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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第30巻 海洋万里 巳の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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本巻は、伊豆国田方郡湯ケ島温泉の安藤唯夫氏宅において、入浴かたがた数多の訪問客に囲まれながら口述しました。
南米の三十万年前の神示ですので、現在とは地理も地名も非常に違っています。アルゼンチンをウヅ、ブラジルをハル、ペルウをヒル、コロンビアをカル、チリーをテルと言いました。
山河の名も今日の地理学とは非常に違っていますので、そのつもりでお読みください。
本文
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本巻は、神素盞嗚尊の八乙女の一人・末子姫が、侍女の捨子姫と共に高砂島に漂着し、智利山峠を越えて戌亥の池の竜を済度し、バラモン教の石熊という教主の危難を救い、カールという怪しい男に出合って供となし、さらにアルゼンチンの辰巳の池の竜を解脱せしめ、ウヅの都の松若彦の館に入る経緯が語られます。
また三五教の教主言依別命が国依別の宣伝使と共にテルとヒルの国境においてウラル教の信徒を救い、言依別命がウヅの都へ出立した後、国依別はヒルの都の楓別命の館に向かおうとした途上で、ウラル教の手下に襲われ、アラシカ峠でエリナという女に出会います。
こうした経緯の中に、苦集滅道の理を平易に説いた物語です。
本文
01 00 - 本文
01 01 〔843〕
メソポタミヤの顕恩郷をバラモン教から取り戻した神素盞嗚尊の八人の娘たちは、各地に宣教の旅に出ましたが、バラモン教の残党に取り押さえられて各々、小舟に乗せられて海に流されてしまいました。
その中のひとつ、末子姫と侍女・捨子姫の主従は、なんとか艪をあやつって高砂島のハラの港に上陸し、桃上彦の旧跡地の珍の国の都を目指して進んでいた。
二人はテルとウヅの国境にあるテル山峠にさしかかった。すでに月が出る夜であった。二人は懐旧にふけりつつ、肘を枕に眠りについた。テル山峠を降ってきた五人の男たち(イサク、カール、シーナ、チール、ネロ)は、二人が傍らで寝ているのに気付かず、話を始めた。
男たちはバラモン教徒であり、この地の教主から、神素盞嗚尊の娘主従がやってくるからそれを捕らえろと命じられて辺りを張っていたが、見つからずに疲れ果てていた。
男たちはそこで眠って休息を取ることにしたが、中にシーナという男、過去に旅人を殺めたことからその幽霊を恐れており、仲間からしきりにからかわれている。他の男たちが寝てしまった後も、シーナだけは震えおののいていた。
本文
01 02 〔844〕
男たちの話を寝ながら聞いていた末子姫と捨子姫は、彼らが自分たちを捕らえに来たバラモン教徒であることを知り、追い払おうと幽霊の真似をして脅かしに出た。
シーナは驚いて仲間を揺り起こした。二人の姿に驚いたイサク、チール、シーナの三人はいずこへともなく逃げ去ってしまった。
しかし残ったカールとネロは少しも驚かず、末子姫と捨子姫に向かって呼びかけた。そして、自分たちは実は珍の都の松若彦に仕える三五教徒だと明かした。二人は松若彦の内命を奉じて、バラモン教の中に入り込んで内偵をしているのだと語った。
ネロは残りの任務を果たすべく、その場を立ち去った。カールは二人を珍の都に案内することになった。途中、大瀑布の音が聞こえて来た。カールは乾の滝があるという。末子姫は禊を提案した。
カールは乾の滝には大蛇が棲んでいて、そこへ禊に行くのはバラモン教のこの地の教主・石熊だけだと止めた。しかし末子姫は、あの滝の音を聞いてどうしても行きたくなったと言い、カールも案内することになった。
果たして、滝にはすでに石熊が禊に来ていたが、滝の大蛇に魅入られて動けなくなり、正に呑まんとされるところであった。末子姫は大蛇に向かって、大蛇の身魂を慰撫する宣伝歌を歌いだした。
この宣伝歌を聴いた大蛇は涙を流し、末子姫に幾度となく頭を下げると、滝の中に姿を隠した。石熊は身体の自由を取り戻し、三人に対して命を救ってくれた大恩を感謝した。
