巻 | 篇 | 篇題 | 章 | 章題 | 〔通し章〕 | あらすじ | 本文 |
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- | - | - | 舎身活躍 寅の巻 | - | 本文 | ||
- | - | - | 序歌 | - | 八岐大蛇や悪神たちがはびこる暗黒の世の中は、みなたがいに相争い合っている。それがために国家社会は刻々に危機に瀕して乱れきっている。
医学衛生は完備しても病気が蔓延し、交通機関が完備しても有無通じる道もない。国家の富力が増進しても飢餓が人々に迫る。
眼を転じれば外侮の脅威はますます高まり、国交は非運となり、人の思想は悪化していつ爆発するとも知れない。
これを思えば夜も寝られず、涙は頬を伝って流れる。古今未曾有のこの惨状を救って松の神の代に開くための神の道を立てさせ給う尊さよ。誠の神が現れて治めたまわるときはいつになるのだろうか。
天地の神もあきれ果て、風雨雷電は激怒し、水神怒り海神は怒涛を巻き起こして地上の生き物を洗い去り、大地の神は干ばつを、地震の神は家屋を倒し、火竜は地上の穢れを焼き尽くす。軍神は天賊地妖をくまなくみな殺し、清め給うぞ尊いことである。
天来未知の大偉人が現れ来たり、天地のもろもろの穢れを潔斎し、神に選ばれた民を永遠に救って五六七の御代となれば、ここに初めて地上に天国が顕現し、無上至楽の世となるだろう。
邪神を懲らし善神を救うご経綸こそ、まったく皇神がわれらに賜ったご遺訓である。この神意を解する者がなかったために、皇大神は神の教えを立て給い、綾の聖地に現れまして皇道本義を宣り給う尊き世となったのである。
神の御綱に引かれて寄り集う人はおしなべて、この御教えを遵奉し模範を世界に示せば、次第に人は善良な身魂となって世のために尽くす真人となる。
そうすれば神は喜び、自然に天地は清まって神の御国に泰平を謳い、御恵に浴する御代となるであろう。 |
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- | - | - | 総説 | - | 神素盞嗚尊が八岐大蛇を言向け和し、肥の川上において手撫槌、足撫槌の娘・稲田姫命の危難を救い給うた神代の物語を続行するにあたり、コーカス山を中心として、まず五天竺の活動から後述することにしました。
山には古来、善神も鎮まっていたが、邪神もまた盛んに潜伏していた。太古の八王八頭は山を根拠として地方地方を鎮め守っていた。これは山岳の邪神の本拠に対して、居所を定めていたのである。
出雲は伯耆の大山を指すので、これは神素盞嗚尊が自ら登山して邪神を滅亡させ、村雲の宝剣を天照大神に奉って忠誠の大精神を発揮した物語である。
素盞嗚とはスバルタンの意である。スは進展、バルは拡張、また神権発動という意味であり、タンは尊、また頭領の意味である。天照大御神はアテーナの女神、またアポーロの女神ということになる。
葦原はアジアの意味であり、アッシリアとなりアジアになったのである。太古のアジアは現今の小アジアであったが、時世の変遷とともに広大なアジアとなったのである。
五天竺は周囲九万余里、三方を大海、北は雪山を背にして北は広く南は狭く、形は半月のようになっている。その地は七千余国に区分され、暑熱は激しく地は泉湿多い。
天竺の名称はたくさんあり、現在は正音により印度と言っている。神代には月と唱えられていたことは、第一巻に示すとおりである。
印度の人民には四種の差別がある。第一の刹帝利は代々王となる家柄である。第二の婆羅門は学問を家業とする。第三の毘舎は商人である。第四の首陀は農業を営む。第一巻には、婆羅門には三階級あることを述べたが、それは太古の神代のことである。
今から三千年前の印度の人民は、このように四階級に分かれていたのである。 |
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01 | 00 | 伊祖の神風 | - | 本文 | |||
01 | 01 | 大黒主 | 〔1066〕 | 常世の国の常世城にて三葉葵の旗を立てて常世神王と称し、羽振りをきかせていた大国彦は、黄泉比良坂の戦いで大敗北を喫し、ついにはロッキー山の鬼となってバラモン教を開設することになった。
大国彦命の長子・大国別はバラモン教の教主となり、海を渡ってエジプトのイホの都に現れ、その教えは四方に広がり人心を惑乱した。
正道が滅びようとしたまさにその時、三五教の夏山彦、祝姫、行平別ほか三光の神司のために勢力を失い、次にメソポタミヤの顕恩郷に本拠を構えて小アジア、ペルシャ、インドなどに神司を遣わし、教えを広めていた。
