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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第19巻 如意宝珠 午の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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本宮の神山は新装を凝らし、四尾山は雲を圧してそびえ、弥山の霊峰は優しき雄雄しき姿を表し、何鹿の原野や箱庭式青山の間に点綴している。
王仁の松雲閣における霊界物語の監督をしているような心地がする。
松村、外山、加藤、藤津の祐筆に囲まれつつ、寝物語の十九巻も、卯月十四日にいよいよ九十九の坂を越えた。
本文
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本巻には、主として玉照彦の因縁について物語られています。玉照彦は、十八巻の玉照姫と並んで、五六七神政の生御魂となります。その意味で、本巻と十八巻は姉妹巻を成すものといえます。
本巻の第一章「高熊山」は謡曲形式に作られたものです。
本文
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神界の出口たる瑞月が、苦集滅道の真のあり方を、雲のまにまに出没して、三十三相の木花咲耶姫、三十四相を具足し給う妙音菩薩、言依別の後援にて、夢物語と記しておく。
本文
01 00 - 本文
01 01 〔646〕
梅咲き匂う春の夜半に、牛飼う男子の枕辺に忽然として異様な輝きが現れた。五色の玉が賎が伏屋の中を飛び回り、男子の身体に飛び込んだ。
男子は心機一転し、筆を取ると床の間の壁に天地大本大御神と書き下ろした。この世に神無きものと思いつめた青年が、恭敬礼拝神号を唱えつつ、我が身の罪を詫びた。折りしも、門の戸を叩いて訪れる者がある。
天教山の木花姫命の使い、松岡と名乗る神使は、男子を迎えに来たと言う。屋内に微妙の音楽が聞こえ、梅の花びらが男子に降りかかると、男子たちまち紫の衣に包まれた。
残し書きを置いて、神使に連れられて雲に乗り、山の口までやって来た。それまで洋服姿であった松岡神使は異様の白髪神人と化し、男子の手をとって千丈の岩谷の前に連れて来た。
高天原の移写という高熊山の岩窟には、四十八個の宝座があり、神々が神集うという。神使は、ここで男子に、現世の衣を脱いで瑞の御魂の真人となるようにと言い渡して去っていった。
男子はたちまち須弥仙山の上に立っていた。そこで出あったのは、小幡明神であった。小幡明神は、男子は五六七神世出現にあたり、丹州としてこの世に現れた御魂であるという。
気がつくと男子は、岩窟の前に端座していた。たちまち虚空に音楽が聞こえると、岩窟は壮麗な大宮殿となっていた。宮殿より、「瑞月」と呼ぶ声がする。黄金の霊鳥たちに導かれて、黄金の扉が開かれると、中より女神が現れた。
女神は、三千年の昔に国治立大神と共に、中津御国を後にして根底の国に至ったが、今、西王母の園の桃の実が実るときが来て、皇大神に奉るのだ、と語った。すると女神の姿は消えてしまった。
小幡明神に送られて、宇宙の外の世界を眺めて、地上を指して下り来る。見ると、以前の宝座の前であった。
本文
01 02 〔647〕
魔窟ケ原の岩屋で、高姫、黒姫、高山彦は、青彦らの首尾を待っていた。そこへ様子伺いに行っていた梅公は、辰公、鳶公を従えて息せき切って戻ってきた。