本文
01 03 〔845〕
石熊は命を救われたことを感謝し、末子姫を捕らえようとしていたことへの懺悔と、三五教への改心を歌にして歌った。
末子姫はこれまでの経緯を歌に歌って返し、カールはそれを引き継いで、自分がバラモン教に入り込んでいたことと、末子姫の教示によって大蛇が解脱して石熊を救った有様を目撃した感慨を歌った。
石熊は一行に同道することになり、珍の都を指して進んで行く。
本文
01 04 〔846〕
末子姫は、帰順したバラモン教の石熊を連れて、捨子姫、カールと合わせて四人連れでテル山峠の頂上に着いた。
石熊は、はるか昔に松竹梅の宣伝使が黄泉比良坂の戦いに際して、蚊々虎に導かれて珍の都の両親に別れを告げた場所であることを説明した。カールは末子姫に歌を所望した。
末子姫は、かつてのエルサレムの天使長・桃上彦が、都を追われて底の竜宮で正鹿山津見と名前を変えてさまざまな艱難苦労を経験したところから歌い始めた。そして正鹿山津見の三人の娘・松竹梅が別れの歌を歌った場所に引き合わせて、自らの境遇を歌った。
歌い終わって末子姫は傍らの石に腰を下ろした。続いて捨子姫が歌った。捨子姫は、末子姫に付いて世界を廻る自らの境遇とこれまでの足跡を述懐し、神素盞嗚尊、日の出神、言依別、八人乙女らの行方を想い、歌を終えた。
一行は峠を東に下って珍の都を目指した。
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02 00 - 本文
02 05 〔847〕
一行四人は初夏の炎天下に山道を下っていく。緩勾配の山道にさしかかった。石熊はそれを機に、心中の思いを宣伝歌にして歌い始めた。バラモン教に深く帰依して活動して三五教と教勢を争っていたかつての自分を歌い、乾の滝で大蛇に魅入られたところを、末子姫らに救われた経緯を歌った。
カールは声調整わない滑稽歌に謎を込めて歌いだした。松若彦の命でバラモン教に入り込んで内偵をしていた自分の役目を歌いながら、敵の中にも味方があり、味方の中にも敵があると気をつける歌を歌った。
歌っているうちに急坂にさしかかり、ひとしきり坂を下った一行は坂の傍らにある石に腰を掛けて息をつき、汗を拭った。
本文
02 06 〔848〕
一行はカールの滑稽歌を肴に休息の間に話に花を咲かせた。出立すると、カールはまたもや調子に乗って、おかしな歌を歌いながら坂を下っていく。
カールは、これから下っていった先に巽の池があり、そこにも八岐大蛇の片割れが棲んでいるから、国人のために大蛇を征服して欲しいと歌った。
一行は麓に着いて、楠の森で休息した。カールと石熊は軽口を叩き合っている。末子姫は、先ほどのカールの歌にあった大蛇に言及し、明日は大蛇退治に行こうと提案した。石熊は随行を願い出て許された。
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02 07 〔849〕
一行は楠の森の木陰に今日一日の不思議を物語りながら夜を更かした。カールは心いそいそと勇み立って、饒舌を発揮している。仲間のシーナが二人の女に言い寄って、肘鉄砲をくらった腹いせに女たちを谷川に突き落とし、それから女たちの亡霊に悩まされるようになり、相談された経緯を嘘とも本当ともつかぬ滑稽まじりに話した。
末子姫、捨子姫、石熊の三人は寝についた。カールは一人、寝られずに鼻歌を歌いながら涼んでいると、向こうから十曜の紋の入った提燈を下げて、二三人が近寄ってくる。
カールは、珍の都から末子姫と捨子姫を迎えに来た三五教の仲間だと悟り、女の造り声をしてからかいだした。おかしな会話をしているうちにカールは笑い出し、正体が割れてしまった。
末子姫は一人目を覚まし、カールが三人の男たちと話しているところへやってきた。男たちは、松若彦の命で末子姫一行を迎えに来たことを告げた。一行は今日はここで夜を明かすことになった。
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02 08 〔850〕
一行は楠の森を出て、大蛇が潜むという巽の池を指して進んで行った。カールは自分の足の長さが左右違ってびっこを引くのを隠すために、歌を歌い踊りながら先頭を進んで行く。