神素盞嗚尊は八人の御子を顕恩城に忍ばせてバラモン教を帰順させようとした。バラモン教側では大国別命が帰幽した後、左守だった鬼雲彦が正嫡の国別彦を放逐し、大教主となって暴威をふるっていた。
天の太玉神は鬼雲彦に帰順を迫ったが、鬼雲彦は黒雲を起こして部下を連れて逃げ去ってしまった。フサの国、月の国を横断して自転倒島の大江山に立て籠もって、画策を続けていたのである。
しかしまたもや三五教の神司の言霊によって自転倒島から逃げ出し、月の国のハルナの都に潜んで勢力を盛り返し、月の国を根拠として再び天下を掌握しようとしていた。ハルナの都は月の国の西岸にあり、現今ではボンベーと呼ばれている。
鬼雲彦は大国彦命の名を奪って、自ら大国彦または大黒主神と称し、あまたの妾を蓄えてバラモン教の大教主となり、ハルナの都に近い兀山(大雲山)に大岩窟を穿って住処となし、外教徒の侵入を許さなかった。
神素盞嗚大神が主管し給うコーカス山、ウブスナ山の神館の神司たちも、月の国にはあまり手を染めなかったため、大黒主は月の国で力を蓄え、三五教を蹂躙しようと準備を整えつつあった。
神素盞嗚大神は自転倒島をはじめフサの国、竜宮島、高砂島、筑紫島などが大略三五教の御教えに信従したが、思うところあってか月の国のみは後廻しにされたのである。
ここに、斎苑の館の八尋殿に大神はあまたの神司を集めて、大黒主調伏の相談会を開始された。その結果、梅彦の照国別、音彦の玉国別、亀彦の治国別ならびに黄竜姫、蜈蚣姫が立ち向かうことになった。 |
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01 | 02 | 評定 | 〔1067〕 | 神素盞嗚大神の命によって、斎苑の館の八尋殿では厳格な相談会が開かれた。大神は高座に現れ、一同に歌をもって相談会の意図を宣旨された。ハルナの都に進み、大黒主を言向け和す神司を選定せよ、との思し召しであった。
大神は神軍の成功を祈り、奥殿に姿を隠された。日の出神が議長となって詮議は開始された。時置師神は、元バラモン教との蜈蚣姫と黄竜姫親子を遣わしたらどうかと推薦した。
黄竜姫、蜈蚣姫はそれぞれ立って自ら敵城に向かう決意を述べ、ハルナの都行きを承認された。一方、照国別は立って自らを自薦した。日の出神は承諾し、照国別は一人で月の国へ出張することとなった。 |
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01 | 03 | 出師 | 〔1068〕 | 照国別は日の出神からハルナの都への出立を許され、意気揚々と座に就いた。そして妻の幾代姫に後事を託し、神軍として出立の抱負を歌った。
黄竜姫、蜈蚣姫の母子二人連れは、旅人に身を変えてフサの国を横断し、フサの海から舟に乗ってハルナの都に進んでいくことになった。
一方照国別は宣伝使の服装を整え、照公、国公、梅公を従者として河鹿峠を越えてフサの国の東南から月の国へ進むこととなった。
玉国別は立ち上がり、自分とても多くのバラモン教徒を言向け和してきた勇者であり、広い月の国の大敵に照国別一人では前途を案じられるとして、自分も派遣してほしいと願い出た。
日の出神はその心をよしとして、玉国別にも出立の許可を出した。玉国別は一同に別れを告げて後を託し、三人の従者を従えて河鹿峠を越え、フサの国の原野を越えて印度を指して進んでいった。
また治国別も印度への出陣を願い出て、これもまた日の出神の許可を得て出立していった。初稚姫は五人の神司の出陣を祝して、金扇を開いて歌い舞った。
そして初稚姫自身も、単身大黒主の館に忍び込んで曲神を帰順させるために出陣を願い出た。日の出神は躊躇したが、初稚姫と時置師神の強い言葉を受けて、ハルナ行きを許可した。初稚姫は単身、共も連れずに出立して行った。
こうしていよいよ、月の国の大黒主に対する言霊戦の準備はまったく整ったのであった。 |
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02 | 00 | 黄金清照 | - | 本文 | |||
02 | 04 | 河鹿越 | 〔1069〕 | 蜈蚣姫は、神素盞嗚大神より黄金姫と名を賜った。また黄竜姫は清照姫と名を賜った。二人は秋の空の下、巡礼姿に身をやつして河鹿峠の厳しい坂道を登って行った。二人はまずフサの都を指して進んでいる。