梅公の様子を見て、門番をしていた寅若は、不首尾を悟ってあざ笑う。
青彦らの戻りが遅いので、高姫は心配するが、黒姫は自分が信任した青彦たちをかばう。黒姫は夫の高山彦に同意を求めようとするが、高山彦も青彦たちに対して懐疑的なため、黒姫と喧嘩になり、高姫にたしなめられる。
そこへ、寅若に連れられて梅公たちが入ってきた。黒姫は首尾を尋ねるが、梅公たちははぐらかしてはっきり答えない。高姫が、青彦たちは三五教へ返ったのだろう、と問うと、ようやく梅公はその事実を認めた。
それを聞くと高姫はさっさとフサの国へ帰ろうと、鳥船指して由良の港へ走って出て行ってしまった。
高山彦は、このままでは高姫に合わせる顔がないと、世継王山に単身乗り込んで、玉照姫を奪おうと駆け出した。黒姫も高山彦の後に続いた。
本文
01 03 〔648〕
高山彦は、聖地を指して白瀬川のほとりにやってきた。降り続く五月雨に河水は氾濫して渡れない。
高山彦は悔しそうに世継王山を見ていると、後から黒姫が追いついてきた。黒姫は早く河を渡れ、と高山彦をせっつく。高山彦は、どうしてこの激流が渡れようかと黒姫に返すが、黒姫はたちまち大蛇の姿となって河を渡ってしまった。
高山彦はそれを見て震えている。黒姫の大蛇の体から黒雲が出て、高山彦を包むと、高山彦を河の向こうに渡してしまった。黒姫は大蛇から元の姿に戻った。
高山彦は、黒姫の大蛇の姿を見てすっかり恐れをなしてしまった。黒姫は構わず、高山彦を前に立てて世継王山に進んで行く。
世継王山の館では、馬公と鹿公が夜の門番をしていた。二人は月を見ながら俳句を読み合っている。すると、二人は黒姫と高山彦がやってくるのを見つけた。鹿公は、門内に入ると馬公を外に置いたまま、錠を閉めてしまった。
黒姫は、門を開けてくれと頼むが、鹿公は錠を下ろしたまま青彦に注進した。黒姫は馬公が門外に締め出されているのを見つけ、人質にしてしまう。
門の内外で、黒姫と青彦、紫姫、鹿公は互いの主張を言い合って譲らない。黒姫は馬公を人質に取っていても役に立たないと、馬公を放した。紫姫が天の数歌を歌うと、黒姫と高山彦は逃げてしまった。
鹿公は馬公を門内に迎え入れた。馬公は、黒姫は自分を縛るとき、神様にお詫びをしてきつく縛らなかった、と報告すると、青彦はこれを聞いて首を垂れて思案に沈んでしまう。
紫姫は感謝の祝詞を上げるが、玉照姫は激しく泣き出した。
本文
01 04 〔649〕
悦子姫は、夏彦、常彦、加米彦、滝公、板公を連れて、使命を明かさずに世継王山麓の館を後にして神業に出立した。音彦と五十子姫も、別の使命を受けて何処ともなく出立して行った。
後には、紫姫、若彦(青彦)、お節、お玉、馬公、鹿公の面々が玉照姫を保育していた。いつしか秋の半ばになっていた。
ある真夜中、門の戸を叩く者があった。鹿公と馬公はその音に驚いて目を覚ました。激しく叩く音に、鹿公が誰何すると、男は江州竹生島から、紫姫を尋ねてやって来た者だ、と答えた。
鹿公は正体が分からない限り、夜に門は開けられない、と答えると、男は亀彦だと名乗った。そして、神素盞嗚大神の使いとしてやってきたのだ、と告げた。
鹿公、馬公は、若彦と紫姫に注進した。一同は急いで寝間を片付けると、門を開けた。すると亀彦は金色の冠、夜光の玉を身につけ、薄絹の白衣を着て威儀厳然としていた。亀彦は門内に入ると玉照姫の前に拍手再拝、神言を奏上して正座に着いた。
そして、神素盞嗚大神は若彦、紫姫が黒姫をたばかって玉照姫を迎え入れたことに対して非常なご不興を蒙っていることを告げると、大神の命として玉照姫を黒姫に渡すこと、若彦と紫姫は宣伝使の職を去ることを言い渡した。
