、面白い改心物語です。
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『海洋万里』辰の巻から羊の巻に至り、南米太古の物語を口述しました。今日は人文大いに開け、十数カ国の国が建っています。この文章では現今の南米諸国について状況を記したもので、太古のことではありませんが、物語の参考として引用します。
ペルーは物語ではヒルの国と称してます。この国には無尽蔵の富源を抱いています。昔、インカ帝国の時代にはその文明は、かつてのギリシャ・ローマに比すべきものでしたが、四百年前にスペインが国を奪い、三百年の暴政を行ったので、国土は荒廃し文化が退歩してしまいました。
地理的には南北に縦走するアンデス山脈によって、海岸、山岳、森林地帯に区別されます。海岸は無雨地帯と称せられていますが、アンデス山(高照山)より発する五十余の河川があり、耕作が行われています。
海岸地帯は一見不毛の土地ですが、水さえ引けば地味は非常に肥沃です。気候は一年中日本内地の五、六月の気候で理想的です。山岳地帯は鉱山地帯とも呼ばれ、無類無量の鉱産を誇ります。
森林地帯は国土の三分の二を占め、アマゾン河の本流・支流の上流をなす数千の河川は、みなこの地から発しているため、将来において河川を利用する交通を起こすには地勢上便利があります。
また国境地帯は熱帯の暑熱であるが、アンデス山系の斜面および海抜二千尺以上の地域は亜熱帯や温帯の気候で、イタリア南部に似た過ごしやすい気候となっています。雨量は豊かで、雨季と乾季に分かれている。
この地に足を踏み入れた人は、植物の発育の旺盛なことに驚かされ、その種類も多く有用植物も多数生育する。また動物も多様で、河川の魚貝も地中海に匹敵する。
森林地帯も鉱物の埋蔵量は多量だが、交通が不便のために今まで発掘されていない。また貴金属よりも石油が有望視されている。
ヒル(ペルー)とカル(コロンビア)の間にある日暮山(アンデス山)は海抜二万五六千尺ほどもあり、その頂上には一大湖水がある。山の中腹には今なお邪気がこもれる死線が横たわる危険な箇所があるという。この地方は薬草が多く雨が少ない。
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01 01 〔823〕
黒姫が紛失した黄金の玉を探しに旅に出た鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスは、四人連れとなって南米の高砂島へやってきた。テルの港に着いた一行は、道を南にとり、その昔狭依彦が三五教を開いた旧跡・アリナの滝の上流にある鏡の池の岩窟にやってきた。
一行はそこに居を構え、鷹依姫は岩窟の奥に身を潜め、竜国別は岩窟の外に庵を結び、鏡の池の神勅だと偽って玉のありかを探る計画を立てた。
テーリスタンとカーリンスを巡礼姿となして周辺の国に遣わし、鏡の池に月照彦神が現れて、玉を献上すれば厚い神徳が得られると触れて廻った。高砂島の住民は二人の宣伝を信じて、玉を持って鏡の池に列をなした。
一年ほどで幾百もの玉が集まったが、一行が求める黄金の玉は見つからなかった。ヒルの国のアールという男は、先祖代々より秘蔵した黄金の玉を月照彦神に献上しようと、夜に日を継いでやってきた。
鷹依姫ら四人は、岩窟のほとりで苦労話にふけっている。そこへアールの一行が黄金の玉献上との旗を押し立ててやってきたのを見て、鷹依姫は慌てて岩窟の奥に姿を隠した。竜国別以下は威儀を正して鏡の池の前に端座平伏した。
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01 02 〔824〕
竜国別、テーリスタン、カーリンスは謹厳を装って鏡の池の前で祈願していた。そこへヒルの国のテーナの里の酋長・アールの一行がやってきた。アールは祈願する三人の姿を見て感じ入り、自らも輿を降りて鏡の池の前に向かい拝跪し合掌した。