激流ほとばしる谷川を下に眺める細い山道の傍らに、五人の男(ハム、イール、ヨセフ、レーブ、タール)が腰をかけて雑談にふけっている。バラモン教の鬼熊別の部下であった。彼らは主人鬼熊別の妻・蜈蚣姫と娘・黄竜姫を探していたのであった。
鬼熊別は大教主・大黒主の次の地位にあったが、行方知れずになった妻や娘が三五教に入ったという噂のために大黒主に目を付けられているのだという。それにもかかわらず、大黒主のように放埓せずに品行を謹んで信者に手本を示しているとのことで、大黒主よりもバラモン教信者たちの信任を得ている様子である。
五人は峠を下ってくる黄金姫と清照姫を見つけて、道端の茂みに姿を隠した。そうとはしらない二人は谷川の眺めながらふと立ち止まり、述懐話にふけっていた。
そこへ五人の男がガサガサと現れて、二人を誰何した。五人は、二人が三五教の者だと見てとり、捕まえようとする。二人は男たちを山賊だと思って啖呵を切った。
五人の男はいっせいに二人に飛び掛かったが、黄金姫はハムとイールの両人を苦も無く谷底へ投げ入れてしまった。清照姫は、ヨセフを谷底へ投げ込む。これを見たレーブ、タールの両人は肝をつぶし、一目散に駆けだした。そして三人(ハム、イール、ヨセフ)を助けようと谷川に下りて行った。
黄金姫と清照姫は、男たちには構わずに宣伝歌を歌いながら峠を降って行った。 |
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02 | 05 | 人の心 | 〔1070〕 | レーブとタールは急な谷川になかなか降りられず、十町ばかり下手の浅瀬に下りて、そこからようやく五六丁ばかり上って三人(ハム、イール、ヨセフ)を探した。
二人は女の身ながら恐ろしい巡礼だと警戒を新たにしながら、三人を捜索した。見れば、三人とも川岸の真砂の上に体をうずめて横たわっていた。そしてヨセフとイールを介抱し始めた。
大将格のハムは普段からよほど部下に嫌われていると見えて、レーブとタールは悪口をたらたら言いながら、一向に助けようとしない。ハムは自分でウンウンウンと唸りだした。
ハムは起き上がり、レーブとタールが自分の悪口を言って助けようとしないのを一部始終聞いていたのだと二人を叱りつけた。レーブとタールは驚いて、介抱していたイールとヨセフをその場に置いて逃げてしまった。
ハムは残されたイールとヨセフを蘇生させようと介抱したが、両人は目を覚まさない。そこへ宣伝歌が聞こえてきた。ハムは三五教の宣伝使が歌う、バラモン教調伏の宣伝歌を聞いて肝をつぶし、イールとヨセフを置いてこれまた逃げてしまった。
ハムが血を流しながら逃げる姿を谷道から眺めた照公は、照国別に谷川で何やら事件が起きたらしいことを告げた。照国別は谷底を眺めて様子を探るすべを考えている。 |
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02 | 06 | 妖霧 | 〔1071〕 | 谷道の傍らの森に、古ぼけた祠があった。レーブとタールはその後ろに隠れて、先ほどの災難についてひそひそ話にふけっている。そこへ、息をはずませてハムが祠の前にやってきた。
ハムは、二人の女に投げられた災難を吐露し、レーブとタールが自分を助けるどころか悪態をついて放置していたことに怒りを表した。
ハムは、そのあと聞こえてきた宣伝歌から三五教徒がの応援が来たと思い、その恐ろしさを祠の前に訴えた。そしてもう体が動かくなったと嘆き、バラモン教の神に助けを乞うた。
河鹿川の谷底から立ち上った霧にあたりは包まれ、一足先も見えなくなってしまった。レーブとタールはハムが弱音を吐いて参っているのをからかってやろうと、霧を幸い祠の下から這い出した。
タールとレーブは、黄金姫と清照姫の声色を使って、鬼の母子を演じ、ハムを震え上がらせた。ハムは恐ろしさに思わず、霧の中の声に向かって命乞いを始める。
二人が鬼の母子の真似をしてハムをなぶっていると、山おろしに霧は払われて、三人の姿ははっきりをわかってきた。ハムは、レーブとタールが自分をからかっていたことがわかり、怒りに足腰の痛みも忘れて立ち上がった。
レーブとタールをそれをみて、細谷道を命からがら逃げて行った。 |
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02 | 07 | 都率天 | 〔1072〕 | イールとヨセフは、いつの間にか茫々とした大原野をさまよっていた。向こうの空から五色の雲が広がり、美しい衣装を着た二人の女神が降りてくるのが見えた。女神は一人は若く、一人は年老いていた。
よく見れば、年老いた女神は黄金姫、若い女神は清照姫であった。イールとヨセフは、女神たちを峠で襲おうとしたことを詫びた。