紫姫は非を認め、謹んで大神の責めを受けたが、若彦は、玉照姫を迎え入れた手柄に対して責めを受けるのは納得がいかない、亀彦は偽物だろう、と霊縛を加えようとした。すると亀彦の背後から女神が現れて、その光が若彦を射ると、若彦はその場に倒れてしまった。
亀彦は、「泣いて馬謖を斬る」が大神と英子姫の心であると告げ、直日に見直し聞きなおして奇魂の覚りによってこの大望を遂行すれば、再び神業に参加することを得るであろう、と言い残すと、女神とともに忽然と姿を消した。
若彦はようやく自分の非を悟り、拍手を打って大神に感謝した。玉照姫はにこにこを笑い出した。
本文
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02 05 〔650〕
高姫は、フサの国北山村のウラナイ教本部へと戻ってきた。魔我彦と蠑螈別はしきりに高姫に玉照姫の首尾を尋ねるが、高姫ははぐらかして鍵をかけて寝てしまう。
一同は、高姫の供をしていた鶴公と亀公に経緯を尋ねる。鶴公は、三五教の計略にかかって玉照姫を奪われてしまったことを明かす。
そこに高姫が現れる。魔我彦は弥仙山の失敗を慰める。高姫は誰がそのことをしゃべったのか問うと、鶴公は偽神がかりをやってごまかす。
そこへ、外に鳥船が着陸した物音が聞こえた。やってきたのは、黒姫、高山彦らの一行であった。高姫の機嫌を恐れてなかなか中に入れない間に、寅若は黒姫の失策を責め始める。
菊若は勇気を奮って中に入り、高姫に挨拶をした。高姫は亀公に一同を迎えにやらせた。一同揃って宴会を開き、ウラナイ教の本部は大乱脈の様相となった。
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02 06 〔651〕
高姫、黒姫、高山彦は、ウラナイ教の凋落を話し合っている。蠑螈別も本山を去ってどこかに行ってしまったという。そのうちに高姫と黒姫は、言い争いになってしまう。高姫は怒って部屋に閉じこもってしまった。
高山彦は黒姫をたしなめるが、逆に黒姫の怒りに触れてしまう。しかし高山彦の言霊で逆に機嫌を直し、高山彦は高姫と黒姫の仲を取り持つ役を担うことになった。
高山彦は、またもや巧みな言説で高姫の機嫌を取ると、黒姫の居間に戻ってきた。黒姫は高姫のところに行って、仲直りをした。
そして、今のうちに魔窟ケ原を引き払って本山に迎え取ろうと画策した。そのために鶴公と亀公を魔窟ケ原に遣わした。
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02 07 〔652〕
厳の御魂の大御神の和魂を祀った元伊勢に、紫姫や若彦らの一行が参拝していた。若彦は馬公と鹿公に、魔窟ケ原へ行って黒姫に、玉照姫をウラナイ教にお渡ししたいと伝えるように言いつけた。
魔窟ケ原では梅公を頭に、一同黒姫と高山彦の留守を幸い、備蓄した食糧を持ち出して大宴会を開いていた。そこへ馬公と鹿公がやってくる。梅公は二人を中へ引き入れると、宴会の仲間に加えた。
そこへ、フサの国から高姫の使いとして鶴公と亀公がやってきた。酔って迎えた鳶公と鷹公は、一喝されて大慌てになり、鳶公は徳利を隠させようと中へ急ぐ。鶴公と亀公はかまわず中へ入ってきた。
鶴公は、高姫の意向を皆に伝える。しかし梅公が、中に三五教の馬公と鹿公が混じっているのに気づいた。馬公と鹿公は、紫姫と若彦が改心して、玉照姫をウラナイ教に差し出そうとしていることを伝えた。
鶴公は、一度フサの国へ帰って高姫の意向を聞くこととし、馬公と鹿公は、いったん元伊勢に戻っていった。
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02 08 〔653〕