岩窟の中よりど拍子の抜けた声で、月照彦神を名乗る託宣が響いた。託宣は、アールに国玉依別命という名を与えた。託宣は、黄金の玉を竜国別を通じて献上せよと命じた。
竜国別はテーリスタンとカーリンスに命じて、玉を受け取らせたが、二人は足元に躓いて、鏡の池の中へ箱を落としてしまった。二人は慌てて池の中に飛び込んだ。
しかし玉の箱は二人が池に飛び込んだはずみで岩窟の奥の鷹依姫の前に飛び出した。鷹依姫は参拝の人々がいるのも忘れて玉の箱を抱えて岩窟の外に出てきてしまった。竜国別は鷹依姫に注意を促したが、鷹依姫は玉が手に入った以上はもういいと言う。
酋長のアールは鷹依姫が岩窟から出てきたのを見て、神様がお姿を現してくださったと想って感じ入り、鷹依姫に丁重に喜びの意を表した。鷹依姫はにわかに荘厳な口調にて、一同にアリナの滝で一昼夜禊をなすように言い渡した。
酋長一行が滝に向かった後、鷹依姫は箱を開けて中を見てみれば、中には金色燦然と輝く玉が入っていた。黒姫が持っていた玉に比べてやや小さいように感じたが、気のせいと思い直して、これを聖地に持って帰ることとした。
竜国別の思いつきで、これまで集めた玉の中からもっとも勝れたものを取ってそこに月照彦神様の御魂をうつして酋長夫婦にその玉を守る神司を命じ、そして自分たちは神の眷属として天上に帰った、という書置きを残すことにした。
一行は鏡の池に天津祝詞を奏上して酋長たちのために祈願をこらし、闇に紛れてその場を離れ、宇都の国の櫟が原という平原にたどり着いた。
次の日、酋長たちは禊を終えて鏡の池に来てみると、庵の中に自分たちが献上した玉箱が置かれ、書置きが残してあった。酋長夫婦は書置きの文句を固く信じ、酋長は国玉依別命、妻は玉竜姫命となって、鏡の池の神司を引き継ぐこととなった。
夫婦の祈願によって、相当の御神徳を頂く者が増えてきたことにより、それほど広くない鏡の池のあたりは、参拝の信者たちで雑踏をきたすことになった。やむを得ず数多の信者の協議の上、谷から谷へ橋を渡し、橋の上に高大な八尋殿を作った。
国玉依別命夫婦が神主となって神前に使え、三五教の教えを日夜宣伝した。これを懸橋の御殿と称えられることになった。
あるときから、丑満のころに神殿に怪しい物音が聞こえてくることを不審に思い、国玉依別夫婦は神前に端座して、正体を調べようと待っていた。神殿の床下から怪しい煙が立ち上り、蛸のような禿頭の不細工な神が現れて、玉を納めた輿の周りを廻っている。
国玉依別命は怪しい神に向かって毅然として誰何した。神は、自分は狭依彦の霊体であると告げ、以前の鏡の池の司たちは鷹依姫たちであり、策略によって国玉依別命から黄金の玉を奪い取って瑪瑙の玉とすり替えたのだ、と真実を告げた。
国玉依別命は、月照彦神の御神霊が宿られていることが大切なので、形ばかりの黄金の玉は惜しくないと告げた。狭依彦は、国玉依別命夫婦の真心に感じたと告げ、この神前に幽仕して神業を助けようと約束した。
夫婦は狭依彦の御魂を祀るべく鏡の池のほとりに宮を作って朝夕奉仕することになった。懸橋の御殿は月照彦神、狭依彦命、国魂神の威徳によって光輝を放ち、国玉依別命夫婦の盛名は高砂島に隈なく喧伝されることになった。
ちなみに、竜国別一行が高砂島を目指したのは、鷹依姫の神懸りを信じたためである。帰神への迷信は慎むべきである。しかしながら、これによって思いもかけず海外宣伝がなされたことは、神慮と言うべきである。
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01 03 〔825〕
鷹依姫の一行四人は、ウヅの国の櫟が原にようやく辿り着いた。竜国別、テーリスタン、カーリンスの三人は、黄金の玉を錦の袋に収めて、交代で担ぎながらアリナ山の急坂を上り下りしながらこの場所にやってきた。どうしたわけか、玉は一足一足重量を増すがごとくに思えて転倒しそうな気分になってきた。
一行は、白楊樹の陰に足を伸ばして休むことになった。四人は玉を抱えて草の上に眠りについてしまった。折から夜嵐が吹き、白楊樹が弓のようにしなったはずみに、玉の袋を首に掛けていたテーリスタンは白楊樹の枝を抱えてしまい、白楊樹のしなりが元に戻ると、テーリスタンは梢に引き上げられてしまった。