一行七人が、国人を困らせる悪魔を言向け和すために進んで行くという勇ましい歌からはじめた。そして、このたびの大蛇退治を自分に任せてくれと石熊が末子姫に頼み込んで許されたが、末子姫らを差し置いて自分が大蛇に立ち向かおうという石熊の慢心を厳しく責め、これも友達として気をつけるのだ、と歌った。
石熊はカールの諭しを聞いて、思案しながら首をうなだれて歩いていく。
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03 00 - 本文
03 09 〔851〕
テル高山の幾百千の谷から流れてくる水が集まる巽の池は、底知らずの池と唱えられ、ときどき風もないのに池のここかしこに波が逆巻き水煙が天に沖するという尋常ならざる場所であった。
一行が池に近づくと、にわかに天はかき曇り、波の音は轟然として身の毛もよだつばかりとなってきた。末子姫は石熊に向かい、ここに来るまでにカールから周到な注意があったが、いったん許した限りは大蛇退治の大役を取り消すわけにはいかないと、言霊戦の開始を促した。
石熊は真っ青になり、唇を震わせて弱音を吐き、辞退を申し出た。末子姫は姿勢をただし、荘重な口調にて石熊を叱り活を入れた。石熊はぜひなく頭を掻いて大役を了承した。カールは石熊をからかうが、末子姫に一喝されて口を閉じた。
石熊は池の面をじっと見つめると、大蛇を帰順させるための言霊歌を歌い始めた。石熊の歌は自分の強さや偉大さを前面に押し出し、自らの言霊に大蛇をまつろわせようとするものであった。
しかし雲はますます舞い下がり、水面は波高く、雨はつぶてのように池の面に降り注いでいた。カールは石熊の言霊が威力を表さないことをからかった。石熊は心中不安に思いながら、空元気をつけている。
末子姫は石熊に、宣り直しを促した。石熊は早くも末子姫に助けを求めている。末子姫とカールに活を入れられて、石熊は再び言霊を宣りはじめたが、池の波はますます激しく、筆舌に尽くしがたいほどになってきた。
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03 10 〔852〕
石熊は、得意のときには滅茶苦茶に威張るが、弱り目になってくると顔色を真っ青にしてしまう。精神がまだ定まっていない男であった。末子姫に宣り直しを命じられ、カールの忠言を気にしながらまたしても歌い始めたが、その歌には悲哀の情が表されていた。
前の歌よりも、大蛇に語りかけて改心を願う善言美詞的な歌であったが、やはり効果を表さなかった。末子姫になぜ効果が現れないかと問われて石熊は、自分の過去の罪が深いことを大蛇に見透かされており、言霊を聞いてくれないのだと答えた。
末子姫はその心を忘れないようにと石熊を諭し、決して何々教だとか区別を言わずに大慈大悲の大神の御心を汲むことに専心し神様の御為に尽くすことが、神の道の真相であると告げた。
石熊は涙を流して今までの小さき心を捨てて精進することを末子姫に誓った。
末子姫は、石熊の後詰めとして捨子姫を指名し、大蛇に言霊戦を挑むようにと任じた。捨子姫は水面に向かって言葉涼しく言霊歌を宣りはじめた。その歌は、神から生き物が等しく受けた魂を思い、自らも神の御子であることを悟って改心するよう心から述べ奉るというものであった。
捨子姫の言霊はごく簡単なものであったが、天授の精魂清らかにして汚点も曇りもなく、真如の月が心の海に照り輝いていた。その言霊の効用は著しく現れ、荒波はやみ黒雲は晴れ渡って太陽が輝きだした。
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03 11 〔853〕
言霊の妙用は一声よく天地を震動し、一音よく風雨雷霆を叱咤し駆使する絶対無限の権力があるのだが、これを使用する人々の正邪によって非常な違いが出てくる。昨日まで誤った信仰を続け心がねじまがった石熊は、万有に対して少しも感動を与えないのは、実に神律の厳然として動かすことのできないことから来るのである。
捨子姫の言霊は簡単なものであったが、清明無垢の捨子姫の臍下丹田からほとばしる、万有愛護の至誠から出た言霊には、大蛇といえどもこれに抵抗する余地なく、心和らぎ、言霊の権威によって黒雲も払拭されてしまったのである。
神界最大の重宝である言霊の神器は、混濁する身魂では容易に使用することができないことがわかるのである。