紫姫と若彦たちは、元伊勢の神前に祈願を籠めながら、馬公と鹿公の復命を待っていた。そこへ二人が戻ってきた。鶴公が高姫に報告をしに行ったことを聞いた一同は、高姫の返事を待つために一度世継王山へ帰ることになった。
四五日して、世継王山へ高姫一行が訪ねて来た。一同は、高姫らをもてなした。黒姫は、なぜ策略を使って奪った玉照姫を、こちらへ渡そうとするのか、と聞いた。若彦と紫姫は、自分たちの行為が素盞嗚尊の怒りを買い、三五教を除名され、また玉照姫をウラナイ教に譲るようにと命じられた経緯を語った。
高姫はそれを聞いて、素盞嗚尊の善を悟り、今まで敵対してきたことを詫び、涙にくれてその場に打ち伏した。高姫は素盞嗚尊の真心に打たれ、玉照姫を連れて帰ることはしばらく考えされて欲しい、と申し出た。
そして、高姫一行は一度フサの国へ帰って行った。
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03 09 〔654〕
荒鷹と鬼鷹は、旅の途上、峠の巌に腰を掛けてこれまでの経緯を思い出し話し合っていた。
二人は、ウラナイ教の拠点・高城山に、最近立派な雲が棚引くようになったのを見て、様子を探りに行こうと麓の千代川の郷の、鳴石の傍らまでやってきた。
二人は石の傍らで休息したが、石が温かいのに気づいて、その上に座った。すると、岩が鳴動を始め、次第に音響が大きくなってきた。二人は驚いて、岩から飛び降りた。
二人は岩から煙が立ち上る様を驚いてみていたが、すると一人の女神が現れた。荒鷹と鬼鷹は、岩が名高い鳴き岩であることに気づき、その上に座ってしまったことを謝罪して平伏した。
女神は二人に対して、「しばらくであった」と声を掛けた。女神の傍らの二人の稚児は、荒鷹と鬼鷹の額に、小さな紫の玉を打ち込んだ。すると荒鷹と鬼鷹の心は、穏やかになり春のように和らいだ。
女神は荒鷹に隆靖彦、鬼鷹に隆光彦と名を賜った。二人はお礼を言った。そして女神が丹州であることに気づいた。二人は丹州の本当の神名を請うたが、女神はまだそれを明かすときではない、と告げると、煙となって消えてしまった。
二人は鳴き石に礼拝すると、高城山に向かって進んでいった。すると馬公と鹿公に行きあたった。馬公と鹿公は、二人を荒鷹・鬼鷹とは気づかず、丹州だと勘違いしている。
荒鷹と鬼鷹は、宣伝歌にこれまでの経緯を説明して歌った。道すがら、馬公と鹿公は、高城山の言霊戦は、主人の失態を取り戻すためなので、自分たちに譲って欲しいと隆靖彦、隆光彦に頼んだ。
隆靖彦、隆光彦は後ろで見守ることなり、馬公、鹿公が高城山の館に挑むこととなった。
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03 10 〔655〕
松姫館の門では、門番の竜若、熊彦、虎彦の三人が、四方山話の中で、ウラナイ教の凋落を嘆きあっていた。
三人は、三五教の隆盛や、黒姫が出し抜かれて玉照姫を奪われた経緯から、松姫館にお節が入り込んで松姫の信任を得ていることを警戒し、嘆いている。
そこへ馬公と鹿公がやってきた。熊彦と虎彦は、三五教の輩を入れるわけにはいかない、と言って六尺棒や拳で殴りかかった。
馬公と鹿公は、大神の教えを思って怒りをこらえている。虎彦と熊彦は二人をさらに虐待すると、門を閉めてしまった。
馬公と鹿公は、お互いに試練に耐えたことを讃えあい、忍び泣きに泣いた。
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03 11 〔656〕