驚いたテーリスタンは足を踏み外して落ちてしまった。三人は驚いて目を覚まし、テーリスタンを介抱する。三人はテーリスタンが首に掛けていた黄金の玉が紛失しているのに気付き、テーリスタンに問いただす。
鷹依姫に責められたテーリスタンは、やはり権謀術数的なやり方をするから神罰が当たったのだ、と言い返す。鷹依姫と言い合っているうちに、カーリンスが白楊樹の梢に錦の袋が引っかかっているのを見つけた。鷹依姫の命でカーリンスが白楊樹に登りかけたが、悲鳴を上げて落ち倒れてしまった。
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01 04 〔826〕
驚いて樹下に駆け寄った竜国別も、あっと悲鳴を上げてその場に倒れてしまった。テーリスタンは白楊樹から落ちて動けず、鷹依姫一人だけが泰然として天津祝詞と天の数歌を歌って回復を祈願している。
鷹依姫は三人が唸り声を出しているので、命に別状はないと安心し、黄金の玉をアールから騙し取った罪を大神に謝罪しながら夜を明かした。竜国別とカーリンスはようやく正気づいて起き上がると、玉への執着を責められて恐ろしい夢の警告を受けた、と二人涙ながらに語って懺悔を始めた。
テーリスタンは二人が弱気になったことをたしなめたが、竜国別はこれは神様の懲戒だと言い、カーリンスも同意した。
鷹依姫はお道のためなら初心を曲げずに断固として進むのだと言い放って自ら白楊樹に登ろうとした。しかし白楊樹にはよくよく見ると大きなムカデや蛇が巻きついていて登って進むことができない。
鷹依姫は、ここに庵を結んでムカデや蛇が根負けして退散するまで頑張るのだ、と言って三人に草庵を作らせた。四人は夜露を凌ぎつつ、庵の中で天津祝詞を奏上していた。すると外から異様な声が聞こえてきた。
竜国別、テーリスタン、カーリンスは寒水を頭から浴びせかけられたような感じがして、びりびりと震え出した。鷹依姫は一人平気な顔をして、怪物を言向け和そうと外に出て行こうとする。
三人が止めるのも聞かず、鷹依姫は萱原に出て怪しい声に向かって誰何すると、大音声に天の数歌を歌い上げた。前方に白煙が立ち上り、頭の光った蛸入道が現れた。蛸入道は鷹依姫の素性を知っており、テーナの酋長から黄金の玉を騙し取ったことを責め立てた。
鷹依姫は、天下国家のためなら細部を省みない心だと言い返す。蛸入道は、自分は悪神の将・猿世彦の悪霊であり、三五教の人間に怨みを晴らそうと、この櫟ケ原で待っていたのだと明かした。
鷹依姫は、猿世彦の本守護神は狭依彦という立派な神となっていると言い、蛸入道を解脱させようとする。蛸入道も自分を済度してくれる者を待っていたというが、鷹依姫の祝詞はまったく効果を表さない。
蛸入道は、鷹依姫の心に執着心という鬼が潜んでいるので、言霊が濁りきっていると指摘した。そして玉のことは思い切って善心に立ち返るようにと諭した。
また、黄金の玉はすでに発見されて言依別命によってある地点に隠されていることを告げ、言依別命と国依別が鷹依姫たちを探して高砂島にやってくるので、海岸伝いに北上し、アマゾン河をさかのぼって玉の森に向かうようにと伝えた。
鷹依姫は怪物の言葉に真実味を受け取り、玉への執着心を捨てて櫟ケ原から海岸に出て、北へと進んで行った。ちなみにこの怪物は実は怨霊ではなく、木花姫命が一行の執着心を取り払おうとのお計らいであった。
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02 05 〔827〕
船から飛び出して高砂島に上陸した高姫は、暗間山の山口まで走ってきて横になった。そして常彦や春彦の悪口を独り言し、知らずに声が大きくなっている。常彦や春彦は後から追って来て、茂みからそれを聞いている。
高姫はずうずうしくも、常彦や春彦のような下っ端の人間ではなくテルの国で一、二を争う立派な人間を弟子に授けてくれと神様に祈っている。