黄金姫は、ここは未来の夢想国で、娑婆において神様のために大活躍をすると救われる浄土だと説明した。これは神様が来るべき世界を見せてくれているのだという。
女神たちは都率天の案内をすることになった。一行は立ったまま、青空の雲の中に昇っていく。眼前には宝玉で飾られた美しい殿堂が現れた。清照姫は、これは都率天の月照彦のお宮であると説明した。
清照姫は、中に入ると一言も発してはならないと二人に気を付けた。お宮の中に入ると、四人の女神が現れて、一行四人をそれぞれ導いた。
奥殿には、紫磨黄金の肌をした神が厳然として控えていた。威厳の中になつかしみを感じる。これが月照彦命であった。月照彦命は四人を差し招いた。黄金姫が先導し、一行は殿堂の後ろにある階段を降っていく。
イールとヨセフは、いつの間にか雑草が生い茂る沼に落ち込んでいた。美しき殿堂も、女神たちの姿も見えなくなっていた。沼の岸ではタール、レーブ、ハムが現れて何か口論をしているのが見えた。
ハムは、沼の中のイールとヨセフを助けようとしたが、取り憑いている鬼が邪魔をして助けられない。どこからか宣伝歌が聞こえてくると、ハムに憑いていた鬼は消えてしまった。そしてイールとヨセフもいつの間にか沼から抜け出て、ほとりに立っていた。
二人はハムの後を追っていくと、一本の松の木に大蛇が待ち伏せているのが見えた。二人が松の木の根元を見ると、バラモン教の大黒主が首だけ出して埋められている。大黒主は、天地の神の罰を受けているのだと説明し、二人に早く三五教に改心した方がよい、と勧めた。
また宣伝歌が聞こえてきた。大黒主の体は地面から抜け出て浮き上がると、大蛇に飲まれてしまった。大蛇は雲を起こしてどこかへ去って行った。
二人が気が付くと、谷底の河原に半身が埋まっており、三五教の照国別宣伝使一行に介抱されているところであった。
イールとヨセフは、黄金姫と清照姫を襲って逆に谷底に投げ込まれた一件を物語り、宣伝使たちに付いていくことになったが、なんとなく威光に打たれて恐ろしくなり、隙を見て逃げ出してしまった。
照国別は道端の古い祠で一夜を明かすことにした。 |
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02 | 08 | 母と娘 | 〔1073〕 | 黄金姫と清照姫は、河鹿峠の坂道を降りながら、これまでの自分たちの出自と来歴を宣伝歌に歌った。
二人はそれぞれ、バラモン教の鬼熊別の妻と娘であったが、顕恩郷にて清照姫は友彦に誘惑されて逐電し、そのあと三五教の太玉命がやってきて、バラモン教勢は追い払われて自転倒島に逃げて行ったのであった。
さらに二人は縁あってそれぞれ別々に、三五教に改心することになった。二人はその経緯を歌いながら勇み進んでいく。 |
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03 | 00 | 宿世の山道 | - | 本文 | |||
03 | 09 | 九死一生 | 〔1074〕 | ハムは、実はガランダ国の刹帝利の家柄で、大黒主の部下にその地位を追われて鬼熊別の部下となっていたのであった。ハムは、三五教の宣伝使を捕縛して手柄を立てれば、また元の王位に戻れるという契約を結んでいた。
ハムはレーブ、タールと口論し、古い祠で二人にだまされて怒り、逃げるレーブとタールを追っていた。ハムは身体の痛みも忘れて、自分の来歴を歌に歌いながら二人を追っていく。
しかしハムの腰はまた痛みだし、一歩も進むことができなくなってきた。ハムは山道で倒れ、もはやここで野垂れ死にをするしかないと観念した。
このとき微妙の音楽が聞こえ、天から白蓮華の花びらが降ってきた。ハムの体はたちまち元の健全体となった。ハムは喜び、天地に感謝してこれまでの言心行が一致しない罪を謝して坂道を下っていった。 |
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03 | 10 | 八の字 | 〔1075〕 | レーブとタールは、ハムに追われて逃げていく。二人はこれまでの経緯を歌いながら、走っていく。
タールは関節をくじいて山道に倒れてしまった。レーブは先にどんどん逃げて行ってしまう。ハムがタールに追いついたが、タールの体につまずいて倒れてしまった。二人はその場に倒れて唸っている。
そこへ宣伝歌の声が聞こえ、近づいてきた。 |