館の中では、松姫とお節が火鉢を囲んでお陰話にふけっていた。やがて話の内容は、三五教とウラナイ教の違いに移って行く。
神素盞嗚大神の真意を伝えようとするお節だが、松姫はかたくなに変性男子への信仰を貫こうとする。
そこへ熊彦、虎彦が、三五教の馬公と鹿公を虐待して追い払ったことを、注進にやってきた。
松姫はそれを聞くと、うつむいてしまった。お節が熊彦(熊公)と虎彦(虎公)の行為を咎めると、二人は逆にお節を非難した。
しかし松姫は、二人に馬公と鹿公にお詫びをして、ここに連れてくるように、と命じた。熊彦と虎彦は不承不承に門を出て鹿公と馬公を探しに出た。
熊彦と虎彦は、仕方なく森の向こうにいる隆靖彦、隆光彦、馬公、鹿公のところまで行って、同道を懇願した。
熊彦と虎彦は謝罪の念を表すために、四足で歩いて戻ってくる。馬公と鹿公も同じく四足でついていった。隆靖彦、隆光彦は門外に姿を消した。
本文
03 12 〔657〕
門番長の竜若も、四人の姿を見て、自分も四足で這いながら奥へと入っていった。五人は松姫の庭前に現れると、動物のように唸り始めた。
松姫とお節は五人に話しかけるが、唸るだけで返事がない。松姫は神前に祈願するが、五人は獣のようになって一行に治る気配がない。自分も四つ這いになって罪滅ぼしをしようか、という松姫に対して、お節は人間に生まれながら畜生の真似をしてはならない、と諌めた。
お節の強い言葉に、松姫はお節に神前でお詫びを上げていただくようにお願いした。お節は天津祝詞を上げ、戻ってきて五人に呼びかけると、やっと五人は立ち上がって話すことができるようになった。
竜若は、馬公、鹿公への仕打ちに対するお詫びのつもりで四つ這いになったが、そうしたところ立つことも話すこともできなくなってしまった、と畜生道に堕ちた恐ろしさを語った。
松姫は、罪滅ぼしの心を褒めつつも、自愛の戒めを述べた。そして、実はすでに高姫、黒姫も三五教への改心を決めていたのだが、部下への示しのために、自分はウラナイ教を堅く守っていたのだ、と明かした。
しかし、こうしてお節や馬公、鹿公が誠を表して神様の戒めを実地に見せてくれたことで、帰順することができた、と感謝を表した。
そして、自分はこれから身魂磨きの修行に出ると宣言し、お節をこの館の主と定めると、庭先の草履を履いて外に飛び出し、夕闇に紛れて姿を消してしまった。
熊彦と虎彦は、慌てて松姫を連れ戻そうとするが、竜若はそれを戒めた。熊彦と虎彦は、これまでの松姫の恩を思えば見殺しにすることはできない、と怒って、竜若に殴りかかろうとする。
馬公と鹿公は、慌てて熊彦と虎彦を止めて、諌めるが、竜若は熊彦と虎彦の師匠を思う気持ちが嬉しいと、平伏する。お節も熊彦と虎彦に乱暴を止めるようにと平伏した。
するとどこからともなく喨々と音楽が聞こえ、一人のエンゼルが現れた。エンゼルは、神素盞嗚大神の使い・言照姫命を名乗ると、松姫の改心によって高姫、黒姫の罪は赦されたことを告げた。そして、松姫は神の守護によって神界に抜群の巧妙を表した後に、当館に戻ってくるであろう、と予言をなした。
エンゼルは、お節に玉能姫、竜若に竜国別、馬公に駒彦、鹿公に秋彦、熊彦に千代彦、虎彦に春彦と神名を授けた。一同に、お節=玉能姫を師として神業に全力を尽くすようにと言い渡すと、消えてしまった。
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04 13 〔658〕
ウラル教の宣伝使、テルヂーとコロンボは、自転倒島の大原山山麓を、月の光を浴びながら歩いていた。