常彦と春彦は、旅人を装って高姫の傍らの道に現れ、お互いにテルの国とヒルの国の国王近侍の振りをして、わざと声高に会話しながら高姫の側を通った。高姫は高貴な人間を弟子にしたいと焦り、二人を呼び止めて、日の出神の説教を聞かせようとする。
常彦と春彦はすぐに馬脚を表した。二人は今度は、自分たちは高島丸の船中で言依別命と国依別に会って玉のありかを知らせてもらったが、高姫の先ほどの独り言を聞いてしまったので、高姫にそれを知らせる気は無くなった、と言って逃げるふりをする。
高姫は二人が玉について何か情報を知っているものと思い、手のひらを返して二人を引き止めた。三人はその場に一夜を明かすことになった。
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02 06 〔828〕
休息中も高姫は言葉を和らげて、常彦・春彦が船中で言依別一行から聞いたという玉のありかを聞き出そうとする。
常彦ははぐらかしながら、高姫のころころ変わる態度を皮肉っている。高姫はしきりにお世辞を言うが、常彦は、玉のありかを漏らしたら、高姫は手のひらを返して自分たちを見捨てるだろうからと警戒する。
常彦は高姫をからかった挙句、春彦と二人で走って逃げてしまった。高姫はそれを追いかけて転倒してしまう。高姫が血を流して倒れているところに四五人の男たちが通りかかり、高姫を気の毒がってお土で手当てをしてくれた。
高姫は、日の出神の生き宮を助けた功徳を与えてあげたのだから感謝しろ、と男たちに言う。男たちは高姫の傲慢にあきれ、早く玉を供えに行こうと言う。
高姫は玉と聞いて、男たちの一人に金を払って情報を得る。男たちは、アリナの滝の鏡の池に玉を供えに行く途中だった。高姫は、常彦が言っていた玉のありかはてっきりここだと思い定め、一目散にアリナの滝へ駆け出した。
木陰で休んでいた常彦と春彦はそれを見て、後を追いかけていく。
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02 07 〔829〕
高姫は疲れて細谷川の川べりで休息し、一夜を明かすことになった。常彦と春彦は後から遅れて追いかけてきた。
里の童が牛を川に入れた後、その背に乗って横笛を吹きながら帰っていく。常彦はその牛にぶつかってしまった。そのひょうしに牛は驚き、童は背から落ちてしまった。童子は子供らしからぬ権幕で常彦を怒鳴りつけた。
常彦は謝るが、童子は怒って春彦にも謝罪を要求する。そのうちに童子は、自分が誰だか言い当てたら赦してやると謎を言い出した。常彦は高砂島にたびたび出現する童子神・牛童丸様ではないか、と答えた。
童子は、牛童丸は何神の化身か知っているか、と謎を続ける。牛童丸は百姓の神・大歳の神だと明かし、春彦を呼んで横笛でひっぱたいた。そして二人に牛を与えると、高姫が休んでいる場所を教え、牛に乗ってアリナの滝まで行くようにと伝えると、姿を消した。
二人は牛を連れて、牛童丸が教えてくれた高姫が寝ているところにやってきた。高姫は目を覚まし、常彦と春彦を見るとまた憎まれ口をたたき出した。常彦は、牛童丸に玉の詳細を聞かされたと言って牛に乗って先に行こうとする。
高姫は慌てて引きとめ、三人は腹の探りあいをひとしきりした後、牛を返して街道に出た。七日をかけてようやく、蛸取村の海岸に出たときには、すでに日は沈んでいた。三人は月に向かって天津祝詞を奏上し、夜中もアリナの滝に向かって歩いていく。
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02 08 〔830〕
一行はようやく滝に着いた。すでに四五人の信者が禊をしている。高姫たちも身を清め、鏡の池の前に出たときにはちょうど夜が明けていた。
池の傍らには狭依彦命のお宮が新造されていた。以前に竜国別らが住んでいた庵には、奉仕者が詰めている。諸方から献上された玉は、積み上げられていた。上方には新造の懸橋御殿が建っている。