末子姫は厳然として立ち上がり、凪ぎ渡った水面に向かって言葉さわやかに歌い始めた。その歌は、大神の徳を称え、改心と救いを大神に求めるようにと大蛇に促していた。
歌い終わると池の水は二つに分かれ、白竜が姿を表し、末子姫の側近く進んでくると、感謝の涙をはらはらと流し、首を垂れた。しばらくすると白竜はその体を縮小し、見えなくなってしまった。
頭上からは音楽が聞こえて来た。竜神解脱を喜び祝う天人たちが、麗しい女神の姿となった巽の池の竜神を守りつつ天空高く消えていった。
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03 12 〔854〕
末子姫、捨子姫、カール、石熊と、一行を迎えに来た春公、幾公、鷹公の七人は、巽の池の竜神を解脱せしめ、今後この池に再び竜神が棲んで人々を苦しめることがないように深く鎮魂を施した。
一行はいよいよ珍の都に向かって進んで行く。このとき、不思議にも左右違っていたカールの足の長さは、いつの間にか長短そろい、歩行が容易になっていた。しかしカールは少しもそのことに気付いていなかった。
末子姫は天津祝詞を奏上し天の数歌を歌い上げ、先に立って進み始めた。石熊は、なぜか足が立たなくなっていたので皆を呼び止めて助けを求めた。末子姫は、時節が来ればきっと立つようになる、不言実行だと諭した。
カールは残って石熊の足を立たせようとすることになり、他の一行は先に珍の都に向かって出発することになった。カールは、バラモン教に潜入していたときに石熊に世話になったのだから、恩返しとして何とか足を立たせてやろうと祈念を凝らし始めた。
カールは天の数歌を歌いながら石熊の足を撫で、言霊歌を歌い始めた。カールは滑稽な歌で石熊の改心と足の平癒を祈願していたが、最後には石熊をからかい、置いてさっさと先に逃げだした。
石熊は歯噛みをしながらも、怒りにまぎれて足の痛みを忘れ、立ってカールを追いかけ始めた。追いかけているうちに石熊は、わざと自分を怒らせて足を立たせてくれたカールの心を悟り、お礼を言おうとカールを呼ばわりながら走っていく。
カールは都についたらとっくり聞かせてやろうと先に走って行く。二人はマラソン競争のように都に向かって走っていった。
これこそ、カールが大神に教えられた神策を実地に活用させた働きであった。二人は珍の都に着くと、互いに胸を割って慈愛の神の御心を語り合い、感謝するのであった。
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03 13 〔855〕
珍の館の神司・松若彦は、数多の国人を引き連れて、二挺の輿を用意し、都のはずれのカリナの里に陣を張り、末子姫一行の到着を待っていた。
松若彦は馬を下りて姫の前に罷り出で、ご来臨への感謝を慇懃に述べ立てた。末子姫は、テル山の麓まではるばる使いの者を迎えに寄越してくれたことに感謝の意を表した。互いに挨拶を終えると、麗しい森陰に立ち入って、しばし休息した。
松若彦は、末子姫に輿に乗っての入城を懇願したが、末子姫は神様から賜った足にて歩きたいと拒んだ。松若彦は、国人が至誠を込めて姫の降臨を祝って作った御輿にぜひ乗って欲しいと頼み込んだ。
松若彦は、末子姫の来臨は、珍の国の最初の国司・正鹿山津見神が、松若彦の父・国彦に予言したことであり、それは神素盞嗚大神の御子がこの国を治めるということに他ならないという謂れを明かして説いた。
末子姫も、実は珍の国の国司を継ぐという自分の使命について、父神から聞かされていたと明かした。松若彦は、女王が御輿に乗るのは決して贅沢のためではなく、人民に代わって大地に足を踏まないようにして神祇に敬意を払うお役目なのだと諭した。
これを聞いて末子姫は、捨子姫ともども御輿に乗ることを了承した。末子姫の言葉はなんとなく威厳を帯びてきた。
末子姫は、御輿にかつがれてウヅの国の立派な城門をくぐり、本城指して進み入った。道の左右には数多の国人が、救世主の降臨と涙を流して歓喜に暮れている。カールは石熊とともに、白砂を敷き詰めた道を、息せき切って城内に進み入った。
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04 14 〔856〕
言依別命と国依別は、テルの港から北へ進んで、御倉山という高山に到着した。竜世姫命を奉斎した立派な社が建っている。二人はここに参拝した。