すると傍らの森に怪しい人声がする。耳を済ませると、それはバラモン教の谷丸、鬼丸だった。谷丸と鬼丸は、高熊山の言照姫が産んだという玉照彦を奪って来たのであった。二人は玉照彦を使って、バラモン教の再興をしようと企んでいた。
テルヂーは夜道の途上で老木の上から天狗の声色を使って、谷丸と鬼丸を驚かして、玉照彦を奪おうと画策した。テルヂーは木に登り、コロンボは路傍の枯れ草の中に身を潜めた。
谷丸と鬼丸は、まさかの時にはばらばらに逃げて、天狗岩で落ち合おうと決めた。谷丸と鬼丸が老木の下にやってくると、テルヂーは樹上から天狗の声色を使って怒鳴りつけた。
鬼丸はおびえて天狗に詫びを言い始めるが、谷丸はまったく恐れず、逆に天狗を怒鳴りつけて、降りてくるようにと言い放つ。
谷丸の勢いに恐れたコロンボは、谷丸に詫び言を言う。谷丸は、それを鬼丸の副守護神だと勘違いする。そこへ、テルヂーが足を踏み外して樹上から落ち、物凄い音を立てた。
下にいた三人は驚いて、それぞれ逃げて行った。谷丸と鬼丸は、天狗岩を目指したが、テルヂーとコロンボの落ち合い場所も、同じ天狗岩だった。
コロンボが最初に天狗岩にたどり着いて待っていると、白いものを抱えた人影がやってきた。コロンボは、テルヂーが玉照彦を奪ってやって来たと勘違いして声をかけるが、それは谷丸だった。
谷丸はてっきり、声を掛けてきたのは鬼丸だと思って、二人は会話するが、それぞれ誤解したまま話がかみ合ってしまい、二人は互いに別人と話していることに気がつかない。
一方、鬼丸は天狗岩に来る途中に、路傍の岩に腰を掛けて休んでいると、下から駆け上がってくる人影がある。鬼丸はてっきり、谷丸だと思って声を掛けたが、これがテルヂーだった。二人はてっきりお互いに相棒だと思って声を掛け合うが、このとき満月が雲を別けて、皓皓と辺りを照らした。
テルヂーと鬼丸は、互いに名乗りあい、テルヂーは計画の一部始終を明かした。鬼丸は、バラモン教とウラナイ教の同盟軍を作って三五教に対抗しよう、と提案し、テルヂーを天狗岩に連れて来た。
谷丸は、玉照彦を苦労して奉迎したのは自分たちだ、と提携を断るが、よくよく見ると自分が抱えていたのは、玉照彦じゃなくて石だったとわかった。四人はそれぞれ、玉照彦を探し出して自分の陣営に迎えようと、元来た道を走り出した。
本文
04 14 〔659〕
どこからともなく、赤子の声が聞こえてくる。幼児の鳴き声は、各人それぞれ違った方角から聞こえてきて、ばらばらの方角に探しに出たが、見つからない。
気がつくと、四人は天狗岩の根元に寝ていた。四人は山を駆け下りるが、その途中で玉照彦を抱いて上がってくる言照姫に出くわした。テルヂーと谷丸は、それぞれ自分たちの陣営に玉照彦を賜るように、と言照姫に懇願した。
言照姫は、互いに玉照彦の手を引っ張り合い、勝った方に玉照彦をやろう、と提案する。二人は玉照彦の手を引いて両側から引っ張り合うが、玉照彦が悲鳴をあげると、テルヂーは驚いて手を放してしまった。
谷丸は勝利を宣言するが、玉照彦本人が口を利いて、自分が痛がっているのに手を引き続けたバラモン教に行くのはいやだ、と言い出した。谷丸は言照姫に審判を仰ごうとするが、言照姫の姿は消えてしまっていた。
玉照彦は、こうなった以上は自分はどちらへ行くこともやめましょう、その代わり三五教の松姫という者が迎えに来るから、そちらに行くことにした、と語った。
そこへ松姫がやってきて、玉照彦に背を差し出し、背負って帰ろうとした。ウラル教とバラモン教の四人は目配せをすると、松姫に襲い掛かって打ちすえ、玉照彦を奪って逃げてしまった。