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03 | 11 | 鼻摘 | 〔1076〕 | 激しい山颪が吹き荒れる中、照国別一行は宣伝歌を歌いながら山道を下ってきていた。山道に二人の男が倒れている。照国別は、国公に二人の介護を命じて先を急いだ。
国公はタールに近づいて様子を見ていた。タールはたいしたけがではなかったので、二人は軽口をたたきあって打ち解けてしまった。あたりは暗くなり、二人はいつの間にかそこに寝てしまった。
ハムは起きてきて、二人の髪の毛を結んでしまい、鼻をつまんでからかっている。ひとしきりからかって二人が起きたところで、ハムとタールは今までのことを水に流して仲直りをした。
夜が明け、三人は兄弟のように親しくなった。三人は無駄口をたたきながら照国別の後を追っていく。 |
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03 | 12 | 種明志 | 〔1077〕 | 国公、タール、ハムの三人は、照国別が逗留しているはずの岩窟にたどり着いた。しかしそこには照国別一行はおらず、イールとヨセフの二人が奥で震えていた。
ハムが二人にいきさつを尋ねると、二人がここに逃げ込んで隠れていると、昨晩きつい声の宣伝歌が聞こえてきた。自分たちを助けてくれた照国別一行だとわかったが、岩の戸を突っ張って閉じてしまった。それで、照国別一行はあきらめて先に行ってしまったようだ、という。
国公は、バラモン教徒たちが谷道で襲って逆襲されたという三五教の二人の女巡礼について話を聞きだし、それが黄金姫と清照姫であることを確信した。
そして、その場でバラモン教徒四人の身の上を物語るようにと問うた。ハムは身の上を宣伝歌に乗せて歌いだした。
ハムはガランダ国の王であったが、釘彦・片彦二人がガランダ国に入ってバラモン教を広め、徒党を組んで襲ってきた。その勢いに家族も家来も散り散りになり、自分は捉えられて追放された。
あちこちをさまよううちに、鬼熊別に見出されて部下となり、鬼熊別の生き別れの妻子を探す役目を負って活動していたのだ、と歌った。
国公は、言外に黄金姫と清照姫が、ハムが探していた鬼熊別の妻子だと含ませつつ、彼女たちをもはや追ってはならないと釘をさした。ハムはその意を汲んで話を合わせている。
イールは元はウラル教徒であったが、捉えられてバラモン教に改心したと明かした。ヨセフは太玉命の家来の依彦だと言い出したが、イールから、なぜ照国別の宣伝歌を恐がっていたのかと詰め寄られると、冗談にごまかした。
タールは、アーメニヤのウラル教徒で香具耶彦の息子だったが、北光神の言霊戦でウラル教徒がアーメニヤを追われたとき、親子兄弟は散り散りばらばらになってしまったと明かした。
国公は、タールの本名が春公であることを聞くと、これからは兄弟のように仲良くしようと言い、全員そろって三五教のために尽くそうと呼び掛けた。一同は賛同し、国公について照国別宣伝使の後を追って山道を下って行った。 |
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04 | 00 | 浮木の岩窟 | - | 本文 | |||
04 | 13 | 浮木の森 | 〔1078〕 | 印度と波斯の国境にある大原野・浮木ケ原の森蔭で、黄金姫と清照姫は四方の風景を眺めながら休息していた。二人は鬼熊別の館に一刻も早く到着し、天地の真理を説いて三五教に改心させようと話していた。
そこへバラモン教の大足別が部下を率いてやってきて、母娘を取り囲む。母娘は金剛杖をもって立ち向かうが、衆寡的せず覚悟を固めた。すると、数十頭の狼の集団がやってきてバラモン軍に襲い掛かった。
その勢いにバラモン軍は逃げ散って行った。狼たちは敵を追い払うと、母娘に謹慎の態度をとり、ひと声うなると煙のように消え失せてしまった。森のかなたからは涼しい宣伝歌が聞こえてくる。
宣伝歌の主は国公だった。国公は母娘に気が付き、声をかけた。そして、自分が連れているバラモン教徒たちは、すでに三五教に帰順したから心配ないと言い、彼らの先日の無礼を詫びた。
国公は、黄金姫母娘の護衛を申し出るが、黄金姫母娘は、照国別たちが清春山の岩窟で危難にあっているから引き返して加勢に行くようにと命じた。国公は、ハム、イール、ヨセフ、タールを引き連れて、清春山に駒を返した。 |
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04 | 14 | 清春山 | 〔1079〕 | 清春山の大岩窟には、バラモン教の一派が暴力をもって地方民に生産物を奉納させ、信仰を強要し、恨みの声は地上に満ちている有様であった。