谷川には御倉魚という美しい魚が棲んでいたが、国人たちはこれを神の使いと信じ、食べるとたちまち口がきけなくなり斑紋が体に現れると恐れて、口にするものはなかった。
この地方はこのごろ、飢饉に襲われて、人々が祈願をしに社に集まってきていた。言依別命は国依別とともにこの有様を見て、人々を救おうと思案にくれていた。谷底には白衣を着たウラル教の宣伝使が人々に向かって説教をしている。
なぜこのような苦しみを受けなければならないのか、と問う人々に対して、ウラル教の宣伝使は苦しみの世界である現世を離れよ、と説いていた。飢饉の苦しみを訴える人々に対して、ただ殺生を禁じ、神を称えることのみを説いていた。
言依別命は宣伝歌を歌いながら谷底に下りてきた。その歌には、御倉魚を人々に与えて飢饉を救ってやろうと歌われていた。
ウラル教の宣伝使ブールは二人のところにやってきて、神の御使いの魚を取って喰わせようという言依別命に抗議した。言依別命は人の命と魚の命とどちらが大切か、と問いかける。ウラル教の宣伝使はあくまで人は罪の子であり、贖罪のために苦しみを受けるべきだと主張する。
国依別は売り言葉に買い言葉で、皆の目の前で御倉魚を実地に食べて、神の祟りがあるかどうか確かめることになった。国依別が谷川に下りて、たくさん泳いでいる御倉魚を掴み取ってむしゃむしゃ食べるのを目にして、人々は安心して国依別に続いた。
ウラル教の宣伝使たちはこそこそと姿を消してしまった。これより、この国のひとたちはウラル教に愛想をつかし、三五教を奉じることになった。
言依別命はテルの国を越えてウヅの国に行くこととなった。国依別は言依別命の命を奉じてしばらくここに留まり、ヒルの都からハルの国を廻ってからウヅの国に合流することになった。
国依別の布教によって、三五教は非常な勢いを得ることになった。
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04 15 〔857〕
この地方の住人は言依別命と国依別命の教えにより、飢饉の際にお留川の御倉魚を食料とすることを許されて、餓死の危機を免れることができた。そのため、たちまち三五教の勢いはこの地を席巻した。
言依別命が旅立ってからは、国依別が御倉の社を中心として祭祀を執り行い教えを説き、宣伝歌を作って国人たちを導いていた。
国依別は、信者の中からすぐれて熱心なパークスという男を選んで足彦と名を与え、御倉の社の宣伝使と任命して後事を託し、自らは言依別命の命にしたがってヒルの国を目指して旅立った。
国依別がチルの里にさしかかると、ウラル教の宣伝使・ブール、ユーズ、アナンらが立ちはだかり、三五教に信者を奪われた怨みをはらそうと、国依別を取り囲んだ。しかし球の玉の神力を身につけた国依別の霊光に照らされて、ウラル教徒たちは逃げ散ってしまった。
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04 16 〔858〕
ウラル教徒を追い払った国依別が、宣伝使としての一人旅を満喫しながら森の木陰に休んでいると、星明りの中、走りよってくる二つの影がある。国依別が呼び止めて誰何すると、二人は平伏し、自分たちは飢饉から救ってもらった国人でキジ、マチとそれぞれ名乗った。
二人の若者・キジとマチは、国依別を慕って弟子になるために追って来たのだという。国依別は、せっかく一人旅の愉快さに心を躍らせていたところで迷ったが、自分を慕って山川を越えて追って来てくれた男たちを追い返すのに忍びなく、これも神様の大御心と思い切り、二人の随行を許した。
キジとマチは喜び、三人はヒルの都を目指していくこととなった。
本文
04 17 〔859〕
秘露の国の日暮シ山の山腹に広大な岩窟を掘って、ウラル教は本拠地を構えていた。巴留の国の北西部から秘露の国全体にかけて勢力を誇っていた。奥の一間にはこの地のウラル教の教主ブールをはじめ、幹部連が会議を開いていた。
ブールは懸念を表明し、ヒルの都には楓別命が代々三五教の拠点を張っており、しかも先日は三五教宣伝使のために御倉山の拠点を奪われてしまったこと、それのみならず近年はバラモン教の石熊も勢力を増してきていることに対して、どうウラル教を盛り返したらよいか、幹部の意見を求めた。