松姫はその場に気絶していたが、息を吹き返すと、そこには二柱の女神が立っていた。女神たちは、松姫に高熊山に行って玉照彦を奉迎するように、と言う。松姫が、玉照彦はウラル教とバラモン教に奪われてしまった、と言うと、女神たちは、彼らは貪欲に駆られて、石を玉照彦だと思い込んで運んでいったのだ、と明かした。
松姫はすっかり暮れた夜道を高熊山に向かって進んで行き、来勿止の関所までやってきた。松姫は通してくれるように頼むが、門番の勝公と竹公は門を開けない。そこへ来勿止神がやってきた。
松姫は平伏すると、来勿止神は、女神の報せによって、松姫が来るのを待っていたのだ、と伝えた。勝公は門を開いて松姫を通した。
本文
04 15 〔660〕
来勿止神は、松姫の来歴を尋ねた。そして、あらましは言照姫から聞いているが、まだ副守護神が残っているため、山の神の滝で七日七夜の荒行が必要だ、と松姫に告げた。
来勿止神は、松姫の荒行の世話を勝公と竹公に命じた。勝公と竹公は、荒行の決まりとして心ならずも松姫を虐待する。しかし勝公が去ると、竹公は松姫の禊の手伝いとして、自分も滝行を行うのだった。
四日目の朝、勝公がやってきて、来勿止神より禊完了の許しが出たことを告げた。三人は来勿止神のところに戻ってきた。来勿止神は松姫と竹公をいたわった。
そこへ、ウラル教とバラモン教の四人が関所の門前にやってきて、玉照彦を奪ったことや、松姫を打ちすえたことを懺悔し、許しを請い始めた。
勝彦は、来勿止神と松姫に、四人の処置を伺いに戻っていく。
本文
04 16 〔661〕
来勿止神はは四人が謝罪しに来ることも知っていた。招き入れられた四人は、土間に平伏して、来勿止神と松姫に自分たちの罪を懺悔した。
来勿止神は玉照彦の送迎を、松姫一人で行うようにと命じた。松姫が高熊山を登っていくと、山を守っている神国守と国依姫夫婦に迎えられた。夫婦は松姫を岩窟の入口の四十八宝座へ案内した。
四十八宝座に拝礼した松姫は、岩窟の中に入っていった。神国守夫婦に導かれて、岩窟内の館の前にやってきた。すると熊彦の霊体がそこに居て、松姫が谷丸らに殴られたとき、代わって痛みを受けたのだ、と告げると消えてしまった。
松姫は熊彦の忠心に涙ぐんでいると、館の扉が開いて言照姫命が姿を現した。言照姫命は、自分の本当の名前はまだ明かせない、と告げると、玉照彦は遠い未来でミロク神政成就の神業に参加する、尊い伊都能売之御魂であると明かした。そして、玉照彦を、世継王山の麓に居る国武彦に渡すようにと命じた。
松姫は玉照彦をうやうやしく奉じ、来勿止神に復命した。そして世継王山の麓に玉照彦を送るため、神国守夫婦とともに関所の門を出た。そこには三五教を始め、ウラナイ教の宣伝使たちが霊体ともに居並んで奉迎していた。
松姫らは無事に世継王山麓の悦子姫の庵に玉照彦を送り届けた。玉照彦、玉照姫の神人は合い並んで神徳を表し、ウラナイ教の高姫、黒姫らも嬉々として集まり来たった。ここにミロク神政の基礎を固めることとなった。
本文
04 17 〔662〕
はるか昔、陰陽いまだ定まらないときに、広大無辺の宇宙に生まれたのが葦芽のごとく萌えあがった一物は、たちまち化して神となった。これが天地の太元の大国常立尊である。
その御霊より分かれた天地の祖・国治立大神は、豊国主の姫神と力を合わせて世界を造られた。
また神伊邪諾大神と、神伊邪冊大神に命じて、天の瓊矛を給わって修理固成を命じた。そのとき現れた素盞嗚神は、大神の御心によって大海原を治めようと千々に心を砕いた。
しかし醜の御魂に成り出た八岐大蛇や醜狐によって、体主霊従の世の中となり、世は常暗となってしまった。百神たちは、この罪科の贖罪主として神素盞嗚大神を、高天原から追放した。