高姫は鏡の池に拍手しながらも、すでに積み上げられた玉に気を取られ、隼のような眼で眺めいっている。すると長年の沈黙を破ってブクブクと唸り出した。池の声は、いろは歌で高姫のこれまでの所業を数え挙げ、金毛九尾の邪神に使われていると非難を始めた。
高姫もいろは歌で池の神に言い返す。池の神は月照彦神と名乗り、高姫に改心を迫った。高姫は自分は審神の第一人者だと言って言い返し、常彦がたしなめても聞かない。池の神はまたしてもいろは歌で高姫の罪を責めた。高姫は池の神をすっぽんだと罵る。
高姫は、玉は懸橋御殿に隠してあると言い出した。まだ責め立てる池の神に対して、悪口を返す高姫を常彦と春彦はなだめるが、高姫は二人に食ってかかった。
そこへ懸橋御殿の神司である国玉依別がやってきた。国玉依別は、鏡の池に詣でる前に、懸橋御殿にお参りするようにと案内した。
高姫は池の神はすっぽんだと罵って、玉のひとつを池に投げ込んだ。すると池の中から恐ろしい唸り声が大地を揺らし、高姫はその場にへたり込んでしまった。しかし高姫以外の人たちにはこの音響は音楽のように聞こえていた。
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02 09 〔831〕
国玉依別は、高姫が人事不省に陥ったので、人を呼んで懸橋御殿に運び、玉竜姫と共に何くれと介抱をなした。高姫はようやく正気に復した。
常彦と春彦は高姫に、鏡の池の神様に楯突いて人事不省になったのを、懸橋御殿の奉仕者たちが助けてくれたのだと説明し、神様に反抗しないようにと、また国玉依別と玉竜姫にお礼を言うようにと諭した。
しかし高姫は自分を助けてくれた人たちの前で、理屈をこねて自分が窮地に陥ったことを否定し、いかに日の出神の生き宮が偉大であるかを吹聴した。常彦と春彦はあきれてしまい、国玉依別らに、高姫はのぼせているから気にしないようにと説明した。
高姫は国玉依別に玉を渡すように居丈高に要求した。一同は呆れてしまい、ただ高姫の顔を打ち眺めている。
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02 10 〔832〕
皆が不思議そう自分の顔を眺めているのに気分を害し、憎まれ口を叩き出した。勝手に言依別命がここに玉を隠したと邪推し、独り悦にいって居丈高に演説をしている。
国玉依別は高姫の誤解を解こうと懸橋御殿の由来を説く。しかし高姫は、竜国別が黄金の玉を持って行ったということを聞くと、国玉依別が騙されたのだ、と言って馬鹿にする。これを聞いてさすがの国玉依別も、鷹依姫の方が高姫よりも幾倍も立派だったと言って抗弁する。
なおも憎まれ口を叩く高姫に対し、国玉依別は退去を願うが、逆に高姫は生き宮の自分が懸橋御殿に納まるから出て行けと罵る。国玉依別は、これ以上関わりあうのは自分たちの品性を落としてしまうと思い、高姫にしばらく逗留するようにと言い残して別館に去って行った。
国玉依別夫婦が退場したことで、高姫はますます口車に拍車がかかり、奉仕者たちに玉を出せと無理を言い出した。
奉仕者の一人・国は、高姫が大層な大義を掲げる割には、形のある玉に執着する点を指摘して、高姫をへこました。そして高姫の理屈のおかしさを指摘してやり合うと、いろは歌を滑稽に歌いながら高姫をやり込めた。
最後に、宝玉は自転倒島の冠島・沓島にあると告げると、ドスンと飛び上がって、神懸りから元に戻ったようになった。高姫は偽神懸りだと言ってつかつかと神殿に駆け寄った。
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03 11 〔833〕
高姫が神殿に駆け上って扉に手をかけると、狭依彦命のご神体が現れて高姫を取ると、壇上から下に放り投げた。高姫はまたもや人事不省になって唸っている。
奉仕者たちが慌てて介抱しようとするが、常彦は、神様に戒めを受けたのだから、高姫の改心のためにもしばらくは放って置いてもらうように頼んだ。
一同が別間に入って神徳話に花を咲かせていると、突然神殿の間から高姫の金切り声が聞こえてきた。驚いて皆が駆けつけると、高姫が大男に持ち上げられて放り上げられていた。