幹部のアナンとユーズは、飢饉がもうすぐ終わって天候が回復する見込みであることから、それを予言としてウラル教の神の慈悲であると宣伝に触れ回り、その一方で、僧兵を引き連れてヒルの都の楓別の館を襲撃し、一気に三五教を殲滅しようと献策した。
ブールは、御倉山やチルの里で三五教宣伝使に手もなく敗北を喫した先例を挙げて、本当に大丈夫かとアナンとユーズに念押しをした。アナンとユーズは、あの敗北は深謀遠慮から出た策略の一つであったと強がり、今回は必ず勝利すると請け負った。そこまで聞いて、ブールは二人に作戦を任せた。
しかしブールが退出すると、アナンはさっそく臆病風に吹かれて心配をし始めたが、ユーズはアナンを鼓舞し、二人は武装した部下たちを連れて、楓別命の館に向かって出撃することになった。
本文
04 18 〔860〕
国依別一行は、日暮シ川のほとりにさしかかった。国依別は、旱魃のせいで川の水が減じたことに感慨を述べた。キジは、日暮シ川の上流にはウラル教の拠点があること、近年はバラモン教と激しく争っていたことを説明した。
川の水が多かったときには、ウラル教徒は舟で川を遡り、壮大な岩窟へ参詣したという。国依別、キジ、マチがウラル教の聖場について話し合っていると、日暮シ川の上流から、三葉葵紋の旗を押し立てて、武装した兵たちが進軍してくるのが見えた。
本文
04 19 〔861〕
国依別は武装したウラル教徒の一団を見て打ち笑い、キジとマチに、神力を与えるから二人で彼らを蹴散らして見たらどうか、と促した。
キジは腕力に、マチは機転に自信があると、国依別の提案に乗った。国依別は自分は司令官となると言って丸木橋の上に陣取り、キジとマチに、くれぐれも敵の命だけは取らないようにと念を押した。
アナンとユーズが率いる武装隊の前に、マチは暗がりのなか立ちはだかり、大音声で言依別命だと名乗った。言依別命と聞いてウラル教徒たちは早くも心の中で恐れを抱きながらも、ユーズの下知で襲い掛かった。
マチは素早く体をかわして隠れてしまうと、ウラル教徒たちは暗がりの中で同士討ちを始めてしまった。一方キジは、アナンが率いる隊に向かって立ちはだかり、国依別を名乗って怒鳴りたてた。
アナンの号令でウラル教徒たちはキジに突っ込んできたが、キジは次々に日暮シ川に取って投げてたちまち人の山を築いてしまった。
国依別は橋の上からサーチライトのように霊光を放射して、戦場を射照らしている。アナンとユーズはたまらず、退却を命じてウラル教徒たちは逃げて行った。マチとキジは国依別の元に凱旋する。国依別は、マチとキジの勇気と働きに喜んだ。
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04 20 〔862〕
マチとキジは、先ほどの勝利の味を宣伝歌を歌いながら夜道を進んで行く。
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05 00 - 本文
05 21 〔863〕
国依別一行は、アラシカ峠の頂上に至り、東北方面に平原に伸びるヒルの都を見渡した。一方西南には日暮シ山がそびえている。三人はこの様子を見て、ヒルの都は無防備だが交通の便に勝れ、一方日暮シ山は要害堅固だか交通に不便である点を比べ評している。
三人が峠を下っていく途中、二三本の樟の大木に守られて、古い祠があった。ウラル教の神・常世神王を祀った祠であるという。その前に、妙齢の女が跪き、何事かを熱心に祈願している。
三人は祠に近づき、天津祝詞を奏上すると傍らの石に腰掛けた。女は涙を流して祈願している。キジは女に近づき、同情の言葉をかけて、何か悩み事があれば力になろうと申し出た。
女はエリナと名乗り、父・エスはウラル教の宣伝使であったが、ある日三五教の宣伝使が家に立ち寄ったところ、その宣伝使の話に感銘を受けて投合し、家に何日か泊め、またウラル教徒たちにも三五教の美点を説いて聞かせたという。
しかしそのことが日暮シ山の本山に伝わり、教主ブールに呼び出されてその後消息が絶えてしまった。日暮シ山本山から親切に消息を知らせてくれた者があり、それによると、ブールの逆鱗に触れた父・エスは、水牢に投げ込まれて苦しんでおり、家族にも危害が及ぶかもしれない、とのことであった。それを聞いた母は重い病に倒れてしまったという。
国依別、キジ、マチはこの話を聞いて、自分たちが三五教徒でであることを明かし、力になろうと申し出た。国依別は、キジとマチに日暮シ山に引き返して、エリナの父・エスを助け出すように命じ、自分はエリナを送って行き、エリナの母に鎮魂を施すこととした。