照国別は照公・梅公を連れて清春山山麓にさしかかったとき、谷底に聞こえてきた女の声に立ち止まった。一行が谷底に向かうと、大の男が女を縛って打ち殴っている。宣伝歌を歌いながら近づくと、男たちは逃げてしまった。
女は、梅彦というウラル教徒の兄が竜宮の一つ島へ渡ったのを探しいているのだという。三五教に梅彦という宣伝使がいると聞き、信者と化けて兄の行方を探っていたが、いつしかその教えがありがたくなり、本当の三五教徒になったのだという。
女は、兄の行方を尋ねる旅の途上、清春山に巣窟を構える大足別というバラモン教の悪神の部下たちに捉えられていたのだと明かした。照国別は、女の名・菖蒲から、この女が自分の妹であることを確信した。
菖蒲は大足別の妻になるようにと強要され、両親をさらわれてしまったことを照国別に明かした。照国別は大神の使命の途中に寄り道をすることをためらうが、照公と梅公は、人々の危難を見過ごして通り過ぎるわけにはいかない、と主張し、大足別を言向け和しに出発することになった。 |
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04 | 15 | 焼糞 | 〔1080〕 | 清春山の岩窟では、大黒主の命により、大将の大足別が数百人の兵士を引き連れてデカタン高原に出陣した後であった。
大将がいなくなった後、二十人ばかりの留守番の者たちは朝から晩まで酒を飲んで酔いつぶれ、管を巻いていた。岩窟の奥には、照国別・菖蒲の両親が囚われていた。
留守番たちが宴会をしているところへ入り口の門番が慌てて入ってきて、門口に強そうな宣伝使三人と美しい女の一行が現れたと注進した。一同はあわてて右往左往する。 |
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04 | 16 | 親子対面 | 〔1081〕 | バラモン教のポーロは、セームとシャムに命じて宣伝使の応対をさせた。セームとシャムは慇懃に宣伝使たちを出迎え、丁重に帰ってもらおうとするが、照国別は聞かずに岩窟に入ろうとする。
シャムの注進にポーロ自らが出て宣伝使の応対をし、確かに照国別の両親・樫谷彦と樫谷姫がこの岩窟にいることを明かした。
ポーロは下手に出て照国別一行を案内し、岩窟の中の落とし穴にまんまと落とし込んでしまった。バラモン教徒たちは宣伝使たちをやっつけて気が緩み、酒を持ち出しての眼や歌えの大宴会を始めた。
一同がへべれけになって足腰が立たなくなったとき、留守役の一人・ヤッコスは突如、自分は三五教の宣伝使・岩彦であると明かし、照国別たちを助けようとした。
レールは岩彦の足にしがみついて、命乞いをする。そこへキルクがやってきて、三五教の宣伝使がやってきたと注進した。これは国彦がハム、タール、イール、ヨセフを従えてやってきたのであった。
岩彦は自ら国彦一行を迎え入れ、協力して落とし穴にはまっていた照国別たちを助け出した。捕えられていた照国別の両親は、岩彦がひそかに世話をしていたおかげで健全だった。
照国別と菖蒲は、両親と再会を果たした。宣伝使たちは岩窟のバラモン教徒たちの罪をゆるし、照国別は国彦に命じて、ハム、タール、イール、ヨセフとともに、両親と菖蒲をアーメニヤに送らせた。
自らは岩彦とともに、梅公、照公を連れて出立し、フサの国を目指した。 |
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05 | 00 | 馬蹄の反影 | - | 本文 | |||
05 | 17 | テームス峠 | 〔1082〕 | 黄金姫と清照姫の母娘は巡礼姿に身をやつして浮木ケ原を指して進んでいく。フサの国から月の国へ渡る際には、テームス山というかなり高い山を登らなければならない。
母娘は山麓の道端の岩の上に腰をかけて息を休めていた。そこへ二人の馬方がやってきて、安くするから馬に乗っていかないか、と声をかけた。黄金姫はすぐにこの馬方が、先日自分たちを襲ってきたバラモン教徒たちだ看破した。
早くもたくらみを見抜かれて、レーブは逃げ腰になっている。黄金姫は、二人に鬼熊別の消息を尋ねた。レーブは、大黒主が教主の立場をいいことに勝手放題にふるまって人心を失っているのに引き換え、鬼熊別は妻と娘が行方不明の境遇にあって品行方正にふるまい、バラモン教徒たちの尊敬を一身に集めていると語った。
レーブはさらに、鬼熊別がバラモン教徒たちの信頼を集めていることから、近年では大黒主に嫌疑をかけられてさまざまな圧迫を受けているが、じっと耐えて従っている様を涙ながらに伝えた。