一同が駆けつけると、大男は煙のように消えてしまった。高姫は真っ青な顔で懸橋御殿を飛び出してアリナ山の方に駆け上って行った。常彦と春彦は見失っては大変と、慌てて高姫を追いかけていく。国玉依別の命により、竜と玉も一緒に高姫を追いかけた。
高姫は鷹依姫一行が野宿した白楊樹の傍らまでたどり着いた。高姫は身体が非常に重たくなって草原に横たわり、寝てしまった。高姫は目を覚ますと自分がどこにいるかわからず、独り言を言っている。
突然大きな怪物が現れて、高姫を掴んで喰おうとした。高姫は恐ろしさに震えていたが、そこへ喨々と音楽の音が聞こえてきた。すると俄かに力ついた。怪物は高姫をぱっと放した。
高姫が目を開けると、梅の花を片手に持ち、もう片方の手に白扇を持った女神が厳然として現れていた。女神は高姫のこれまでの行いが神界の邪魔をしていたことを叱り、ここで改心すればまた神界の御用を務めることができると諭した。
高姫は女神の光輝に打たれて罪を謝し、改心を約束した。女神は鷹依姫らが持ち出した黄金の玉を白楊樹から下ろすと高姫に授け、後からやってくる懸橋御殿の竜と玉に返すようにと命じた。
女神は高姫に後戻りしないように諭し、先ほどの怪物は高姫の慢心を戒める鬼神であると戒めた。そしてアマゾン河をさかのぼって鷹依姫一行と合流し、そこで修行をなしてから自転倒島に戻って神業に参加するようにと示した。日の出姫神と名乗り、高姫に懸かっているのは金毛九尾であることを気を付けると、五色の雲に乗って天上に昇っていった。
本文
03 12 〔834〕
常彦、春彦、竜、玉の四人は高姫に追いつけず、アリナ山の山頂で夜を過ごした。丑三時に東の空に俄かに黒雲が起こり、大きな怪物が降ってくるのが見えた。
四人が指差し眺めていると、麗しい女神が中空に現れると、金毛九尾の悪狐が北方の常世の国の方面に逃げて行くのが見えた。その後に、空中を錦の袋が櫟ケ原に落ちていくのが見えた。
一行は夜が明けると高姫を追いかけ始め、日の暮れごろにようやく櫟ケ原の柏楊樹の下に端座している高姫のところに着いた。高姫は心魂開け、真如の日月が心の空に輝いて天眼通力を得て四人が後を追って来ているのを知り、端座して祝詞を上げながら待っていた。
高姫の様子がすっかり打って変わって高慢なところが消えているので、常彦と春彦は驚いて声をかけた。高姫は女神の戒めにあって改心した経緯を一行に話した。そして竜と玉に、黄金の玉を国玉依別に返却するようにと依頼した。
高姫の改心に常彦と春彦は涙を流し、実は自分たちは杢助の内命によって高姫を改心させようとお供になって着いて来たことを明かした。
竜と玉は黄金の玉を懸橋御殿に持って帰った。高姫一行は日の出姫が示した行路を取って大原野を越えて海岸線を北上し、アマゾン河をさかのぼる旅に出ることになった。
本文
03 13 〔835〕
一行は広い大原野を横切り、ようやく樹木がやや茂る地点までやってきた。ここには相当に広い清い川が流れていた。そこに草蓑をつけた七十ばかりの婆さんがやってきた。このような人跡まれな場所で三人が不審に思っていると、婆さんは三人を手招きして小さな草葺の小屋に姿を隠した。
三人が庵を訪ねると、婆さんは、連れ合いの爺が天刑病で村に居ることができずにこんな外れの地で看病をして暮らしているのだ、と答えた。そして四五日以前からの夢で、三五教の宣伝使がやってくるからその方を頼れと女神の御告げがあるのだという。
婆は御告げでは宣伝使に病人の体の膿をすっかり吸い取ってもらえば病は全快するのだという。高姫はその話を聞いて快諾し、病人の前に案内されると天津祝詞を奏上して、爺の膿を吸出し始めた。
すると爺は跳ね起きて妙齢の美しい女神の姿を現した。女神は天教山の木花姫命の化身だと名乗り、高姫の心を見届けたと告げ、今後もくれぐれも慢心するなと気をつけた。三人が気付くとあばら屋も何もなく、アイル河の川辺で居眠りをしていた。