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05 22 〔864〕
キジとマチは、昨夜にウラル教徒たちを蹴散らした日暮シ川の丸木橋までやってきた。二人は軽口を叩きながら疲れてその場に寝込んでしまった。
そこへどこからともなく這って来た大ムカデに耳を刺されてキジは飛び起きた。キジは思わずムカデに唾を吐きかけた。唾が嫌いなムカデはその場に伸びてしまった。
マチはムカデを憐れに思って、日暮シ川の水中に投げて唾の毒を消してやった。するとムカデは息を吹き返し、二人の元に全速力でやってきた、二人を追い立てる。
キジとマチは気味悪く、どんどん逃げていく。とうとう二人がウラル教の本拠である岩窟の前までやってきたところで、ムカデは消えてしまった。これは言依別命が球の玉の霊力をもって、キジとマチの出陣を励ますようにと顕現させたものであった。
本文
05 23 〔865〕
日暮シ山の霊場で、教主ブールは昨夜出陣した部下たちの勝利を祈願し終わり、居間に帰ってみれば、なぜか出陣したはずのアナンとユーズが悄然として控えている。
その様子を見て不安を感じたブールが二人を詰問すると、アナンとユーズは俄かに空元気を出し、口に任せてブールを煙に巻いて、ウラル教が勝利したとも受け取れる説明をなした。
ブールは機嫌を直し、出陣した隊士たちにもぶどう酒を振舞うようにと言い渡して、神殿に勝利の感謝祈願をすると言って奥に姿を隠した。
アナンとユーズは部下たちにぶどう酒を振舞ってかん口令を敷き、自分たちは神殿に行ってブールが宴会の場に来ないように出鱈目な話をして教主室に引き止めに行った。
宴席では、ウラル教徒たちが昨夜の大敗戦を肴に愚痴を言い合っている。そこへアナンがやってきて、一同にねぎらいの言葉をかけるが、酔ったウラル教徒たちは敗戦を匂わせることを言い出し、アナンに制止される。
そこへブールが突然やってきた。一同は慌てて居住まいをただす。ブールは、岩窟の前に三五教の強者が二人来たようなので、気をつけるようにと言い渡した。一同には緊張が走った。
本文
05 24 〔866〕
アナンとユーズは酔ってへべれけになった人数を引き連れて岩窟の入口にやってきたが、キジとマチに向かって、中に入って仲良く一杯やろうと声をかけるのみであった。キジとマチは、ただエスを渡せと言い、ウラル教徒たちを押し分けて岩窟内に入った。
ユズとキジは教主室に入ると、震えているブールのそっ首を捕まえて、エスを引き渡すようにと迫った。ブールは震えながら、岩窟内をキジとマチの先に立って案内する。
向こう側から酔ったアナンとユーズがやってきたが、油断していたキジとマチに千鳥足を装ってぶつかった。するとキジとマチは落とし穴に突き落とされてしまった。
陥穽に落ち込んで、しまったと思うキジとマチの上から、ブール、アナン、ユーズは嘲笑している。キジ、マチ、そしてエスの運命は如何になるだろうか。
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暑い夏の季節に、四週間にわたって天城山麓の景勝地である湯ケ島温泉で松村真澄・出口宇知麿の二人と霊界物語を口述したのは、実に爽快であった。
宿の主人や四五人の信徒とともに吊り橋を渡り、山田峠の畷に登っていった。下田街道に出て、日光の届かぬ山路をさらに登っていく。
新道から旧道に外れる松が二三本生えたところを登っていくと、一面の原野に細い道が通っており、それを登ると清滝近道の石碑が立っている。草原を四五町右に取って行くと、ダラダラくだりとなり、次第に谷川へ降りていく。そこは狩野川上流の滝である。
休息の後、元来た道を旧道へ戻り、山へ登っていく。次第に山の頂上から雨雲が出てきて、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。右滑沢道という木標の方へ行くと、水車小屋のある谷川を俯瞰できた。
二三町行くと、大川端というところに着く。ここからは天城山中のもっとも険しいところである。檜の暗く茂った谷間に踏み入れると、樹木は苔厚くむしている。左右を絶壁に挟まれた谷底に出た。