レーブが真実を面に表した様子に、黄金姫と清照姫は、自分たちが鬼熊別の妻・蜈蚣姫と娘・小糸姫であることを明かした。
レーブは驚いてひれ伏した。レーブは、二人にバラモン教に戻ってもらい、ハルナの都の鬼熊別の元にひそかに送り届けたいと申し出た。レーブは、大黒主は蜈蚣姫と小糸姫が三五教に入ったことを聞き知っており、鬼熊別に会わせる前に命を取ろうと画策していることを明かした。
黄金姫は夫に三五教の教えを説くつもりであったが、レーブにいらぬ心配をかけさせても仕方がないと考え、レーブたちにしたがってハルナの都に入ることにした。 |
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05 | 18 | 関所守 | 〔1083〕 | テームス峠の山頂には、バラモン教の関所が設けられていた。実は、大黒主の命で蜈蚣姫、小糸姫を見つけて捕えようというのがこの関所の目的であった。
五人のバラモン教徒がここを守っていたが、人通りのない関所で暇を持て余し、酒を飲んで酔っ払っている。
一同は、山奥の関所守のような閑職に回されたことを嘆いたり、都であくせくするよりはずっといいと開き直ったり、酔って馬鹿な話にふけっている。
そこへ黄金姫たち一行がやってきた。黄金姫と清照姫は馬にまたがり、レーブたちが馬を引いている。関所守たちは一行を改めるために止めた。
レーブは、馬上にいるのは蜈蚣姫と小糸姫だと関所守たちに伝えた。しかし関所守たちさっさと関を通ってくれと促した。黄金姫たち一行はゆうゆうと関所を通過した。
関所守たちは、黄金姫と小糸姫が本物に違いないと思いながらも、威厳に当てられてしまった。 |
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05 | 19 | 玉山嵐 | 〔1084〕 | 黄金姫たち一行は、フサの国のライオン河に着いた。橋がないので、馬に乗ったまま河を泳いで渡らなければならない。二人は水馬の心得があったので騎乗のまま一里ばかりの河を渡り切った。
レーブたちも泳いで河を渡りきり、休息していたところへ、バラモン教の釘彦・片彦の騎馬隊がやってきた。騎馬隊は一行には目もくれずに河に入って向こう岸へ行ってしまった。
レーブは釘彦・片彦が蜈蚣姫と小糸姫を捜索している先遣隊であることを知っていたので、彼らが気が付かずに行ってしまったことに胸をなでおろした。しかし黄金姫はなぜか、レーブたちにここで別れようと切り出した。
レーブは仕方なく、二人と別れることにした。もう一人の馬子は物も言わずに森林に姿を隠してしまった。すると、先に河を渡った騎馬隊のうち二三が、引き返してきてレーブに二人の女について問いただした。
レーブは、騎馬武者たちを足止めして黄金姫、小糸姫を先に逃がそうと話をはぐらかし、またこの先の山道は細くて馬が詰まってしまうから、徒歩で追いかけるしかないと言って引き留めた。
武者たちは、レーブが鬼熊別の部下であることを認めた。レーブは、自分も蜈蚣姫と小糸姫を探しているのだが、先の女たちはひどい人相で、人違いだったと証言した。武者たちはあきらめて帰って行った。
レーブはそれを見届けると、黄金姫と清照姫の後を追って行った。途中、道端で休んでいた黄金姫が走っていくレーブを見かけて声をかけた。黄金姫は、もう一人の馬方がスパイだと見抜いてわざとレーブと別行動をして引き離したのであった。
そこへ、人馬・矢叫び・軍鼓の音がものすごく響いてきた。黄金姫は立ち上がり、神軍と魔軍の戦いに備えて清照姫とレーブに覚悟を呼びかけた。 |
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- | - | - | 附録 大祓祝詞解 | - | (一)
大祓祝詞は中臣の祓とも言い、毎年六月と十二月の晦日の大祓執行に際して、中臣が奏上する祭文であり、延喜式に載録されている。
従来この祝詞の解説は無数に出ているが、全部文章辞義の解釈のみにこだわり、その中にこもる真意義にはほとんど一端さえ触れていない。大祓祝詞の真義は大本言霊学の鍵で開かなければならない。
大祓祝詞の解釈は無尽蔵に近く、主要なものだけでも十二通りあるが、なるべく平易簡単に今の時に適切と感じられる解釈のひとつを試みる。時運はますます進展し、人としての資格の有無を問う大審判の日は目前に迫っているから、心ある読者諸氏はこれを読んで、真の理解と覚醒の途に就いていただきたい。
(二)
全大宇宙間には陰陽二系の御神霊が実相充塞している。それは一切万有の父でありまた母である。陰陽二神の神秘的産霊の結果はまず、一切の原動力ともいうべき言霊の発生となった。