三人はまったく同じ夢を見ていた。一行は神様のお気付けに感謝し、高姫は感謝の合掌をした。春彦と常彦は、御魂の系統や日の出神の生き宮と高姫を持ち上げるが、高姫はすっかり謙譲の心になり、働きによって示すのだと神徳を示した。
一行はアイル河が幅広く橋も無いのでどうやって渡ろうかと思案に暮れていた。高姫が一生懸命に祈願を凝らすと、どこともなく大小の鰐がやってきて橋をかけた。三人は無事にアイル河を渡ることができた。
宣伝歌を歌いながら原野を進んで行くと、今度は大湖水に行き当たった。高姫は、また神様に祈って鰐の橋をかけてもらうとご眷属様にご苦労をかけると、左回りに湖を迂回して進むことになった。一里ばかり進んだ椰子樹の森で、三人は休息を取って一夜を明かすことにした。
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03 14 〔836〕
高姫一行は湖のほとりで一夜を明かすと、湖水で顔を洗って禊をし、朝拝を行った。ふと路傍を見ると、石の神像が立っている。その像の裏を見ると、鷹依姫たちがここで改心した記念に彫ったものであることがわかった。
高姫はこの奇縁に驚き、また自分が鷹依姫たちを追い出したことで苦労をかけたと嘆き、自らの過去の行いを悔いた。そして罪滅ぼしのために、この神像を自転倒島まで背負って行こうと決心した。これが地蔵の石像の濫觴だという。
一行は湖水の中に、縦筋の入っためくら魚と、横筋の入っためくら魚が泳いでいるのを見た。そこへ、縦横十文字の立派な魚が泳いできた。これを見て高姫は、三五教の中でも経・緯それぞれもののわからない信者同士がいがみあっても御神業は成就しないということを思い、反省した。
一行は旅を続け、アルの海岸に着き、船に乗り込んだ。船客たちは、鷹依姫一行の噂をしており、高姫にも話が及んでいた。高姫は恥ずかしさに小さくなっている。
さらに船客たちは、去年この船に乗った鷹依姫が誤って海中に落ち、それを助けようとした竜国別、テーリスタン、カーリンスの三人も行方が知れなくなっていることを話し出した。
船客の一人は、鷹依姫一行が海中に落ちて悲惨な目にあったのも、元はといえば自転倒島を追い出した高姫のせいだと憤っている。高姫は自ら船客の前に名乗り出て懺悔をし、船客の気が済むように自分を処分してくれと真心から謝罪した。
憤っていた船客は高姫の真心に打たれて知らずのうちに高姫に尊敬の念を抱くようになった。
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03 15 〔837〕
高姫に対して憤っていた船客の一人は、ヨブという名前で、去年船中で鷹依姫一行が海中に没したのを見て、高姫に対して非常な怒りを覚えたことを明かした。そして、今高姫の高潔な姿を見て、弟子になりたいと申し出た。
高姫は一度断るが、ヨブは熱心に頼み込んだ。常彦と春彦も賛成し、ヨブは高姫に同道することになった。それにあたって高姫は、執着心を去るために必要最低限の路銀のみ携帯するように言い渡した。
ヨブは、船中に居た同郷の島の知人に手持ちの路銀のほとんどを与え、貧しい人たちに施すようにと頼んだ。知人たちは後に故郷に戻ると、ヨブから預かった金を島の貧しい人たちに残らず与えた。
高姫たちは、ヨブの無欲に感心し、常彦はヨブの入信を祝う歌を歌った。そこにはかつての高姫の所業も歌いこまれていたが、船中の人々はそれを聞いて、かえって高姫一行の公平無私な態度に感歎した。
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03 16 〔838〕
引き続いてヨブは入信の喜びの歌を歌った。次に春彦が、これまでの行程で起こったことを読み込んだ歌を歌った。そして高姫が、自身の改心とヨブの入信を喜び祝う歌を歌った。
船は三日三夜海上を走り、ゼムの港に着いた。一行四人は上陸し、ゼムの町から二三里離れた天祥山の大瀑布に御禊をなすべく、宣伝歌を歌いながら進んで行った。
本文
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04 17 〔839〕