素盞嗚神は尊い位を振り捨てて、曲神を言向け和して五六七神政を開始しようと、百の悩みを忍びつつ、八洲の国をさすらうことになった。
八岐大蛇を言向け和そうと、大和心の雄心を振起して進んで行く神素盞嗚大神は、すべての罪を差し赦す。
八人の娘たちに苦しい神命を下し、斎苑の館から、日の出神や木の花姫とともに、恵みの露を天下に注がせ給う。
国治立大神と豊国姫命の分霊は、黄金山下に埴安彦・埴安姫と現れて、五六七神政の基礎を固めた。各地にそれぞれ国魂神や司神を定めて、ようやく天の岩戸も開き始めた。
英子姫、悦子姫、紫姫らが自転倒島の中心、世継王山の山麓に、幽玄微妙の神界の経綸を固め、一度に開く御経綸。玉照姫や玉照彦の二柱は時節を待っている。
玉照姫、玉照彦らが弥勒の御代に伊都能売の神の神業を開始し給う物語。三五教を守る神素盞嗚大神の真心にさすがの曲霊も感銘し、高姫や黒姫は心の底から改心した。悪魔も来勿止神より魂を鍛えられ、貴の御子を奉迎して神の仕組に参加した。
明治二十五年に開祖の肉体に皇大神は懸り、大本教の礎を築いた。開祖は心を一つにして記した神言を、国常立大神の貴の御声として慕い来る人は多く栄えた。
明治三十一年に変性女子が参加して、神の御教えを新聞に発表し、神霊界に神勅を表した。しかしそれを誤解するパリサイ人があらぬ言挙げをなして、神の教えも雲に包まれてしまった。
瑞の御魂は悲しんで、黒雲を払してパリサイ人や世の人を尊い神の教えに目覚めさせようと、病の身を押して、神の御心を写して述べ立てる栄の本の物語。言霊の車に乗って勇み行く。
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高天原に復活した人間の霊身は、地上世界に生存していた如くに思想・感情・意識を有している。楽しく神の懐に抱かれて、種々の積極的神業を営むのである。さて人間はどうして現界に肉体をもって生まれてくるのか。
高天原の天人は、地上と同様に夫婦の情交を行い霊の子を産む。これを地上の肉体人の息に交えて人間を産ませるのである。人間は神の子・神の宮である。天人夫婦に因縁の深い地上の男女が霊に感じて、胎児を宿すのである。
その霊が蒔かれた田畑の良否によって、その子の善悪の発達に、影響を及ぼすことは止むを得ない。せっかくの天からの種子を発育不良にしてしまっては、人生みの神業を完全に遂行することはできなくなり、宇宙の大損害をもたらすのである。
人間が現界へ生まれてくる目的は、天国を無限に開くべく、天からその霊体の養成所として降されたのである。数十年の短い肉体的生活を営むためではない。肉体と共にその霊子が発達して、天国の神業に奉仕するためである。
そして天国に復活するときには、死という関門を越えて霊界に復活しなければならない。神の方から見れば、生き通しであって、死は皆無なのである。ただし根底の国へ落ちて行く人間の霊魂は非常な苦しみを受ける。
人間は未来の世界があることを知らなければ、真の道義を行うことができない。神幽現三界を通じて善悪正邪の勤怠応報が厳然としてある、ということを悟らなければ、人生の本分は尽くされない。
天国に住む天人は、地上を去って天国に来る人間を非常に歓待する。だから私は天国を、霊魂の故郷と呼ぶのである。
真神は人間が地上でよく発達し、完全な天人となって天国の住民となり、霊的神業に参加することを非常に喜び給うのである。
故に人間は、神を信じ愛し、善の行いを励み、本体なる霊魂を完全に発達させ、天津神の御許へ、神の大御宝として還ることができるよう、努力しなければならない。
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