いわゆる八百万の天津神の御出現であり、御完成である。天界の主宰は天照皇大神様である。次に地の世界の統治権の確定は、天照大神様の御霊統を受けられたお方が全世界の救済と大道の執行をするべく、天の使命を帯びられた。
人間の肉体は生死往来することを免れないが、霊魂は無限の寿命を保って活動するのである。
(三)
地の神界の統治者は確定したが、宇宙の間はなお未製品時代に属するので、自由行動をとって割拠争奪をこととする凶徒界が多い。これは大本開祖の御神諭に示されているところであり、過去のことのみではない。
小規模の救世主降臨は過去にあったが、大規模の真の救世主降臨は現在である。その結果悪鬼邪神の大審判、大掃除、大洗濯が開始されいわゆる世の大立替の大渦中に突入する。
そうなると批評も議論も疑義も反抗も全部中止となり、稜威赫々として宇内を統治し給う神の御子の世となるのである。
(四)
天祖の御委託によって救世主が御降臨されるについて、宇宙の中心、世界の中心である国土をもって宇内経綸、世界統一の中府と定め給い、天地相応の際から特別製に作り上げてある神定の霊域に、崇厳無比の神殿を御造営され、惟神の大道によって天下をしろしめされることになる。
それについては、直接天津神の手足となって活動しなければならない責任が重い。どのようなことをなし、どのようなことをなしてはならないか、明確な観念を持たなければならない。
次節に列挙するさまざまな罪ごととはことごとく、人として日夕服膺しなければならない重要事項のみである。
(五)
人間は神の容器として宇内経綸の天職がある。ことに日本人の使命は重大をきわめ、世界の安否、時運の興廃、ことごとくその責任は日本人に係っている。天賦の霊魂を磨き、霊智霊覚によって天然造化力の利用開発に努め、同時に国の徳と人の徳を発揮し、立派な模範を世界中に示されなければならない。
実際にはこれに反して、いたずらに物質文明の糟粕をなめ、罪の上に罪を重ねて現在みるごとき世界の大擾乱となってきた。
日本人はこの責任を免れることはできない。しかしこれは天地創造の際からの約束で、進化の道程として免れがたいことであることも事実である。
過去のことは今さら悔やむには及ばない。我々は現在および将来に向かっていかなる態度をとり、いかなる処置を講じればよいかを考究すべきである。次節にその要道を示している。
(六)
天津罪、国津罪が続発することは悲しむべき不祥事であるが、致し方ない。よくその理を明らかにして整理修祓の法を講じなければならない。
世界主宰の大君としては天津金木を運用して宇内の現勢を察知し、正しい言霊を活用して天津祝詞を天地の神々に宣り伝えてその活動を促すべきである。これが根本の祭事であると同時にまた根本の政事である。
天津神も国津神もこれに応じてよく威力を発揮せられるのである。
(七)
八百万の天津神と国津神の御活動が開始されると、罪という罪、穢れという穢れは一つも残らず根本から一掃されてしまう。大は宇宙の修祓、国土の修祓から小は一身一家の修祓に至るまで、神力の御発動がなければできるものではないのである。
大祓祝詞はいつの時代を通じても必要で、神人一致、罪と穢れの累積を祓い清めるように努力しなければならない。現代においては特に痛切に必要である。
自己の身体、家庭、国土、全地球、全宇宙から迅速に邪気妖気を掃蕩して神代にしなければ神に対して相済まない。
大修祓に際して、神の御活動は四方面に分かれる。祓戸四柱の神々の御働きである。正神界の神々が修祓を行うときには、この四方面に分かれて御活動があることを指す。
(八)
地球の表面の清潔法を施行するためには、大小の河川をつかさどる瀬織津姫が御出動になる。いよいよとなれば大雨を降らして大海へ一掃してしまう。
これに応じて速秋津姫の御活動が起こる。必要あれば陸地まで押し寄せてあらゆるものを鵜呑みにする。
邪気妖気の掃除のためには気吹戸主神が控えている。最後の仕上げには佐須良姫が待ち構えて揉み砕き、揺りつぶす。これでいかに山積していた罪穢もこの世から一掃される。
従来は大祓祝詞は世に存在していてもその意義さえ分からず、その実行が少しもできていなかった。その大実行着手が国祖国常立尊の御出動である。神国人の責務は重いが上にも重い。天地の神々の御奮発と御加勢とをもって首尾よくこの大経綸の衝にあたり神業に奉仕するというのが、大祓奏上者の覚悟であらねばならない。 |
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