ゼムの港町は相応に人口があるところであったが、高姫ら宣伝使服の一行が降り立ったのを、人々は物珍しそうに見送りながら、噂話をしている。その話には、去年船から海中に落ちた鷹依姫という宣伝使の一行が、亀に助けられてこの町に上陸したというものだった。
高姫はこれを聞きつけて、話をしていた二人の町人たちに鷹依姫らの消息を尋ねた。鷹依姫たちは天祥山の滝で身を清めた後、アマゾン河を遡って上流に向かったとのことだった。
すると町人たちは、宣伝使が高姫であることに気がついた。そして、自分の恩人である鷹依姫を自転倒島から追い出してひどい目にあわせた高姫を敵だと言って、懐から短刀を取り出し、高姫に切りつけた。
高姫はさっとよけた。ヨブは町人を押し留めて、高姫はすでに立派な人格になっていることを説き諭した。高姫に切りかかろうとした二人は、ヨブの同郷のマールとボールであった。
マールとボールは、島で無頼漢と呼ばれ、ヨブの家に空き巣に入ったところを見つかって逃げ出していたのであった。ゼムに来て二人は罪を悔い、天祥山の滝で禊をしていたところ、モールバンドの怪物がやってきて襲われそうになった。それを助けてくれたのが鷹依姫一行であったという。
ヨブは二人に対して、鷹依姫が天祥山で二人を助けることができたのも、元はと言えば、高姫が鷹依姫を自転倒島から追い出したからだと諭した。高姫も自身の行いを懺悔した。マールとボールは高姫に謝罪し、同道することになった。
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04 18 〔840〕
マールとボールはヨブに諭されて己の誤りをただし、高姫一行の道案内をして天祥山のハンドの滝まで道案内をすることになった。
ナイアガラに比すべき大瀑布であるハンドの滝の音は、十四五町前からも聞こえてきた。天祥山から吹き降ろす涼風に、滝に近づくにつれて熱帯のこの地でも肌寒くなってきた。
マールはこの山は猛獣が多かったが、町民たちが猛獣の害を除くべく三五教に祈願を始め、それがために二年ほど前から猛獣はだいぶ少なくなったと話した。ただ数は少ないが、モールバンドという怪物が居るという事を伝えて一行に気をつけた。
大瀑布に近づくと、飛沫はあたりに散って互いの姿もはっきり見えないほどになってきた。
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04 19 〔841〕
高姫は背負ってきた石像を下ろし、一行は滝に禊をなした。禊が終わると、石像の前に端座して幽斎の修行に入った。マールを神主とし、高姫が審神者になった。
マールは身体振動して飛び上がり、口を切った。そして鷹依姫だと名乗ると、これまで鷹依姫が玉を求めて世界をさまよった有様を語りだした。アリナの滝での所業から、櫟ケ原で改心した経緯を語り、石像を彫ってアルゼンチンの原野を渡って船に乗り、海中に落ちて神亀に助けられてゼムに上陸した有様をひととおり明かした。
そして、現在はアマゾン河を遡って玉の森に到達したが、そこで一行迷い苦しんでいる様を語り、高姫たちに助けを求めた。これより高姫はマールとボールに別れを告げ、鷹依姫らを救出するために向かったのであった。
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04 20 〔842〕
大正十一年八月三日、出口王仁三郎をはじめ松村真澄と佐賀伊佐男の三人は、伊豆の杉山当一と共に、綾部の聖地を出て汽車に乗り込んだ。
京都から急行列車に乗り、沼津の駅に着いた。自動車に乗り、口野村の天皇山にて祠に参拝し、社前の雑草を取り除いた。再び車中に乗り込み、湯ケ島温泉の安藤唯夫の旅館に着いた。
そこで霊界物語第二十八巻の口述を開始した。台湾島の物語から、高姫が高砂島に渡る物語へ続き、東の国の信者たちが訪れる中、いよいよここに第二十九巻を述べ終わることとなった。
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