丸木橋を渡って絶壁を登り切ると、天城山随道の北に近い。北口の茶屋で一服してから湯ケ島に戻ろうとしていたとき、右も左も一面の霧で、四五間先の木立でさえもぼんやりとして茫漠たる霧の海を夢路のように迷うのであった。
一行は一日の光陰を有意義に費やして、夕方に湯本館の大本臨時教主殿に戻ってきた。
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【高天原】は全大宇宙。
【神つまります】陰陽二元が実相充実した上にも充実すること。
【神魯岐神魯美】陰陽二系を司る神。
【命もちて】言霊によりて。
【皇御祖】皇は統べる。澄む、住むも同一語源から来る。御は体の借字、祖は祖神を表す。
【神伊邪那岐命】神は、醸すなどと道義であり、宇宙万有を醸造したまう神伊邪那岐命に冠した形容語である。神伊邪那岐命は火系(陽系)の御祖神で、宇宙におけるあらゆる活動の根源を司り、大修祓・大整理はこの神のご分担に属する。地の世界(顕の幽界)において神伊邪那岐命のお仕事を分掌するのが国常立尊である。神諭の世の大立替というのは、大修祓の決行のことである。宇宙に起こることは地球にも起こり、地球に起こることは宇宙にも起こるというように、不離の関係になっている。同様に、大修祓は国、群、郷、村、身、家にも起こる。
【筑紫の日向】筑紫は尽くしであり、究極、完全無欠である。数で言うと九である。日向はヒムカシであり、光明があまねく照らすという意味である。
【橘の小戸】こでも地名ではなく、タチは縦、ハナは先頭、すなわち先頭の縦行であるアオウエイの五大父音を表す。小戸は音であり、言霊である。宇宙は五大父音の言霊の働きによって修理固成ができたということである。
【阿波岐原】全大宇宙間のこと。アは天地、ハは開く、ギは大中心、ハラは広い所。
【御禊祓】身体の大修祓のこと。
【祓戸の大神達】瀬織津比売、速秋津比売、伊吹戸主、速佐須良比売の四神である。大修祓執行に際しては、八百万の神々はこの四方面に分かれて活動し、諸々の枉事罪穢を祓い清め給う。宇宙全体、地球全体四方面に修祓が起こり、神諭の雨の神、岩の神、風の神、地震の神の大活動となる。
【天の斑駒】フは力、チは霊、コは体、マは全き。
【耳振立て聞食せ】活動を開始し給への意味。
【大意】
宇宙天地万有一切の大修祓は、霊系の御祖神のご分担に属する。現在『地の世界』においてなされている国祖の大洗濯も、宇宙全体としては神伊邪那岐命の御仕事である。
幾千万年も蓄積した罪穢があるので非常な荒療治が必要だが、これが済めば、後は小洗濯を刻々と行えばよいので、大体においては嬉し嬉しの善一つの世になるのである。つまり神伊邪那岐命の御禊祓は必要なものなのである。
この修祓は、宇宙根本の大原動力である霊体二系の言霊によってなされるのである。天地の間には根本の五大父音が鳴り渡っているが、罪穢が発生したなら、言霊でそれを訂正・除去していかなければならない。
人は宇宙経綸の重大任務を帯びた存在であるので、先頭第一に言霊を磨き、正しい言霊を駆使すれば、天地もこれに呼応して宇宙の大修祓も決行されるのである。
その際に我々の肉体は、小・神伊邪那岐命の御活用を司ることになる。かくして一切の罪穢は払い清められる。かかる際に御活動いただく八百万の神様たちよ、何卒しっかり御活動願います、というのが天津祝詞の大意である。
何人もまずこれを日夕奏上して一身一家の修祓を完全にし、そして一大事の場合には天下を祓い清める覚悟がなくてはならない。
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日本人は、善悪正邪に関わらず、日本人を賞賛すれば良民、欠点を挙げれば非国民というが、これが公平無私の態度と言えようか。身の欠点を自省しなくてはなるまい。
元来日本の神民は、寛仁大度の同化力を持っている神の末裔である。国祖は天地を開拓すると、自国の欠点を除き、他国の長所を取り、六合を斉しくすべくお働きになったのである。
欠点は喜んで根本的に改善し、民は君を本となして、誠を啓き、人類を愛撫して国利を興さしめ、世界共通の幸福を一つにするのは、日本人の天地自然の道である。
国民外交の真意義を忘れようとしている国人は、世界の国から排斥されても何の言葉もない。七千万同胞を革正すべきは今である。
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